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頭痛は吐き気を伴うと危険?考えられる病気や対処法も解説

 公開日:2024/02/09
頭痛は吐き気を伴うと危険?

頭痛はありふれた症状の一つであり、スマホのやりすぎや長時間同じ姿勢を取っていると発生します。そのため軽く見られがちですが、脳が体に異変が起きているサインを伝えている頭痛の場合見過ごすことは非常に危険です。

今回は吐き気を伴う頭痛は危険かどうかについて解説すると共に、どういった病気が考えられるかや対処法についても解説します。

頭痛に対して正しい認識を持ち、危険な兆候を見逃さないようにしましょう。

白水 寛理

監修医師
白水 寛理(医師)

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長崎大学医学部卒業。現在は九州大学大学院医学研究院脳神経外科所属。専門は脳神経外科。日本脳神経外科学会専門医・指導医。

頭痛は吐き気を伴うと危険?

頭痛は吐き気を伴うと危険
頭痛は体調不良においてありふれたものであり、同じような痛みでも原因が違う場合があります。そのため吐き気を伴う頭痛は、必ずしも危険な病気の前触れであると断言できません
普段経験しない頭痛が発生した場合は、どういった状況で頭痛が発生したかをメモなどで記録しておきましょう。そうすることで緊急性が高い頭痛であることが分かった場合、スムーズに症状を伝えられます。
日頃から体調の変化に気を付け、どういった不調かをきちんと把握することが病気の早期発見には重要です。

頭痛の種類

頭痛の種類
頭痛にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると二つに分類されます。明確な病巣はないが頭痛を繰り返す慢性頭痛の一次性頭痛と、もう一つは脳・頭部の症状が原因で発生する二次性頭痛です。
ここからは一次性頭痛と二次性頭痛にはどういった病気が含まれているかを詳しく解説します。頭痛の種類や痛みの方向性を理解することは、体調不良の訴えをするために重要です。

一次性頭痛

一次性頭痛は頭痛の原因となりうる疾患がなく、明確な病巣がほかに指摘できない頭痛を指します。どういった痛みが生じているかを問診などで確認した後、発作の原因が見当たらないのが一次性頭痛と診断される条件です。
一次性頭痛は音や光に過敏になる症状が付随する片頭痛や、動くこと・入浴することで痛みが和らぐ緊張性頭痛などがあげられます。
人によっては頭痛が出ても仕事や学業を行える軽いケースもありますが、寝込んでしまうケースもあるため痛みがひどい場合は病院に受診しましょう。

二次性頭痛

二次性頭痛は突発的に強い頭痛に襲われることが多いです。これらの頭痛は脳卒中(くも膜下出血、脳出血)で起こりやすく、最も注意が必要です。
このように二次性頭痛を引き起こす病気は危険なものが多く、早期治療できない場合重篤な状態になることも珍しくありません。人生で経験したことのない頭痛や、普段より痛みのピークが来るのが早い場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

吐き気を伴う頭痛で考えられる病気

吐き気を伴う頭痛で考えられる病気
吐き気を伴う頭痛が発生している場合、考えられるものは頭部に起因した病気です。ここからは吐き気を伴う頭痛で考えられる病気について解説します。
緊急性の高い病気から気づかずに放置すると一生残る障害を抱えてしまうものもあるため、強烈な頭痛と共にほかの症状も出た場合はまず二次性頭痛を疑いましょう。素早く治療を始めることが、今後の人生を左右します。

くも膜下出血

くも膜下出血はくも膜下腔(くもまくかくう)と呼ばれる部位へ出血して起こる病気で、その吐き気の原因は、出血により頭蓋内圧が亢進されることで起こるものです。
くも膜下腔が出血する原因として最も多いものは、脳動脈瘤と呼ばれる脳の動脈にできるこぶです。脳動脈瘤は基本的に出血するまで症状が出ないため発見が遅れることも珍しくありません。
また、親族にくも膜下出血や脳動脈瘤の多い方が脳ドックなどを受けると早期発見される場合がありますが、遺伝が原因で発症するとはいえません。
くも膜下出血は多く存在する家系があることは事実ですが、必ず遺伝するものではなく、遺伝に関係なく発生する例も多数あります。

脳出血

脳出血は脳に存在する血管のうち、細い動脈が出血したことで脳内に血種となり脳を圧迫する病気です。血種を生じた後に時間経過でむくみが生じ、頭痛・吐き気といった症状が出て脳に深刻なダメージが発生します。
脳出血が発生する原因として最も多いものは、高血圧です。
高血圧の場合、動脈硬化の進行、それに伴った血管の脆弱性と破綻が原因で出血を起こします。したがって、生活習慣の改善や専門的な治療で高血圧を改善するのが重要です。

髄膜炎

脳と脊髄を包んでいる膜である髄膜に炎症が起きる病気が髄膜炎です。真菌と呼ばれるカビの一種が原因で起こる真菌性髄膜炎・結核が起因となる結核性髄膜炎・何らかのウイルス感染が原因のウイルス性髄膜炎・肺炎球菌などが原因の細菌性髄膜炎があります。
髄膜炎の多くは頭痛と吐き気に留まらず、首の硬直や意識障害も発生するのが特徴です。治療が遅くなると後遺症が残る可能性があります。

巨細胞性動脈炎

巨細胞性動脈炎(きょさいぼうせいどうみゃくえん)は血管炎の一種であり、動脈閉塞を起こす自己免疫疾患の一種と考えられている病気です。過去は側頭動脈炎とも呼ばれていました。
男性より女性の発症者が多く、約1.7倍です。発症する年齢は主に50代以上であり、日本では発症する人は珍しいことがわかっています。
発生個所で症状が変わる特徴を持っており、首から頭で発症すると頭痛・吐き気・首の痛みといった症状が発生し、合併症を起こす可能性があります。
治療にはステロイド薬が主に使われ、再発する際は免疫抑制薬を併用します。

急性緑内障発作

緑内障の中でも、急激に眼圧が上昇することで発症する急性緑内障発作は頭痛・吐き気が同時に発生し失明の危険もある病気です。
頭痛・吐き気の症状からまず脳の病気が疑われることが多く、眼科の受診が後回しになり治療が遅れるケースが珍しくありません。
視神経が障害され、視野が欠ける症状が特徴です。頭痛・吐き気と同時に視野に異常を感じたら、眼科受診も選択肢に加えましょう。

緊急性が高い吐き気を伴う頭痛の症状

緊急性が高い吐き気を伴う頭痛の症状
強烈な頭痛が伴う場合、一次性頭痛の場合でも吐き気を伴うことは珍しくありません。慢性的な頭痛を持っている場合、緊急性が高い頭痛と慢性的な頭痛が混同し治療が遅れてしまいます。
そのため緊急性が高い吐き気を伴う頭痛がどういったものか、慢性的な頭痛の症状を持っている場合はきちんと把握しておくことが大切です。
ここからは緊急性が高い頭痛はどういったものか、解説します。日頃の頭痛と違うことをいち早く知ることが、後遺症や早期回復に重要なポイントとなるでしょう。

突然激しい痛みが起こった場合

一次性頭痛は痛みが慢性的であり波があることが多いです。そのため生活していると痛みに慣れ、多少支障が出るものの日常生活を送ることが可能な場合も多いでしょう。
二次性頭痛は痛み始めから痛みのピークに達する時間が短い場合や、痛みが引かずにどんどん強くなっていく場合が多いです。
痛みが突然襲ってきた・これまで経験してきた頭痛の中でも特に痛い、という二つの要素を持った頭痛は非常に危険です。人によっては体が動かしにくくなる場合もあるため、その場合は近くの人に救急車を呼んでもらいましょう。

めまい・ろれつが回らない症状を伴う場合

脳になんらかの異常が発生している場合、頭痛に加えてめまいやろれつが回らない症状が発生する場合があります。
めまいが発生している場合はくも膜下出血や髄膜炎など、ろれつが回らなくなる構音障害がある場合は脳梗塞や脳内出血などが考えられます。
また、めまいは三半規管などの耳が原因のものと脳が原因の二種類に分かれており、どういっためまいかを上手く説明することは適切な治療を行ううえで重要です。

慢性的な頭痛のタイプ

慢性的な頭痛のタイプ
一次性頭痛は二次性頭痛とは違い、数年以上続く慢性的な頭痛を指します。しかし人によっては一度頭痛が発症すると仕事を始めとした日常生活に負担が生じたり、酷い場合は動けなくなったりすることも珍しくありません。
ここからは一次性頭痛にはどういった種類があるのかについて解説していきます。治療や生活習慣の改善が、一次性頭痛の痛みを和らげるには重要です。
生活に支障がないからと放置せず、きちんと治療することが結果として大きな病を見落とさないことに繋がります。

片頭痛

片頭痛はさまざまな年代で多く確認される頭痛です。ホルモンバランスの乱れが原因になることがあるため、成人後は男性と比べて女性の発症率が高くなります。
ストレスなどが原因で痛みを感じる神経である三叉神経が刺激され、血管を拡張する物質が放出されることで発生する炎症が原因とされていますが、まだ完全に解明はなされていません。
片頭痛は食事・睡眠を始めとした生活習慣を改善することが、頭痛の頻度や程度を抑えるために効果的です。アルコールやチョコレートといった、特定の食品を摂取することが痛みの引き金になる場合もあります。
また強い光や音によるストレスが原因の場合もあるため、どういった状況で片頭痛が起きたかを把握することは予防に重要です。

緊張型頭痛

緊張型頭痛
一次性頭痛の中で最も発生率が高い病気である緊張型頭痛は、肩・首のこりや精神的なストレスが原因で発症します。精神的なストレスの増加や同じ姿勢を長時間取っていると、首の後ろから頭にかけて圧迫されるような痛みが生じるのが特徴です。
そのため姿勢を変えずに同じ動作を行う、下を向いている姿勢を長時間続けるのは緊張型頭痛が発生しやすくなる条件となります。
緊張型頭痛を抑えるためには同じ姿勢での作業を避けることや、適度な運動をすることで血流の改善を行いましょう。
また生活習慣を変えずに痛み止めに頼りすぎると、痛み止めの効きが悪くなってしまいます。慢性的に痛みを伴う場合、痛み止めに頼りすぎずに生活習慣を改善することが重要です。

群発頭痛

群発頭痛は一次性頭痛の中でも特に痛みが強い頭痛で、日常生活にも大きな悪影響を与えます。痛みが数十分~数時間の強烈な頭痛が1~2ヶ月続く群発期と、痛みが続かない寛解期に分かれているのが特徴です。
男性の発症が非常に多い病気で、基本的に痛みを和らげるのが対処法です。群発期は季節の変わり目や気圧の変化によって誘引されることがあるため、どういった状況で頭痛が発生するかや予兆を自身で把握しましょう。

吐き気を伴う頭痛が起こった場合の対処法

吐き気を伴う頭痛が起こった場合の対処法
ここからは吐き気を伴う頭痛が起きた場合、どう対処するべきかを解説します。
今起こっている症状が「いつもと比べて同じか・違うか」または「突然おこった急激な変化であるか」が受診の重要なポイントです。
片頭痛・緊張型頭痛の場合、生活習慣の見直しなどで痛みを軽減できるため対処法をきちんと理解し痛みを和らげましょう。

市販薬を服用する

市販薬を服用する
ロキソニンやカロナールといった市販薬は、頭痛の原因となる炎症を抑える効果や頭痛を和らげる効果があります。
注意点として市販薬や病院から処方された薬を長期に渡って飲んでいる場合、薬剤の効果による薬物乱用性頭痛(薬物濫用性頭痛)が発生する危険性があります。
この薬物乱用性頭痛(薬物濫用性頭痛)はどの薬をどのくらいの頻度で内服しているかによって程度は異なってきます。
薬は緊急時や痛みが来る兆候を察したときに服用するように留めることが、薬による頭痛を引き起こさないために重要です。

規則正しい生活をする

規則正しい生活をする
一次性頭痛・二次性頭痛はどちらも生活習慣により、発症するリスクが高まります。そのため生活習慣の見直しは頭痛に対して効果的です。
具体的には食生活の改善や睡眠時間の確保、定期的な運動などがあげられます。
定期的な運動を行い首や肩の筋肉を刺激することは、緊張性頭痛の予防に効果的です。また運動を行うことはストレスの発散にもつながるため、定期的に行うようにしましょう。

アルコールを控える

アルコールを控える
アルコール類は血管を拡張させる効果があるほか、おつまみなどで塩分や油分の多い食品を食べる頻度も高くなるため頭痛を誘発する原因になります。
更にアルコールを体内で分解するときに発生するアセトアルデヒドが体内に残ってしまうと、頭痛や吐き気をもよおすなど人体に与える影響は大きいです。
そのため頻繁に頭痛に悩まされていたり高血圧が気になったりする人は、アルコールを控える必要があります。特に赤ワインは上記の症状を誘発するため、注意が必要です。

編集部まとめ

まとめ
頭痛はさまざまな原因から発生しますが、見過ごすと危険な頭痛も多く存在します。普段の生活から頭痛の発生を抑制し、痛みからのサインに鈍感にならないようにしましょう。

痛み止めを使用すると、とりあえず辛い痛みから逃れられます。しかし根本的な治療や頭痛の原因を取り除かないと、今度は薬が頭痛の原因になるため取り扱いは危険です。

頭痛が慢性化の自覚をしている場合や、これまで感じたことがない頭痛が発生した際には出来るだけ早く医療機関を受診し診断を受けましょう。

この記事の監修医師