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更年期は何歳から?更年期障害の症状や原因について解説!

 公開日:2024/04/12
更年期は何歳から?更年期障害の症状や原因について解説!

更年期障害。身近に困っている人がいたり、「そろそろ自分も……?」と感じていたり、人によって認識はさまざまでしょう。しかし共通して言えることは、すべての女性にとって避けては通れない問題である、ということです。当記事では、更年期障害が何歳から起こり始めるのか、またその原因や、症状を軽くするための対処法などについて解説します。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

更年期障害の症状

更年期障害の症状

ここでは、多くの女性が苦しむ更年期障害について、主な症状を説明します。

不安感

更年期の症状としてよく出るものの一つに、「不安感」があります。特別な理由もなく落ち込み気持ちが暗くなったり、以前までの興味や感心が薄れるといった症状があらわれます。

これらの症状の背後には、女性ホルモンのバランスが乱れることが主な原因として挙げられます。

女性ホルモンは、卵巣から分泌されるものですが、この分泌は脳の視床下部からの指令によってコントロールされています。しかし、年齢とともに卵巣の機能が減少すると、脳から「ホルモンを分泌せよ」との指令が出ても、卵巣が適切に反応しなくなります。

この不調和が、自立神経の乱れなどを引き起こす原因となるのです。

また更年期は、女性にとって大きくライフサイクルが変わる時期でもあります。例えば子どもの成長や独立、結婚などによって、「母親」としての役目が変わる時期とも重なります。その結果、多くの女性は役割の変化や子どもたちの独立を喪失感としてとらえ、気持ちが落ち込みやすくなるのです。

さらに、夫の定年退職による家計の変動や、それまで避けてきた夫婦間の問題への直面、親の高齢化に伴う介護の負担なども、この時期に立て続けに生じる問題です。

内在化していたストレスや心身にかかる負担がホルモンバランスの乱れと合わさり、心身の不調としてあらわれるのは自然なことだと言えるでしょう。

結果として、更年期は喪失感や多くのストレスを感じる時期となり、これが抑うつや不安を引き起こす原因となります。

ほてり・のぼせ

ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)は、更年期の女性が経験する典型的な症状です。

「顔が熱い」「首から上が熱くてぼうっとする」といった症状が起こる一方、「背中がぞくぞくとして冷えてくる」こともあります。また、顔は熱いのに足元が冷たいと感じる「冷えのぼせ」という症状もあります。

これらの症状は自律神経の不調に起因しており、更年期以外でもストレス、不安症などの問題によりあらわれることが知られています。

自律神経は私たちの体の中で非常に重要な役割を果たしています。それは、呼吸や心拍、血流、血管の動き、臓器の機能など、日常の生活において意識せずとも自動的に調整される機能をコントロールしているからです。

女性ホルモンの乱れが自立神経の不調を引き起こすことは、前でも触れた通りです。こうしたさまざまな要因が絡み合い、更年期障害にはほてりやのぼせといった症状が起こります。

泌尿器・生殖器系の症状

更年期に入ると、多くの女性が泌尿器や生殖器に関連する症状を経験します。その中でも、「トイレが近くなる」「尿が漏れる」という症状は多くの女性に見られます。

原因として、女性ホルモンの分泌の減少や骨盤底筋の衰えが考えられます。

こうした症状は日常生活において非常に支障をきたすものでありつつ、デリケートな問題だけに他人に相談することを躊躇ってしまう人も多いです。しかし、これは更年期における自然な体の変化の一つであり、決して恥ずかしいことではありません。

肩こり・腰痛・背中の痛み

肩こりや腰痛、背中の痛みは日常的に起こる症状ですが、更年期障害の症状の一つでもあります。とくに中高年の女性が多く発症すると言われています。

肩こりは、肩や首の筋肉が緊張して血行が悪くなり、緊張した筋肉内に、疲労物質である乳酸がたまることで起こります。人間の体は頭部を首で支える構造になっているため、その重みを支えるために首と肩に負担がかかるのです。

腰痛に関しても、腰部の筋肉や骨に過度な負担がかかることで、血行が悪くなったり、乳酸がたまったりして痛みが生じます。また、体に負担をかける姿勢や筋力の低下により、骨格がゆがみ、神経を圧迫することが原因として挙げられます。

さらに、女性は男性に比べて筋肉の量が少なく、とくに肩や腰を支える筋肉が弱いため、症状が出やすいのです。加齢に伴う筋骨格の老化や、更年期特有のホルモンバランスの変化、さらに日常のストレスなどが複合的に作用し、更年期以降の女性においては、肩こりや腰痛の症状が増えるとされています。

更年期障害の原因を確認

更年期障害の原因を確認

更年期障害が起こる大きな要因の一つに、女性ホルモンの減少が挙げられます。このホルモンの減少は、加齢とともに変化する月経のサイクルと深く結びついています。ここでは、その月経の仕組みについて学んでおきましょう。

月経の仕組み

女性の月経周期は、卵胞期、排卵期、黄体期と大きく3つに分けられています。それぞれの特徴についてまとめました。

・卵胞期
卵胞期は約28日のサイクルで脳下垂体からホルモンが分泌され、卵巣に存在する卵胞が成熟する期間です。これは、卵胞が排卵へと進むための準備段階です。

・排卵期
卵胞が十分に成熟すると、エストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンが大量に分泌され、子宮内膜が厚くなります。エストロゲンの分泌が最高潮に達すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、卵胞を刺激して卵子を放出させます。これが排卵と呼ばれる現象です。

・黄体期
排卵後、卵胞は黄体と呼ばれる別の組織に変化し、プロゲステロンを分泌します。プロゲステロンは子宮内膜をベッドのように変え、受精卵を受け入れやすい状態にして受精を待ちます。

・月経
卵子が受精されなかった場合、黄体は徐々に退縮します。これに伴い、プロゲステロンの分泌は減少。子宮内膜は血液と共に体外へ排出されます。これが月経です。

更年期には、この月経のサイクルやそれに関連するホルモンの分泌パターンが変化するため、さまざまな症状が現れるのです。

エストロゲンとプロゲステロン

ここでは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンについて詳しく解説します。

・エストロゲン
エストロゲンは、女性の身体や外見に大きな影響を与えるホルモンです。女性らしいまるみのある体をつくったり、肌を美しく保つ作用を持っています。

分泌量は毎月変動しながら、10代の思春期から20代にとくに分泌量が増えます。しかし加齢とともに徐々に減少し、更年期になるとこの減少が顕著になります。これにより、さまざまな体の変化や不調があらわれるのです。

・プロゲステロン
プロゲステロンは、女性の妊娠をサポートするためのホルモンです。排卵後にプロゲステロンの分泌が活発になり、受精卵が子宮内膜に着床しやすくなるような環境を整えます。

妊娠しなかった場合、プロゲステロンの分泌量は減少し、妊娠のために厚くなっていた子宮内膜がはがれ、月経が始まるのです。

女性と関わりの深いホルモン

上で触れたエストロゲンとプロゲステロンは、女性の生殖機能や体の健康を維持するための重要な役割を持っています。女性ホルモンは、排卵や月経のリズムを調整し、妊娠や出産をサポートするものです。

さらにこれらのホルモンは、女性の骨密度を保つことや、皮膚のハリや潤いを維持することにも関与しています。このようにして女性ホルモンは、美しさや健康を守っているのです。

さらに女性の身体には、他にも重要なホルモンがあります。例えば、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)など。これらは女性の卵巣の働きや月経サイクルに深く関わっています。

更年期や閉経は何歳から症状が出るのか

更年期や閉経は何歳から症状が出るのか

更年期障害が起こる年齢について解説します。

閉経とは

閉経とは、女性の月経が完全に停止した状態のことです。月経の周期や量の変化から、閉経が近いことを予測することは可能ですが、正確な時期を知る方法はありません。

更年期になると、女性の卵巣機能は低下し始めます。これは、卵巣がエストロゲンを充分に分泌できなくなるためです。

胎児期に数百万個もあった原始卵胞も、更年期を迎える頃にはその数は大幅に減少。その結果、月経周期が不規則になったり、排卵しない月経である「無排卵月経」が増加します。

そして最終的には、月経は完全に停止します。一般的に、月経が1年以上来ない状態が続くと、閉経と診断されることが多いです。

一般的な閉経の平均年齢は

日本の女性の閉経平均年齢は約50歳とされています。もちろん、これは一般的な平均値であり、個人差は非常に大きいです。例えば、40代前半で閉経を迎える人もいれば、60歳近くまで月経が続く人もいます。

閉経の時期に関しては、予測が難しいのが現状です。しかし、月経の周期が不規則になる、無排卵の月経が増加するなどの体のサインから、閉経が近づいていることを感じ取れる場合もあります。

更年期や閉経は何歳から?閉経が早い人の特徴

閉経の時期に個人差があることはお伝えしました。ここでは、とくに閉経が早く来る人の特徴を紹介します。

閉経の早い人の特徴

閉経の時期は、大まかに40代から50代後半にかけてとされています。その中でも早めに閉経を迎える人とそうでない人、最大で20年近くの差が生まれるわけです。

一般的に、早く閉経を迎えやすい人には以下のような特徴があるとされています。

・喫煙習慣
タバコの成分「ニコチン」は、女性ホルモンの働きを阻害し、卵巣の機能を低下させます。この影響で、喫煙者は非喫煙者に比べて、閉経の時期が早まると考えられています。

・子宮内膜症
子宮内膜症と関わる不妊を経験している女性は、早い段階で閉経を迎える傾向があるとされています。子宮内膜症とは、本来であれば子宮の内側にできる子宮内膜が、子宮の外側にできてしまう疾患です。

閉経が遅いことのメリット

最大で20年もの開きがある閉経の時期。閉経が遅く来ることのメリットとは何でしょうか。

閉経後、女性の体はエストロゲンの分泌量が大きく減少します。このエストロゲンの欠乏によって、さまざまな身体的・精神的な症状を引き起こします。

主な影響としては、以下のようなものがあります。
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・膣炎や性交痛
・尿失禁
・心臓疾患(動脈硬化、高血圧、狭心症など)
・骨量の低下や関節痛
・美容上の悩み(肌のシワやたるみ、抜け毛など)

また、エストロゲンの低下と加齢の影響により、歯周病のリスクが増加します。実際、エストロゲンの変動が大きい思春期や妊娠期にも、歯周病のリスクが高まるとされています。

これらの症状やリスクを遅らせるという意味で、閉経の時期が遅いというのは一定のメリットがあると言えるでしょう。

更年期障害を予防する方法

更年期障害を予防する方法

更年期障害では、女性ホルモンの減少に伴ってさまざまな身体的・精神的な症状があらわれます。その予防や軽減のためには、ライフスタイルの改善や適切な生活習慣が大切です。

運動による対策

適切な運動習慣は、更年期の症状を軽減する上で非常に有効です。とくに、有酸素運動は心肺機能を高め、ストレスや不安を和らげる効果が期待されます。

例えば、「自転車エルゴメーター」や「ウォーキング」、「水中歩行」などの運動によって、更年期障害の重症度が運動前よりも明らかに下がったと報告されています。

食事による対策

更年期には、エネルギー、脂質、骨の代謝が大きく変化し、栄養の偏りが起こりやすく、体のバランスを崩しやすくなります。

更年期の女性におすすめしたい食事や食生活のポイントは、やはり「バランスのよい食事」です。特定の食材やサプリメントだけに頼るのではなく、多様な栄養素を摂取することが、心身の健康を維持するためには重要です。

とくに意識して摂取したい食材と栄養素は、以下の通りです。

・カルシウム:骨密度の低下を防ぐ。乳製品、小魚、緑黄色野菜など
・たんぱく質:筋肉量の維持のため。魚、鶏肉、大豆製品など
・オメガ3脂肪酸:アンチエイジング効果や脳の健康に役立つ成分。青魚やクルミ、亜麻仁油など
・食物繊維:便秘解消や腸の健康のため、野菜、果物、全粒粉のパンなど

香りによる対策

香りは私たちの心身に直接的な影響を及ぼすことがわかっています。とくにアロマテラピーでは、天然の精油が持つ成分が体や心に良い効果をもたらすと言われています。

中でも「ローズ」「ゼラニウム」「クラリセージ」「ローズマリー」などの精油は、更年期の女性におすすめです。

サプリメントや漢方による対策

食事から栄養を摂取することは大切です。しかし、複数の栄養素をすべて食事から賄うのはむずかしいと感じることもあるでしょう。サプリメントをうまく利用することで、手軽に幅広く栄養を取り入れることができます。

女性ホルモンの働きを助ける成分にはいくつかの種類があります。代表的なものを挙げると、「大豆(イソフラボン)」があります。

大豆とその成分であるイソフラボンは、食品やサプリメントの形で更年期の症状緩和のためにこれまでも多く利用されてきました。これは大豆が高濃度のフィトエストロゲン(ダイゼインやゲニステイン)を含んでおり、エストロゲンに近い作用が期待されるためです。

更年期症状についての改善は限定的ですが、心血管系には良い影響を与え、骨代謝の向上も報告されています。

まとめ

まとめ

女性であれば大なり小なり悩まされると言われる更年期障害。症状があらわれるタイミングは個人差が大きく、40代前半から50代後半までと、最大で20年近くの開きがあることがわかりました。

ホルモンバランスの乱れが影響しているため、避けては通れない道です。しかし、症状を抑えるための対策はさまざまあります。バランスの良い食事や適度な運動など、自分に合った方法をぜひ見つけてください。

「更年期だから」とふさぎ込むことなく、うまく付き合っていけるように工夫することで、精神的な負担も軽くなるはず。結果的に、それが更年期障害の症状自体も軽減してくれるかもしれません。

この記事の監修医師