FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 医科コンテンツ
  4. 男性更年期障害は何科を受診する?原因・治療方法まで解説

男性更年期障害は何科を受診する?原因・治療方法まで解説

 公開日:2024/04/12
男性更年期障害 何科

女性特有の症状と思われがちな更年期障害ですが、ホルモンバランスの乱れや性ホルモンの低下という観点から見ると男性でも症状が現れるのは納得できます。

中高年男性で、病気ではないのになんとなく不調を感じたり、突然のほてりや発汗などが続いたりするようであれば男性更年期に入ってるのかもしれません。

女性の更年期障害は、女性ホルモンが急激に減少する閉経前後のおよそ10年間に起こることはよく知られています。では、男性の場合はどうなのでしょうか。

ここでは、男性更年期障害について、原因・症状・治療について説明します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

男性更年期障害は何科を受診すればいいの?

スーツ 男性
男性更年期障害は、男性のホルモンのバランスの変化に関連する症状です。そのため、一般的には泌尿器科で受診することになります。
泌尿器科では、男性ホルモンであるテストステロンの減少や尿路の状態を確認し、症状について相談します。
また、全体的な健康状態に関する症状という観点から診察を受ける場合は、内科です。
専門的な分野として相談を受けるのは、内分泌科です。内分泌科では、ホルモンのバランスに関連する問題や治療について専門的なアドバイスをしてくれます。
最初から男性更年期障害であると判断はしづらいので、まずはかかりつけの医師に相談するのがよいでしょう。

男性更年期障害の原因

悩む 男性
男性更年期障害は、血液中の男性ホルモンであるテストステロンが急激に減少して発症します。重度のストレスや環境の変化に起因することが原因の1つです。
また、加齢とともに徐々に男性ホルモンが減少している場合にも、男性更年期障害が発症します。この場合は、症状の出現も緩やかで少しずつ現れてくるのが特徴的です。
症状がゆっくり現れてくるため、実は男性更年期障害であるにも関わらずほかの病気であると診断されてしまうことがあります。

男性更年期障害の症状

ぼーっとする男性
男性更年期症障害はどのような症状でしょうか。男性の場合も女性の場合と同様な症状が現れます。
また、女性の更年期とは異なる症状もあります。性的な変化としては、性欲の減退や勃起障害の発生です。
女性の更年期障害と同様の症状として、精神的なものがあります。イライラ・不安・うつ状態・情緒の変動・集中力の低下・疲労感などが顕著に現れます。
身体的な症状として現れるのが、筋肉量の減少・体脂肪の増加・骨密度の低下・多汗・ほてり・睡眠障害などです。
中高年になると代謝の変化がみられることから、男性更年期障害の症状として、体重の増加・腹部の脂肪増加・コレステロールや血糖値の上昇などが挙げられています。
このようにさまざまな症状があらわれますが、個人によって異なります。

疲労感

男性更年期障害の特徴といえるのが、原因不明の疲労感です。
男性ホルモンは、疲労回復ややる気を起こさせる作用があるホルモンです。このテストステロンの分泌が減少するので、疲労感が顕著に現れます。
この症状は、テストステロンが体内にどれくらいあるかが個人によって異なりますので、どれくらいの強さの症状かも同様に個人差が大きくなります。

イライラしやすくなる

イライラする男性
男性更年期になると、テストステロンの低下やそのほかのホルモンの変化により、情緒の制御が難しくなることがあります。
そのため、男性更年期障害におけるイライラが表面化することは少なくありません。
重度のイライラは、本人だけなく周りにも悪影響を及ぼします。リラクゼーション法などのストレス管理をしたり、パートナーや家族とコミュニケーションをとるなどの対策で、少しでも症状を和らげるように工夫しましょう。

ほてりやのぼせが出てくる

男性更年期障害における症状として、ほてりやのぼせがあります。
男性の更年期には、テストステロンが自然な低下を見せ、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの割合が増加します。
エストロゲンの増加によって引き起こされるのが、血管の拡張や血流の変化です。これが作用して、顔・首・胸などの上半身の血管が拡張し、体温が上昇します。
これが表面化すると、ほてりやのぼせといった症状になります。ほてりやのぼせは、突然の発作的な感じの症状です。顔や首の赤み・発汗・体温上昇・悪寒などが伴うこともあります。
この症状は一時的に現れ、少し時間がたつとおさまってくるのが一般的です。

記憶力の低下

ネクタイを触る 男性
男性更年期障害の症状の一つとして、記憶力の低下が起こる場合があります。
前述のとおり、男性更年期障害はテストステロンの減少と関連しています。また、テストステロンは神経伝達物質や神経細胞の生存に影響を与えている可能性がありますが、具体的な役割についてはわかっていません。
現在、さまざまな研究の中で、テストステロンの減少が認知機能や記憶力に影響を与える可能性があると予測されています。しかし、個人差が大きいので、はっきりとしたことが解明されていないのが現状です。
一方で、男性更年期障害による記憶力の低下は、ストレス・睡眠障害・加齢といったほかの要素との相互作用も関与している可能性があります。

性欲の減退

男性更年期障害は、男性ホルモンであるテストステロンの減少による症状です。
テストステロンは男性の性欲や性的機能に重要な役割を果たしています。そのため、テストステロンの減少が性欲の低下や勃起障害などの性的機能の変化を引き起こしている可能性があります。
しかし、性欲の減退は個人によって異なり、すべての男性がこの症状を経験するわけではありません。

男性更年期障害の治療方法

薬
男性更年期障害の治療は、症状の程度や個人の状況によって異なります。治療の目的は症状の軽減や生活の質の向上です。
そのため、一般的な男性更年期障害の治療方法は生活習慣の見直しです。
重度の症状が出ている場合は、テストステロン補充療法を選択します。これはテストステロンを体に補充する治療方法です。
これ以外にも、ビタミンやミネラルのサプリメント・漢方・アロマテラピーなどの代替療法が利用されることもあります。
男性更年期障害は、人によって症状が異なるため、担当のかかりつけの医師と相談しつつ治療方法を決めていきます。

生活習慣の見直し

ランニングする男性
男性更年期障害の治療方法としては、まず生活習慣を見直します。男性更年期障害を発症する方の多くは生活習慣に問題があります。
また、現代においては多少なりともストレスを抱えています。これらの管理をきちんと行うことがまずは重要です。
バランスの取れた食事・適度な運動・十分な睡眠を心がけることで男性更年期障害の症状が緩和されます。
また、ストレス管理に関しては、心理的なストレスや不安を軽減するために、心理療法やカウンセリングを受けることが役立つ場合もあります。

食事療法

男性更年期障害の改善において、健康的な食事を摂ることは非常に重要です。バランスの取れた食事は、健康的な生活をサポートします。
主食の穀物・タンパク質源・野菜・果物・オリーブオイルなどの健康な脂質を適切な割合で摂取するようにしましょう。ビタミンとミネラルは、特にビタミンD・ビタミンE・亜鉛・セレンなどの栄養素を中心に考えていきます。
加齢による心血管の症状としては、血圧とコレステロールが気になります。食物繊維豊富な野菜・果物・全粒穀物などを積極的に食事に取り入れ、逆に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を制限することが推奨されます。
最後にホルモンバランスをサポートする食品として、オメガ-3脂肪酸・亜鉛・ビタミンB6などが大切です。

薬物治療

男性更年期障害での薬物療法はいくつかありますが、代表的なのは、男性ホルモンの注射・塗布や漢方薬治療などです。
男性ホルモン補充療法は、筋肉注射を行います。この治療は、前立腺がんの治療中の方には行えませんので注意が必要です。
漢方薬による治療では、症状によって方法が異なります。思考力や集中力の低下・のぼせ・手足のほてり・寝汗などでは、腎陰を補う漢方薬を使います。
冷え・頻尿などの症状がある場合は、腎陽を補う漢方薬です。
筋力の衰え・加齢・過労・生活の不摂生では、脾気の機能を強めます。
不眠・不安・健忘・抑うつ状態などが生じている場合は、漢方薬で心血を潤し、男性更年期障害を治療します。
漢方薬では、症状を緩和させる治療を中心に行いますが、症状によって処方される薬は、ED治療薬・抗うつ薬などです。

テストステロン補充療法

テストステロンの減少によって男性更年期障害は発症しますので、そのホルモンを補充する治療がテストステロン補充療法です。
テストステロンエナント酸エステル製剤を1回125ミリグラムもしくは250ミリグラムを、2週間から4週ごとに投与します。
この療法は肝機能の障害を起こすリスクがありますので、定期的に血液検査で肝機能障害や多血症などの副作用の有無を調べます。
副作用がなければ合計10回投与した後、治療の効果を判断し、今後の方針を定めるというサイクルです。

男性更年期障害の検査方法

問診票
男性更年期障害は、男性ホルモンの低下によって発症します。しかし、女性の閉経とは異なり、男性の更年期障害の場合は明確に更年期であることを判断できません。
男性ホルモンのレベルの変化には個人差があり、一様の数値では判断できないからです。
そのため、男性更年期障害の診断は、問診票による症状のチェック方式による質問への回答と、血液検査によって判断されます。
また甲状腺やうつ病といったほかの病気を併発している場合は、その病気との関連を調べ、原因として排除できるかどうかを判断したうえで男性更年期障害の判断をします。

問診表の記入

問診表では、現状の状態を確認します。
性欲の変化・勃起障害・睡眠障害・疲労感・心理的な症状・体の変化・消化不良・頭痛などに関する症状などをチェックしていきます。
医師からの質問は一般的な男性更年期障害の症状を評価するためのものです。
これに加え、担当の医師は、それぞれの症状の程度・期間・日常生活への影響などを詳しく聞くこともあります。
また、過去の健康状態・既往症・薬物使用の有無なども質問されます。

血液検査

血液検査では、血中のテストステロンの量を調べます。
診断基準は、遊離型テストステロンが8.5ピコグラム毎ミリリットル以上11.8ピコグラム毎ミリリットル未満の場合、男性ホルモンが低下傾向にあると判断されます。さらに、8.5pg/ml未満の場合は、男性ホルモンが明らかに低いとされます。
そのほかにも、血液検査でほかの病気がないかを確認し、ほかの病気である可能性を見極めていきます。

男性更年期障害で悩んでいるときにすべきこと

薬局 男性
男性更年期障害かもしれないと自分自身で感じたら、まず病院で診察を受けます。早めの判断で、対策が取れるかもしれませんし、別の病気が潜んでいるかもしれません。
次に、自分の生活習慣を見直しましょう。健康的な生活習慣は症状の緩和に役立つことがあります。バランスの取れた食事・適度な運動・十分な睡眠を心がけます。
ある程度の自分の状況がわかったのであれば家族やパートナーと話し合ったり、サポートグループに参加したりすることも効果的です。
同じような経験をしている人々との情報共有は、理解や助言を得る機会になります。

病院を受診する

まずは今悩んでいることの原因を解明するために病院を受診し、医師の診察を受けることが重要です。
男性更年期障害の症状が一過性のものではなく、継続的なものであったり、断続的にくりかえされたりするのであれば、医師の判断は不可欠です。
医師から正しく症状を診断してもらい、必要な検査を受けましょう。その検査結果をもって適切な治療法を提案してもらいます。
わからないことは細かいことまで聞いて、最終的な治療方針を決めていくことが大切です。

ストレスのかからない生活をする

自分が男性更年期障害かどうかを悩みすぎてしまうことは、ストレスの原因となるため、逆に症状を悪化させる可能性があります。
また、男性更年期障害の治療中も過度のストレスは、症状を悪化させてしまいます。
ストレスを軽減するために、リラクゼーション法・瞑想・ヨガなどを継続して行ってみましょう。
また、ゆっくりお風呂に入るなども効果が高いストレス解消法です。

編集部まとめ

笑顔 男性
男性更年期障害は女性の更年期障害とは異なり、時期や症状などがバラバラで自分でも判断しにくいものです。

男性更年期障害は、40代くらいから現れるといわれていますが、その時期はほかの原因で同様の症状を出す可能性があります。

例えば、不眠や疲労感、気分の落ち込みなどの症状は、男性更年期障害なのかうつ病なのかの判断がつきにくく、見極めが難しいです。

重症化する前に専門の病院でしっかりと診断してもらうことをおすすめします。

この記事の監修医師