目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 医科コンテンツ
  4. 胃カメラは痛い?痛みの理由や楽に受けるコツを解説

胃カメラは痛い?痛みの理由や楽に受けるコツを解説

 公開日:2024/02/06
胃カメラは痛い?痛みの理由や楽に受けるコツを解説

胃の不調が続くと胃カメラの検査を受ける方は多いかもしれません。不調を感じなくても、年齢によっては健康診断や人間ドッグの健診項目に含まれている場合もあります。

胃カメラは胃の様子をしっかりと観察できるので、病気や不調の原因を見つけやすい検査方法です。

しかし、胃カメラは痛いのではないかと、不安を覚える方がいるかもしれません。

本記事では胃カメラが痛いのかどうかについて、痛みが出る理由や楽に受けるコツとあわせて解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胃カメラは痛い?

胃カメラは痛い?
胃の検査を行う方法としては胃カメラバリウム検査がありますが、胃カメラバリウム検査よりも胃の状態を詳細に観察できる検査方法です。
また胃カメラは胃の状態を観察するだけでなく、食道や十二指腸など他の臓器も検査できる方法です。胃カメラはポリープ・炎症・癌などが発症していないかを検査するのに有効とされています。
胃カメラ経口内視鏡経鼻内視鏡の2種類の検査器具があり、いずれも先端に小さなカメラが付いたスコープを、口もしくは鼻から挿入していきます。
胃カメラの検査は胃に不調がなくても、一般的には40歳以上であれば、健康診断や人間ドッグなどで年に1回は検査を受ける方もいるでしょう。
健診などではバリウム胃カメラか選択できるケースが多く、胃カメラを選択する方は胃の状態を詳細に検査したいという方もいれば、バリウム検査を避けたいという理由の方もいるようです。
しかし、いざ胃カメラを選択しようとしても、検査器具を口や鼻から入れるのは痛いのではないかという懸念があるかもしれません。
実際のところ、口からの胃カメラは痛みを感じるケースが多いようです。また、痛みというよりも苦しさを感じる場合があるようです。
このように、胃カメラは痛みを全く感じない検査とはいえないでしょう。しかし、痛みの感じ方は個人差があるので、痛くないと感じる方もいるようです。
胃カメラの検査では痛みを軽減するために、麻酔を使用することもあります。とはいえ、口もしくは鼻の中に小型とはいえカメラが付いた器具を入れるので、異物感を覚えるのは自然なことです。

胃カメラの痛みの理由

胃カメラの痛みの理由
胃カメラが痛いといわれるのはなぜなのでしょうか。胃カメラ経口と経鼻の2種類があり、そのどちらも痛みを感じるのか気になるところです。
ここでは胃カメラで痛みが生じてしまう理由を説明していきます。

内視鏡スコープが喉を通過するときに痛みがある

胃カメラで痛みを感じるのは、主に経口内視鏡が多いようです。検査を受ける病院にもよりますが、一般的に経口内視鏡のスコープは8〜9mm程度の太さです。
カメラの小型化やスコープも可能な限り細くなっているとはいえ、喉を通過する際にスコープが当たってしまうと、痛みを感じる場合があります。
また、痛みの捉え方には個人差があるので、器具が喉を通過する際の異物感を痛みと捉える方もいるようです。
経口内視鏡は喉が弱い方や異物感に敏感な方にとっては、どうしても痛みを感じる検査となってしまいます。

嘔吐反射による苦痛を感じる場合がある

経口内視鏡は痛みよりも、どちらかというと苦痛を感じる方のほうが多いかもしれません。これは特に嘔吐反射が強く出るタイプの方に見られる傾向です。
嘔吐反射とは、たとえば歯磨きや喉の検査を行う際に、喉の奥や舌の付け根に歯ブラシや検査の器具が当たってしまうと吐き気を催すことがあります。その現象が嘔吐反射です。
経口内視鏡のスコープが喉を通過する際に敏感な方は、嘔吐反射が出やすくなります。そのため、吐き気を感じて苦しくなり、胃カメラに対して痛みを感じる原因にもなっているのです。

鼻からの胃カメラは痛みを感じにくい

反対に、鼻からの経鼻内視鏡は痛みを感じにくい検査方法です。経鼻内視鏡のスコープは一般的に5〜6mm程度の太さで経口内視鏡よりも細く、カメラも経口に比べると小型タイプのものが付いています。
経鼻内視鏡検査は、舌のつけ根を通らず、喉に触れないので、嘔吐反射が起こりにくいです。
喉が敏感な方にとって経鼻は喉を通過しないので経口と比べると痛みを感じにくく、嘔吐反射が出ないので、苦痛が軽減される検査方法として選択されています。

胃カメラを鼻から行うメリット・デメリット

胃カメラを鼻から行うメリット・デメリット
痛みに弱かったり喉の反射が敏感だったりする方にとっては、痛みの少ない検査方法を選択したいと思われるのは自然なことです。
胃カメラでは鼻から行う経鼻内視鏡での検査のほうが痛みが少ないとされています。
しかしその理由だけで、胃カメラを選択しても良いのかと思う方がいるかもしません。他にもメリットはあるのか、またデメリットはないのか確認しておくのは大切なことでしょう。
ここでは胃カメラを鼻から行うメリットとデメリットを紹介します。

検査時の痛みが少ない

胃カメラ検査を鼻から行う一番のメリットは、痛みが少ないことが挙げられます。
痛みの感じ方には個人差があるため、全く痛みがないとはいい切れませんが、口から行うよりも痛みは感じにくいです。
また人によっては鼻へのスプレー形式の局所麻酔も行います。この麻酔は体への負担が少ないことが特徴です。

嘔吐反射が起こりにくい

嘔吐反射が起こりにくいことも、大きなメリットといえるでしょう。
また鼻からの胃カメラを選択する理由として、痛みはあまり感じないけれど、嘔吐反射が起こってしまうのが辛いという方がいるかもしれません。
嘔吐反射は生理現象なので、特に喉が敏感な方にとっては避けることが難しい現象でしょう。
鼻から胃カメラを通せば喉を通過しないので、嘔吐反射は起こりにくいです。

検査中に会話できる

鼻から内視鏡スコープを通すので、検査中に会話できるのがメリットです。検査モニターも見られるので、疑問点などはその場で確認できます。
また鼻からの胃カメラは麻酔を使用しなかったり、使用したとしても鎮静剤無しの局所麻酔だったりすることが多いので、検査中も意識をはっきりと保てます。
検査中にタイムリーに会話をされたい方やご自身の胃の状態をしっかりと観察されたい方は鼻からの胃カメラが良いでしょう。

カメラの解像度が低い

鼻からの胃カメラはスコープの太さが口からに比べて細く、カメラ自体も小さいです。
そのため、どうしてもカメラの解像度や処理能力という点で、口からの検査よりも見えにくい場合があります。
精密な検査が必要な場合はカメラの解像度という点から、鼻からの胃カメラが選択できないケースが起こりえます。

鼻の疾患がある場合には不向き

鼻からの胃カメラ検査は誰もが受けられるわけではありません。
鼻腔がスコープよりも狭い方・鼻血が出やすい方・副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎といった鼻に疾患がある方には不向きなので、口からの検査に切り替わる可能性が高いでしょう。
また上記のような懸念がない方でも、鼻腔内には多くの血管があるので、多少の鼻血が出ることもあります。しかし出血しても、ほとんどの場合がすぐに止まることが多いです。

胃カメラを口から行うメリット・デメリット

胃カメラを口から行うメリット・デメリット
胃カメラを口から行うメリットやデメリットには、どのようなものがあるのか気になるところです。痛みや苦痛という点においては、鼻から行う検査のほうがメリットは多いように思われるでしょう。
しかし、口から検査を行わなければならないケースが出てくるかもしれません。そのようなときに備えて、口から行うメリットとデメリットを把握しておくと安心でしょう。
ここからは胃カメラを口から行うメリットとデメリットについて説明します。

より詳細に検査できる

口からの胃カメラは、鼻からの胃カメラと比べてカメラの解像度が鮮明であるので、詳細に観察できます。
鼻からの胃カメラはスコープが細いため、どうしてもカメラの視野が狭くなってしまいがちです。鼻から検査をしても、解像度が低く胃の状態を十分観察できない場合は、口からの胃カメラで再検査を行うこともあります。
特に癌の疑いがあり精密検査が必要な場合は、最初から口から検査が行われることが多いです。

ほかの処置も同時に行える

口からの胃カメラの場合はカメラの解像度が良いことに加え、画質を拡大して観察できます。
検査中に気になる部位を発見すると詳細に観察できるだけでなく、病変が見つかるとすぐに組織を採取して病理検査へ回せるのです。
このようにほかの処置が行えることは病気を早期発見でき、重症化を防ぐ役目も果たしています。

検査時に苦痛を感じやすい

検査時に苦痛を感じやすい
口からの胃カメラは鼻からの胃カメラに比べるとスコープが若干太く、多少なりとも異物感は避けられないでしょう。
また嘔吐反射が出やすい方にとっては、舌の根元や喉にスコープが当たると、苦痛を感じやすいという点がデメリットとして挙げられることが多いです。
痛みとして感じるのか、苦しさとして感じるのかは個人差がありますが、スコープが喉を通過する際の異物感は避けられない現象です。

麻酔を使用する場合は検査後の行動が制限される

麻酔を使用する場合は検査後の行動が制限される
口からの胃カメラは苦痛を和らげるために、麻酔を使用する方のほうが多いかもしれません。また、人によっては麻酔だけでなく鎮静剤を使用する場合もあります。
麻酔や鎮静剤の使用は検査によるストレスが緩和されますが、検査後の行動が制限されるので注意が必要です。検査後に喉の麻酔が切れても、その後1時間程度は飲食や喫煙を控えることになります。
さらに鎮静剤を使用した場合は、眠気が強くなるので、眠気がなくなるまで大体30〜1時間程度病院で休むことになります。
検査当日の車・バイク・自転車の運転は禁止されているので、検査日の移動手段を確保する必要が出てくるでしょう。また、危険を伴う作業や重要事項の決断などは避けることをおすすめします。

胃カメラ検査を楽に受けるコツ

胃カメラ検査を楽に受けるコツ
胃カメラ検査は経口内視鏡であっても経鼻内視鏡であっても、器具を体内に入れるので、痛みや苦痛に強い方でも多少の異物感を覚えるのは避けられないでしょう。
胃カメラ検査の負担が少しでも軽くなるようなコツがあれば、安心して検査に臨めるでしょう。ここからは検査を楽に受けるコツを具体的に紹介します。

体の力を抜く

胃カメラは苦しい」とかまえてしまい、体に力が入ってしまう方が多いかもしれません。経口内視鏡で検査を受ける方は体に力が入った状態ですと、スコープのスムーズな挿入の妨げになってしまいます。
体の力を抜いて検査を受けることをおすすめします。特に肩・首・喉の力を抜くと良いでしょう。
体の力を抜くのが難しいようでしたら、ゆっくりとした腹式呼吸のような深い呼吸を意識してみてください。
唾液が口から出るのが気になる方がいるかもしれませんが、気にせずに流れ出るままにさせ、リラックスして受けることを一番に考えましょう。
また、胃カメラの異物感に気が向いてしまうと苦痛を感じやすくなってしまうでしょう。その場合は胃カメラのモニターを見たり、医師の説明を聞いたりすることで、気が紛れるようになります。

麻酔を使用する

麻酔を使用する
胃カメラの苦痛を軽減するために、麻酔は有効な手段として使われています。経口内視鏡はもちろんのこと経鼻内視鏡も麻酔が可能です。
麻酔の使用でスコープの痛みや嘔吐反射が和らぐので、痛みなどに弱い方は使用することで肉体的にも精神的にも負担が軽減されるでしょう。
さらに経口内視鏡の場合は、鎮静剤を使用するケースもあります。麻酔は痛みを感じにくくさせますが、異物感は多少なりとも残ってしまいます。
異物感が気になる方や麻酔では痛みの緩和が実感できなかった方は、鎮静剤で眠気を強くすることで、検査時のストレスが軽減されるでしょう。
麻酔や鎮静剤の影響が気になる方がいるかもしれませんが、年齢・体重・基礎疾患に応じて分量が決められるので、心配はいりません。
痛みや苦痛に弱い方は、麻酔や鎮静剤の使用をあらかじめ相談することで、胃カメラの検査を楽に受けられるでしょう。

胃カメラ検査の流れ

胃カメラ検査の流れ
胃カメラ検査の流れを事前に把握しておけば、検査当日はリラックスして受けられるかもしれません。
また流れを確認しておくと、不明な点を事前に問い合わせられるので、不安を覚えずに済むでしょう。
胃カメラ検査の流れは、一般的に次のとおりです。

  • 胃の中をきれいにする薬を飲む
  • 希望者は麻酔(経口・経鼻)
  • 検査台の上に横たわり、経口の場合はマウスピースを咥える(希望者は鎮静剤を打つ)
  • 内視鏡スコープを口もしくは鼻から挿入

検査前日は20時頃までに夕食を済ませます。検査当日は朝から絶食で、水分はコップ1杯程度の水を飲むことが可能です。
経鼻の場合は、麻酔のタイミングで鼻の粘膜のむくみを取る薬を使用します。検査自体は5〜10分程度で終わりますが、麻酔や鎮静剤を打った場合は、薬が切れるまで30分〜1時間程度病院で休みます。
一般的な検査の流れや検査前日の過ごし方は、口からでも鼻からでも違いはほとんどありません。
当日は、使用する薬や検査の流れについて事前に説明が行われます。少しでも疑問に思うことは、質問すると良いでしょう。

編集部まとめ

指を立てて笑顔な女性
ここまで胃カメラが痛い理由について解説しました。

胃カメラ検査で痛み・苦しさ・異物感を覚えるのは個人差があるものの、検査器具を体内に入れるという性質上、痛みなどを完全になくすというのは難しいことかもしれません。

しかし痛みを軽減させる検査方法を選択したり、麻酔を使用したりするなど、検査を楽に受けるコツはあります。

胃カメラ病気の早期発見や健康状態を確認するうえで、必要な検査方法です。

胃カメラの検査に不安を感じる方は少しでも楽に受けられるよう、本記事を参考にしてみてください。

この記事の監修医師