大腸内視鏡検査の受け方は?検査の流れや大腸内視鏡検査でわかる主な病気
体に関わる検査の中でも大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を入れて検査していくため、抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし大腸内視鏡検査では大腸がんやポリープを早期に発見でき、すぐ治療できるため、大腸がんの治癒率を向上させています。
近年では大腸内視鏡検査を行う際に鎮静剤を使用して、負担なく検査を行えるところも増えています。
本記事では大腸内視鏡検査の受け方について、検査の流れや大腸内視鏡検査でわかる主な病気を解説します。
これから大腸内視鏡検査を受ける予定の方、血便など症状がみられ大腸の状態について確認が必要な方などは参考にしてみてください。
監修医師:
友利 賢太(むさしの内視鏡・胃腸内科クリニック)
2006年 東京慈恵会医科大学附属柏病院 初期臨床研修医
2008年 東京慈恵会医科大学外科学講座 後期臨床研修医
2011年 神奈川県立汐見台病院 外科
2013年 がん研有明病院 消化器外科 (大腸外科)
2014年 東京慈恵会医科大学附属病院 消化器外科 (大腸外科)
2015年 賛育会病院 外科医長
2017年 川口市立医療センター 消化器外科医長
2019年 東京慈恵会医科大学附属第三病院 外科 (大腸外科)
2020年 医療法人財団 野村病院 外科・救急医療部門長
2021年~ 医療法人社団暁翔会 品川胃腸肛門内視鏡クリニック 非常勤
目次 -INDEX-
大腸内視鏡検査とは?
大腸内視鏡検査は血便や排便の異常など大腸の詳細を調べる必要がある際に実施する検査で、大腸がんの有無、前がん病変である大腸ポリープ、炎症性腸疾患などを診断し治療に繋げることが目的の一つです。検査方法としては、検査前に下剤内服によって腸をきれいにし、検査室でベッドで横向きになり、肛門から内視鏡を挿入して腸の状態を診ていきます。内視鏡を挿入されている感触が苦手な方は鎮静剤を使って眠った状態または落ち着いた状態で大腸内視鏡検査を受けることが可能です。
内視鏡は大腸の一番奥にある盲腸まで到達したら、戻りながら大腸内を診察し、病変やポリープ、炎症の有無を詳しく観察していきます。大腸内視鏡検査では、診断のみならず、大腸がんの原因となりうる、腫瘍性のポリープがみつかった場合は切除することで大腸がんの予防も行うことが可能です。検査中は詳細に観察するためには、空気を入れて膨らまして診ていく必要があり、お腹が張って苦しく感じることもあるため、現在では多くの施設で、吸収効率のいい二酸化炭素を使用し、不快感の軽減に努めています。
大腸内視鏡検査の流れ
大腸内視鏡検査を初めて受ける方はどのような流れで検査が進んでいくのか不安に感じられるでしょう。大腸内視鏡検査では、検査前の下剤内服による注意事項や食事のポイント、安全に検査が可能かどうか確認するために、事前に医師の診察が必要となります。事前診察の際に、担当医師より説明をよく聞き、疑問点は質問し解消することで安心して検査に臨むことができるでしょう。ここでは大腸内視鏡検査の流れについて詳しくみていきましょう。
検査前日:便が残りにくい食事(低残渣食)を心がける
大腸内視鏡検査の前日の食事は病院・クリニックの指示通りに行いましょう。検査する際は大腸が空の状態で観察していきます。そのため、検査前までに下剤を服用して大腸内をできる限りきれいにしておく必要があります。どの程度きれいな大腸の状態で検査を行うことができるかによって、大腸内視鏡検査の精度も大きく変わってきます。検査前の食事や下剤の内服は高精度な検査を受ける重要なポイントですので、検査前日の食事や食事制限の時間は病院・クリニックの指示に従うようにしましょう。
前日は低残渣食(便に残りにくい食事)を心がけましょう。何を食べていいかわからない方は、病院・クリニックによっては専用の検査食の用意がありますので利用いただくと検査前の下剤内服がスムーズとなります。前日何時までに夕食を取っていいかは病院・クリニックによって異なるため必ず確認し指示に従ってください。
そして就寝前に少量の下剤を服用し、当日に備えて、早めに就寝し体をしっかり休めるようにしましょう。前日の下剤内服で一度も排便がない場合や、強い腹痛が生じる場合などは、当日の下剤を内服する前に一度病院・クリニックへ相談するようにしましょう。
検査当日:検査前3−4時間前より下剤の服用(自宅または院内にて)
検査当日からは絶食となり、下剤の服用を行います。下剤も以前より多くの種類があり、以前よりも少量で腸がきれいになるようになってきました。下剤の作用で排便が進み、水様便へ変化し、その後カスがなくなり便器が透けて見えるような状態となったら、大腸の中はきれいな状態となっているといえます。この下剤内服に不安を感じる方は多いため、初めての検査で飲み方に不安のある方や、移動中の排便を不安に思う方は、病院やクリニックの専用の下剤内服スペースを利用されるといいでしょう。院内滞在時間は長くなりますが、院内で下剤を服用することで、何か困った際にすぐに相談できるのでおすすめです。
また、下剤の種類によって飲み方は異なるため、検査前によく確認し、指示に従うようにしましょう。
検査前:当日の体調と排便状況の確認
大腸内視鏡検査の前には問診が行われます。問診では体調の確認の他、検査前日の下剤の服用から問診までの間の排便回数・最後の排便の状態・便の状態の確認を行い、検査が可能な状態であるかを判断します。
まだ排出すべき消化物が残っている場合は追加で下剤を服用し、全て出し切るよう促します。大腸の状態が整ったら、検査着に着替えて検査に備えます。
検査室で検査開始
検査ができる状態が整ったらいよいよ内視鏡を挿入していきます。鎮痛剤を希望した場合はまず点滴の投与で眠った状態になってから挿入を始めます、力まずにリラックスするよう心がけましょう。
腸の走行によっては体の向きを変えた方が挿入しやすい場合もあり、医師から指示があった場合は体の向きを変更することがあります。検査自体は個人差はありますが、10〜15分程度(ポリープ切除など処置のない場合)で終了です。
ポリープがある場合は必要に応じてその場で切除を行うことが可能
大腸内視鏡検査をしている中で、大腸内からポリープがみつかる場合があります。大腸ポリープは、大きく分けて腫瘍性のものと非腫瘍性のものがあります。非腫瘍性の場合はそのまま経過観察でも問題ありませんが、腫瘍性ポリープの場合は大きくなるにつれて大腸がんに発展していく可能性があります。
現在では内視鏡機器・診断技術の発達により、この腫瘍性ポリープか非腫瘍性ポリープかの診断は、内視鏡中にほとんどの症例で判断できるようになっています。また、AI内視鏡機器によって、瞬時に補助的に診断をアシストできるようになっています。また、大腸内視鏡での見た目や、表面を何倍にも拡大観察することで、すでにポリープが“がん”を含む病変であるかどうか、“がん“であればどの程度深くがんが入り込んでいそうかなども判断することが可能です。そのため、”がん“が疑われるポリープであっても上記の詳細な観察の上、切除可能であれば検査の最中に切除し治療することが可能です。切除したポリープは病理検査(組織を顕微鏡レベルで観察)にて良性か悪性かを調べ最終診断に至ります。このように大腸内視鏡検査では、大腸がんの原因となりうる腫瘍性ポリープを切除することで大腸がんの予防ができ、すでに大腸がんに至っていたとしても早期の切除可能な大腸がんであれば、一度の検査で治療することが可能となり、非常にメリットの多い検査であると言えるでしょう。
検査後:検査結果・注意点などを担当医師より説明
大腸内視鏡検査の後は、体の状態が落ち着くまでリカバリールームでお休みいただきます。その後、担当医師より内視鏡検査による大腸内の画像を見ながら検査結果を説明してもらいます。切除したポリープの病理検査は即座に結果が出ないため、後日検査結果が伝えられます。大腸内視鏡検査後の注意点についても説明を受けて、検査は終了です。
鎮静剤を使用する場合は、検査後リカバリールームで休憩が必要
鎮静剤を使用して大腸内視鏡検査を受けた場合は効果がある程度切れるまでリカバリールームでお休みいただきます。鎮静剤の効果が切れてから最短で10分程度、通常は30〜60分程度の安静が必要です。
また当日は、本人はなんともないと感じていている場合でも、必ず車や自転車の運転は控え、公共交通機関を利用するなどしましょう。
大腸内視鏡検査でわかる主な病気
大腸内視鏡検査は大腸に腫瘍や炎症などの病変が疑われる場合に行われます。大腸内視鏡検査以外にも造影剤を用いた検査・CTを使った検査・大腸カプセル内視鏡があります。これらの検査の中でも大腸内視鏡検査は直接観察でき、一方の側面だけでなく、みたいさまざまな方向から観察が可能ですが、その結果病変が疑われる場合には、あらためて大腸内視鏡検査が必要となることがほとんであると言えます。
では、大腸内視鏡検査でわかる主な病気について詳しくみていきましょう。
大腸がん
大腸内視鏡検査での大きな目的の一つが、大腸がんの早期発見です。大腸内視鏡検査では大腸内にできた病変を直接観察したり、切除し病理検査にて詳しく調べることができ、大腸がんの確定診断が可能です。現在日本人は、大腸がんの罹患率、死亡率は大変高く、臓器別がん罹患数(2019年)では、男女共に第2位、臓器別がん死亡者数(2021年)では男性で第2位、女性では第1位となっています。(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」より)
年々大腸がんと診断される人が増加していて、高齢化による原因以外に生活習慣が原因で罹患する人も増えています。肥満・喫煙・過剰なアルコール摂取、肉類中心の食生活、過度な加工肉の摂取などは大腸がんに罹患する原因に挙げられますので注意が必要です。
ただ、大腸がんの診断・治療は日々進化しています。大腸がんの原因となる腫瘍性ポリープを切除することによって大腸がん罹患率・死亡率が減少することがわかっていますし、大腸がんも早期に発見できれば、内視鏡治療などの体に負担の少ない治療で完治する確率が高くなります。そのため、定期的な検査を繰り返し受けていただくことが非常に重要な検査であると言えます。
大腸ポリープ
大腸内視鏡検査では大腸がん発見以外にも大腸ポリープを発見し、適切に処置することも重要な役割であると言えます。大腸ポリープには大きく分けて、大腸がんになる可能性のあるもの(腫瘍性ポリープ)とならないもの(非腫瘍性ポリープ)の2種類があります。大腸がんにならないものは大腸内に存在するだけで特に影響はありません。
大腸がんになる可能性があるポリープ(腫瘍性ポリープ)は大きくなるにつれて細胞に変化が生じ癌化していくことがわかっています。大腸がんになる可能性がある大腸ポリープとしては腺腫や鋸歯状腫瘍が挙げられ、これらのポリープは大腸内視鏡検査中に、切除することで大腸がんの罹患・死亡率を減少することがわかっており、大腸がんの予防に繋がります。
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患
大腸内視鏡検査では他にも大腸と小腸の終わりの部分の腸の炎症所見を判断し、様々な腸炎や潰瘍性大腸炎などを診断するために用いられます。潰瘍性大腸炎とは大腸の内側にある粘膜に炎症が生じ、びらんや潰瘍ができてしまう炎症性腸疾患です。血便・異常な下痢・腹痛などの症状がみられ、症状が現れたり、落ち着いたりを繰り返す慢性の疾患です。
大腸内視鏡検査で潰瘍性大腸炎と他の腸炎や大腸の病気との区別ができ、粘膜の炎症の程度を確認することで重症度を判定できます。潰瘍性大腸炎は症状が収まっていても粘膜の炎症がみられる場合は症状が再燃する可能性が高いです。反対に粘膜の炎症が落ち着く粘膜治癒の状態になると、症状の再燃があまりみられないことがわかりました。粘膜が治癒しているかどうかは、大腸内視鏡検査を定期的に行うことが重要です。
大腸内視鏡検査は鎮静剤を使用した方が良い?
大腸内視鏡検査は内視鏡を肛門から挿入して検査を行います。初めて検査を受けるため不安の強い方は鎮静剤を使用すると良いでしょう。
鎮静剤使用のメリット
・検査に対する不安、恐怖心を軽減できる。
・腸管を進展した際の苦痛を軽減できる。
・肛門部の違和感の軽減ができる。
・腹壁や腸管の緊張がとれ、より楽に検査が受けられる。
鎮静剤使用のデメリット
・アレルギー反応のリスクがある。
・呼吸が浅くなるリスクがある。
・検査中に検査の様子を見ることができない。
・検査後に鎮静剤がある程度覚めるまで休息が必要になる。
・当日は車やバイク自転車などの運転ができない。
鎮静剤に抵抗がある場合は使用しなくても負担を軽減するよう検査を進めることは可能です。体型やこれまでに手術の経験のある方で挿入時に違和感が出やすい方は鎮静剤を使用した方が楽に受けられることもありますので、担当医師とよく相談されることをお勧めします。
内視鏡検査の相談ならむさしの内視鏡・胃腸内科クリニックへ
大腸内視鏡検査は直接大腸の内側を観察できるので大腸のさまざまな症状の原因を探ることが可能です。
しかし検査前に多くの下剤を服用したり、肛門から内視鏡を入れたりと不安に感じることも多くあるものと思われます。
むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックは消化器診療専門のクリニックとして、日本消化管学会専門医による高い技術と整った設備環境で、少しでも不安を取り除き、大腸内視鏡検査の“負のイメージ”を取り除けるよう配慮しているとのことです。
日本消化器内視鏡学会の専門の医師による精密な検査
大腸内視鏡検査を受けるクリニックを選ぶ際は日本消化器内視鏡学会の専門の医師による精密な検査が受けられるところが良いでしょう。
日本消化器内視鏡学会の決めた研修や試験を受けた医師が専門の医師として認められ、高度な技術と豊富な経験を持ち合わせています。
むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックでは、日本消化器内視鏡学会の専門の医師が検査を担当します。スピーディーかつ正確な検査を提供し、内視鏡検査機器も専門クリニックとして、より詳細な観察・診断が可能となる拡大内視鏡からAI内視鏡まで揃え、より高精度な内視鏡診療を提供できる体制となっています。また、検査後の結果についても専門医より丁寧に説明してもらえるでしょう。
消化器診療を専門としたクリニックなので治療までしっかりサポート
大腸内視鏡検査は消化器診察を専門としているクリニックで検査を行うと治療までしっかりサポートしてもらえます。
大腸内視鏡検査で病変がみつかった場合に治療に入りますが、消化器専門のクリニックであれば治療もスムーズに進んでいきます。
また検査から診断確定し、患者さんに説明する際も専門の医師であれば具体的な治療法を提示してもらえます。
消化器専門のむさしの内視鏡・胃腸内科クリニックは検査の結果、治療が必要になった場合でもしっかりサポートし、入院が必要な場合も的確な医療機関へ引き継ぎを行います。
鎮静剤の使用によるリラックスした状態での検査が可能
大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を挿入するため、抵抗がある方も多いです。その場合に鎮静剤を使用し、リラックスした状態で検査を進めていくことが可能です。
鎮静剤を使用すると眠った状態もしくはぼんやり落ち着いた状態で違和感なく検査を受けられます。
もし、内視鏡を肛門へ挿入する違和感が不安で検査を受けることをためらっている方は、鎮静剤を使用して大腸内視鏡検査を実施しているクリニックを選びましょう。
むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックは、個々に合った検査方法を患者さんと一緒に決めていくので、気兼ねなく相談できる雰囲気があります。
初めて大腸内視鏡検査を受診する方や鎮静剤を使用して大腸内視鏡検査を受けてみたいとお考えの方は、むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックへ相談してみてはいかがでしょうか。
むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
武蔵境駅北口 北口より徒歩2分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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09:00~12:30 | ● | ● | - | ● | ● | ▲ | ▲ | - |
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▲: 9:30~12:30
■:15:30∼17:00
休診日:水曜・日曜(第3週以外)・祝日
※日曜日は第3週のみ
13:30~15:30:内視鏡検査・予約外来
参考文献