下肢静脈瘤の初期症状は?どんな人がなる?特徴や原因、4つの治療方法を解説
下肢静脈瘤は、見た目でわかる大きなコブ以外にも初期症状が出ることがあります。
脚に大きな静脈瘤ができてしまうと、見た目が悪くなり、患者さんにとっては深い悩みとなるケースが少なくありません。
下肢静脈瘤になりやすい方の特徴や初期症状を把握して、早期発見ができれば大きなコブができる前に治療することができるでしょう。
この記事では、下肢静脈瘤の早期発見につながる初期症状や、主な治療方法を解説します。
監修医師:
大谷 慎一(かぬまだいけやきクリニック)
目次 -INDEX-
下肢静脈瘤とは?
下肢静脈瘤とは、全身の血液を心臓に戻す静脈に血液が滞留して、コブのように膨らんでしまう症状です。
心臓から勢いよく血液が送り出される動脈と違い、静脈の流れはゆっくりで、逆流防止の弁が付いています。この弁が正常に働かず、血液が静脈内で逆流して滞留するのが静脈瘤です。
二足歩行する人間は、重力によって血液が溜まりやすい下半身に静脈瘤が起こりやすく、下半身にできる静脈瘤を下肢静脈瘤と呼びます。
下肢静脈瘤の主な特徴について、詳しく解説します。
下肢静脈瘤の特徴や原因
下肢静脈瘤は、皮膚のすぐ近くにある表在静脈で起こりやすく、患者さん自身が見た目で気付くことも少なくありません。
大きなコブのようになる場合や、網目状に皮膚が膨らむ場合などがあり、見た目を気にして受診する方がほとんどです。
下肢静脈瘤が重大な疾患につながることは稀で、治療が必要ないこともあります。
静脈瘤ができる原因は、静脈内の逆流防止弁が何らかの理由で壊れてしまい、静脈内での逆流が起こるためです。男性よりも女性の患者さんが2~3倍多く、妊娠や運動不足が下肢静脈瘤のリスクを高める要因のひとつといわれています。
季節によって症状が変わるため冬は気付きにくいことも
下肢静脈瘤は、症状が季節によって変わるという特徴があります。
夏場は熱を放出するために全身の血管が拡張し、静脈も広がって逆流が起こりやすくなります。また、汗による脱水で血液がドロドロになり、滞留が起こりやすいのも下肢静脈瘤のリスクとなります。
このため、夏場は下肢静脈瘤による痛みや脚のだるさが悪化しやすい季節といえます。
反対に、冬は全身の血管が収縮して発汗量が減るため、下肢静脈瘤の症状が軽くなるケースが少なくありません。下肢静脈瘤が生じていても冬場は気付かないことがあるため注意が必要です。
下肢静脈瘤の初期症状
下肢静脈瘤は、脚に特徴的なコブが浮き出て、見た目を気にされる患者さんが少なくありません。大きな静脈瘤ができるのは症状がある程度進行してからで、その前に初期症状が現れることがあります。
早期に治療すれば、大きな静脈瘤ができるのを防げる可能性が高くなります。脚の不調で受診して下肢静脈瘤だと診断される場合もあるため、以下のような症状がある場合には、早めに受診しましょう。
脚が重い
下肢静脈瘤では、脚に血液が滞留して血流が悪くなっているため、脚が重いと感じることがあります。これは溜まった血液の重さだけでなく、血流の悪化によって筋肉が動きづらくなっていることが原因です。
脚を上げて階段を登る際に重く感じたり、歩いていてつまづきやすいなどの症状で気付く場合があります。
脚が痛い
下肢静脈瘤が大きくなって周りの神経を圧迫すると、痛みを感じるようになります。膝や股関節などの関節痛とは違い、筋肉が張って皮膚が伸ばされる痛みや、筋肉が炎症を起こして筋肉痛のような痛みとなるケースも少なくありません。
脚がむくむ
下肢静脈瘤は血液の滞留が原因であるため、ふくらはぎのむくみも一緒に起こることが少なくありません。タイトなズボンやブーツが脱ぎにくかったり、靴下の跡がくっきりと付いたりするのが、むくみの目安です。
重度のむくみは全身の血流悪化につながるため、生活習慣や運動習慣の見直しが必要です。
脚がつる
脚がつるのは、水分不足やミネラル不足によって筋肉が異常な収縮を起こし、もとに戻らなくなるためです。
下肢静脈瘤があると、脚の血流が悪化し、水分やミネラルが筋肉に供給されにくくなってしまいます。運動時や睡眠時に脚がつりやすくなり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
脚が疲れやすい
下肢静脈瘤は脚の血流悪化が原因のひとつであり、血流が悪いと筋肉に栄養や酸素が供給されにくくなります。このため、少しの運動で疲れやすくなったり、身体が重いと感じたりすることがあります。
運動習慣をつけようと思っても、すぐに疲れて運動が続かなくなってしまう方は少なくありません。このような場合には、まず下肢静脈瘤を治療した方がよいでしょう。
脚の皮膚に変色やかゆみがある
下肢静脈瘤の患者さんにとって、特に気になる症状が見た目の変化です。脚に大きなコブのような膨らみができたり、青黒く変色したりして、見た目を気にされる患者さんが少なくありません。また、膨らんだ部分がかゆくなることもあります。
下肢静脈瘤になりやすい方の特徴
下肢静脈瘤になりやすい方の特徴として、主に以下のようなリスク因子があります。
- 運動不足
- 加齢による筋肉の減少
- 妊娠・肥満による腹圧の上昇
- 立ちっぱなしであまり動かない仕事
下肢静脈瘤の原因は、下半身の血流悪化による血液の滞留で、下半身の血流にはふくらはぎの筋力が強く関わっています。脚に溜まった血液を重力に逆らって心臓に戻すには、ふくらはぎの筋力が大切です。運動不足や加齢によってふくらはぎの筋力が弱まると、下肢静脈瘤のリスクが高まります。
また、妊娠や肥満によって腹圧が上昇すると、静脈への負担が高まり、逆流防止弁が壊れる原因になります。
ほかにも、立ちっぱなしであまり動かない仕事をしている方は、慢性的に下半身に血液が滞留しやすくなります。長時間立っている場合には、定期的にかかと上げや屈伸運動をして、血流をよくすることを意識しましょう。
下肢静脈瘤の4つの治療方法
下肢静脈瘤は治療が必要ないこともありますが、症状が辛い場合や見た目が気になる場合には、心臓血管外科で治療を行います。長時間の立ち仕事や運動不足など、日常生活に原因がある場合には、まずはそちらの改善が必要です。そのうえで、なるべく身体に負担の少ない治療法を優先的に選択し、必要に応じて手術を行うこともあります。病院で行う下肢静脈瘤の治療方法は、主に以下の4つです。
圧迫療法(弾性ストッキング)
圧迫療法とは、一般的なストッキングよりも強い圧迫力を持った医療用ストッキングを着用し、ふくらはぎを圧迫し続ける治療法です。ふくらはぎの筋肉が血液を心臓に送り返す働きをサポートし、下半身のむくみを予防します。
下肢静脈瘤の根本的な治療方法ではありませんが、症状の進行予防には有効で、身体への負担が少ないのがメリットです。後述の手術療法を行った後に、再発予防で用いられることもあります。
下肢静脈瘤の診察は保険適用となりますが、弾性ストッキングの購入は全額自費となります。一般的な医療用弾性ストッキングの値段は、1足あたり1,000~2,000円(税込)程です。
硬化療法
硬化療法とは、静脈を固める薬剤を注入して、静脈瘤ができた部分を封鎖する治療法です。静脈は複雑に枝分かれしており、一部が閉じてもほかの血管に迂回できるので、血流に問題が起こることは稀です。
詰まった血管への血液流入を止めて、正常な静脈に流れるようにするので、静脈瘤は目立たなくなります。細い静脈瘤に有効な治療法です。
高周波アブレーションカテーテル治療
高周波アブレーションカテーテル治療とは、静脈内にカテーテルを挿入して、超音波による熱で静脈を焼き固める治療法です。
静脈瘤ができた部分への血流を止めて、ほかの血管に迂回させることで静脈瘤を消失させます。服薬による硬化療法では効果が見込めない、大きな静脈瘤に対して有効な治療法です。
手術は局所麻酔で行い、カテーテルを差し込む小さな穴を開けるだけで、20~30分で終了します。術後の痛みや出血も起こりづらく、日帰り手術(※)が可能です。
(※)術前の検査、術後の経過観察が必要です。
ストリッピング手術
ストリッピング手術とは、脚の付け根と膝裏の2箇所に穴を開けて静脈内にワイヤーを挿入し、ワイヤーごと静脈を引き抜く治療法です。血液が滞留している静脈を大きく切除するため、再発率が低いのがメリットです。
2箇所の切開が必要になるため、高周波アブレーションカテーテル治療よりも手術時間は長くなりますが、術後の痛みや出血はほとんどありません。
下肢静脈瘤でお困りならかぬまだいけやきクリニックにご相談を
ここまで、下肢静脈瘤の初期症状や治療方法を解説してきました。
下肢静脈瘤は脚に大きなコブや網目状の膨らみができることで、見た目の問題などで辛い思いをされることも少なくありません。脚のむくみ・痛み・疲れやすさなどを感じている方は、大きなコブができてしまう前に、一度検査をされてはいかがでしょうか。
相模原・町田地区で下肢静脈瘤の診断に力を入れている、かぬまだいけやきクリニックを紹介します。
下肢静脈瘤の相談が可能な足のむくみ外来を設置
かぬまだいけやきクリニックは、2023年4月より足のむくみ外来を設置し、下肢静脈瘤の診察・治療を行う診療枠を週4日設けています。
血管や心臓の診察を行う循環器内科や心臓血管外科を設置し、重大な病気の兆候も見逃しません。
下肢静脈瘤の治療だけでなく、足のむくみが大きな病気の兆候でないか不安な方も、まずはかぬまだいけやきクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
下肢静脈瘤血管内焼灼術(ラジオ波)の実施施設
かぬまだいけやきクリニックは、下肢静脈瘤血管内焼灼術(ラジオ波)の実施施設です。
高周波アブレーションカテーテル治療により、大きな静脈瘤も身体への負担をできる限り抑えた手術によって治療できます。
日帰り手術が可能で、術後の痛みや出血も少ないため、仕事や学業が忙しい方でも治療を受けやすいでしょう。
体調の不安を幅広く相談できる地域のかかりつけ医
かぬまだいけやきクリニックは、内科・循環器内科だけでなく、禁煙外来や睡眠時無呼吸外来を設置し、体調の不安に幅広く対応しています。
下肢静脈瘤は運動不足や生活習慣が原因となることが多く、ほかの重大な病気の兆候であるケースも少なくありません。かぬまだいけやきクリニックは下肢静脈瘤の早期発見・治療に力を入れており、高血圧症や動脈硬化などの生活習慣病予防に努めています。
見た目の問題だけでなく、将来的な健康を守るためにも、気になる症状は早めに受診しましょう。
かぬまだいけやきクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・治療期間
JR横浜線 淵野辺駅徒歩7分
神奈川県相模原市中央区鹿沼台2丁目18-6大谷第1ビル 3F
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~12:00 | ●*4 | ●*2*4 | ●*3*4 | ●*5 | ●*2 | ●*2 | - | - |
13:00~17:00 | ●*4 | ●*2 | ●*2*4 | ●*1 | ● | ●*1*2 | - | - |
*1:小児の診療
*2:下肢静脈瘤の診察
*3:形成外科・美容皮膚科の診察(完全予約制)
*4:循環器内科の診察
*5:リウマチの診察
【費用(税込)】
レーザー手術(下肢静脈瘤血管内焼灼術):14,000〜41,000円
下肢静脈瘤治療 硬化療法:5,000〜15,000円
下肢静脈瘤治療 高位結紮術:4,000〜11,000円
下肢静脈瘤治療ストリッピング:12,000〜35,000円
高周波カテーテル治療(ラジオ波による血管内焼灼術):14,000〜41,000円
下肢静脈瘤血管内塞栓術(医療用接着剤による血管治療):54,000〜18,000円
【治療期間】2週間から1ヶ月(治療法による)
【治療回数】4回