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高血圧の改善方法は?食事のポイントを解説

 公開日:2024/02/07
高血圧 改善

高血圧は大変身近な疾患です。定期健康診断においても多くの方々が血圧チェックを気にするのではないでしょうか。

高血圧は、脳血管障害・心疾患・腎疾患などの合併症を引き起こすため、発症の予防は大変重要なことです。

しかし、高血圧であることを自覚している方であっても、通院・治療をしている方は全体の2割程度といわれています。

ここでは、高血圧の症状・リスク・改善方法・予防するためのポイントなどをご紹介します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

高血圧の改善方法は?

高血圧の改善方法
高血圧を改善するためには、いくつかの方法があります。まずは、食事の改善です。塩分摂取を制限してバランスの取れた食事を摂るようにします。
野菜・果物・全粒穀物・低脂肪の乳製品・オメガ-3脂肪酸などの健康な脂肪を摂取することが推奨されています。また、カリウムやマグネシウムを増やすことも有効です。
しかし、気にすべきは塩分摂取を制限することです。健康的な食事は、過体重や肥満への対策にもなります。
次に改善方法として注目されるのは、適度な運動です。
有酸素運動や筋力トレーニングによって、心臓と血管の健康を促進します。運動種目として特に推奨されているのは、ウォーキング・ステップ運動・スロージョギング・ランニングなどの有酸素運動です。
これらを定期的に行います。1回に行う時間はその強度にもよりますが、少なくとも10分以上持続し合計して1日40分以上運動をすることで効果が期待できます。
このような積極的な改善と並行して行いたいのが、日々の生活改善です。血圧を上げる要因の1つにストレスがあります。
ストレスを軽減するために、リラックスできる環境を整えたり、ストレス発散の場をつくったりすることは高血圧の改善に役立ちます。十分な睡眠を確保することも重要です。

高血圧の症状

高血圧の症状
高血圧は、サイレントキラーといわれるように、ほとんどの方は自覚がない疾患です。
しかし、症状がないにもかかわらず、血管の働きに作用するため動脈硬化などを発症してしまう疾患でもあります。
高血圧の症状として、特に朝に起きたときや緊張したりストレスを感じたりしたときに頭痛を感じることがあります。
また、高血圧により心臓に過剰な負荷がかかるため、疲れやすくなったり体のだるさなどの疲労を感じたりするのも特徴の1つです。高血圧が進行することによってあらわれるのは、めまい・ふらつき・動悸・下肢冷感などです。
さらに進行すると、息切れや呼吸困難がおきます。高血圧による合併症も考えておかなければなりません。

頭痛・めまい

少々血圧が高くなったからといって自分で自覚できる症状が出るわけではありません。しかし、血圧が普段よりもかなり高いときには頭痛・めまいを起こす場合があります。
このような症状は、高血圧によるものであると自覚することはあまりありません。血圧とは関係なくよくあらわれる症状ですので、ほかの原因を考えてしまうからです。
言い方を変えれば、高血圧の自覚症状として頭痛・めまいが認識されないこととなります。そのため、普段の血圧測定で自分の血圧値を知っておくことが重要です。

自覚症状がないケースも多い

前述しているように、高血圧はサイレントキラーと呼ばれています。
自分で普段から血圧が高いと思っていても、今現在起きている症状と高血圧を結びつけて考える方はそれほど多くはないからです。
自覚症状がないため、気づいたときにはほかの疾病を併発して、その治療のためにまずは高血圧から治療するといったことに陥ります。
自覚症状がないからこそ、気をつけておくべきなのが高血圧です。

高血圧の原因

高血圧の原因
日本人の生活習慣病死亡に大きく影響する要因といわれているのが喫煙と高血圧です。もし高血圧が完全に予防できたとすると、年間10万人を超える方が死亡せずにすむという推計も出ています。
厚生労働省の調べでは、20歳以上の2人に1人は高血圧であると報告されています。
では、なぜこれほどまでに高血圧の方が多いのでしょうか。日本人の高血圧の最大の原因は、塩分のとりすぎです。
また、近年では、若年・中年の男性に肥満によるものと思われる高血圧の症状が増えてきました。飲酒や運動不足による高血圧も増えていますので、生活習慣病リスク要因といえるでしょう。
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があります。それぞれについて説明します。

本態性高血圧は原因が不明

本態性高血圧は、ほかの病気が原因であったり特定の原因があったりすることがありません。日本人の大部分の高血圧は、本態性高血圧です。
はっきりとわかる原因がありませんので、考えられるのは普段の生活が要因の場合になります。
本態性高血圧は、食塩の過剰摂取・肥満・飲酒・運動不足・ストレス・遺伝的体質などが組み合わさって発症すると考えられます。
そのため、特定の根本的な病態が明確に特定されていない場合には、本態性高血圧と診断されます。本態性高血圧は、慢性的で長期間にわたって高血圧の状態が続いていることが特徴です。

二次性高血圧は病気によって起こる

二次性高血圧は、何らかの病気の発症により、それが原因となって高血圧を引き起こしているものです。
甲状腺や副腎などの病気が血圧へ影響を与えやすいので注意が必要です。また、睡眠時無呼吸症候群でも二次性高血圧を合併します。

高血圧のリスクは?

高血圧のリスク
高血圧のときには、体内の血管に強く圧力がかかっています。その状態が長時間続くと血管の壁が圧力に対応しようとして次第に厚く硬く変化して、結果的に引き起こされるのが動脈硬化です。
動脈硬化になると、血管の弾力性は失われてしまいますので、血管が広がらず血管内部が狭くなります。そうなるとさらに血圧が上昇するという負のサイクルができあがってしまいます。
このサイクルが引き起こすのが合併症です。 特に血管の多い臓器ほど合併症が起きやすくなります。
例えば、脳・眼・腎臓などです。 さらに高血圧が続くと、太い血管にも障害が発生して、脳卒中・心臓病・動脈瘤破裂などの重い病気を引き起こしてしまう可能性があります。

高血圧を予防・改善するための食事のポイント

高血圧を予防・改善するための食事のポイント
高血圧の原因として挙げられる最も大きな要因は、塩分の取りすぎを含む食事によるものです。
逆にいえば、血圧によい食事を摂ることで高血圧への予防になる可能性があります。
ここでは、食事に着目して高血圧の予防・改善につながるポイントを説明します。

塩分を1日6g未満にする

摂取する塩分の量を減らすことは血圧を下げるだけでなく、ほかの病気、例えば脳卒中・心疾患・腎臓病にもよい影響を及ぼす可能性があります。
他国に比べ日本人の食生活は特に食塩摂取量が多いと考えられます。普段の自分達の食事を見ても、味噌汁やお漬物など塩分をうまく利用したメニューが多いです。
そのため、逆に減塩による降圧効果が期待できます。高血圧の症状がある場合は、1日6g未満が目標です。
普段減塩を気にせずに食事を摂っている方にとっては、この数値は厳しいと感じるでしょう。いきなり急激な減塩をしてしまうと食事が美味しく感じないだけでなく、体調を崩すこともあります。
減塩をする場合は、少しずつ摂取量を落とすことが大切です。本態性高血圧患者さんの場合、食塩摂取量を1日1g減らすと、平均で1mmHg強の収縮期血圧の低下を期待できるという統計が出ています。
高血圧は急に発症するものではありませんので、幼少期から減塩を心がけた食生活にすると、加齢による血圧上昇のリスクを抑えられます。

野菜・果物・魚を積極的に摂る

野菜・果物・魚を積極的に摂る
日頃から野菜・果物・魚を摂る食事を心がけることも高血圧の予防には有効です。これらを上手に組み合わせることで、塩分を控えたメニューであってもしっかりと出汁が取れたり旨みが出たりして味をコントロールできます。
また、野菜・果物・大豆製品にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、腎臓から塩分を排泄しやすくする働きがありますので、体から塩分を取り除くという観点からも有効です。
また、カルシウムにも血圧を安定させる効果があることがわかっています。このように単に塩分を減らすだけでなく、さまざまな食材を組み合わせることで無理のない高血圧予防になります。

飽和脂肪酸の摂取を控える

飽和脂肪酸は、肉や乳製品などの動物性の食品に含まれる脂肪の1つです。
飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、心血管疾患のリスクが増えることがわかっています。そのことからも飽和脂肪酸の過剰摂取は、高血圧にも悪影響を及ぼす可能性があります。
飽和脂肪酸の摂取が増えると起きるのが、コレステロールレベルの上昇です。この状況は、動脈硬化や血管の炎症を引き起こす原因の1つです。
これにより、血管の狭窄や血圧上昇が生じます。栄養学から見ても、バランスのよい食事を摂るために、飽和脂肪酸の摂取はある程度制限することを推奨しています。
飽和脂肪酸の代わりに、オメガ−3脂肪酸のような不飽和脂肪酸を摂る食事がおすすめです。

食べ過ぎに注意する

食べ過ぎは高血圧に関係がなさそうに思えますが、実際は食べすぎにより肥満や体重の増加を引き起こします。
体重の増加は、血圧の上昇を促します。これは体重が増加することで心臓への負荷がかかり、血管の抵抗が上昇するためです。
また、食べ過ぎることで塩分を過剰に摂取してしまうことも考えられます。
高血圧を予防するための食事は、バランスの取れたものがよく、それに加え適度な運動でカロリーを消費するようにしましょう。

節酒する

節酒する
アルコールは、継続して一定量以上を飲むと高血圧のリスクを上げます。多量の飲酒は高血圧だけでなく、脳卒中・心筋症 ・心房細動・ 夜間睡眠時無呼吸などの原因になります。
そのため、飲酒をする場合は、適切な量で楽しむのがよいでしょう。一般男性でいえば、1日に日本酒1合・ビール中瓶1本・焼酎半合・ウイスキーやブランデーはダブルで1杯・ワイン2杯が適量といわれています。
飲み始めると多量になってしまうという方であれば、休肝日を決めるなどして、飲酒の機会を減らすのもよい方法です。

高血圧を予防・改善するための食事以外のポイント

高血圧を予防・改善するための食事以外のポイント
ここまで、食事を中心に高血圧を予防・改善する方法をご紹介しましたが、さらに食事以外のポイントを押さえることで高血圧のリスクを減らせます。
バランスのよい食事と共に、適度な運動・質のよい睡眠・禁煙などを上手に組み合わせることが大切です。

有酸素運動を行う

高血圧の方には、激しい運動は推奨できません。あまりにきつい運動をすると血圧が運動中に上昇してしまう可能性があります。
そのため、ある程度自分の体と相談しつつ少しずつ始めていくことが重要です。
特に、高血圧だけでなく、生活習慣病の予防を考えるのであれば、速歩・ステップ運動・スロージョギング・ランニングといった有酸素運動がおすすめです。
運動の強さは、最初は軽く始めて徐々に強度を上げていきますが、ややきつい程度にとどめて継続することに力を入れます。1回に行う時間は毎日30分以上、または週180分以上を目安にしましょう。
急に長時間の運動をするのではなく、短時間から徐々に慣らしていくことが大切です。また、体調が悪いときや天候が悪い中で無理に行うのはよくありません。
有酸素運動の補助的な運動として筋力トレーニングやストレッチを取り入れるのも有効です。

適正体重を維持する

適正体重を維持する
肥満であるかどうかの判断は、一般的にはBMIで判断します。BMIの算出は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ります。
BMIの正常範囲は18.5から25.0の間で、肥満といわれるのはBMIが25.0以上ですので、25.0未満を目指すのがよいでしょう。
適正体重は、標準体重の+20%を超えない範囲です。ここを維持するようにします。肥満対策は高血圧に非常に有効で、個人差はあるものの体重が3kgから4kg減少すると血圧の低下が期待できます。
肥満の原因の多くは、過食と運動不足ですので、摂取エネルギーを抑えて継続的な運動をするようにします。
高血圧が気になるからといって、急激に体重を落とすことはよくありません。体調不良の原因となり、リバウンドの可能性も高くなります。
時間をかけて少しずつ適性体重に近づけていくことが重要です。

質のよい睡眠をとる

どのような病気であれ、質のよい睡眠をとることは非常に重要です。睡眠不足は、短期でも長期でも高血圧のリスクを増やす可能性があります。
睡眠時間が不十分な場合は、交感神経が活性化したり、ストレスホルモンの分泌が増加したりして血圧が上昇する状況をつくりだします。
交感神経が活性化することで起きるのが睡眠時無呼吸症候群です。これは高血圧と密接に関係しているリスクです。
そのため、まずは質のよい睡眠を確保し高血圧の発症や悪化を防ぐようにすることが重要です。

禁煙する

喫煙が血管を収縮させる効果があるのはよく知られています。また、血管の壁を傷つけるので、動脈硬化の進行を早めることがあります。
高血圧の場合は、合併症をリスクとして意識しなければなりませんので、喫煙により合併症の危険がより高くなるのを避けるためにもできるだけ禁煙に挑戦しましょう。

編集部まとめ

高血圧 改善 まとめ
高血圧は、私たちにとっても非常に身近な症状です。普段から気にしている方も少なくありません。自宅で血圧測定をして記録をとることはもちろん、普段から塩分控えめの商品を購入することもあるでしょう。

しかし、大きなリスクがあることを認識していない方は多いのではないでしょうか。

高血圧の改善は長期間の対策になりますので、常日頃から予防・改善につながる活動をしていきましょう。

この記事の監修医師