更年期障害と生理の関係は?生理周期の変化・原因・対処法を解説します
もしかしたら、最近「特に理由もなくイライラすることが増えてきた」や「冬なのに汗が止まらない」といった身体の変化を感じていませんか。
それは、もしかしたら更年期障害のサインかもしれません。40代に差しかかかった女性は、更年期障害について心配や関心を抱くことがあります。
この記事では、更年期障害と生理の関係・生理周期の変化・原因・対処法について詳しく解説していきます。
更年期障害について理解することで、心理的な負担を軽減しましょう。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
更年期障害とは
更年期障害とはどのようなものでしょうか。下記の症状・原因・年齢についてまとめました。
- 更年期障害の主な症状
- 更年期障害が起こる原因
- 更年期障害が起こり始める年齢
上記について詳しく解説しましょう。
更年期障害の主な症状
更年期障害には身体的な症状と精神的な症状があります。
身体的な症状には、ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・めまい・動悸・胸の圧迫感・頭痛・疲れやすさなどがあります。これらの症状は個人差がありますが、更年期障害によるホルモンの変動が関与しているのです。
精神的な症状には、気分の落ち込み・憂鬱感・意欲の低下・イライラや怒りっぽさ・情緒の不安定さ・不眠や睡眠障害などがあります。これらの症状はホルモンの変化や神経系の影響によって引き起こされるのです。
更年期障害の症状は個人によって異なるため、自己判断せずに病院で適切な診断を受けることが重要です。
症状が日常生活に大きな影響を及ぼす場合は、医師に相談して適切な対策や治療方法を検討しましょう。
更年期障害が起こる原因
更年期障害の原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの低下が関与しています。エストロゲンは身体全体の健康に重要な役割を果たし、女性の身体に影響を与えるのです。
女性ホルモンは脳から分泌されるホルモンによって調節され、卵巣からの分泌が促されます。更年期障害の症状は、ホルモンのバランスの変化によって引き起こされるのです。
女性ホルモンの濃度が低下すると、卵巣からの分泌も減少し、更年期障害の症状が現れる可能性が高まります。
更年期障害が起こり始める年齢
更年期障害の始まる年齢は個人差がありますが、一般的には40代後半から50代にかけての女性に多く見られます。
更年期障害は閉経前後の約5年間を含む期間で発症することが一般的です。しかし、更年期障害の症状は個人によって異なるため、早く現れる場合もあります。
30代後半から始まることもあり、一部の女性では更年期障害が60代まで続くこともあります。
もし最近身体や心に変化を感じている場合は、更年期障害の可能性も考慮に入れてみるとよいでしょう。
更年期障害と生理の関係
更年期障害と生理の関係は、更年期障害の進行に伴って生理周期に変化が現れます。更年期障害は、女性が中年期から後期にかけて経験する身体的および精神的な変化を指しますが、そのなかで生理周期にも変化が現れるでしょう。
更年期障害による生理周期の変化には、生理周期が不規則になる・月経量や出血期間の変化・生理前の症状の増加などが報告されています。
更年期障害と生理の関係については、自身の身体の変化を注意深く観察し、症状の変化や不安定な生理周期について医師に相談することが重要です。
更年期における生理の変化
更年期における生理の変化には下記のような変化があげられます。
- 生理周期が不規則になる
- 経血量が増減する
- 閉経する
- 不正出血が起こる
- おりものの量が変わる
上記について詳しく解説しましょう。
生理周期が不規則になる
更年期障害の一つの症状として、生理周期の不規則さが現れます。更年期には卵巣機能の低下により、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が減少します。
このホルモンの変動が生理周期に影響を与え、不規則な生理周期を引き起こすのです。不規則な生理周期は、生理の頻度や量に変動が現れることを指します。
周期が一定ではなく、短くなったり長くなったり、ときには一度も生理が訪れないこともあります。また、月経量や出血期間も変化するでしょう。
これらの不規則な生理周期は、更年期障害に伴うホルモンの変動によるものです。卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少することで、生理周期の調節が乱れ、不規則な周期が生じるのです。
経血量が増減する
更年期障害において、経血量の増減が見られるでしょう。経血量とは、月経時に排出される血液の量を指します。
更年期において、卵巣の機能の低下により女性ホルモンの分泌が減少します。このホルモンの変動が、経血量にも影響を及ぼす可能性があるのです。
一部の女性では、更年期障害の進行に伴って経血量が減少します。月経の日数や出血量が少なくなるため、生理用品の使用量も減るでしょう。
一方で、ほかの女性では経血量が増加する可能性もあります。不規則な生理周期やホルモンの変動によって、月経の日数が長くなったり出血量が増えたりするのです。
閉経する
閉経は更年期障害の一部として起こる現象であり、女性の生殖機能の終了を意味します。更年期障害の進行によって、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少するのです。
閉経は、最後の自然月経から1年以上経過し、再び生理が訪れない状態とされます。一般的に、50歳前後の女性が閉経を迎えることが多いですが、個人によって異なるでしょう。
閉経の前段階である閉経前期では、生理周期が不規則になったり、経血量が増減する可能性があります。
閉経後、女性ホルモンの分泌がほとんどなくなり、更年期障害の症状が軽減されることが一般的です。
不正出血が起こる
不正出血が起こるのは更年期障害によるホルモンの変動が、子宮内膜の正常な成長と剥離を乱すことが原因とされています。卵巣機能の低下により、エストロゲンやプロゲステロンの分泌量が不安定になり、子宮内膜が厚くなって剝がれるという月経の周期が乱れて月経不順となります。
不正出血は、生理周期の不規則さや経血量の増減とともに現れることがあります。出血の程度や期間は個人によって異なり、少量の出血から重い出血までさまざまな症状が現れるでしょう。
おりものの量が変わる
更年期障害の症状の一つとして、おりものの量が変化する可能性があります。おりものとは、膣から排出される分泌物のことです。
更年期障害によるホルモンの変動が、膣や子宮頸部の粘膜に影響を及ぼすことで、おりものの量や症状に変化が現れる可能性があります。
一部の女性では、更年期障害の進行に伴いおりものの量が増加することがあるでしょう。これは、エストロゲンの減少によって膣の粘膜が乾燥し、粘膜を保護するためにおりものの分泌が増えるためです。
一方で、ほかの女性ではおりものの量が減少することもあります。ホルモンの変動によって膣の粘膜が薄くなり、おりものの分泌量の減少が考えられるのです。
おりものの量や症状の変化は個人差があり、更年期障害の症状の一部として起こります。ただし、異常な臭い・かゆみ・炎症などが伴う場合は、医師に相談することが重要です。
医師は症状を評価し、適切な検査や評価を行い、異常がないか確認します。適切なケアや対策を提案してくれるでしょう。
更年期障害によるおりものの量の変化は一時的なものであり、更年期の進行に伴って自然と調整されます。
ただし、気になる症状がある場合には、医師の専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
更年期における月経異常の原因
更年期における月経異常の原因は、主に女性ホルモンの変動によるものです。以下に詳細を示します。
- ホルモンバランスの乱れ
- 特定の疾患が原因の可能性もある
上記について詳しく解説しましょう。
ホルモンバランスの乱れ
更年期における月経異常の主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。更年期障害による卵巣機能の低下により、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少し、そのバランスが乱れます。
エストロゲンとプロゲステロンは、生理周期を調節し、子宮内膜の成長と剥離を制御します。更年期のホルモンの変動により、生理周期の調節機構が乱れ、月経に関連した異常が生じるのです。
ホルモンバランスの乱れによる月経異常は一時的なものであり、更年期の進行に伴って自然と調整されることもありますが、医師の指導を受けることで適切な対策を取りましょう。
特定の疾患が原因の可能性もある
月経異常の原因として特定の疾患が関与する可能性もあります。更年期障害だけでなく、以下のような疾患が月経異常を引き起こす原因となるでしょう。
- 子宮筋腫:子宮内にできる良性の腫瘍であり、月経量の増加や長期間の出血を引き起こす
- 卵巣の機能性嚢腫:卵巣にできる液体の塊であり、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、月経異常をもたらす
- 子宮内膜症:子宮内膜が子宮外に生える病態であり、生理痛や不正出血などの月経異常を引き起こす
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):卵巣に多数の小さな嚢胞ができる疾患であり、月経不順や経血量の増加、無排卵などの症状を伴う
これらの疾患は月経異常を引き起こす原因となることがありますが、更年期障害との症状の鑑別が重要です。
月経異常が継続し、特に異常な出血や痛みを伴う場合には、医師に相談しましょう。
医師は症状と病歴に基づき、必要な検査や画像検査を行って、特定の疾患の有無を確認します。適切な診断を受けることで、月経異常の原因を特定し、適切な治療やケアを提供してくれるでしょう。
更年期における月経異常の対処法
更年期における月経異常の対処法を以下にまとめました。
- 基礎体温を測る
- 生活習慣を見直す
- ストレスに気をつける
上記について詳しく解説しましょう。
基礎体温を測る
基礎体温を測ることは、月経異常や更年期の状態を把握するうえで有用な方法の一つです。基礎体温とは、体が休息状態にあるときの最低体温のことを指します。
基礎体温の変化は、卵胞期と黄体期と呼ばれる月経周期の異なる段階によって生じます。卵胞期では体温が低く、排卵が起こり黄体期に入ると体温が上昇するのです。
月経異常や更年期の状態では、基礎体温のパターンに変化が現れることがあります。
基礎体温の測定によって、月経周期・排卵のタイミング・ホルモンバランスの変化などを把握できるでしょう。ただし、基礎体温だけで診断することはできず、ほかの症状や医師の診断と併用する必要があります。
基礎体温の測定は、月経異常や更年期に関心がある方にとって役立つツールです。測定結果を医師と共有し、適切な診断や治療方針を立てましょう。
生活習慣を見直す
生活習慣を見直すことは、月経異常や更年期の症状を軽減するうえで重要です。バランスの取れた食事を心がけましょう。
野菜・果物・穀物・良質なタンパク質・健康的な脂肪を含む食品を摂取し、栄養バランスを整えてください。また、食物繊維や水分の摂取にも注意し、腸の健康を保つことが大切です。
また、日常的な運動を取り入れることで、血液循環やホルモンバランスの調整を促進します。有酸素運動・ストレッチング・ウォーキングなど、自分に合った運動方法を選びましょう。
ストレスに気をつける
ストレスは月経異常や更年期の症状を悪化させる可能性があります。リラクゼーションやストレス軽減法を取り入れて、心身のリラックスを図ることが重要です。
ストレス軽減法には、瞑想、ヨガ、深呼吸などがおすすめです。また、十分な睡眠を確保し、質のよい睡眠を心がけましょう。
更年期には、子育ての終了や親の介護など、社会的な役割に変化が生じるでしょう。
これらの変化により、女性のストレスや負担が増加し、更年期障害の症状が悪化します。適切なサポートや社会的なネットワークの活用が、このような変化に対処するために重要です。
更年期障害を上手に乗り切るには知識が大切
更年期障害を上手に乗り切るためには、適切な知識を持つことが重要です。更年期障害は女性にとって自然な変化であり、身体や精神にさまざまな症状をもたらします。
適切な知識をえることで、症状の理解や適切な対処法の選択が可能となります。さらに、自己ケア・健康的な生活習慣の維持・サポートシステムの活用なども役立ちます。
更年期障害に関する知識を身につけ、自身の健康と幸福を優先することで、より積極的にこの新しい人生の段階を乗り越えましょう。
編集部まとめ
更年期障害と生理の関係について解説し、更年期障害の対処法・生理周期の変化・原因について詳しく説明しました。
更年期障害は女性にとって自然な変化であり、生理の周期や症状に影響を与えます。しかし、適切な知識と専門家のサポートをえることで、よりよいケアを受けられるでしょう。
早めの対応と病院受診は更年期症状の軽減につながります。ご自身の健康と幸福を優先し、積極的にサポートを受けましょう。
参考文献