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いびきの原因を解説!いびきの種類・症状・対処方法もご紹介します

 更新日:2024/01/12
いびきの原因

いびきは睡眠の質を低下させ、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。いびきは、多くの人が睡眠中に経験する現象ですが、その原因・種類・症状・対処方法について正しく理解することは重要です。

自分自身やパートナーの睡眠の質を向上させるために、ぜひ参考にしてみてください。良質な睡眠と健康な生活を実現するために、いびきに対処しましょう。

この記事では、いびきの原因・種類・症状・対処方法について詳しく解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

いびきの原因は?

男性医師
いびきの原因には主に下記のような原因があります。

  • 扁桃肥大
  • 加齢
  • 疲労やストレス
  • 鼻づまり

上記について詳しく解説していきましょう。

扁桃肥大

扁桃腺の腫れは、のどの奥に位置しているため、気道に近い位置にあります。そのため、扁桃腺が腫れると、いびきが出やすくなるのです。
腫れている扁桃腺が気道を圧迫したり、通気を妨げることで、いびきが引き起こされる場合があります。
扁桃腺の腫れによるいびきは、主に睡眠時に顕著になります。睡眠時に筋肉の緊張が緩んで舌や扁桃腺が気道に垂れ下がることで、空気の通り道が狭くなるのです。
その結果空気が通りにくく、いびきが発生する可能性があり、いびきが続く場合扁桃腺の腫れが原因である可能性があります。

加齢

加齢に伴う身体の変化がいびきを引き起こす可能性があります。
加齢によって首の筋肉が衰えたり弛緩したりすることで、気道の開口が狭くなりやすくなるのです。このため、空気の通り道が制限され、いびきが発生する可能性が高まります。
また、加齢によって、舌や口蓋などの口腔内組織が弛緩し、気道を塞ぎます。口腔内の組織のたるみや衰えによって、いびきが引き起こされる可能性があるのです。
これらの加齢に伴う身体の変化がいびきを引き起こす原因となりますが、加齢だけがいびきの原因ではありません。生活習慣・体質・睡眠姿勢なども関与しているでしょう。

疲労やストレス

問診表
疲労していると、喉や舌の筋肉が緊張不足になる傾向があります。筋肉の緊張不足によって気道が狭くなり、いびきが発生する可能性が高まるのです。
また、疲労していると、睡眠の質が低下する可能性があります。十分な休息を取れず深い眠りに入れない場合、筋肉の緊張や気道の狭窄が起こりやすくなり、いびきが生じるでしょう。
更に、ストレスによって睡眠の質が低下し、深い睡眠が得られなくなる場合があります。睡眠不足や不規則な睡眠は、いびきの発生を促す要因となるのです。
疲労やストレスは身体の様々な機能に影響を与えるため、いびきの発生にも関与する可能性があります。適切な休息と十分な睡眠を確保することで、疲労によるいびきを軽減しましょう。

鼻づまり

鼻づまりがあると、鼻腔の通り道が狭まり、空気の通りが悪くなります。このため、呼吸時に空気が迅速に通過することが難しくなり、いびきが発生する可能性が高まるのです。
また、アレルギー性鼻炎や花粉症などのアレルギー反応によって鼻づまりが引き起こされる場合があります。アレルギー反応によって鼻の粘膜が腫れたり炎症を起こしたりするため、鼻腔が狭まりいびきが生じるのです。
鼻づまりの原因として鼻ポリープが挙げられます。鼻ポリープは鼻の内側にできる腫れ物で、鼻腔を狭めます。鼻づまりによっていびきが引き起こされる可能性があるでしょう。
ただし、いびきの原因は個人によって異なる場合があり、医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。

いびきの種類

ハートを持つ医師
いびきの種類には下記のような種類があります。

  • 単純性いびき
  • 上気道抵抗症候群
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS

上記について詳しく解説していきましょう。

単純性いびき

いびきをかいているけれど、身体に影響を及ぼす無呼吸発作や低酸素血症はなく、眠気も生じない場合、それは単純性いびき症と呼ばれる状態を指すかもしれません。
病院での睡眠時無呼吸の検査では異常が見つからず、特に眠気も感じないため、病名も特定されず適切な治療も受けられないという状況に悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
単純性いびき症に対しても解決策は存在します。病院を受診するだけでなく、ライフスタイルの改善・寝具の選択・体位の調整など自分自身で有効な対策を取れるでしょう。
そのため単純性いびき症の解決は、自身の快適な睡眠環境を確保し、質の高い睡眠を取るためにも重要です。
病名が特定されないからといって、悩まずにいびきに対処する方法はあります。ぜひ、適切な対策を見つけて、良質な睡眠と快適な生活を取り戻しましょう。

上気道抵抗症候群

眠る男性
上気道抵抗症候群は、1993年に初めてその病名が用いられた疾患です。この症状では、上気道での空気抵抗が増大し、頻繁に目が覚めてしまうことが特徴です。
それによって日中に眠気やだるさが生じることがあります。しかし、この症状では睡眠時無呼吸症候群と異なり、無呼吸低呼吸指数(AHI)が5未満であることが特徴です。
また、本人はこの頻繁な覚醒を自覚していないこともあります。脳波を観察しても、この覚醒は数秒程度でしか続かないため、自覚症状はほとんどありません。
上気道抵抗症候群の特徴は、睡眠中の胸腔内の陰圧がより大きくなることです。胸腔は肺と胸郭との間に存在する狭い空間であり、通常は陰圧になっています。
この陰圧は正常な呼吸において重要な役割を果たしています。呼吸をする際、横隔膜が収縮することにより胸腔内の陰圧が増大し、肺が膨らむのです。
しかし、過度の胸腔内陰圧が胸壁の圧受容体を刺激し、脳に伝わることで頻繁な覚醒を引き起こすと考えられています。
上気道抵抗症候群は、特に小児のいびきの原因としても注目されています。適切な治療法を選択するためには、病院での診断が重要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。この状態では、呼吸ができずにいびきをかいたり、何度も目を覚ましてしまうために睡眠不足になる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が停止するため、低酸素状態になります。この低酸素状態は、体に負荷をかけ、心臓や血管に影響を与えるでしょう。
実際に、狭心症・動脈硬化・脳梗塞などの病気のリスクを増加させる要因となることが知られています。
しかし、この病気の影響は身体だけにとどまりません。呼吸を再開するために何度も覚醒するため、深い眠りに入れず、疲労やストレスが蓄積されます。
これにより、倦怠感・日中の強い眠気・集中力の低下・気分の落ち込みなどの症状が現れるのです。
以上のように、睡眠時無呼吸症候群の症状は放置すると深刻な問題を引き起こす可能性があります。
そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。もし睡眠時にいびきや呼吸の停止を感じるなどの症状がある場合は、睡眠専門医や医師に相談しましょう。

いびきの主な症状

医師
いびきのおもな症状は、咽頭(のど)の狭窄によって空気の通り道が狭くなり、その部分でのどが振動して音が発生することです。
特に睡眠中は、のどを支える筋肉が緩んでしまうため、咽頭の狭窄がより顕著になります。また、日本人は一般的に顎(あご)が小さく、肥満や飲酒、睡眠薬の使用などによっていびきが発生しやすくなるのです。
いびきをかく本人は眠っているため気づきにくく、見た目では熟睡しているように見えても、睡眠の質は不安定で睡眠不足に陥ります。
現時点ではいびきは公式な疾患とはされていませんが、慢性的ないびきは望ましくありません。適切な対策を講じることでいびきを軽減し、健康な睡眠を取ることが重要です。

いびきをかきやすいのはどんな人?

悩む人
いびきをかきやすいのはどんな人か下記にまとめました。

  • 肥満体型の人
  • 首が太くて短い人
  • 顎が小さい人
  • 喫煙している人
  • お酒をたくさん飲む人

上記について詳しく解説していきましょう。

肥満体型の人

肥満の場合、体重の増加によって頸部に脂肪が蓄積し、気道が狭くなります。この気道の狭窄がいびきを引き起こす原因となるでしょう。
具体的には、頸部の脂肪が気道を圧迫し、空気の通り道が狭くなることで呼吸の流れが乱れます。その結果、口や鼻から通る空気が障害物に当たることで振動が生じ、いびき音が発生するのです。
また、肥満によって体脂肪が内臓脂肪として蓄積することで、内臓器官が圧迫されたり、血液循環が悪くなることもいびきの原因となります。これにより、呼吸の制御が乱れ、いびきが発生する可能性が高まるのです。

首が太くて短い人

首が太くて短い人は、いびきをかきやすい傾向がありますが、それは首が太いから気道も太いわけではありません。
実際には、このような人は肥満体型の人と同様に、気道に脂肪が蓄積されやすい傾向があります。
そのため、脂肪によって気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなるのです。このようなタイプの人は、適切な対策をとることでいびきを軽減できます。

顎が小さい人

問診表を見る医師
下あごが小さい人は、舌を支えるスペースが狭くなるため、顎が大きい人と比べると気道が極端に狭くなることが多いです。
これによって気道が狭まり、いびきが引き起こされる可能性が高まります。このような場合は、対策をとることでいびきを軽減できます。

喫煙している人

喫煙によって喉の粘膜が炎症を起こし、腫れる可能性があります。これにより気道が狭くなり、いびきが引き起こされる可能性が高まるのです。
また、喫煙は喉の筋肉の弛緩を引き起こす可能性があります。筋肉の弛緩によって気道が狭くなり、いびきが発生するのです。
更に、喫煙によって気道や喉の粘液の分泌が増加します。これによって気道が詰まりやすくなり、いびきが生じるでしょう。

お酒をたくさん飲む人

過度な飲酒は、喉や気道に直接的な影響を及ぼし、いびきの頻度や重さを増加させる可能性があります。特に、アルコールを摂取する時間帯や量によっては、いびきが顕著になるでしょう。
いびきを改善するためには、過度な飲酒習慣の改善が重要です。適度な飲酒量を守り、アルコールの摂取を控えることで、喉の筋肉の弛緩や粘膜の炎症を軽減できます。
ただし、いびきの原因は個人によって異なります。もしいびきが日常生活に影響を与える場合は、医師の診断を受け、適切な治療を受けましょう。

いびきの対処方法

案内する医療従事者
いびきの対処方法を下記にまとめました。

  • 横向きで寝る
  • 枕の高さを変える
  • 生活習慣を整える

上記について詳しく解説していきましょう。

横向きで寝る

横向きで寝ることは、いびきを軽減する効果があります。いびきの多くは仰向けで寝ることによって気道が狭くなることが原因です。そのため、横向きで寝ることで気道の開口を確保し、いびきを軽減できます。
適切な高さの枕を使用し、頭部を少し高くすることで気道の開放を促しましょう。体を少し傾けて寝ることも効果的です。
ボディピローを丸めて体の両側に置き、体をサポートすることで横向きで寝やすくなります。特別に設計された横向き寝用具を使用することで、体を横向きに保てるでしょう。
横向きで寝ることはいびき対策の一環として有効ですが、個人の状況や好みに合わせて適切な方法を選んでください。

枕の高さを変える

横になる人
正しい高さの枕を使用することで、首や頭部の位置が適切にサポートされ、気道の開放を促します。
枕の高さを調整する際には、首の自然なカーブを維持することが重要です。首と頭部が直線にならないよう、適度な高さを選びましょう。
また、寝る姿勢によって枕の高さも異なります。仰向け寝や横向き寝に合わせて、適切な高さの枕を選びましょう。これによっていびきの軽減や改善が期待できます。

生活習慣を整える

生活習慣の見直しは、いびきの対策において非常に重要です。肥満によって頸部に脂肪が沈着し、気道が狭窄しやすくなるため、いびきが生じると考えられています。
肥満に対する減量方法として、食事療法と運動療法の併用が推奨されています。規則正しい食事や適度な負荷の運動を取り入れることで、肥満は改善可能です。
また、飲酒も肥満の原因に関わります。ダイエットする際はアルコールも控えるようにしましょう。

いびきを放置すると危険な場合がある

座っている人
いびきを放置すると、さまざまな問題や合併症が生じるでしょう。
以下に、いびきの放置がもたらす潜在的なリスクと影響をいくつか挙げます。

  • 睡眠障害:いびきは睡眠の質を低下させます。いびきの音や気道の閉塞により、正常な睡眠サイクルが妨げられ、深い眠りやREM睡眠が十分に得られないのです。結果として、日中の眠気・疲労感・集中力の低下などの睡眠障害が生じる可能性があります。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS):いびきが慢性化し、気道の閉塞が繰り返される場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断される可能性があります。SASは睡眠中に一時的に呼吸が停止する状態であり、酸素供給不足や睡眠の断片化を引き起こすのです。これによって心血管系や代謝に影響が及び、高血圧・心臓病・糖尿病・脳卒中などの合併症のリスクが増加します。
  • パートナーの睡眠障害:いびきはパートナーの睡眠にも大きな影響を与えます。共同で寝ている場合、いびきの音や気道の閉塞により、パートナーの睡眠が妨げられるでしょう。これにより、パートナーも睡眠障害や日中の疲労感を抱えることになるかもしれません。
  • 心理的な影響:いびきが慢性化すると、睡眠不足・日中の眠気・パートナーとの関係への影響などにより、ストレス・イライラ感・集中力の低下・気分の落ち込みなどの心理的な問題が生じる可能性があります。

これらのリスクと影響は、いびきの個人差や症状の重症度によって異なります。
しかし、いびきが続く場合は、睡眠専門医や医師に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。

まとめ

説明する医師と患者

いびきの原因や対処方法は人によって異なるため、病院での診断が重要です。

いびきが日常生活に影響を与えている場合、睡眠の質が低下している場合は、早めに医師の診断を受けましょう。

医師は症状や原因を評価し、適切な治療法を提案してくれます。いびきの治療は生活の質を向上させ、健康リスクを軽減できます。

病院への受診を検討し、いびきの解消に向けた一歩を踏み出しましょう。

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