結婚前に性病検査を受けるべき?メリットやブライダルチェックの検査内容を解説
性病検査と聞くとみなさまはどのようなイメージを受けますか。
必ずしもポジティブなイメージばかりではないかもしれません。しかし、性病検査を結婚前に受けることで大きなメリットがあります。
性病検査は、結婚前のブライダルチェックとして広く受けられ、安心して子どもを授かるための重要な証拠となります。また、結婚後の生活を考えると必須の検査です。
今回は、特に結婚前に受ける性病検査のメリットや、ブライダルチェックの内容について紹介します。
性病検査は怖いものではありません。しっかり受診して、穏やかな新婚生活を過ごしてください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
結婚前に性病検査を受けるメリット
結婚前に性病検査を受けることは大きなメリットがあります。
性病検査を受けることで、ご自身も結婚相手も納得して結婚生活を送ることができるでしょう。
ここでは結婚前に性病検査を受けるメリットを解説します。
性病への不安を払拭できる
まったく性経験がない場合を除いて、1回でも性経験があれば性病にかかっている可能性があります。
自覚症状がなくても性病にかかっていることがあるため、結婚前のブライダルチェックを受けることで性病への不安を解消できるでしょう。
なお、性病によっては口腔性交(オーラルセックス)でも感染します。性病防止のため、自分はコンドームを使っているから安全性が高いとはいい切れないので、ご注意ください。
早期に治療できる
現在多くの性病は薬(抗生物質)で治療できます。
以前は死の病といわれていたHIVも、現在は薬を飲み続けることでエイズ(後天性免疫不全症候群)の発症を抑え、通常の生活を送れるようになりました。
そのため、余命も普通の人と変わらなくなりました。
HIVに感染しているとわかっていれば服薬で対処できますが、性病検査せずHIVだと知らないでエイズを発症してしまうと今の医療でも助かりません。
早期治療のためにも性病検査が有効だとわかります。
パートナーへの感染を防げる
結婚後は日常的に夫婦関係を持ちます。子どもが欲しい場合、避妊せず性交渉するため、当然性病にかかっているとパートナーへ感染させてしまいます。
結婚前の性病検査は、パートナーに性病を感染させないための有効な策、強い言い方にすると夫婦の義務です。
結婚前にパートナーを傷つけないように性病にかかっていない、あるいは治癒させることが重要です。
不妊・流産を避けられる可能性が高まる
性病にかかっていると不妊や流産の原因になります。
子どもが欲しい夫婦にとっては結婚前の性病検査でそうしたリスクを減らすことが重要です。
流産は特に女性の心身に大きな負担をかけてしまいます。母体の健康のためにも事前の性病検査が重要です。
結婚前のカップルが受けるブライダルチェックとは
ブライダルチェックとは、将来の妊娠・出産を考える男女のための検診を指します。
性病検査だけではなく、精子や卵子に問題がなく自然妊娠可能かどうか、性的機能に問題がないか医師の診察を受けることが広い意味でのブライダルチェックです。
ブライダルチェックは結婚前だけではなく、結婚後に受診する人も増加しています。
ブライダルチェックを受けることで、女性は子宮や卵巣の病気や性病、男性は精巣や前立腺の病気や性病をチェックすることが可能です。
また、精子や卵子の様子も調べるので、健康でも不妊体質かどうかがわかります。不妊の原因は女性だけではなく男性にもあります。
ブライダルチェックで問題がわかれば、早急に不妊治療などの対策が取れるので大変重要です。
なお、ブライダルチェックはあくまで病気かどうか・不妊体質かどうかを知るための検査であり、治療ではないので保険適用にならないので注意してください。
ブライダルチェックの主な検査内容
ブライダルチェックはどのように行うのでしょうか。
あらかじめ検査内容や検査方法を知ることで、心構えができます。
ブライダルチェックを行う病院、クリニックによって若干違いがありますが、大きな検査内容は同じです。
医師とのカウンセリングが重要な一環となるため、検査結果について詳しく説明を受け、必要に応じて今後の治療や健康管理についてアドバイスをもらいましょう。
ブライダルチェックは、将来の家族計画や健康維持に役立つ重要なステップです。
詳しく検査したい場合はブライダルチェックに強い病院やクリニックを探してみましょう。
問診・触診
結婚時期・不妊期間・性機能・喫煙や飲酒等の生活習慣・病歴・アレルギーなどについて医師の問診を受けます。
もちろん、大変プライベートな情報ですので、周囲から聞こえないような配慮がなされます。
結婚前のカップルで来院しても、それぞれのプライバシーが守られるよう行われますので、心配する必要はありません。
その後、外性器の触診を行い、外からわかる性病の有無・性器異常などを調べます。乳房や陰茎・陰嚢などを触診することがあります。
プライベートな部分ですが、性病だけではなく重大な病気を見落とす可能性があるので、ぜひ医師を信頼して触診を受けてください。
内診・超音波検査
性器周辺の超音波検診を行い、異常がないか検査します。
性病だけではなく、子宮筋腫や精巣捻転といった妊孕性に関わる病気、さらにがんなどの病気もここで可能な限り検査して、結婚前にリスク要因を可能な限り排除していきましょう。
内診は主に婦人科検診になります。やはりプライベートな場所ですが、今後のことを考えればぜひ受診してください。
内診と血液検査を組み合わせることで性病検査の効果が大きく上がります。
結婚前にしっかり調べて、もし何かの性病に感染していた場合、速やかに適切な投薬などの治療を受けられるのは結婚後に大きなプラスです。
性感染症検査
コンジローマやヘルペスや淋病など明らかに触診や内診でわかる性病もありますが、梅毒やHIVは症状が発現していない(発症前)こともあり、血液検査によって精密に検査することが重要です。
血液検査と触診、内診を組み合わせて、HIV・梅毒・クラミジア・淋病・肝炎などの検査をしていきます。
性病ではありませんが、妊娠中にかかると赤ちゃんに障害などの影響を及ぼす可能性がある麻疹や風疹の抗体検査を合わせて行うことがあります。
抗体がない場合、ワクチン接種が推奨されるでしょう。自費になりますが、自治体の補助によって自己負担わずか、または自己負担なしで受けられることがあるので調べておきましょう。
ホルモン検査
血液検査によって、妊娠のしやすさなどに影響するホルモンを調べます。
男女で検査する項目が異なりますが、基本的に病院が指示する検査項目を受けましょう。
男性の場合は以下です。
- LH:脳下垂体から分泌される男性ホルモンの分泌を促すホルモン
- テストステロン:男性らしさや性欲をつかさどる男性ホルモン
- FSH:精子の形成を促進するホルモン
女性の場合は以下です。
- FSH:卵巣において卵胞(卵子が入った袋)の成熟を促進するホルモン
- エストロゲン:女性らしさをつかさどる女性ホルモン
- プロジェステロン:受精卵が着床しやすいかどうかに影響する女性ホルモン
などのホルモンの多寡を血液検査します。ホルモンに異常がある場合、当該ホルモンの投与などの治療が行われることがあります。
その他、性病検査ではありませんが、男性の場合精子の量や動きが正常かどうか調べる精子検査もブライダルチェックの項目です。
マスタベーションで採取した精液を直接医師が顕微鏡で見て検査します。
不妊の原因は女性だけではなく、男性由来のこともあるため、欠かさず行うことが重要です。
ブライダルチェックはどうやって受ける?
ブライダルチェックを受けたい場合、どこで検査をすればよいのでしょうか。
ブライダルチェックの検診にはさまざまな方法があるため、それに伴って検査のやり方も異なります。
病院の何科で受診すべきか以下を参考にしてください。
ブライダルチェックを受けたい場合、どこで検査をすればよいのでしょうか。
ブライダルチェックの検診にはさまざまな方法があるため、それに伴って検査のやり方も異なります。
ブライダルチェック専用の外来を設けているところもあるため、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。
また、ブライダルチェックには費用がかかる場合がありますので、料金についても事前に確認しておくと安心です。
病院の何科で受診すべきか以下を参考にしてください。
女性・カップルは婦人科で受ける
女性は当然婦人科、産婦人科を受診しますが、不妊治療などを行っているクリニックではカップルで受診できる体制も整っています。
男性(カップル)はほかの女性と顔を合わせないような配慮(個室)がなされていることもあり、性病の自覚症状がない場合、純粋なブライダルチェックとして婦人科で受けられます。
男性は泌尿器科で受ける
婦人科でカップルなら男性も受けられると述べましたが、結婚して夫婦になっている、あるいは婚約中など条件を設けているところがあり、誰でも受けられるわけではありません。
泌尿器科の場合は男性も問題なく性病検査やブライダルチェックを受けられます。
結婚前、あるいは婚活前に泌尿器科で性病の有無だけではなく、精子検査も行い男性側の妊孕性をチェックしておくこともブライダルチェックとして重要です。
男性のブライダルチェックは女性程負荷にはなりません。
郵送検査キットで受ける
性病検査やブライダルチェックが恥ずかしいという方向けに、郵送で検査できるキットが販売されています。
唾液やのどぬぐい液、尿などを採取して返送すると検査を行ってくれるサービスです。家族にバレないような配慮もされています。
コロナやインフルエンザの検査キットをイメージしていただくとわかりやすいです。
ただし、検査の感度は病院での医師の触診や血液検査に比べると落ちます。
スクリーニング検査ではありますが、正確性は落ちますので、ここでの性病検査が陰性だったから100%かかっていないとはいい切れないことに注意してください。
逆にここで引っかかった場合は病院へ行き、詳しい検査を受けることになります。
性病の自覚症状がある場合は性病科も含めて即病院へ
ブライダルチェックは特に自覚症状がない人向けに性病感染歴などを調べるものですが、明らかな自覚症状がある場合は、診察・治療をすることになるためすぐに病院へ行ってください。
性病は放っておくと、不妊症や無精子症のような重篤な病気につながる恐れもあるため、注意が必要です。
性病には、今は症状がひどくなかったとしても、長期的なリスクが潜んでいます。
病院に行くことを恥ずかしいと思うのではなく、通院するようにしましょう。
性器の腫れや膿などがあれば性病科も対象になります。
編集部まとめ
性病は症状が出なくても感染していることがあります。結婚前に気付かなければ、結婚後不妊に悩み、その理由が判明しない恐れもあるでしょう。
まず、ブライダルチェックのなかで性病検査を行い、不妊や赤ちゃんへの悪影響のリスク因子について調べることが大切です。
性病は治療できる時代です。結婚前のブライダルチェックでしっかり見つけて、適切に治療すれば問題ありません。
結婚前でもカップルでブライダルチェックを受けられる病院も増えています。性病検査を含めて結婚前の不安点を解消したうえで素敵な結婚式を迎えてください。
参考文献