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医療痩身と痩身エステはどう違う?医療痩身の代表的な療法やメリットを詳しく解説

 公開日:2023/12/18
メジャーを持つ男性

痩身」と聞くと痩身エステを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は、医療痩身といって医学的な治療として痩身が行われることがあるのです。

医療痩身痩身エステと何が違うのか気になる方も多いでしょう。医療痩身は医学的な治療として行い、痩身エステは美容目的の治療で行われます。

このように同じ痩身でも目的が異なるため、治療方法などが異なります。

そこで本記事では、医療痩身痩身エステの違い・代表的な医療痩身の治療方法などについて詳しく解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

医療痩身とは?

肥満に悩む男性
医療痩身は、医療によるダイエット方法の1つです。肥満症に対し、医師による医学的な治療を行います。
肥満症とは、BMI25以上かつ、内臓脂肪の蓄積・血圧・血糖値・血清脂質値のうち2つ以上が基準値から外れている状態です。
治療方法としては、内服療法・手術・脂肪吸引などがあります。医療痩身の利点は、短期間で特定の部位の脂肪を減らすことができるという点です。
しかし、医療事故や治療費のトラブルが多発している実態があります。

医療痩身と痩身エステはどう違う?

時計とメジャーと電卓
医療痩身痩身エステは、どちらもダイエットを目的としている点では相違ありません。両者の主な違いは、施術場所施術方法です。
医療痩身は医学的な治療を行うため、病院で行います。治療方法は多岐にわたり、内服療法・手術・脂肪吸引などです。
一方で痩身エステはエステティックサービスであるため、エステサロンで行います。治療方法はエステティシャンによるハンドマッサージに加え、健康商品やサプリメントを併用することが多いです。

施術を行う機関・資格の有無

医療痩身痩身エステは、施術を行う場所や資格の有無において違いがあります。
医療痩身は、医療機関で行われる痩身治療です。医療機関で行われる治療のため、治療を行うには医師や看護師などの資格が必要です。
痩身エステは、美容施設で行われる美容関連の施術です。一般的に、美容院やエステサロンで行われます。施術を行うためには、美容師やエステティシャンの資格が必要です。
医療痩身は主に肥満に対する治療として行われるのに対し、痩身エステは美容の観点から体重減少を目指す施術となります。

施術方法

医療痩身痩身エステは、施術方法においても違いがあります。
医療痩身は、医師などの医療従事者によって行われる医学的な治療方法です。治療方法としては、医師による健康診断・手術・内服療法などがあります。また、食事管理や運動療法として管理栄養士や理学療法士が介入することもあります。
一方、痩身エステは美容師やエステティシャンによって行われる美容関連の施術です。痩身エステでは、腹部や下半身などをマッサージして痩身効果を高めるハンドマッサージが主に行われます。マッサージに加え、健康食品やサプリメントを併用することもあります。

医療痩身の代表的な療法

体重家に乗る
医療痩身は一般的に肥満症の患者に対して行われる治療です。
肥満症の治療の基本は減量です。ただし減量が目的ではなく、内臓脂肪を減らして肥満によって起こる可能性のある病気を予防することが目的となります。
減量の治療は体重計測・腹囲計測・食事療法・運動療法・行動療法です。それでも減量が達成できない場合には、内服療法を導入したり手術を行ったりする場合があります。

食事・運動療法

ランニングをする女性
食事療法では管理栄養士の指導の下、食事の量や栄養バランスを配慮した食事制限を行います。具体的には以下の点に注意しましょう。

  • 1日3食規則正しく食べる
  • 食事の種類を見直す
  • 食事全体の量を減らす
  • 栄養バランスに注意する
  • 体重増加に繋がりやすい食品や食事の量を把握する

運動療法では理学療法士や健康運動指導士の下、適度な運動を行います。運動を行うことで脂肪が燃焼されたり、筋肉量が増加し活動量が増えたりすることで減量が期待できます。
これまで運動経験があまりない方はストレッチやヨガなど軽い運動から始めると良いでしょう。
食事療法、運動療法共に継続することが最も重要です。ですが、継続することが難しいともいわれています。ですので、自分の生活の中に無理なく取り入れていく工夫が必要です。

内服療法

内服療法は、運動療法や食事療法を行っても効果が不十分であった場合に薬剤を服用して治療する方法です。
内服療法は医師の判断によって検討されるため、単に痩せたいという理由だけでは内服療法の対象にはなりません。肥満症の中でもBMI35以上の高度肥満症の方にのみ、内服療法が検討されます。
内服療法には、食欲抑制薬・脂肪吸収抑制薬・代謝促進薬などがあり、日本では食欲抑制薬であるマジンドールが保険診療で使用できます。
薬の服用中は副作用に注意し、健康管理を行うことが重要です。

減量手術

手術器具
減量手術は、外科的に腹部を切除する治療方法です。
減量手術の対象は、6か月以上食事療法や運動療法を行ったにも関わらず改善がみられなかった、BMI35以上の高度肥満症に限られます。
減量手術を行うことで長期的に減量を維持でき、肥満によって起こる可能性のある病気を予防したり改善したりする効果が大きいといわれています。
保険診療で行える手術は腹腔鏡下スリーブ状胃切除術です。手術によって、食欲の抑制や消化吸収の抑制をもたらします。
ただし手術はリスクを伴うため、手術前にはリスクと利益を慎重に検討する必要があります。また、手術後には長期的なフォローアップが必要です。

食欲抑制注射・脂肪溶解注射

食欲抑制注射や脂肪溶解注射は、外科手術に抵抗があり手術を避けたい方に行われる治療方法の1つです。
食欲抑制注射は特定のホルモンや神経伝達物質を投与することで食欲を抑制し、減量効果が得られます。脂肪溶解注射は、脂肪細胞の分解や脂肪の代謝を促す効果が期待できます。
ただし、これらの注射療法はFDA(米国食品医薬品局)によって承認されていないため、安全性や有効性については確証がないこともあるため注意が必要です。

脂肪吸引や痩身機器を使用した療法

脂肪吸引痩身機器ともに脂肪細胞を破壊する治療方法です。食事療法や運動療法を続けられる自信がない方に行われる場合があります。
脂肪吸引は吸引する部位に小さな切開を加えますが、最終的に傷はほとんど目立たない程度になります。術後は一時的に強い腫れやむくみが出ることがありますが、1か月程で落ち着くことがほとんどです。
脂肪吸引痩身機器を使用した治療を受ける際には、治療を行う医療機関や専門医の下で行う必要があり、副作用にも十分注意しなければなりません。
また、脂肪吸引痩身機器は保険適用ではないため、全額自己負担となります。治療費が高額なことが多く、トラブルになりやすいため注意が必要です。

医療痩身のメリット

OKをする医師
医療痩身は次のようなメリットがあります。

  • 肥満に伴う合併症の予防や改善
  • 費用を抑えて太りにくい身体が手に入る
  • 即効性がある
  • 部分的に痩せられる

肥満症は治療が必要な病気であり、医学的な減量治療の対象です。そのため治療は保険適用であることが多く、治療費用を抑えられます。医療痩身を行うことで、肥満に伴う合併症を予防したり改善したりできます。
医療痩身は、食事療法や運動療法が中心です。そのためライフスタイルが改善され、太りにくい身体が手に入ることに繋がります。
また、保険適用外の治療ではありますが、脂肪吸引痩身機器の使用は即効性があったり部分的に痩せたりできるというメリットがあります。

リバウンドしにくい

医療痩身の治療の基本はライフスタイルの改善です。そのために、食事療法や運動療法を行います。
食事療法や運動療法はすぐに効果が表れるものではなく、継続することが重要です。すぐに効果がでないと中々継続することが難しいものですが、続けることで自身のライフスタイルが変化し、リバウンドしにくい身体が手に入ります。
管理栄養士や理学療法士などの専門職の支援を受けながら、ライフスタイルの改善に向け食事療法や運動療法を継続しましょう。

即効性がある

医療痩身の治療で、即効性が期待できるのは脂肪吸引脂肪溶解注射です。即効性があるため減量へのモチベーションを維持でき、減量を長期的に目指すことに繋がります。
しかし、脂肪吸引脂肪溶解注射の使用はダウンタイムといって日常生活に回復するまでの期間を要することがあります。
ダウンタイムの期間は体質や手術部位によって異なるため、手術前に医師へ確認しておくと良いでしょう。

部分的に痩せることができる

脂肪吸引では部分的に痩せることができます。脂肪吸引はお腹・お尻・腕などにたまった脂肪に対し、局所的にアプローチするからです。
身体の気になる部位だけ痩せることができるため体型が整い、自己肯定感の向上に繋がります。ただし、脂肪が気になるからといって一度に大量の脂肪を吸引することは命に関わるため大変危険です。
セルライトをすべて消失できるものでもないため非現実的な期待はせず、治療前には医師のカウンセリングをしっかり受けるようにしましょう。

医療痩身の費用相場

問診票
医療痩身の費用は治療が保険適用かどうかで異なります。
保険適用であれば、自己負担額は3割負担であるため費用が抑えられますが、保険適用外の場合には全額自己負担であるため費用が高額になる傾向にあります。
減量手術で保険適用とされているのは、腹腔鏡下胃スリーブ切除術です。この手術を受ける場合の自己負担額は患者の収入にもよりますが、最大でも約26万円です。
保険適用内の治療は診療報酬で点数が決まっているため、どこの病院で治療を行っても手術費用は大差ありません。
保険適用外の治療として一般的なのは、脂肪溶解注射などの注射・脂肪吸引痩身機器を使用した治療です。これらは保険適用外の治療であるため、治療を受ける病院によって異なります。
保険適用外の治療は高額な契約によるトラブルが起こりやすいため、安易に契約しないように気を付けましょう。

医療痩身は何科を受診したら良い?

?マークを持つ男性
医療痩身の対象となるのは肥満症の方です。肥満症を疑う場合には内分泌内科、または肥満外科を受診しましょう。専門医が治療方針を決定してくれます。
また、病院を受診することで肥満症で合併する可能性のある糖尿病・高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの評価も行ってもらえるため、必要に応じて他の診療科も治療に介入してくれます。
脂肪溶解注射などの注射・脂肪吸引痩身機器を使用した治療を希望する場合には、美容外科を受診しましょう。美容外科の医師は美容外科に特化しており、痩身療法についての専門知識を持っています。
医療痩身の治療は専門医に診てもらい、適切な健康管理を行うことが重要です。

医療痩身を受ける際の注意点

注意マークを持つ男性
医療痩身を受ける際には、以下の注意点を考慮しましょう。

  • 適切な診断
  • 医療痩身を受ける前に、適切な診断を受けることが重要です。糖尿病など代謝異常の病気が原因で肥満症になっている場合があります。原因を正しく把握し、根本的な原因に対し治療することが大切です。

  • リスクと利益の検討
  • 医療痩身の手術にはリスクが伴います。そのため手術前にはリスクと利益を慎重に検討することが重要です。手術前には医師からの説明があります。不安なことは医師に相談し、納得した上で手術に望むようにしましょう。

  • 適切なフォローアップ
  • 医療痩身の手術後は、適切なフォローアップが必要です。手術後、食生活が乱れたり運動をしなくなったりするとリバウンドの危険性が高まります。適切なフォローをしてもらい、改善したライフスタイルを維持することが大切です。

  • 適切な医師の選択
  • 医療痩身を受ける際には専門医に診てもらい、適切な診断や治療を受けることが重要です。減量手術や脂肪吸引を受ける際には、実績のある病院を選ぶと良いでしょう。

編集部まとめ

人差し指を立てる医者
医療痩身痩身エステの違いについて解説しました。

医療痩身と瘦身エステの主な違いは施術場所と施術方法です。医療痩身は医学的な治療のため医療機関で行われるのに対し、痩身エステは美容目的のためエステなどで行われます。

医療痩身は、一般的に肥満症の方に対して行われる治療方法です。肥満症を疑う場合には内分泌科、または肥満外科を受診しましょう。

治療方法として、食事や運動療法・内服療法・減量手術などがあります。医療機関で行われる治療は保険適用であるため、自己負担は3割です。

脂肪吸引などの治療を希望する場合には美容外科を受診しましょう。美容外科での治療費用は全額自己負担となるため、治療費が高額となる傾向があります。

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