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体外受精の保険適用について|体外受精の治療法・メリット・デメリット・費用相場を解説

 公開日:2024/03/04
体外受精の保険適用について

少子高齢化が社会問題となっている日本では、2022年4月以降、体外受精などの不妊治療に保険適用が開始されました。

これまで子どもがほしいと思っても高額な治療費が壁となっていて治療を諦めていたご夫婦にとって喜ばしいニュースですが、保険適用にはある一定の条件があります。

ここでは、体外受精において保険適用を受ける条件とその場合の費用、治療法・体外受精のメリットやデメリットについて解説していきます。

柏崎 祐士

監修医師
柏崎 祐士(医療法人かしわ会 かしわざき産婦人科)

プロフィールをもっと見る
京都府立医科大学医学部卒業、米国エール大学医学部産婦人科に留学。
医学博士。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本受精着床学会評議員、母体保護法指定医、日本卵子学会代議員等。

体外受精の保険適用について

体外受精の保険適用について
不妊に悩むご夫婦にとって強い味方になると思われる不妊治療への保険適用ですが、適用には条件があります。保険適用の概要や条件を知って、安心して治療が受けられるようにしましょう。

2022年4月より不妊治療の保険適用開始

体外受精不妊治療の中の治療法の一つで、日本では1983年に初めて体外受精による子どもが誕生しました。その後女性の社会進出などの影響から晩婚化が進み、高齢出産する女性も増えてきます。高齢になると妊娠率が低下してしまうことがあるため、不妊に悩む方も増えてきました。
しかし不妊治療には高額の治療費がかかるため、治療を受けたくても受けられない方も多くいます。少子高齢化が社会問題となっている日本では、少子化の打開策として体外受精をはじめとする不妊治療に対する保険適用化への動きがあり、そこで2022年4月から適用が開始されています。

保険適用の条件

不妊治療に保険が適用されるようになりましたが、全ての治療に保険が適用されるわけではありません。
まず、保険適用を受けるには、受けようとする医療機関が地方厚生局に届け出をしていなければなりません。厚生労働省のホームページに届け出されている医療機関の一覧がありますので、確認したうえで受診しましょう。
また、保険適用には年齢や治療を受けられる回数の制限があります。

女性の年齢が40歳未満の場合:治療回数は1子ごとに通算6回まで
女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合:治療回数は1子ごとに通算3回まで

他にも、下記のように治療が受けやすい制度があります。

  • 条件の年齢に到達する前にすでに胚を凍結保存している場合は保険治療開始後に使用することが可能
  • 保険適用前に受けた不妊治療の回数に含まれない

また、保険適用範囲の拡大により高額療養費制度を利用することが可能です。

保険適用外の治療もある

保険適用範囲拡大で体外受精は保険適用になりましたが、中には保険適用外になる治療法もあるため、注意が必要です。
例えば、SEET法などの先進医療は保険適用外となります。SEET法では胚培養液を子宮に注入します。使用する胚が1つなので、多胎妊娠の予防につながるのがメリットです。しかし追加料金がかかったり妊娠率が上がるという根拠に乏しかったりするなどのデメリットがあります。
これらの治療法は保険適用は認められていないため、自費診療となります。SEET法の費用相場は、凍結保存費用が2万円(税込)程、SEET法自体の費用が4万円(税込)程です。
各自治体によっては助成制度がある場合があるため、自治体などのホームページで確認してみると良いでしょう。

主な体外受精の治療法は?

主な体外受精の治療法は?
体外受精と一口にいってもいくつか治療法があります。ここでは主な治療法であるコンベンショナルIVF顕微授精について解説します。

コンベンショナルIVF

コンベンショナルIVFとは、行われている体外受精・肺移植のことで、シャーレと呼ばれる皿の中に取り出した卵子と精子を入れ、受精させる手法です。精子の力を利用して受精させるため、卵子のストレスは少なく、より自然に近い形の受精方法です。
しかし、自然に近い分、1回のコンベンショナルIVFで受精につながらない場合もあります。そのため、前もって複数個の卵子を採卵しておき、冷凍保存しておくことが一般的です。研究者の間で、受精する確率を上げるために、受精率を高めるための様々な手法の研究・実験が行われています。

顕微授精

顕微授精は顕微鏡下で卵子に直接精子を注入する手法で、一つの精子があれば受精することが可能です。人為的に精子を卵子に侵入させるこの手法は、コンベンショナルIVFに比べて受精率が高く、40~60%という高確率で受精につながるといわれています。
顕微授精は不妊の原因が精子の数が少ない・精子の運動率が低いなど男性側にある場合や受精障害がある場合に有効な手法です。

体外受精のメリット・デメリット

体外受精のメリット・デメリット
保険適用化されたことで費用も抑えられ、妊娠を望むご夫婦にとっては体外受精による治療を受けやすくなりました。ですが、デメリットなどはないのでしょうか。
ここでは体外受精のメリットやデメリットについてみてみましょう。

メリット:ほかの治療方法よりも受精しやすい

体外受精は自然受精に比べて、受精しやすい傾向にあります。受精時に顕微鏡などで卵子を確認しているため、受精のチャンスを広げられます。また、受精後も胚の形成などを観察することができるため、妊娠につながりやすいというメリットがあります。

メリット:不妊の原因が分かることがある

不妊治療を行う際は、卵子や精子をはじめ、子宮膜など妊娠に関わる器官の検査を行います。体外受精に成功した受精卵を子宮に戻す際には、着床に適した良好な子宮内膜の生成が不可欠です。そのため、ホルモン注射などで子宮内膜生成を促しますが、検査の結果、良好な期待できないことがあります。その場合は全胚凍結を行い、着床条件を整えたうえで着床させることを選択します。
このように体外受精の過程で不妊の原因が判明し、それに対する治療を行うことが可能です。また精子の運動率が悪い・精子の数が少ないという男性側の不妊理由がわかることもあります。
原因がわかれば治療方法も絞られて、より妊娠率が高くなる治療法を受けることができるようになります。

デメリット:合併症が起こることがある

体外受精では子宮から卵子を取り出したり、受精した卵子を子宮に戻したりする過程が含まれています。これらが膣壁や卵巣を傷つける・麻酔による副作用などを起こし、場合によっては合併症を引き起こす一因となります。
また受精しやすい環境で受精するため、多胎妊娠になる可能性を否定できません。多胎妊娠では単胎妊娠に比べて母子ともに負担が増大し、合併症を引き起こす確率も高まるため、多肢出産にならないよう子宮に戻す受精卵は1つに限ることが取り決められています。

デメリット:費用が高額になる

体外受精に関して保険適用になりましたが、受診回数が増えてくると費用も高額になってきます。また厚生労働省は先進医療の保険適用に関してまだ検討段階であるため、コンベンショナルIVF顕微授精による体外受精で妊娠できなかったときに提案される先進医療を用いた不妊治療は高額になってしまいます。
さらに、先進医療にも助成があった特定不妊治療費助成制度が廃止されたことで、これまで助成のあった先進医療に含まれる着床前診断PGTなどへの保険適用がなくなりました。そのため支払いが増加してしまう場合もあります。
ただこの点に関しては政府も経過措置を取り、負担が減少するよう検討中です。他にも治療の際に処方される薬代も保険適用されるものとされないものがあるため、高額な薬代がかかる可能性もあります。

体外受精の費用はどのくらい?

体外受精の費用はどのくらい?
体外受精をはじめとする不妊治療の保険適用化が始まりましたが、実際の費用はいくらぐらいなのでしょうか。一般的な相場をみていきましょう。

保険適用後の体外受精の費用相場

体外受精で保険が適用されない場合の1回当たりの費用は、以下となります。

  • タイミング法 5,000~10,000円(税込)
  • コンベンショナルIVF 200,000~500,000万円(税込)
  • 顕微授精 500,000~600,000万円(税込)

保険適用によって上記金額の3割負担で治療を受けることができ、高額療養費制度の利用も可能であるため、さらに安心して治療を受けられるでしょう。

年齢制限・回数制限にも注意が必要

先ほども解説した通り、体外受精の保険適用には年齢制限や回数制限があります。
これは、母体の安全を確保するために設けられています。不妊治療体外受精を受けたい場合は年齢・回数などの適用条件を確認してください。

体外受精のことならかしわざき産婦人科にご相談を

かしわざき産婦人科
不妊に悩み、誰かに相談したいと思っても誰に相談したらいいかわからない……そのような時は、経験のある産婦人科の医師に相談しましょう。

ここでは、埼玉県さいたま市にあるかしわざき産婦人科についてご紹介します。

かしわざき産婦人科では、患者さんに寄り添ったサポートを心掛けており、初めてでも安心して相談できる雰囲気作りを行っています。

不妊治療は妊娠がゴールではありません。かしわざき産婦人科は、不妊治療から始まり、妊娠・出産そして産後ケアまで、一貫したケアを受けられる産婦人科です。

2児の母でもある女性医師が在籍し、自らの経験を活かして、妊婦さんやご家族がリラックスできるよう配慮しています。

例えば入院時の部屋は防音性を重視して気兼ねなく過ごしていだたけるようになっていたり、備品である毛布1枚もこだわりを持って用意したりしています。

また、患者さんに寄り添いながら、技術と経験のある医師や不妊カウンセラーの資格をもつ看護師が、手厚いサポートを心掛けています。

顕微治療では電動マニピレーターを使うことでより正確に精子を注入可能

繊細な手技が要求される顕微治療では、電子マニピレーターを導入し、人間の手と同様の動きを機械が行い、より正確に精子を注入することが可能です。

顕微授精は、受精をより確実に行うため、男性不妊や受精傷害がある場合に高い確率で受精に繋げることができる治療法です。

精子や卵子の取り違い防止のための取り組みとしてダブルチェックを実施

人為的なミスを失くすため、徹底的な管理を行っています。

精子や卵子を取り扱うときは、培養士2人でダブルチェックを行っています。

保管場所も一つの場所に一人と決め、取り出す時は一人のものだけを取り出すように徹底しているそうです。

他の方との取り違いが起こらないように徹底管理しているので、ご安心いただけるのではないでしょうか。

男性・女性ともに受けるヒューナーテストも実施

ヒューナーテストは、頸管粘液と精子の相性テストです。

性交後12時間以内に来院していただき、採取した頸管粘液の中で精子がどのぐらい運動しているか、奇形精子があるかなどのテストを実施しています。

このテストによって、不妊の原因がわかる場合もあります。

通院中の患者さんを対象としたカップルで受けられる不妊相談を実施

かしわざき産婦人科スタッフ
不妊の原因は男性・女性いずれにも考えられるので、通院中の患者さんの中で、カップルのお二人と医師が話し合う場を設けています

カップルに寄り添う治療を50年以上に渡って施して来た経験と技術を持つ医師やスタッフと相談することは、お二人にとってより望ましい未来に近づける機会になります。

経験豊かなスタッフと、よりしっかりとした治療を行うために必要な設備や検査を完備したかしわざき産婦人科に、ご相談してみてはいかがでしょうか。

かしわざき産婦人科の基本情報

アクセス・住所・診療時間

JR各線 大宮駅 西口 徒歩15分
 バス:上小町 徒歩1分

埼玉県さいたま市大宮区上小町604-4

診療時間
9:00~12:00
16:00~18:30

受付開始:診療時間15分前から
★:午前10:00受付終了・午後休診
初診受付時間:午前11:30・午後17:30まで

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