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子宮頸がんで生じるおりものとは?自覚症状から他の病気の可能性も解説!

 公開日:2024/04/24
子宮頸がんってどんな病気?初期症状から検査方法まで解説

子宮頸がんは女性の健康に深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、早期発見でそのリスクを減らすことができます。この記事では、子宮頸がんが生じる「おりもの」の特性やその他の自覚症状、さらには他の病気の可能性まで、多角的に解説します。おりものの状態は日常的に見られるものだからこそ、注意を払いたいポイントです。それでは、何が普通で何が異常なのか、どのように対処すればよいのかを、詳しく探っていきましょう。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは?

子宮頸がんは、女性の子宮に発生するがんの一種で、特に子宮の入口近くに位置する「子宮頚部」と呼ばれる場所で発生します。一方で、同じ子宮がんでも発生する場所が異なる「子宮体がん」というがんも存在します。

子宮頚部の「子宮頸がん」

子宮頸がんは、子宮の入り口近い「子宮頚部」に発生します。もしくは、子宮の入り口近い「子宮頚部」に発生するがんを子宮頚がんといいます。
このがんは主に、ウイルス感染が原因で発生することが多いと言われています。特にヒトパピローマウイルス(HPV)が要因であるという理解が一般的ではないでしょうか。リスクが高いとされるウイルスに感染した場合は注意が必要ですが、HPVに感染したからといって必ずがんが発生するわけではありません。多くの人は生涯で一度はHPVに感染することがありますが、その大多数は体内でウイルスが自然に排除されることも珍しくありません。しかし、ウイルスが体内に留まると、時間とともにがんを発生させるリスクが高まることもあります。

子宮頸がんのリスクを低減するためには、HPVに対するワクチン接種が効果的です。特定の年齢層の女性に普及しており、がんを完全に防ぐわけではありませんが、その発生リスクを大きく下げることが証明されています。HPVワクチンは、特に9歳から26歳までの女性に推奨されています。ただし、27歳以上の大人でも、医師の判断によっては接種が可能です。

子宮体部の「子宮体がん」

一方で、子宮体部は子宮頸部よりも内側に位置する部分で、このエリアで発生するがんが「子宮体がん」です。子宮体がんは特に閉経後の女性に多く見られ、ホルモンバランスの異常が一因とされています。

子宮頸がんと子宮体がんは発生する場所や主な原因が異なりますが、どちらも「子宮がん」として総称されます。それぞれが独自のリスク要素や症状を持ちますが、子宮に発生するがんという共通点があるためです。どちらのがんも、予防や早期発見が重要であることは共通しています。

子宮頸がんとおりものの関係とは?

子宮頸がんとおりものの関係とは?

子宮頸がんが進行する過程で、日常的に気になる「おりもの」の状態にも変化が出ることがあります。ここでは、具体的に子宮頸がんがおりものにどのような影響を与えるのかについて解説します。

子宮頸がんの影響でおりものに異常が出る

子宮頸がんが進行すると、おりものの量や質、色に変化が出る可能性が高まります。通常、おりものは透明から白色で、無臭またはわずかな酸っぱい臭いがあります。しかし、子宮頸がんが発症すると、次のような特徴が見られることがあります。

・量の増加
がん細胞が分泌物を増やす可能性があります。

・色の変化
通常よりも黄色や緑色に変わる場合があります。

・臭い
異常な臭いがする場合もあります。

これらの症状は他の疾患でも見られる場合があるので、症状が出たからといって子宮頚がんが疑わしいわけではありません。しかし、持続するようであれば専門の医療機関での診断が必要です。

子宮頸がんのおりもの以外の症状

子宮頸がんのおりもの以外の症状

おりもの以外にも、子宮頸がんは様々な症状を引き起こす可能性があります。どのような症状が起きるのかを理解しておくことで、子宮頚がんの早期発見に繋げることができるでしょう。

性交渉のときに出血する

子宮頸がんが進行すると、性交渉の際に出血する可能性が増えます。これはがん細胞が子宮頸部に影響を与え、その部分が脆弱になるためです。通常、性交渉によって出血が生じることは稀で、特に年齢を重ねた後では一般的には出血が生じることはほとんどないため、出血がある場合は何らかの異常が発生していると考えられます。

この症状が出た場合は何らかの健康上の問題が考えられますが、それが必ずしも子宮頸がんであるわけではありません。例えば、子宮頸部びらんや子宮頸管炎など、他の疾患でも同様の症状が出る場合があります。しかし、いずれにせよ、性交渉の際に出血した場合は、速やかに専門医の診断を受けることが重要といえるでしょう。

生理日以外でも出血する(不正出血)

生理日以外に出血がある場合、それは「不正出血」と呼ばれます。子宮頸がんが進行している可能性がある兆候の一つです。特に症状が進行すると、このような出血は日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。

不正出血が見られた場合、急いで医療機関に相談することが望ましいです。ただし、これも先ほどの症状と同じく、子宮頸がんだけが原因ではありません。生殖器の感染症やホルモンの不均衡、ストレスなどによっても不正出血が起きる可能性があります。

下腹部や骨盤、腰が痛む

子宮頸がんが進行すると、下腹部や骨盤、腰に痛みが発生することもあります。この痛みは、がん細胞が周囲の組織に影響を与えるために起こります。場合によっては、日常生活にも支障をきたすほどの痛みになることもあるようです。

この症状には特に注意が必要です。痛みが感じられた場合は、その原因が何なのかを明確にしておく必要があるでしょう。もちろん、子宮頸がんだけでなく他の疾患や炎症、さらには筋肉の緊張なども痛みを引き起こす可能性はあります。しかし、長期間にわたる痛みや急に強くなる痛みは、即座に医療機関での診察を受けるべきサインといって良いでしょう。

尿や便に血が混じる

尿や便に血が混ざる現象は、子宮頸がんが進行している場合に見られることがあります。特に尿に血が見られる場合はがんが膀胱に近づいている可能性が高く、便に血が見られる場合は直腸などの消化器系に影響を与えている可能性が考えられます。

この症状が出た場合は、急いで専門医に診てもらうことが非常に重要です。尿や便の血は、これまで紹介した症状と同様に他の疾患や炎症でも引き起こされることがあるため、一概に子宮頸がんとは断定できません。しかし、これらの症状が出た場合は子宮頸がんの可能性を考慮する必要があるでしょう。

診断には、尿検査や便検査、さらには超音波検査やCTスキャンなどが行われることが一般的です。これらの検査によって問題の原因を特定し、適切な治療を受けることが可能になります。

子宮頸がんは初期症状のないまま進行する

子宮頸がんは初期症状のないまま進行する

子宮頸がんは、多くの場合、初期段階では特に症状を示さないと言われています。そのため、多くの女性は症状が現れる前にがんが進行してしまう可能性があります。この点が子宮頸がんの怖いところであり、早期発見が非常に重要な疾患であると言えるでしょう。

症状が出ない段階でがんが進行してしまう危険性を考慮すると、定期的な婦人科検診は避けて通れません。特に、子宮頸部細胞診やHPV(ヒトパピローマウイルス)テストは、子宮頸がんの早期発見に有効です。

・子宮頸部細胞診
子宮頸部細胞診は、子宮頚部の細胞を採取し、異常細胞がないかを確認する検査です。異常細胞が見つかれば、さらなる診断と早期治療が可能になります。

・HPVテスト
HPVテストは、子宮頚部から採取した細胞にHPVウイルスのDNAが含まれているかを調べます。このテストにより、がんのリスクが高いタイプのウイルスに感染しているか確認できます。

また、子宮頸がんのリスクを減らすためには、ワクチン接種も推奨されています。現在、子宮頸がんを引き起こすHPVに対するワクチンが存在し、10代から40代の女性に対して接種が行われています。ワクチンは、がんを100%防ぐわけではありませんが、リスクを大幅に減らすことは確かです。

子宮頸がんは、症状が出ないうちに進行する可能性が高いため、日常生活での予防策として定期的な検診とワクチン接種が重要です。しっかりとした対策を講じることで、未然に防ぐことが可能となります。

子宮頸がん以外に考えられるおりものの異常の原因

子宮頸がん以外に考えられるおりものの異常の原因
子宮頸がんがおりものに影響を与える場合があることは先述の通りですが、子宮頚がん以外にも様々な病状がおりものの異常を引き起こす可能性があります。知識として持っておくことで、それぞれの疾患の早期発見や正確な診断につながります。

子宮体がん

子宮体がんは子宮がんの一種ですが、子宮頸がんとは異なり子宮の体部分ががん化する病気です。この子宮体がんもまた、おりものの量や質に変化をもたらす可能性があります。

子宮体がんが進行すると、おりものに血が混じるケースがあるとしばしば報告されています。また、量が増える場合や臭いが強くなる場合もあります。これらの症状が見られた場合は、ただちに医師の診察が必要です。

特に、閉経後の女性に多く見られると言われているこのがんは、早期発見が難しく、無症状で進行することも多いです。異常なおりものの変化があった場合は、子宮体がんの可能性も考慮する必要があるでしょう。

子宮膣部びらん

子宮膣部びらんは、子宮頸管と膣が接続する部分に起こる炎症や組織の変化のことを指します。この状態もまた、おりものの量や質に影響を与えることがあります。特に、おりものが多くなる、または臭いがするといった変化が報告されることが多いようです。

この症状は、性感染症、頻繁な摩擦、あるいはホルモンバランスの乱れなどによって引き起こされることが多いです。具体的には、特にクラミジア淋病によって子宮膣部びらんが発生することが多いようです。これらの性感染症は適切な治療がなされないと、他のさらに深刻な症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

子宮頸管炎

子宮頸管炎は、子宮の入り口近くにある管状の部分が炎症を起こす状態です。子宮頸管炎もまた、おりものの量や質に影響を与える可能性があり、特におりものが黄色くなる、臭いがする、量が増えるなどの症状が現れることが一般的です。

子宮頸管炎の原因は多様で、バクテリア感染、ウイルス感染、または異物反応などが考えられます。治療には抗生物質や抗炎症薬が処方されることがあるようです。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管ポリープとは、子宮の入り口近くの子宮頸管と呼ばれる部分にできる小さな突起で、おりものの変化につながることがよくあります。具体的には、おりものの量が増えたり、少量の血が混ざることがあります。

このポリープは40歳以上の女性によく見られますが、それ以外の年齢層でも発生する可能性があります。もし症状が気になる場合は、婦人科で専門の医師に診てもらうことがおすすめです。状況によっては、手術でポリープを取り除くこともあるでしょう。

性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、性感染症の一種で、クラミジアという細菌によって引き起こされます。この感染症はおりものにも影響を与え、特におりものが多くなる、色が変わる、または臭いがするような症状が報告されています。

性器クラミジア感染症を放置しておくと、重大な健康問題が発生する可能性があります。予防方法としては、コンドームの使用や定期的な性感染症の検査が効果的です。また、感染が確認された場合は抗生物質による治療が一般的に行われます。

カンジダ症、カンジダ膣炎

カンジダ症は、カンジダという種類の酵母菌が過度に増殖することによって起こる感染症です。特に女性に多く、膣内で発生する場合はカンジダ膣炎と呼ばれます。この状態はおりものに影響を与え、通常は白く、カードのような質感のおりものが出ることが多いそうです。

カンジダ膣炎の症状は、痒み、赤み、痛みも含まれる場合があり、通常は抗真菌薬によって治療が行われます。

膣トリコモナス症

膣トリコモナス症は、トリコモナスという単細胞性の原虫が原因で発生する性感染症です。この病気もおりものに影響を与える場合があり、緑色や黄色、泡状のおりものが特徴的な症状とされています。膣トリコモナス症は、抗生物質によって治療が可能である場合が多いようです。

まとめ

まとめ
この記事では、おりものの変化に焦点を当て、その背後にある可能性のある疾患について説明しました。特に子宮頸がんは初期段階で症状が現れにくく、定期的な健康診断とワクチン接種が大切です

おりものの状態が普段と違う場合、それは身体が異常を伝える何らかのサインかもしれません。この記事があなたの健康を守るための参考になれば幸いです。何か問題を感じたら、まずは専門医に相談してみるのがおすすめです。

この記事の監修医師