白内障になりやすい人の特徴とは?初期症状と対策方法も紹介します
加齢によって私たちの体には様々な現象が起こります。その中の1つが「白内障」です。
白内障は加齢に伴い、目の水晶体が変性し濁ってくることにより起こる現象です。
視力が低下したり、光がまぶしく感じたりと、自覚症状を伴う場合もありますが、自分が気づかないうちに進行している場合もあります。
白内障は進行すると治療が困難になる場合もあるため、早期発見、早期治療が大切です。
この記事では、白内障になりやすい人の特徴や初期症状、対策方法について解説します。
白内障の症状や対策方法を知ることで、白内障の進行を遅くしたり症状の悪化を予防したりすることができます。
白内障について気になる方は最後までご覧ください。
監修医師:
柳 靖雄(医師)
目次 -INDEX-
白内障とは
白内障とは、目の水晶体が混濁し、視界不良や視力低下を伴った状態のことをいいます。水晶体の中のたんぱく質の異常により、本来透き通っている水晶体が濁る現象です。
原因としては、先天性・外傷性・アトピーなどのアレルギー性・薬剤性・放射線・糖尿病・その他の目の疾患などが挙げられます。
主に加齢が原因で、早い人では40代から発症します。80歳代では100%の人が発症するとされており、誰でも発症する可能性があります。
白内障の人の70%は老人性白内障だともいわれているのです。
白内障を放置すると、失明したり他の目の疾患を併発したりと、日常生活に支障をきたす可能性があります。
また重度の白内障の場合、手術による治療も困難となる場合もあるため、早めの対応が大切になってきます。
白内障になりやすい人の特徴
誰でも加齢に伴い発症する可能性がある白内障ですが、白内障になりやすい人の特徴はあるのでしょうか。
ここでは、白内障になりやすい人の特徴6つについて解説していきます。
- 高齢者
- 家族が先天性白内障を患っている
- 喫煙者
- 長時間日光にさらされている
- アルコール摂取量が多い
- 持病がある
高齢者
前述したように、白内障の主な原因は加齢によるものです。80歳以上では100%の人が白内障になるといわれており、誰にでも発症する疾患です。
水晶体はたんぱく質でできており、本来は透明で柔軟性があり、厚みを変えることでピンと調整しています。
加齢により代謝が衰えてくると、そのたんぱく質は硬くなり徐々に白く濁っていきます。
光を通しにくくなることでピントが合わせづらくなり、視力が低下したり、光がまぶしく感じたり、物が二重に見えたりといった症状が出るのです。
家族が先天性白内障を患っている
先天性白内障とは、生後早期に水晶体が濁る疾患です。原因は、常染色体優位遺伝や染色体異常によるものと考えられています。
子どもは親のどちらかの遺伝子を受け継ぎます。
受け継ぐ可能性は50%とされており、両親のどちらかが白内障になる遺伝子を持っていると受け継いだ遺伝形質を発現するというものが、常染色体優位遺伝です。
また、染色体異常は、遺伝子の突然変異によって異常な染色体が受け継がれてしまうというものです。約1万人に3人の確率で発症するといわれています。
目に濁りがある場合は、生後早期に受診し治療することが必要です。
症状として、眼振(目の揺れ)や斜視(片眼の視線がずれる)が見られます。放置することで弱視になり、治療が困難となるため早めの対応が求められます。
喫煙者
タバコには、人間の体に有害なニコチンやタールが含まれています。これらの成分は人体に入ると酸化作用をもたらし、水晶体のたんぱく質であるクリスタリンを硬化させます。
白内障の中でも喫煙者がなりやすいのは、核硬化白内障や皮質白内障です。
喫煙量が多くなったり喫煙期間が長くなったりするほど、白内障になる確率が高くなります。
非喫煙者に比べると、喫煙者の白内障になる確率は約3倍になるともいわれています。
長時間日光にさらされる
私たちは365日、紫外線にさらされながら生きています。日常生活上、全く日光に当たらずに生活することは無理ですし、紫外線に当たることで私たちの体の中で作られる物質もあるため、完全に避けることは難しいです。
しかし、長時間日光や紫外線に当たることは、水晶体の活性酵素を活発化させ、たんぱく質が硬化し白内障になる原因となります。
晴れていない曇りの日であっても、紫外線は常に降り注いでいるため注意が必要です。
特に外で働くことが多い人やマリンスポーツなどで海にいることが多い人などは、白内障になりやすいといえるでしょう。
アルコール摂取量が多い
アルコール摂取量の一日あたりの適量は20g程度とされています。
しかし、過度にアルコールを摂取することは、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めることになるのです。
糖尿病になると血糖値が上がり、糖の一種が水晶体に蓄積され濁りが出てきます。これを糖尿病性白内障といいます。
20代~30代の若年層で発症する場合も多く、老人性白内障に比べると進行が早いことも特徴です。
持病がある
白内障になりやすい持病として挙げられるのが、糖尿病とアトピー性皮膚炎です。
前述しましたが、糖尿病を発症していると糖尿病性白内障になる可能性が高まります。
アトピー性皮膚炎の人は、かゆみにより目をこすったり叩いたりすることで、水晶体に傷がつき濁り白内障を引き起こします。
若年層で白内障が発症する主な原因の1つです。
白内障の初期症状
白内障になるとどのような症状が出るのか、心配な人も多いのではないでしょうか。
白内障の初期症状には以下の4つがあります。
- 視力の低下
- 光がまぶしい
- 目がかすむ
- 物が二重に見える
各症状について解説していきます。
視力の低下
白内障の初期に自覚症状として感じることが多いのが、視力の低下です。水晶体が濁ることで、正常に光が網膜に届かなくなることで視力が低下するのです。
突然見えにくくなったり、徐々に見えにくくなったりと症状の出現には個人差があります。
眼鏡やコンタクトレンズの度数が頻繁に変わったり、夜間など暗い環境での視力低下を感じたりすることが増えた場合は、白内障になっている可能性があります。
光がまぶしく感じる
白内障が進行すると光に敏感になり、日中の光や夜の車のヘッドライトなどの明るい光がまぶしく感じるという症状がみられます。
白内障により網膜に光が届かず、光が乱反射することで届く光の位置が乱れるため、まぶしいと感じるのです。
目がかすむ
白内障は水晶体が濁ることで起きます。カメラのレンズで例えると、レンズに指紋などの汚れがついて見えにくくなる現象と同じことが目で起きているのです。
そのため、もやもやと周りがかすんで見えるのです。
白内障が進行すると、水晶体の色が黄色く変色してくることがあります。そのような状態になると、視覚が全体的に黄色を帯び色がくすんで見えたりします。
物が二重に見える
物が二重に見える症状も、白内障の初期症状の1つです。
水晶体が硬くなることで目のピントが合わず、網膜に見たものが二重に映ってしまうため、二重や多重に見えることもあります。
老眼鏡を変えても見えづらいという場合は、白内障になっていることでピント調整ができていない可能性があります。
白内障の予防方法
誰でも発症する可能性がある白内障ですが、発症や進行を遅らせる方法はあるのでしょうか。
ここでは、白内障の予防方法として次の5つをご紹介します。
- 紫外線対策
- 禁煙
- 飲酒量の調整
- 食生活の改善
- 適度に運動する
白内障の発症や進行を遅らせることで、快適な生活を長く続けられます。
紫外線対策
白内障の対策として特に大切なのが、紫外線から目を守ることです。
紫外線を浴び続けることで水晶体はダメージを受け、白内障になりやすくなります。
私たちは365日、常に紫外線を浴びています。完全に紫外線を遮断することは困難ですし、体内のホルモンの生成などには適度な紫外線を浴びることが必要です。
しかし、過度な紫外線の吸収は水晶体へのダメージを大きくし、白内障のリスクを高めることにつながります。
UVカット加工されたサングラスを普段から利用することで、浴びる紫外線の量を減らすことができ、白内障のリスクから目を守れます。
禁煙
喫煙による人体への酸化ストレスを減らすことが、白内障を予防するために効果的です。
喫煙することで、ニコチンやタールなどの酸化を促進する物質が体に入ってきます。それにより、酸化ストレスを人体は受けることになります。酸化ストレスとは、酸化反応により人体に起こる有害な作用です。
酸化ストレスを受けることで、水晶体のたんぱく質が変性し白内障を引き起こすことになります。
禁煙すると酸化ストレスを軽減でき、白内障になるリスクを下げることにつながります。
飲酒量の調節
飲酒が直接的に白内障に影響を与えるというわけではありませんが、過度の飲酒により合併症を発症することで、白内障になるリスクが高まります。
その生活習慣病の1つが糖尿病です。
糖尿病になると、血糖値のコントロールが不良となり、水晶体にソルビドールという糖の一種が蓄積されていきます。その結果、糖尿病性白内障を発症するのです。
糖尿病があると老人性白内障の進行も早いというデータもあることから、飲酒量を調整し過剰摂取にならないよう注意することが大切です。
食生活の改善
食生活の乱れにより生活習慣病を発症することが原因で起こる白内障は、若年層で多くみられます。
喫煙・糖尿病・AGEsを含む食品の過剰摂取により、白内障になりやすいとされています。
AGEsとは、スナック菓子やコーラなどに多く含まれている酸化作用のある成分です。
1日3食バランスの良い食生活を心がけ、ビタミンCなど抗酸化作用のある食品を摂取することで、生活習慣病の予防にもなり白内障の発症も遅らせることにつながります。
適度に運動する
適度な運動を日常生活に取り入れることで、生活習慣病の予防につながります。
前述しましたが、生活習慣病を予防することは、白内障の予防にも効果が期待できます。
運動することは、ストレスを改善する効果やBMI値を正常に保つことにもつながるため、生活習慣病のリスクを軽減するために積極的に取り入れていきましょう。
白内障が悪化するとどうなる?
白内障は進行していく疾患で、放置していると悪化していき、失明したり他の目の疾患を併発したりします。
白内障による失明率は低いのですが、白内障であるという自覚がなく放置していた場合、適切な時期に適切な治療が受けられず、失明してしまうというケースがあります。
また、手術が怖くてなかなか病院に行けず、症状が悪化してしまうケースもあるのです。
白内障が重症化してしまうと手術が困難となり、手術を行っても後遺症が残る可能性があります。
水晶体が真っ白になるくらい進行している場合は、徐々に水晶体が溶け出し強い炎症を引き起こす、水晶体融解性ブドウ膜炎という疾患を併発することもあります。
激しい痛みや充血を伴い、時間が経過すると重症化するため、緊急手術が必要です。手術をしても、視力が下がる・まぶしい・混濁が残るなど後遺症が出ることもあります。
もう1つ併発する疾患として挙げられるのが、急性緑内障発作です。
これは、白内障が進行してくると水晶体が徐々に膨らんでいき、目の中にある房水が行き場を失うことで眼圧が高まり、目の後ろの神経が圧迫されることで起こります。
そして頭痛・眼痛・吐き気などの症状がみられるかもしれません。
治療として緊急手術を行うことになりますが、視野の一部が欠けてしまう視野欠損などの後遺症が出てしまい、一生涯継続した治療や検査が必要となります。
白内障の治療には早期発見が大切
白内障は加齢と共に、誰にでもなりえる疾患です。徐々に症状が現れる場合が多いため、自覚症状がないまま進行し、気付いたころには重症化しているというケースもあります。
白内障は手術によって治る疾患です。水晶体が柔らかいうちに手術をするのは容易ですが、進行し硬くひどく濁ってしまった白内障の手術は、困難を極めます。
硬くなった水晶体を切開することで、中の乳白色の内容物が流出すると術野の視野が悪くなります。
光の反射を頼りに白内障の手術は行われますが、混濁が強い場合は水晶体から網膜までの距離が正確に図れず、適切な眼内レンズを選択することも困難となるのです。
また、手術中のトラブルも起きやすいというリスクも高まります。
早期に発見できれば、進行を抑える治療ができたり、適切なタイミングで手術を検討できたりと白内障を治すための手段の選択肢を広げられます。
自覚症状がない場合も、50歳を過ぎたころからは定期的な受診や検診を受けることが大切です。
また、視力が下がった・視野がぼやける・光がまぶしく感じるといった、初期症状を感じたら迷わずに受診するようにしましょう。
編集部まとめ
白内障は加齢に伴い目の水晶体が混濁し視野が狭くなる疾患です。80歳代では100%の人が発症するといわれています。
目の疾患であるため、治らないのではないかと心配される人も多いかと思います。また、手術が怖く、症状があるのになかなか受診できずにいる人も少なくないはずです。
白内障は早期に発見し対応できれば、点眼薬で進行を抑えたり、手術で眼内レンズを挿入したりすることで治療が可能な疾患です。
その逆に、放置してしまうことで悪化し手術が困難になり、術後には後遺症が残る可能性も高くなります。
自覚症状がない場合でも、白内障が進行している場合もあります。白内障が重症化する前に、定期的な受診・検診が大切です。
人生100年時代といわれています。自分の目で健康に過ごせるよう、今からできることに取り組んでみましょう。