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眼瞼下垂の手術後のダウンタイムはどれくらい?ダウンタイム中の状態と注意点・過ごし方を解説します

 更新日:2023/12/19
コンタクトを入れる女性

眼瞼下垂の手術を行うと、術後のダウンタイムには腫れや痛みなどの症状が出ることがあります。

眼瞼下垂の手術を検討している方の中には、ダウンタイムがどのくらい続くのかが気になる方は多いのではないでしょうか。

今回はダウンタイムがどのくらい続くのかやダウンタイム中の注意点をご紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

眼瞼下垂の手術後のダウンタイムはどれくらい?

鏡を見る女性
眼瞼下垂の手術は主にまつ下の上や眉毛の下を切開し、まぶたの働きを支えている眼瞼腱膜やミュラー筋の機能を回復させる手術を行います。
切開を行うため、傷ができることでダウンタイムがしばらく続くことになるでしょう。
実際にどのくらい続くのかは個人差がありますが、2週間で治る症状もあれば術後数ヶ月にわたって続くものもあります。
そのため、眼瞼下垂の手術を行った後には、半年ほど経過観察を行います。
数ヶ月にわたって続く症状の1つが乱視です。
これは手術によってまぶたの開き具合が変わることによって起こるものであり、3〜6ヶ月ほどで安定します。
眼瞼下垂によって視力が低下したことで、眼鏡の作成レーシック手術などを検討している方もいることでしょう。
その場合は、術後の経過で見え方が変わってしまう可能性があるため眼科医と相談することをおすすめします。

眼瞼下垂の手術後のダウンタイム中の状態

鏡で目を見る女性
眼瞼下垂の手術は切開を伴うため傷ができるのは避けられません。
では術後のダウンタイムにはどのような症状があらわれるのでしょうか。
続いて、眼瞼下垂の手術後にあらわれる、代表的なダウンタイム中の症状をご紹介します。

まぶたの腫れ・痛み

目を指さす女性
まずダウンタイム中によく見られる症状がまぶたの腫れや痛みです。
これは手術でまぶたを切ることによって傷口が腫れてしまうために起こる症状です。切開を行うため、この症状は避けられません。
個人差がありますが、手術後2〜3日は腫れが激しくなるのが一般的です。
腫れの程度は、手術で使用する麻酔の量や出血量などによっても左右されます。
腫れが悪化しないようにするためには、手術後にできるだけ安静に過ごすように心がけ、2〜3日ほど患部を冷やすことで軽減できるでしょう。
また、抗血小板剤を内服していて出血しやすいなどの事情がある場合は、術後に出血する恐れがあります。
そのため術後には1〜2日程度入院して経過観察を行う場合もあるでしょう。
手術から1〜2週間後に抜糸を行い、傷自体は二重まぶたのひだに隠れたり、手術時に眉下の目立たない部分を切開していたりといった理由で目立たなくなります。
抜糸を行った後はメイクも可能になるため、傷口をメイクで隠すことも可能です。
しかし、腫れの状態によっては完全に隠すことが難しい場合もあるでしょう。
個人差はありますが腫れが完全に引くには約2ヶ月程度かかります。腫れが長く続くことが気になる場合は事前に医師と手術を行う時期を相談しておきましょう。

内出血

もう1つの眼瞼下垂の代表的なダウンタイム中の症状が内出血です。
内出血は皮下出血によって起こるものであり、切開を行ったまぶたの一部またはまぶた全体に内出血の症状があらわれる場合があります。
これは多くの場合は2週間程度で目立たなくなります。
しかし、目元が紫色になってしまうため見た目が気になるという方もいることでしょう。
抜糸後にはメイクも可能になりますが、メイクでは隠しきれずに目立ってしまうことも考えられます。
眼瞼下垂の手術を行った後は、目元を隠せるように眼帯を渡されたり、ガーゼで目を覆ったりするのが一般的です。
もしもガウンタイム中のそれらをつけている姿や目元の内出血を人に見られるのが気になるという方は、術後にできるだけ外出を控えられるタイミングで実施しましょう。

眼瞼下垂手術の種類

診察を受ける女性
眼瞼下垂は主に上眼瞼挙筋という、筋肉や眼瞼腱膜という筋肉の働きを支える筋膜の機能の低下によって発症します。
そのため手術の際にはこれらの機能の改善のために、まぶたの切開を行うのが一般的です。
それでは具体的にどのような手術方法があるのかをご紹介します。

眼瞼挙筋前転法

診察をする男性医師
眼瞼挙筋前転法はまぶたを上げる働きをしている上眼瞼挙筋を短縮する方法です。
上眼瞼挙筋はまぶたを上げる働きをしていますが、これが生まれつきや外部からの刺激、加齢などの原因によって筋力が低下した場合に行われる手術方法です。
この手術では、緩んだ上眼瞼挙筋を短縮することで筋肉の緩みを解消し、機能を改善させます。
ただしこの手術では時間が経過すれば再び上眼瞼挙筋が緩んでしまい、再手術が必要となる場合もあります。
もともと上眼瞼挙筋の力がどのくらいあるのかも関係するため、手術の方法を選択する際には再手術の可能性も確認しておきましょう。

筋膜移植法

眼瞼下垂の手術方法として、筋膜を移植する筋膜移植があります。
まぶたの動きを支えている挙筋腱膜が緩み、機能が低下している筋膜性の眼瞼下垂の場合、この筋膜の働きを回復させるための手術を行います。
しかし、筋膜の力がほとんどなくなっている場合など、病態によってはこの方法では回復しないケースがあるのです。
特に先天性の眼瞼下垂の場合はもともとの筋膜の力が弱いケースが多いため、筋膜移植法によって治療することが多い症例です。
この移植法では自身の別の部位の筋膜か人工の組織を使用します。
自身の組織を使用する場合に多くのケースで用いられているのが、太ももの大腿筋膜です。
この手術は、まぶたの皮膚の下から眉毛の下の方へ筋膜を移植し、眉毛を動かしている前頭筋の力を利用してまぶたを上げます。
この筋膜移植を行った場合は、移植した筋膜の力が強いことによってまぶたが開きすぎになり、うまく閉じられない場合もあるでしょう。
この程度が大きければ角膜障害へとつながるケースもあるため、その場合は筋膜の力の調整のための再手術が必要となります。

眼瞼下垂埋没法

眼瞼下垂埋没法は眼瞼挙筋の働きを支えている眼瞼筋膜とミュラー筋を同時に短縮する方法です。
どちらも眼瞼挙筋につながっている腱膜であり、この2つの筋膜のどちらか、または両方の機能が低下した状態が腱膜性眼瞼下垂といいます。
この腱膜は目を擦ったり長期間コンタクトレンズを使用したりなど慢性的な刺激によって伸びてしまい、機能が低下します。
眼瞼下垂埋没法では、伸びてしまった2つの筋膜を同時にはがし、短縮して固定することで腱膜の機能を回復するのです。
この手術は結膜に小さな穴を開けて行われる手術のため、切開をした時ほど傷が目立つことはないでしょう。
症状の程度によって最適な手術方法は異なりますが、もしも少しでも傷が目立たないように手術したいのであれば、事前に医師に相談することをおすすめします。

ダウンタイム中の注意点・過ごし方

鏡を見る女性
ここまで眼科下垂の術後には腫れや痛みなどの症状があらわれると解説しました。
それらの症状を悪化させないために、ダウンタイム中に注意すべきことは何があるのでしょうか。
続いてはダウンタイム中の注意点や過ごし方をご紹介します。

熱いシャワーや風呂を避ける

眼瞼下垂の手術を行った後には、熱いシャワーやお風呂は避けるようにしましょう。
眼瞼下垂の手術後には、腫れや痛みを抑えるために、患部を冷やします。
もしも手術を行った当日に熱いシャワーを浴びたりお風呂に入ったりすると、体温が上がることで出血する可能性があります。
特にまぶたは出血しやすい部位のため、手術を行った当日はシャワーやお風呂は控えるようにしましょう。

激しい運動を控える

眼瞼下垂の手術後には激しい運動も控えるようにしましょう。
前述した通り、まぶたは出血しやすい部分です。運動をして体温が上がることによって出血をしてしまう可能性があります。
ほとんどの場合は冷やすことで止血が可能ですが、稀に皮膚の下で出血した血液が固まってしまうケースがあります。
その場合は縫合している傷口を開いて止血のための手術が必要なるケースもあるため注意しましょう。
もしも日常的にジョギングなどの運動をしている場合は、事前にどのような運動を控えるべきなのかを医師に確認しておくことをおすすめします。

コンタクトレンズの使用を控える

眼瞼下垂の手術後にはコンタクトレンズの使用も控えましょう
眼瞼下垂の手術ではまぶたを切開し、まぶたの内側にある筋膜の短縮や移植を行います。
コンタクトレンズを着用すると筋膜へ刺激を与えてしまう可能性があるほか、着脱時には目を開くためにまぶたに負担がかかってしまいます。
そのため術後はしばらくコンタクトレンズの使用は控え、メガネを使用しましょう。
いつごろからコンタクトレンズを使用するかは自己判断せず、医師に相談してから使用してください。

眼瞼下垂手術後のダウンタイム期間・状態は人によって異なる

目の診察を受ける男性
眼瞼下垂の手術後のダウンタイムにはさまざまな症状があらわれますが、その期間や状態は人によって異なります
ダウンタイムの症状の中でも、腫れや内出血などは多くの方にあらわれるものです。
そのほかにも、手術によってまぶたが以前よりも開くようになることで起きる変化や症状があります。
例えば、まぶたで覆われていた部分も露出するようになることによって手術前までより光がまぶしく感じたり、ドライアイになったりする場合もあります。
もし、もともとドライアイの症状があった場合には悪化する可能性も否定できません。
また、まぶたが開くようになったことで起きる症状として、涙や眼脂が増えることもあります。
これは、まぶたの機能が改善され、涙を排出する機能も改善されることで起きるものです。
手術後から半年ほどで改善される症状ですが、もしも気になる場合は医師に相談しましょう。
また、人によっては術後に左右で目の開き方が異なり、左右非対称になるケースもあります。
手術は通常、左右対称となるように事前にまぶたの開き方などを確認した上で行われます。
しかし、手術中の麻酔や額の筋肉の影響などさまざまな要因から生じてしまうのです。
もしも目の開き方が左右非対称となった場合には、左右のバランスを整えるための再手術を行います。

眼瞼下垂手術後のダウンタイム期間を短くするためのポイント

人差し指を出す男性
眼瞼下垂の手術後のダウンタイムには腫れや内出血など避けられないものがありますが、できるだけ早く回復したいと思う方は多いのではないでしょうか。
続いてはダウンタイム期間を短くするためのポイントを解説します。

術後3日間はできるだけ触らない

眼瞼下垂の手術後のダウンタイム期間を短くする方法として、術後3日間はできるだけ患部をさわらないことがあげられます。
眼瞼下垂の手術で切開を行う場合、縫合した傷口が落ち着きまでに1〜2日程度はかかります。
この間に擦ったり押さえたりといった刺激を与えてしまうと傷口が開いてしまう可能性があるのです。
傷口が開くことによって出血や化膿などが起きてしまう場合もあるため、術後は患部を触らないように注意しましょう。

処方された薬を正しく使用する

眼瞼下垂の手術を行った際には、点眼薬や傷口に塗る軟膏が処方されます。
この処方された薬を正しく使用しましょう。
特に傷口に塗る軟膏は傷口の化膿を防ぐ役割があり、正しく使用することで傷が目立たないように回復できます。
また、前述した通り、まぶたが開くようになったことでドライアイになる場合があります。
点眼薬を打つことでドライアイの悪化を防げるため、医師に処方された通りに使用しましょう。

眼瞼下垂手術についてより詳しく知りたいなら

受診する男性
眼瞼下垂はまぶたが上がりにくくなり、常にまぶたが下がった状態になってしまう疾患です。
視野が狭くなり見えづらくなるという機能的な面以外にも、いつも眠そうな見た目になってしまいます。
目元は人の印象を左右する部分でもあるため、眼瞼下垂の症状があることによって人と会うのを避けたいと思う方もいることでしょう。
眼瞼下垂の症状は基本的に手術によって改善ができます。
ただし手術は切開を行うものが主流のため、ダウンタイム時の腫れや痛みは避けられません。
少しでも手術後のダウンタイムを短くしたい方や、ダウンタイム中の過ごし方が気になる方は専門医に相談しましょう。

編集部まとめ

眼科医
眼瞼下垂の手術ではまつ毛の上や眉毛の下など、まぶたの切開が必要となるケースがほとんどです。

そのためダウンタイム中には腫れや内出血など、見た目にもわかりやすい症状があらわれます。

腫れは通常2〜3日ほどで、内出血は2週間ほどで落ち着きますが、実際に治る期間は人によってさまざまです。

眼瞼下垂の手術を検討しているけれど、ダウンタイム中に人に会うのは避けたいという方は、手術を行うタイミングを医師と相談してみましょう。

また、ダウンタイム中の過ごし方によっても症状の程度は異なります。

ダウンタイム中には医師からの指示に従って過ごし、腫れや内出血などのダウンタイム中の諸症状が悪化しないように注意しましょう。

この記事の監修医師