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うつ病の初期症状は?原因・なりやすい人・受診のタイミング・治療方法について解説します

 公開日:2024/03/01
うつ病初期症状

うつ病は精神疾患のなかでも、誰でもかかりやすい病気とされています。

最近の調査では15人に1人がかかると判明しています。 

職場・学校・家族といった身近な環境でも、うつ病で悩まれている方が増えてきているかもしれません。

身近になってきたとはいえ、うつ病がどのような病気なのか実態をつかめていない方がほとんどではないでしょうか。

また気が付かないうちに、ご自身がうつ病にかかっている可能性があるかもしれません。

本記事ではうつ病の初期症状がどのようなものか解説します。あわせてうつ病の原因・なりやすい方の特徴・受診のタイミング・治療方法なども紹介します。

大迫 鑑顕

監修医師
大迫 鑑顕(医師)

プロフィールをもっと見る
2014年千葉大学医学部卒業 / 2016年千葉大学医学部附属病院 精神神経科 / 2017年袖ヶ浦さつき台病院 心療内科・精神科 / 2019年総合病院国保旭中央病院 神経精神科 / 2020年国際医療福祉大学 医学部精神医学 / 成田病院 精神科 助教 / 2021年千葉大学大学院医学研究院 精神医学教室 特任助教(兼任) / 2023年Bellvitge University Hospital (Barcelona, Spain) /
<主な研究領域> 精神医学(摂食障害、せん妄)

うつ病の初期症状は

うつ病の初期症状は
「うつ病ではないだろうか」という心当たりがあるかもしれませんが、「たまたまかもしれないし自分は違うだろう」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、初期症状のサインを見逃していただけで、自覚がないまま実はうつ病にかかり始めていたケースもあります。
うつ病の初期症状がどのような症状かわかっていれば、その後適切な行動に移しやすいでしょう。
ここではうつ病の初期症状について説明します。

趣味を楽しめなくなる

うつ病の初期症状として、これまで楽しんできた趣味に対する興味や関心が薄れ、楽しめなくなることが挙げられます。
新たな趣味ができて飽きてしまったり明確な理由があって趣味をやめたりするのではなく、その趣味を行うことが億劫になると、うつ病の初期症状として疑ってもよいでしょう。
また趣味に限らず、何か行動をすることに興味が持てず、活動する気力が失せる状態も当てはまります。

マイナス思考になる

人から言われた何気ない一言や仕事を完璧にこなせなかったなど、通常であればあまり気にならない出来事でも、うつ病の初期段階に入るとマイナスにとらえてしまうことが多くなります。
周りから見れば十分できていることでも、些細な点が気になり失敗してしまうなどマイナス思考に陥りやすくなります。
また、何か問題が起きたときに自分の責任と思い込んでしまうことも、うつ病の初期症状で見受けられるケースです。

食べ物をおいしく感じなくなる

食欲が落ちたり、食べ物をおいしくないと感じたりするのも、初期症状の一つです。
これまでの好物の食べ物でさえ、味気なく感じるようになることが多いようです。
また、食欲が低下することにより体重が減り始めることも、うつ病の初期症状として挙げられています。

気分が落ち込む

気分が落ち込む
気分が落ち込みやすくなることでうつ病ではないかと気付き始める方は多いかもしれません。
ふさぎこんだり、理由もなく悲しくなることが増えてきたりするのは、うつ病の初期段階に差しかかっています。
また、願望や将来に対しての明るいビジョンを持てなくなることもあるでしょう。

眠れなくなる

眠れなくなる
眠れなくなることも、うつ病の初期症状として挙げられます。
また眠れなくなる以外にも、寝つきが悪くなる・夜中に目が覚める・悪夢を見るなどの症状が現れ始めると、うつ病を疑ってもよいでしょう。
逆に、睡眠時間が過度に長くなったり、昼間寝ることが増えたりする場合も初期症状に当てはまるケースが多いです。

涙もろくなる

理由もなく突然涙が出たり、涙もろくなったりすることも、うつ病の初期段階の特徴として挙げられます。
また些細な出来事や言動を重くとらえてしまう傾向が出てくるので、傷つきやすく涙もろくなるケースがあるようです。

うつ病の原因

 
うつ病の原因
うつ病はなぜ発症するのでしょうか。同じような条件や状況であっても、うつ病にかかる方とかからない方がいます。
うつ病にかかると「なぜ自分はうつ病にかかったのだろう」とさらに悩みこんでしまうでしょう。
どのようなことがきっかけでうつ病にかかるのかわかれば、悩みが多少軽減されるかもしれません。
ここからは、うつ病にかかる原因を解説します。

心理的ストレス

うつ病の原因でまず挙げられるのが、心理的ストレスです。心理的ストレスはさまざまな要因で発生し、また抱え込みやすいストレスともいえるでしょう。
人間関係のトラブル・経済状況の悪化・ライフイベントによる心労・仕事の昇進や転勤・引っ越しなど、身近で起こる出来事がストレスの原因になることがあるでしょう。
なかにはストレスに発展する前に解決するものもありますが、ご自身の力ではどうしようもないケースも含まれています。

脳内の変化

うつ病は精神疾患の一つとされていますが、に関連する病気でもあります。
そもそも気分の落ち込みや活動意欲の低下などは、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の伝達がスムーズに行われないことで起こる症状です。
何らかの原因で脳内の神経伝達物質が正常に作用しなくなることで、うつ病が発症するとされています。

なりやすい気質

うつ病になりやすい性格傾向というものがあり、その性格傾向を含む気質を元々持っている方はうつ病になりやすいでしょう。
うつ病になりやすい気質は次のとおりです。

  • 循環気質
  • 執着性格
  • メランコリー親和型性格

循環気質は明るく社交的なタイプですが、時々落ち込むことがあります。周囲に落ち込みを気付かれにくい性質ともいえます。
執着性格は凝り性で、物事に対して徹底的に行うタイプです。このタイプは中年以降にうつ病を発症することが多いようです。
メランコリー親和型性格は悲観的で神経質なタイプが多いとされています。上記のような気質はうつ病が発症しやすいと見なされています。

遺伝的要因

うつ病の発症は遺伝的要因も原因とされています。
うつ病はもともと遺伝的要因を持った状態に心理的ストレスや環境の変化など、うつ病が起こる原因が加わったときに発症しやすいです。

うつ病になりやすい人の特徴

うつ病になりやすい人の特徴
うつ病になりやすい人には特徴があります。
うつ病になりやすい特徴がわかれば、ご自身だけでなく周囲でうつ病を発症しそうな方がいる場合の目安になるかもしれません。
ここではその特徴を解説します。

生真面目

きちんとした生真面目な性格の方はうつ病になりやすいでしょう。
決められたことは必ず守り、仕事や勉強などコツコツと取り組むことが多いです。
ただ、疲れていても休息を取ろうとせず、やるべきことを終わらせるために不調が起きてもなかったことにする傾向があります。
生真面目な方は過労からうつ病に陥ることが多いでしょう。
またルールから外れることを好まない傾向があるので、柔軟性に欠ける部分があり、追い詰められて心が苦しくなってくることもあるようです。

責任感が強い

責任感が強い
一度引き受けたことは責任を持ってやり遂げるような責任感の強い方も、うつ病になりやすいでしょう。
責任感が強い方が陥りやすいのは、何か問題が起きたときにすべて自分の責任だと思い込んでしまうところです。
周囲に頼ることが下手なタイプなので、トラブルが起きたときは周りが声をかけてあげると、精神的に追い詰められずに済むかもしれません。

人あたりがよい

人あたりがよい方も意外とうつ病になりやすいです。
断ることが苦手だったり、何でも引き受けてしまったりして、気付かないうちにキャパシティがオーバーしてしまいがちです。
また人あたりがよく社交的なタイプの場合、気分が落ち込んでも気付いてもらえないことが多いでしょう。

完璧主義

完璧主義もうつ病になりやすいタイプです。
仕事など80%くらいの仕上がりでも十分評価される場合であっても、100%の仕上がりでないと納得できないタイプの方は、細かい点まで徹底的に行おうとします。
すべてのことを完璧に行おうとするので、体力が奪われ疲れやすい状態に陥ってしまいます。また、精神的に追い詰められることが多いので、うつ病になりやすいです。

うつ病の受診のタイミング

うつ病の受診のタイミング
うつ病なのか一時的な症状なのか、判断がつかない場合もあるかもしれません。病院で診察を受けるタイミングの目安がわかれば、悩まずに済むでしょう。
目安としては、気分の落ち込み・不眠・食欲低下・やる気が出ない・悲観的になるなどの症状が2週間以上続くような場合、うつ病の可能性が高いです。
うつ病かどうかの判断基準はあるものの、一番よいタイミングは、うつ病の疑いが出たらすぐに病院へ行くことです。
また、うつ病の症状は精神面だけでなく、肉体面にも影響を及ぼします。朝起きられない・疲れが取れにくいなどが続く場合もうつ病の初期症状にさしかかっているでしょう。
うつ病の症状が進行してしまうと、日常生活に支障をきたしてしまいます。うつ病は早い段階で適切に治療を受ければ、早めに症状が改善するとされています。
うつ病を疑うような症状が出たら受診のタイミングを待たず、すぐに受診されるとよいでしょう。

うつ病の治療方法

うつ病の治療方法
うつ病には主に次の3つの治療方法があります。

  • 療養と休息
  • 薬物治療
  • 精神療法

うつ病は心身が酷く疲労している状態です。まずは睡眠や食事を取ることを意識しつつ、体力の回復に努めます。
また、うつ病と診断されたら、いったんうつ病の原因となっている要素から距離を置くことです。職場がストレスの原因であれば、休職や部署異動の相談をするとよいでしょう。
うつ病の治療では、少しずつ以前の生活に戻していけるように、休息の時間をしっかりと取ることも含まれます。
次に薬物治療ですが、うつ病の治療では抗うつ薬をメインに抗不安薬や睡眠薬を使用することが多いです。
うつ病は脳内にある神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが減少しています。
抗うつ薬を使用することで、セロトニンやノルアドレナリンの量を増やしていき、うつ病の症状を改善していきます。
抗うつ薬は服用後すぐに症状が改善されるわけではなく、継続して服用することで少しずつ改善に導くという役割です。
最後に精神療法ですが、これは定期的に通院することです。
物事の捉え方や考え方を変えていく認知行動療法、対人関係に関するスキルを学ぶソーシャルスキルトレーニング、生活リズムを整えられるように導く環境調整などがあります。
特に薬物療法は薬の効果とリスクの兼ね合いで、投与する分量などを医師が決めていきます。
うつ病の症状の進み具合で治療計画や投与する薬が異なってくるので、自己判断せずに医師の指導のもと、治療を受けることが必須です。
うつ病の治療は症状の程度にもよりますが、早ければ半年以内、長い場合は数年かかることもあります。
しかし、早い段階で治療を受ければ、早期回復が見込めるとされています。うつ病かもしれないと思われたら、躊躇せずに病院を受診するとよいでしょう。

うつ病を予防する方法は?

うつ病を予防する方法は?
うつ病は誰でもかかる可能性がある病気です。また、日常生活・職場・学校など身近な状況で起こることが、うつ病の発症の引き金にもなっています。
うつ病を予防する方法があれば、うつ病発症につながりそうなことが起きても発症に至らないかもしれません。
うつ病予防に役立つのが体内のリズムを整えることです。これは自律神経の安定にもつながります。

  • 早寝早起き
  • 朝の光を浴びる
  • 規則正しい食事
  • 十分な睡眠

規則正しい生活は体内のリズムを整えてくれます。体内リズムが整うと自律神経が安定するので、うつ病をはじめとする精神疾患の予防にもなるでしょう。
早起きして朝の光を浴びると、夜眠る際に寝つきやすくなります。これは日光を浴びると入眠ホルモンのメラトニンの分泌が促されるからです。
寝つきがよくなると睡眠も十分取れるようになるでしょう。また規則正しく食事を取ることも大事なポイントです。
アルコールを毎日飲んでいるのであれば、摂取の仕方に気をつけることをおすすめします。アルコールの摂取が慢性化すると心身に悪影響を及ぼしかねません。
生活リズム以外にも心がけるとよい点があります。

  • 人に気を遣いすぎない
  • 明日に延ばせることは明日に行う
  • 周囲とコミュニケーションをとる

うつ病になりやすい方は、人に気を遣いすぎたり、何か頼まれても断れなかったりすることが多いです。
自分のペースが乱れ、キャパシティオーバーになり心身ともに疲れ切ってしまいます。自分の心身の健康を守るためにも、人を優先しすぎるのを控えるとよいでしょう。
また、責任感が強く真面目なタイプの方は、すべてのことを完璧に行う傾向があるようです。
明日に延ばせることは今やらず明日に回すなどして、頑張り過ぎない分量で物事を進めていくことをおすすめします。
コミュニケーションが少なくなるとうつ病が発症しやすくなることもあります。家族がいる方は少しでも会話をすることがうつ病の発症を防ぐでしょう。
1人で暮らしている方も友人と会って会話するだけでなく、職場や学校などで何気ない会話を少しでもすることをおすすめします。

編集部まとめ

まとめ
本記事ではうつ病の初期症状・うつ病になりやすい人の特徴について解説しました。

うつ病はさまざまな要因が重なると発症しやすい病気です。

しかし、日ごろから生活リズムを整え自律神経を安定させ、無理をせずにご自身のペースを保って仕事を行ったり生活したりすることで、発症を予防できる病気でもあります。

うつ病の初期症状が出始めたら、すぐに病院で受診することをおすすめします。一人で抱え込まず医師に相談することで、症状の重症化を防げるでしょう。

この記事の監修医師