発達障害におけるリハビリの重要性は?効果や理学療法・栄養療法について解説
発達障害にはさまざまな症状があります。
発達障害は脳の機能障害で、日常生活・学業・仕事に影響する場合も少なくないので、家に閉じこもることが増え、通常の社会生活が困難な状態になることもあるでしょう。
発達障害の症状は、リハビリテーションで緩和したり成長過程で経験から発達したりしますが、周囲の正しい理解とサポートが必要になります。
本記事では、発達障害の種類やリハビリテーションの重要性を解説します。発達障害を正しく理解するためにぜひ役立ててください。
監修医師:
宇南山 賢二(うなやま整形外科)
目次 -INDEX-
発達障害の主な種類と症状
発達障害は、脳の機能的な問題により物事のとらえ方や行動が他人と異なるために、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。
小児期から特徴的な症状がみられますが、学齢期以降の集団生活が始まってから症状が目立ち始めることもあります。発達障害の種類は以下のものがあります。
- 知的能力障害
- コミュニケーション障害
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 限局性学習障害(SLD)
- 発達性協調運動障害(DCD)
- チック症
- 吃音
- トゥレット症候群
- 読字障害
発達障害は、特性の現れ方が多様で、複数の障害や精神疾患を併存することもあります。発達障害の症状は、適応障害と類似しているため、誤診されやすい病気です。
ただし、適応障害は環境やストレス要因で発症する一方、発達障害は小児期に脳機能の問題で発症します。
ここでは、いくつかの発達障害について、詳しく解説します。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群などの総称です。
自閉症スペクトラム障害の原因は、複数の遺伝的な要因が関与して起こるとされる生まれつきの脳機能障害です。
自閉スペクトラム症の診断は、社会的コミュニケーションおよび対人関係の持続的欠陥がある場合に診断されます。また、情動的(急激または一時的に起こる感情や感覚)・固執や常同思考・興味の執着・刺激に対する過敏さや鈍感さなどの行動や興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある際に診断されます。
自閉スペクトラム症の原因は、まだ特定されていません。遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳機能の問題が原因と考えられています。アスペルガー症候群の人は知能が高いことが少なくありませんが、他人の心情が読み取れず冗談や愛情表現を理解できないことがあります。
近年では約100人に1人が発症しており、男性の発症率は女性の約4倍となっています。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、不注意・衝動的・多動性などが特徴の発達障害です。
ADHDは満6〜15歳の3〜7%が発症しているといわれています。前頭葉および線条体のドーパミンの機能障害や遺伝的要因の関与が原因です。
ADHDは、不注意(集中力がない・気が散る・物をなくす・順序だてができない)と多動・衝動性(落ち着きがない・待つことができない・注意に持続しない・他人に干渉しすぎる)などが同年齢の水準以上にみられます。
また、12歳以前から症状が発症した・2つ以上(学校・職場・家庭など)の症状が認められる・発達に応じた対人関係や機能(学業的・職業的)に問題がある・症状が統合失調症や精神病障害と関連がない、これらの条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。
ADHDの診断に有効な医学的検査がないため、医師の観察によって診断されます。
限局性学習障害(SLD)
限局性学習障害(SLD)は、全体的な知的発育や視聴覚には障害が認められない一方、読字障害・書字表出障害・算数障害の3つに特化した発達障害です。
3つすべてが困難なわけではなく、特定の学習領域にのみ障害が見られます。学習障害の診断には、中枢神経系疾患の有無の確認も必要です。
小児期の読字障害を発達性ディスレクシアといいます。発達性ディスレクシアの生徒は、日本の小中学生では約4.5%、アルファベット語圏内では3〜12%程存在すると報告されています。
発達性協調運動障害(DCD)
あらゆる動作は、体の一部の部位だけではなく、複数の部位が連携して行われるため協調運動といいます。協調運動は、スポーツや日常生活の動作にも関与しています。発達性協調運動障害(DCD)は、協調運動がうまくできないため不器用さが目立つ障害です。
協調運動が苦手な例は大きく3つ挙げられます。一つ目は、食具の使用・文字を書く・衣服の着脱などの手指運動が苦手な場合です。二つ目は、身体運動で、やり方が理解できない・連動して動けないなどのケースがあるでしょう。三つ目は、指で数が数えられない・ボールが静止していても蹴れない・飛んできたボールをキャッチできないなど、目と手の動きが合わないケースも考えられます。
運動が苦手という子は少なくありませんが、苦手なことが学業や日常生活の大きな障害となっている場合はDCDが疑われます。
発達障害の初期症状とリハビリの重要性
発達障害の徴候は、乳幼児期からみられることも少なくありません。発達障害でのリハビリテーションは生きる権利の回復が目的です。
リハビリテーションは、障害の症状や程度によってさまざまなアプローチを行い、患者さんが自分らしく生きる権利を回復する治療を行います。
発達障害との向き合い方
発達障害は脳の特性のため治療で治ることはありませんが、発達障害は発達が止まるわけではありません。発達障害があっても環境によって発達し、成長することができます。ただ、発達障害があると発達の過程が健康な人とは異なるだけです。
しかし、発達障害だからと放置することが最善の策と誤解し、障害に対して配慮しないことは誤った考え方です。周囲のサポートがあれば他人との違いが克服できることもあります。
発達障害は個性ですが周囲の協力が必要な場面も少なくないので、障害に対する配慮を行い対処法を身につけることが大切です。
リハビリを検討すべき初期症状
自閉症スペクトラム障害は、1歳頃から集団行動が苦手・興味のないことには無関心・初めてが苦手・決定事項の変更が苦手などの初期症状が見受けられます。
注意欠如・多動性障害は、7歳頃までに多動性や衝動性があらわれ、不注意からミスが増える・気が散る・じっとしていられないなどの症状が見受けられます。
学習障害では、小学2年生頃から特定の学習に困難が生じ、成績が下がってしまうでしょう。
発達性協調運動障害は、寝返りやハイハイが苦手なお子さんや、1歳半を過ぎても歩けない・転びやすい・手が不器用などの初期症状が見受けられます。
これらの初期症状は、リハビリテーションによって脳が覚醒し、症状が緩和されることが期待できます。
発達障害への理学療法によるリハビリ
発達障害の方に対する理学療法は、さまざまな視点でアプローチを行い、適応能力を引き出します。
理学療法とは
理学療法とは、病気やケガによる障害や加齢による障害に対して運動機能の維持や改善を目的とする治療です。具体的には、マッサージや治療体操と運動器具・電気・光線・温熱具などを併用させ治療を行います。
発達障害への理学療法におけるリハビリ内容
発達障害の主な治療は、認知行動療法・社会生活技能訓練・心理療法・応用行動分析・プレイセラピー・感覚統合療法などです。
障害や行動の特性を理解した理学療法士が、カリキュラムを組んで治療を行います。
発達障害の程度や症状に応じて、体幹の筋力トレーニングや感覚(感覚過敏・感覚鈍麻)と運動の関係性の改善を目指すトレーニングが行われます。
子どもの場合は、身体を使った遊びを取り入れるプレイセラピーにより、感覚を刺激して脳を活性化させる治療を行うことも可能です。
発達障害への栄養療法
発達障害は、栄養と密接な関係があります。
栄養不足が発達障害を引き起こす原因の一つになることがあるので、必要な栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。
発達障害と食事や栄養との関係が注目されるようになり、現在では、食事方法の見直しや栄養素をサプリメントで補う栄養療法などが行われています。
発達障害と栄養の関係
発達障害は、脳の伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの不安定さが関与していると考えられます。ドーパミンやノルアドレナリンは記憶・気分・情動(急に生じる感情)に関係して、必須アミノ酸(チロシン・フェニルアラニン・トリプトファン)から作られます。
必須アミノ酸は、食肉に含まれるタンパク質から摂取することができます。また、小児の発達に欠かせない栄養素として鉄・ビタミン群・脂肪酸・葉酸・ヨウ素などを積極的に取りましょう。これらの栄養素が欠乏すると出生児の精神や運動などの脳の発達に影響するため、妊娠中からの摂取が必要です。
また、発達障害があると偏食になるため、必要な栄養素の摂取量が不足しがちです。食生活の乱れは血糖値の乱高下を生む原因です。血糖値を上昇させるためのホルモンにはアドレナリンやノンアドレナリンが含まれています。そのため、感情のコントロールが不安定になる要因となります。
オーソモレキュラー栄養療法とは
オーソモレキュラー栄養療法は、血液検査や体組成測定のデータをもとに栄養状態を分析し、一人ひとりに合わせた栄養療法で発達障害をサポートします。必要な栄養素を分子レベルで補給するため、分子整合栄養医学とも呼ばれます。具体的には、ビタミンやミネラルなどの栄養素を食事・点滴・サプリメントなどに取り入れることで、病気の予防や治療を行います。
人間が持っている治癒力を高めることで症状を改善し、健康状態を維持できます。オーソモレキュラー栄養療法にかかる費用は自由診療で、初回検査の費用相場は約20,000円(税込)です。
治療期間は6ヵ月〜1年程かかります。治療のメリットは、数10項目に及ぶ血液検査データから、目には見えない身体の中の栄養状態を客観的に読みとれる点です。
健康診断では異常が見つからなかった患者さんでも、かくれ貧血や、かくれ高血圧などを示す数値的問題が見つかることがあります。
デメリットとしては、6ヶ月〜1年間しっかりと継続する必要があることが挙げられます。3〜6ヶ月継続したうえで、再度血液検査データを解析して、処方変更することがおすすめです。サプリメントを飲むだけでなく生活習慣や食習慣も見直すことで、より早く悩みが解決し、健康維持が期待できます。
発達障害のリハビリや栄養療法はうなやま整形外科にご相談を
発達障害は、理学療法や栄養療法などを行うことで社会への適応力が身につく可能性があります。
横浜市のうなやま整形外科は理学療法士や管理栄養士が在籍し、マンツーマンで指導を行っています。
理学療法や栄養療法などを行い、社会への適応力を身につけるためのサポートを行っているクリニックです。
医院では、一人ひとりの患者さんに納得して治療を受けていただく・身近なかかりつけ医として、患者さんに合った苦痛の無い治療を心がける・病気の相談などを気兼ねなく安心していただけるをモットーに診療に取り組まれています。
手が不器用・転びやすい・じっとしていられない・集団行動が苦手などの、発達障害の初期症状がある方は、一度うなやま整形外科を訪問してみてはいかがでしょうか。
身体の痛み・しびれなどの治療から予防、リハビリまで幅広く診療
うなやま整形外科には整形外科・脊椎脊髄科・リハビリテーション科・スポーツ整形外科・リウマチ科があり、身体の痛みやしびれなどの治療から予防、リハビリまでを幅広く診療しています。
漢方薬による痛みの治療・プラセンタ・ニンニク注射・創縫合・巻き爪治療などにも対応していて、身体の健康を維持するための予防的な診療を行っています。
スポーツのポテンシャルアップ、生活習慣病予防や健康寿命を延ばすための、基礎体力作りなども気軽に相談できます。
栄養療法で身体の内側からも健康をサポート
うなやま整形外科では、資格を持った管理栄養士がオーソモレキュラー栄養療法を取り入れた栄養指導を行っています。
オーソモレキュラー栄養療法は、必要な栄養素が不足したことにより症状がでている疾患に対して、分子レベルで栄養素を補給する治療方法です。
うなやま整形外科ではサプリメントを処方していて、治癒力の向上・症状の改善・健康状態の維持などに努めています。以下がオーソモレキュラー栄養療法の費用です。
- 初回検査(解析レポートあり):25,000円(税込)
- 2回目以降の検査(解説レポートなし):18,000円(税込)
- オーソモレキュラー栄養療法の栄養指導のみ:5,000円(税込)
- 解析結果説明診察料:5,000円(税込)
- 体組成測定:550円(税込)
まれに、服用時に下痢・便秘・嘔気などの胃腸症状が生じる方がいますが、食事中に摂取することで副作用を軽減できます。なお、栄養指導では治療の一環として生活習慣や食習慣の改善などの指導も行っているそうです。
- 初回検査(解析レポートあり):25,000円(税込)
- 2回目以降の検査(解説レポートなし):18,000円(税込)
- オーソモレキュラー栄養療法の栄養指導のみ:5,000円(税込)
- 解析結果説明診察料:5,000円(税込)
- 体組成測定:550円(税込)
オーソモレキュラー栄養療法にかかる費用は自由診療で、治療期間は6ヵ月〜1年程です。
なお、栄養指導では治療の一環として生活習慣や食習慣の改善などの指導も行います。
身近なかかりつけ医として、気兼ねなく安心して相談できる医院
うなやま整形外科は、身近なかかりつけ医として患者さんに寄り添った診療を提供しているクリニックです。
近年、腰痛や関節痛は高齢者だけの病気ではなくなり、整形外科を受診する患者さんが増えているそうです。
うなやま整形外科は、保険診療のリハビリテーションや自由診療によるエイジングケアなど、幅広い治療を行われています。
病気や治療の説明をわかりやすくしてもらえるため、気になる症状がある方は、受診してみてはいかがでしょうか。
うなやま整形外科の基本情報
アクセス・住所・診療時間
相鉄本線・相鉄新横浜戦 西谷駅より徒歩4分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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8:45~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | - |
14:45~18:00 | ● | ● | - | ● | ● | - | - | - |
※診察は9:00〜12:30/15:00〜18:30
※月曜日午前は医師2人体制
※初診の方は午前:12時・午後:18時までにご来院ください。
参考文献
- 発達障害|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
- DCD支援マニュアル
- 発達障害へのリハビリテーション
- 発達障害の理解のために|厚生労働省
- 発達障害の理解
- 理学療法とは|公益社団法人 日本理学療法士協会
- 発達障害のリハビリテーション
- 報酬系を通した注意欠如・多動性障害の病態理解
- 成長障害と栄養学的問題
- ホルモンの病気と糖尿病|国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
- うなやま整形外科
- 手の痛み・しびれ・変形|うなやま整形外科
- オーソモレキュラー栄養療法&栄養指導|うなやま整形外科