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尿漏れはどう対策する?女性に多い原因・予防法を紹介

 更新日:2023/10/02
尿漏れ対策

尿漏れが気になるけれど、相談・受診に抵抗があると悩んでいる女性は多いのではないでしょうか。

実は、身体の構造的な特徴から男性に比べて女性のほうが尿漏れを起こしやすいといわれています。

この記事では、主に女性の方に向けて尿漏れの原因・予防法のほか、おすすめの治療法を紹介します。

山下 通教

監修医師
山下 通教(やました内科産婦人科)

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2010年3月 藤田保健衛生大学医学部 卒業
2010年4月 広島大学病院 初期研修医
2012年4月 広島大学産婦人科 入局 広島大学病院産婦人科 医員
2013年4月 広島市立安佐市民病院産婦人科 医員
2014年4月 県立広島病院産婦人科 医員
2015年4月 JA尾道総合病院産婦人科 医員
2017年4月 JA尾道総合病院産婦人科 副部長
2018年1月 藤田医科大学医学部 外科緩和医療学講座 助教
2020年4月 藤田医科大学保健衛生学部 兼任講師
2021年4月 藤田医科大学医学部 外科緩和医療学講座 客員助教 みどり訪問クリニック勤務
2023年1月 やました内科産婦人科 院長

女性の尿漏れ対策とは?

女性の尿漏れ対策
尿漏れは、相談・受診することを「恥ずかしい」と感じて受診に至らないケースも多いため、正確な患者数が把握しにくい病気です。実際には、何割くらいの女性が尿漏れを経験しているのでしょうか。
尿漏れに気付いたら、どのように対策すれば良いのかもあわせて見ていきましょう。

尿漏れは3人に1人は体験している

尿漏れを経験した女性は、40歳以上を対象とした調査で4割以上といわれています。つまり、尿漏れは3人に1人が経験する身近な病気です。また、アメリカで行われた調査では30歳以上の尿失禁有病率は45%、30代のみに限定した尿失禁有病率は28%という結果が出ています。
この結果を見ると、高齢になるにつれて有病率は上がるものの、尿失禁は高齢者だけの病気ではないことがわかるはずです。

尿漏れの診断名もそれぞれ違うので適切な治療を

排尿するつもりがないときに尿が漏れることを総称して尿漏れ(尿失禁)といいますが、診断の際には原因ごとにさらに細かく分類されます。尿漏れの原因によって対策・治療方法も変わってくるため、まずは医療機関を受診して原因を確認することをおすすめします。
女性に多い尿漏れは、下記の2種類です。

  • 腹圧性尿失禁
  • 切迫性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、運動・くしゃみなどで腹部に力が入ったときに起こる尿漏れを指します。腹圧性尿失禁の主な原因は、骨盤の底で内臓を支えたり尿道の括約を担ったりしている「骨盤底筋群」の衰えです。骨盤底筋が緩んだことによる腹圧性尿失禁は、骨盤底筋のトレーニングを継続的に行うことで症状の予防・改善が期待できます。
一方の切迫性尿失禁は、膀胱が急に収縮することによる症状です。切迫性尿失禁では急に強い尿意を感じるため、我慢できずに頻尿・尿漏れが起こります。切迫性尿失禁には病的な原因がないケースも多いですが、骨盤臓器脱・子宮筋腫の増大などが切迫性尿失禁を引き起こすことがあります。
骨盤臓器脱とは、骨盤底で内臓を支えている筋肉・靱帯が衰えることで、本来は骨盤内に収まっている膀胱・直腸・女性器が膣などから脱出する病気です。初期の骨盤臓器脱であれば腹圧性尿失禁と同様に骨盤底筋のトレーニングでの改善が期待できるでしょう。
しかし、切迫性尿失禁は中等度~高度の骨盤臓器脱の症状としてみられることも多く、この場合は器具の挿入や外科手術による治療も選択肢の一つとなります。

女性に尿漏れが多い原因とは?

女性に尿漏れが多い原因
50~70代の男女900人ほどを対象としてアンケートを行った結果、尿失禁の有訴率は女性で約35%、男性が約11%だったとする調査があります。冒頭でも「男性に比べて女性の方が尿漏れを起こしやすい」とお伝えしましたが、女性に特有な尿漏れのリスク因子にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここから4つのポイントに分けて解説していきます。

骨盤底筋の筋力低下

筋肉量は高齢になって急に減少するのではなく、20代半ばから徐々に減少します。こうした筋肉の減少は、運動に必要な筋肉だけでなく骨盤底筋にも起こるものです。
女性は、男性に比べてすべての年代で平均的な運動量・身体活動量が少ない傾向にあるとされ、筋力低下を起こしやすいと考えられます。特に妊娠中・出産後は医学的に推奨される身体活動量に達している女性が少ないことから、女性特有のライフイベントも筋力低下の要因といえるでしょう。

出産によるもの

女性の中でも、妊娠・出産を経験した方は尿漏れの有訴率が高いといわれています。これは、妊娠・出産により骨盤底筋群の筋組織・周辺の靱帯が損傷を受けることで、排尿を制御する機能・骨盤内臓器を支える機能などが低下するためです。
出産による骨盤底筋の機能障害は、主に若い世代での腹圧性尿失禁の大きな原因になっています。

更年期によるホルモンバランスの崩れ

多くの女性は40~50代で閉経を迎えます。閉経とは、卵巣の機能が徐々に低下して停止した状態です。閉経の前後5年間を「更年期」と呼び、この期間は女性ホルモンが減少しホルモンバランスが崩れることでさまざまな症状が現れます。
更年期症状としてはホットフラッシュ・疲れやすさ・気分の不安定さなどが有名ですが、実は女性ホルモンの減少により骨盤底筋も影響を受けます。女性ホルモンの減少による骨盤底筋の柔軟性低下・緩みは、中高年で発症する尿漏れの原因の1つです。

心理的なストレスによるもの

心理的なストレスを感じることで、膀胱が収縮し尿意を感じたり頻尿になったりする可能性があります。尿漏れを抱えている方の場合は、日常生活でのストレスだけでなく、尿漏れの症状自体や相談できる相手がいないこともストレスになり得るでしょう。
特に女性は同年代の男性に比べて尿漏れの有訴率が高いにもかかわらず、尿漏れについて相談しようと考えている方の割合は男性よりも低いとされています。症状にストレスを感じ、そのストレスで尿漏れが悪化するという悪循環を避けるためにも、医療機関などに早めに相談してみてはいかがでしょうか。

女性に多い尿漏れの特徴と対策

女性に多い尿漏れの特徴と対策
この記事の前半では、女性に多い尿漏れとして腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁の2種類を挙げました。原因や症状のメカニズムの異なる2種類の尿漏れですが、それぞれどのような特徴と対策があるのかまとめました。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁の特徴は、咳・くしゃみ・運動など腹圧がかかる動きをした瞬間に尿漏れが起こることです。腹圧性尿失禁では、腹圧によって尿が押し出される力が尿道を括約する筋力を上回ることで、強い尿意は伴わずに尿漏れが起こります。
腹圧性尿失禁の主な原因は骨盤底筋群の衰え・傷みなので、対策としては骨盤底筋のトレーニングをすることが有効とされています。骨盤底筋トレーニングの方法については、この後の見出し「尿漏れに対する治療法はどのようなものがある?」でも触れますので参考になさってください。
また、腹圧は尿漏れ自体のきっかけにもなりますが、骨盤底筋を傷める原因にもなります。そのため、日常生活では強い腹圧がかかる動きを避けることも重要です。腹圧がかかる動きの中でも咳やくしゃみなどは避けることが難しいため、力仕事・便秘による強いいきみなど意図的に避けられるものから減らしてみましょう。
さらに「最近になって尿漏れが気になり始めた」という方の中で、同時期に体重が急激に増えた方は尿漏れの改善に減量が有効なこともあります

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁の特徴は、強い尿意を伴い、尿意を感じてからトイレに向かっても間に合わずに尿漏れが起こる点です。また、急な尿意と尿漏れを繰り返すと、近くにトイレがない・すぐにトイレに行けないという状況に不安を感じる方もいます。不安から尿意に敏感になり症状が悪化したり、トイレに行きにくい状況を過度に避けたりすることで、生活や趣味に支障をきたす場合もあるでしょう。
切迫性尿失禁で感じる急激な尿意の原因は、排泄が必要な量の尿が溜まる前に膀胱が収縮することとされています。膀胱が収縮する明確な原因は分からないことも多く、対策は水分・カフェイン多量摂取を避けるなど、対症療法的なものが中心です。
ただし、切迫性尿失禁でも骨盤底筋の衰えによる骨盤臓器脱が原因となっている場合や、腹圧性尿失禁を併発している場合があります。このようなケースでは、腹圧性尿失禁と同じく骨盤底筋トレーニングが症状改善に役立つと考えられます。
また、失禁の不安・頻繁な尿意から少量の排尿を繰り返していると、実際に膀胱が徐々に小さくなり症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。こうした状況を防ぐためには、安心できる環境で「尿意を感じても少し我慢する」という膀胱練習を繰り返すことで膀胱の柔軟性・容量を保ちやすくなるでしょう。
ここまでは症状を和らげるための対策を紹介しましたが、尿漏れをしたときに備えて吸水ライナーや尿漏れ用のパッドを使用することも有効な対策です。尿漏れ用のケア用品を使い始めることに抵抗を感じる方もいますが「少しの尿漏れならパッドがフォローしてくれる」と考えると気持ちが楽になるかもしれません。

尿漏れに対する治療法はどんなものがある?

尿漏れに対する治療法
ここまでは、自分でできる尿漏れ対策をいくつか解説してきました。では、医療機関で治療を受ける場合にはどのような治療法があるのでしょうか。

ハイフ

ハイフ(※)(高密度焦点式超音波治療法)は入院せず外来で受けられる治療法で、出産・加齢による膣のゆるみ・子宮下垂を原因とする尿漏れに特に有効です。超音波が出る器具で膣を引き締める治療法で、照射中は軽い圧迫感や温かみを感じ、一般的に強い痛みなどは伴いません。
ハイフで期待できる効果は膣の引き締め・弾力アップで、尿漏れ改善・産後ケア・萎縮性膣炎の予防・性交痛の改善などに役立つと考えられます。
ハイフは日常生活にほぼ支障はありませんが、一時的な違和感や痺れ、少量の分泌物の増加、軽度の粘膜の発赤などが発生することがあるなどのデメリットがあります。費用は、50,000〜100,000円(税込)程度が相場となっています。
(※) 未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。

内服治療

内服治療は、今回紹介した2種類の尿漏れのうち特に切迫性尿失禁に有効と考えられます。使用される薬剤は、抗コリン薬やβ3受容体作動薬などです。内服治療の主な目的は、薬によって膀胱の過活動や異常収縮を抑えることです。多くの場合、内服治療と並行して膀胱訓練や骨盤底筋体操も行います。

骨盤底筋体操

骨盤底筋体操には、尿道括約筋を鍛えて尿を漏れにくくするだけでなく、骨盤内臓器を支える筋肉を鍛えることで尿漏れの原因も軽減する効果が期待できます。トレーニングの内容は「リラックスした状態で膣や肛門を締める・緩めるのを5秒おきに繰り返す」というもので、自宅でも行いやすいでしょう。
医療機関では、トレーニング方法の指導のほか、筋電図などを使用してトレーニングが正しく行えているかどうか数値的なフィードバックを行うこともあります。こうした治療で症状改善がない場合は、尿道を人工物のメッシュで支えるなど外科的手術を検討するのも1つの選択肢です。

尿漏れ対策でお悩みならやました内科産婦人科へ

やました内科産婦人科
最後に、この記事で解説した女性に多い尿漏れについてポイントをまとめます。

  • 若い世代でも尿漏れに悩む方は多い
  • 尿漏れのリスク因子は出産・更年期・加齢など幅広い
  • 子宮筋腫や骨盤臓器脱など婦人科疾患が原因の場合がある
  • 入院せず行える治療法がある

尿漏れを治したいと考えたとき「泌尿器科にかかるのだろうか」「どのような診察を受けるのだろう」と不安・抵抗を感じる方もいるかもしれません。

しかし、尿漏れは婦人科とも関わりが深い病気です。女性ならではの悩みに寄り添ったやました内科産婦人科は、尿漏れの相談を受け付けています。

やました内科産婦人科は愛知県名古屋市にあり、尿漏れに対する内服治療や膣ハイフなどにも対応可能なクリニックです。

ここからは、やました内科産婦人科の特徴をいくつか紹介していきます。

生命の誕生から人生の終わりまで寄り添える医療を提供

やました内科産婦人科では、女性器の疾患だけでなく、月経に伴う症状・避妊・不妊症・更年期症状・便秘・頻尿など幅広い女性の悩みに対応されています。

また、一般内科としての診療も行っているため「婦人科に行くべきなのか」と悩んでいる方も、一度相談してみてはいかがでしょうか。

患者さんにとって通いやすい医院環境を

やました内科産婦人科スタッフ
やました内科産婦人科は平日19:00まで、土曜日は正午まで診療を行っています。そのため、終業後や休日以外は受診が難しいという方でも通いやすいでしょう。

また、地下鉄の駅から徒歩圏内ですが駐車場も完備しているので、交通手段を限定せずに通えます。

クリニック内にはキッズスペースもあるので、子どもを預けられないから受診が難しいという心配もないでしょう。

専門の医師が尿漏れなどの婦人科系症状の診療を行う

やました内科産婦人科の医師は、婦人科腫瘍・生殖・内分泌・周産期・女性のヘルスケアなど広い分野で診療を行い、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医の資格を有しています。

尿漏れには女性の身体構造・婦人科疾患・妊娠出産経験なども密接に関わるので、産婦人科領域の医師だからこそ相談しやすいこともあるでしょう。

尿漏れが気になったら、一人で悩まずに一度来院して相談してみることをおすすめします。

やました内科産婦人科の基本情報

アクセス・住所・診療時間

名古屋市営地下鉄桜通線「徳重駅」より徒歩10分
名古屋市営地下鉄桜通線「神沢駅」より徒歩9分

愛知県名古屋市緑区黒沢台3-1320

診療時間
9:00~12:00
16:30~19:00

13:30~16:00は訪問診療を行っております。

参考文献

この記事の監修医師