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妊婦健診は何回受ける?スケジュールや検査内容、費用相場も解説

 公開日:2025/06/30
妊婦健診は何回受ける?スケジュールや検査内容、費用相場も解説

妊婦健診は母子の健康を守るために、定期的に健康状態を確認するものです。厚生労働省は妊婦健診の標準的な受診回数を14回と定めており、多くの市区町村が費用を助成しています。
本記事では、医師の臨床経験と公的データをもとに妊婦健診の目的や検査内容、助成制度などを解説します。妊婦健診の意義を理解し、適切な受診計画を検討してください。

伊東 宗毅

監修医師
伊東 宗毅(茅場町いとう医院)

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日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本橋医師会 理事
埼玉医科大学卒業後、埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、武蔵野赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、赤心堂病院産婦人科勤務を経て、2013年9月茅場町いとう医院を開設。

妊婦健診とは?

妊婦健診とは?
妊婦健診は母子健康法第13条と厚生労働省の通達に基づき、市区町村が14回程度の妊婦健診料を負担して行うものです。主な目的は、胎児発育不全や妊娠高血圧症候群などの重篤な合併症を早期に発見し、母子の健康を守り、健やかな成長を支えることです。
ですので、妊婦健診の「けんしん」は特定の病気を早期に発見するための「検診」ではなく、健康状態を総合的に調べる「健診」の文字を使っているのです。
日本の妊婦健診における助成体制は世界的に見ても手厚く、安全性の高い水準を維持しています。妊娠がわかったら、お住まいの市区町村の窓口にできるだけ早く妊娠の届出を行い、母子健康手帳の交付とともに妊婦健診の受診券を受け取りましょう。
妊婦健診を受けていない方は、胎児の周産期死亡率が高いという報告もあります。健診では医師や助産師による診察だけでなく、妊娠や出産、育児に関する相談もできるため不安軽減にも役立つでしょう。

妊婦健診のスケジュールや受診回数

妊婦健診のスケジュールや受診回数
妊婦健診は妊娠の進行に合わせて受診の間隔が変わります。ここでは、妊娠初期から予定日通過までの5つの時期に分けて、通院頻度と診察時の主なポイントを解説します。

妊娠初期〜11週

妊娠確認時から11週までは1~2週ごとの診察が推奨されています。初診時は妊娠の確認を行い、経過を慎重に見ていきます。体重減少が妊娠前から5%を超える場合には、入院での治療が検討されるでしょう。
この時期の健診では、超音波検査で胎嚢を確認し、続いて胎芽や心拍を確認します。血液検査では、血液型のほか、HBs抗原やHCV抗体、HIV抗体、梅毒血清反応などの感染症スクリーニングや血糖、貧血など健康にかかわる検査を実施します。この時期にはつわりがみられることがありますが、つわりの症状が重い場合は「妊娠悪阻」として点滴などの治療が行われる場合もあります。

妊娠12週〜23週

この時期の妊婦健診はおおむね4週ごとです。超音波検査では発育の異常や胎盤の位置の確認、羊水量の確認などが行われます。この時期から胎児の確認は経腹超音波となりますが、あわせて子宮頚管長を確認し、流早産のリスクを早期発見するための経腟超音波も行われます。妊娠20週前後で詳細な胎児スクリーニング超音波を行い、大脳や心臓、四肢を詳細に診察する場合もあります。ヘモグロビンが11g/dL未満の場合は、鉄分を補うために鉄剤が処方されるので、医師の指示に従い服用しましょう。
この時期は安定期と呼ばれ、妊娠18週~20週ごろから胎動を初めて感じる場合もあります。

妊娠24週〜35週

妊娠24週からは、受診間隔が2週ごとになります。妊娠24週~28週ごろには妊娠糖尿病のスクリーニング検査や貧血の確認、合併症の検査などが行われます。
この時期に限らず妊婦健診では血圧や体重測定、尿検査などが行われますが、これは妊娠高血圧症候群を早期発見するために、必要な検査となります。

妊娠36週以降

妊娠36週以降は毎週の健診となります。健診ではノンストレステスト(NST)と呼ばれる検査を行うようになります。このテストはおなかにセンサーをつけて20~40分程度安静にして、胎児の元気さを計測するものです。超音波検査での胎児の状態や羊水量の確認も行われます。内診では子宮口の開き具合や子宮頸管の軟らかさ、胎児の下降度などを評価し、分娩の準備状態を確認します。分娩方法を最終確認する段階でもあります。

予定日以降

胎盤の機能低下の可能性を考慮し、週に2回以上のペースで受信し、胎児の状態を確認します。日本産科婦人科学会のガイドラインでは41週0日以降分娩誘発を行うことを検討するよう求められています。

妊婦健診で行われる検査内容

妊婦健診で行われる検査内容
健診では毎回行う基本的な検査と、時期ごとに追加する専門的な検査があります。

  • 毎回:血圧測定・体重測定・尿検査
  • 時期別:血液検査・超音波検査
  • 1度のみ:血液型判定・子宮頸がん検診・性器クラミジア検査

ここでは、妊婦健診で行われる検査内容を詳しく解説します。

血液検査

妊娠初期・中期・後期の3回が基本です。血液検査ではたくさんの情報が得られます。検査の結果から、妊娠中の生活や食事などについてここに必要な指導を受けられますし、感染症などへの対応も可能とります。例えば検査の結果B型肝炎に感染していることが分かった場合、出生直後にHBIG(免疫グロブリン)とB型肝炎ワクチンを併用して母子感染のリスクを抑えることが可能となります。

血圧測定

血圧測定は、妊婦健診のたびに毎回実施します。収縮期140mmHg、拡張期90mmHgを超える場合は、妊娠高血圧症候群を疑い、服薬治療を含め慎重に管理をしていきます。妊娠高血圧症候群は妊娠20週以降に発症し、重症化すると子癇(けいれん発作)やHELLP症候群などの危険な合併症を引き起こす可能性が少なくありません。リスクのある妊婦には家庭での自己測定も推奨され、診察時の測定値とあわせて、総合的に評価します。

体重測定

体重増加は、胎児の発育と母体の安全性と密接にかかわります。日本産科婦人科学会では、妊娠前体重をもとに適正増加の目安を示しています。妊娠前BMI18.5未満でで12~15㎏、BMI18.5〜24.9で10~13kg、BMI25~29.9で7~10㎏、BMI30以上は上限5㎏を目安とした個別対応とされています。妊娠中の過度な体重増加は巨大児となる可能性が高まり、それに伴い分娩時の帝王切開などを含めたリスクが高まる恐れがあります。
一方で体重増加が不十分な場合には、母体の栄養状態が心配されます。このため体重の変化を確認しながら栄養指導や適した運動のアドバイスが行われます。

尿検査

尿検査では、尿中の蛋白と糖を確認し、腎機能や妊娠糖尿病の兆候を早期に把握します。異常がある場合には精密検査が行われます。

むくみの確認

足のすねのむくみや体重の変化を見て、むくみの状態を確認し、腎機能の変化を間接的に推測します。むくみが強い場合は妊娠高血圧症候群の初期兆候の可能性があるため、早期の対応が重要です。

腹囲計測・子宮底長計測

胎児の発育や羊水量の評価として計測します。
最近では超音波検査で確認するため、省略される場合もあります。

超音波検査

超音波検査では、胎児の形態や胎盤の位置を詳細に確認します。妊娠初期は胎嚢や心拍確認、週数確定などを行います。妊娠中期(18〜22週頃)は、胎児の詳細な形態を確認するスクリーニング検査に適した時期です。妊娠後期は推定体重や胎位、胎盤位置、羊水量などを評価します。4D超音波は胎児を立体的に見ることができるため、形態異常を検出するうえで有効ですが、すべての異常を見逃さずに確認できるわけではありません。

子宮頸がん検診

子宮頸がん検診は、妊娠初期に1度実施され、異常の早期発見を図ります。異常が発見された場合でも、多くの場合は妊娠の継続が可能ですが、分娩後のフォローアップ検査が必要となります。

性器クラミジア検査

性器クラミジア検査は無症状でも感染している場合があり、早産や新生児への感染リスクを防ぐために検査は重要です。感染が確認された場合には、妊娠中でも使用可能な抗菌薬により適切な治療が行われます。

膣内細菌培養検査

細菌性膣炎は早産のリスクとなるため、妊娠20週未満で検査を行い、必要があれば治療を行います。
また、妊娠35週~37週ごろにB群溶血性連鎖球菌(GBS)の培養検査を行い、必要があれば治療をして分娩時の児への感染を予防します。

妊婦健診の費用について

妊婦健診の費用について
妊婦健診には自治体からの助成制度があり、これを活用することで自己負担額を抑えることができます。ただし、補助の内容や金額は自治体ごとに異なります。ここでは、妊娠健診の費用相場と自治体が提供する助成制度について詳しく解説します。

妊婦健診の助成について

妊婦健診には自治体からの助成があります。自治体により助成額、内容が異なるため、お住いの自治体に確認をしていただく必要があります。
妊娠確認の時や分娩予定日が決定するまでの診察は、原則的に妊婦健診ではないため、費用の助成はありません。妊婦健診の費用は医療機関によっても異なるため、医療機関への確認も必要です。
妊婦健診の助成券がある場合でも、自治体と契約をしていない医療機関では使えないので、事前に確認をしてください。

妊婦健診は茅場町いとう医院にご相談を

茅場町いとう医院
茅場町いとう医院はいつでも気軽に受診できる産婦人科を理念とし、女性のライフステージを支えるかかりつけ医を目指しています。

都心部の好立地に位置していて東京メトロ 茅場町駅から徒歩1分の場所にあります。月・金は20時まで、火・水・木は19時まで診療しているため、仕事をしている妊婦さんでも通いやすいでしょう。
ここからは、茅場町いとう医院の特徴を紹介します。

充実した検査機器と経腹超音波のデータを確認できるエコーダイアリー

茅場町いとう医院
茅場町いとう医院はプライバシーに配慮した個室診察室を備えており、超音波装置や子宮内視鏡を活用した細かな観察を行われています。4D超音波装置Voluson P8は、胎児心エコーの精度が高く、微細な異常を早期にとらえることが可能だといいます。
エコーダイアリーサービスは超音波画像をオンラインで共有できるため、自宅でも画像を確認できます。これにより赤ちゃんの成長を簡単に共有でき、父親の育児参加を促すきっかけにもなるでしょう。

産婦人科医と内科医が協力して女性の健康をトータルサポート

茅場町いとう医院では、産婦人科医と総合内科医や助産師、管理栄養士、鍼灸師が連携し、妊娠合併症と生活習慣病を同時に管理できる体制を整えています。

いつでも気軽に受診できる産婦人科をモットーに、思春期から高齢期まで、すべてのライフステージに対応できるかかりつけ医を目指しているクリニックです。
地域の先生方や保健所、行政機関と密接に連絡を行い、近隣の大学病院や総合病院とも病診連携を積極的に行っているため、詳細な医療情報のもとであらゆる健康サポートを行うことができます。病気の予防から早期発見、食生活、運動、メンタルケアなど、幅広いヘルスケアに対応しているといいます。

産科セミオープンシステムに対応した地域連携に強いクリニック

茅場町いとう医院
セミオープンシステムとは、妊婦健診は自宅や職場の通いやすいクリニックで受け、出産は医療設備の整った連携病院で行う制度のことです。妊産婦さんの利便性と安全性を保ちながら、それぞれの医療機関の特性を活かした対応を行うことが可能だそうです。

茅場町いとう医院は提携病院の参加セミオープンシステムを案内し、里帰り出産を希望する妊婦さんには、「里帰りセミオープン」の登録をお勧めしているそうです。東京大学医学部附属病院や愛育病院などの提携施設とも迅速に連携しています。

ほかにも、産婦人科と連携している茅場町女性鍼灸院では妊娠中の腰痛や体調不良に対する施術を提供していたり、各種専門スタッフによる産後の母乳相談や栄養相談を行うなど、妊娠中のケアや産後サポートも充実しています。妊娠期から産後まで、切れ目のない継続的なサポートが受けられるため、初めての妊娠でも不安が少なく過ごせるのではないでしょうか。

茅場町いとう医院の基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数

東京メトロ日比谷線・東西線 茅場町駅4b出口 徒歩1分

東京都中央区日本橋茅場町1丁目13-15 新居ビル3階

診療時間
9:00~14:00
15:30~19:00

★:15:30~20:00

【費用】(妊婦健診は非課税です)
 東京都中央区の助成券を使用した場合の自己負担額の一例
 妊娠確認(妊婦健診ではないため助成券はありません)
 初回妊婦健診(採血、がん検診含む)
 妊娠13週以降の基本健診
 中期検査時の妊婦健診(糖負荷試験含む)
 ※使用される助成券によっても異なります。
【健診期間】
 34週頃まで検査可(分娩先の転院指示の時期による)
【健診頻度】
 妊娠初期(妊娠判定から妊娠11週頃まで)は1~2週間に1回
 妊娠12週から妊娠23週までは4週間に1回
 妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回

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