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人工透析が必要になる原因は?治療方法・費用・寿命について紹介

 公開日:2024/05/31
人工透析が必要になる原因は?治療方法・費用・寿命について紹介

人工透析が必要になるのは腎臓の機能が大きく低下したときです。人工透析は定期的な通院をしながらコストと時間がかかる治療ですが、どのような治療なのでしょうか。

また人工透析が必要だと診断された際、患者さんはどのような知識を持っておくべきなのでしょうか。

今回は、人工透析の治療方法や費用、寿命などを具体的に解説します。

人工透析は長く続く治療です。病気・治療と上手に付き合うために、正しい知識を身につけましょう。

吉田 啓

監修医師
吉田 啓(ひらくクリニック)

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東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学附属病院腎臓・高血圧内科勤務、同大学附属第三病院腎臓・高血圧内科勤務をへた2014年、東京都世田谷区にひらくクリニック開業。2018年には透析センター併設のため隣接地へ移転・増床。患者さんが未来を「ひらいて」いけるよう、日々の診療に努めている。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医・指導医、日本医師会認定産業医、慈恵医大第三病院非常勤診療医員。

人工透析が必要になる原因

人工透析が必要になる原因
人工透析は、腎臓の失われた機能を補うための治療方法です。
腎臓は糸球体・尿細管を冒されることで働きが悪くなり、慢性腎不全・急性腎不全などの腎臓病を発症します。腎臓の機能は一度失われると回復が困難です。そのため、治癒ではなく腎臓の機能低下を防ぐことや進行を遅らせることを目的に治療を進めます。
人工透析が視野に入るのは、腎臓病が進行し末期腎不全まで進行したタイミングです。末期腎不全、つまり腎臓の働きが本来の10%以下まで低下すると、自身の腎臓での体内の老廃物除去が難しくなります。
老廃物が体内に蓄積すると以下のような症状が現れます。

  • 倦怠感
  • 食欲低下
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 頭痛など

人工透析では、これらの症状が出ないように体内の老廃物を浄化します。以下では、人工透析が必要になる原因や腎臓病を引き起こす症状を具体的に解説します。

腎機能低下

腎臓の機能を低下させる腎不全は、急性腎不全と慢性腎不全の2種類に分けられます。急性腎不全は急激に腎臓の機能が低下し、慢性腎不全は数ヵ月から数十年程の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと低下します。
急性腎不全は、適切な入院治療ができれば腎機能が回復する見込みがあります。一方で慢性腎不全は、自覚症状のないままゆっくり腎機能が悪化する疾患で、腎機能の回復は難しいでしょう。
通院治療では、以下のような治療を行います。

  • 降圧薬による血圧管理
  • 塩分・水分の制限
  • タンパク質・リン・カリウムの摂取制限などの食事療法
  • 症状に応じた薬剤の投与

以上の治療で腎不全の進行を遅らせる期間を腎不全保存期と呼びます。腎不全保存期の治療を経て、腎機能の低下が進行すると末期腎不全となります。末期腎不全では定期的な透析治療が必要です。

腎臓の炎症

腎臓の炎症を腎炎、別名糸球体腎炎と呼びます。
腎炎になると血尿・蛋白尿があらわれますが、ほかに自覚症状はありません。放置すると慢性の経緯を辿り、将来的に人工透析治療が必要になるリスクがあります。
腎炎のなかでも少なくない疾患はIgA腎症です。IgA腎症腎臓の糸球体に、免疫グロブリンである淡白、IgAが沈着する点が特徴です。若年層を含め広い範囲の年齢層に発症します。

糖尿病

糖尿病の合併症として発症する腎不全、糖尿病性腎症についても知っておきましょう。糖尿病性腎症がきっかけで透析治療を受けている患者さんは、全透析患者のうち44.1%と少なくない割合を占めています。糖尿病性腎症は以下のように段階を踏んで進行します。

  • 第1期(腎症前期)
  • 第2期(早期腎症期)
  • 第3期A(顕性腎症期)
  • 第4期(腎不全期)
  • 第5期(透析療法期)

第1期・第2期の初期で治療を開始できれば、血糖コントロールを中心とした治療で回復を見込めます。
しかし、むくみ・息切れなどの自覚症状があらわれ出す第3期以降は、治療で病気の進行を遅らせても腎機能を本来の状態まで戻すことはできません。そのため糖尿病治療中は腎不全の早期発見のため、定期的な血液検査が必要となります。

高血圧

高血圧が原因で腎機能が低下し、透析治療が必要になるケースもあります。高血圧の状態が続くと腎臓の血管が動脈硬化を起こし、腎臓が機能不全を起こす腎硬化症につながるためです。腎硬化症が進行すると、糸球体の硬化・腎機能の低下と段階を経て慢性腎不全に至ります。
元来は高齢者に多い疾患でしたが、生活様式の変化から30〜40代の患者さんも増加傾向にあります。腎硬化症には自覚症状はほとんどなく、尿検査でも発見は困難です。高血圧が認められる高齢者を対象に血液検査でクレアチニンを測定し、疾患を発見するケースが少なくないです。

人工透析での治療方法

人工透析での治療方法
人工透析には、血液透析腹膜透析の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
いずれも目的は、腎臓の代わりに血液を浄化することです。血液透析と腹膜透析のどちらを選択するかは医学的条件に限らず、以下のようなポイントを配慮して決定します。

  • 患者さんのライフスタイル
  • 年齢
  • 性格

透析治療への移行は、精神的な苦痛を感じてしまう患者さんも少なくありません。そのため透析治療はなるべく患者さんのQOLに寄り添った治療になるよう、担当医師は患者さんとよく相談して透析移行時期・方法を判断します。

血液透析

血液透析(HD)とは、血管内の血液を用いて浄化する治療方法です。
血液透析では血管に針を刺し、チューブでダイアライザーまで誘導し浄化した後、血液を血管に戻します。ダイアライザーとは透析膜の周囲を透析液で覆った装置で、浸透圧を利用して血液内の老廃物を透析液内に回収することで浄化しています。
血液透析の治療では透析施設に週3回通院し、1回4時間の治療を受けなければなりません。この拘束時間の多さに加え、透析に伴い頭痛・吐き気などの症状が出る点がデメリットです。メリットは、医療機関で医療従事者の手で透析を受けられることや、カリウムやリンといった電解質の除去に優れていることです。

腹膜透析

腹膜透析(PD)とは、胃・腸などの臓器を覆っている腹膜を用いて浄化する治療方法です。
腹膜透析ではお腹の中に管(カテーテル)を通し透析液を注入します。すると腹膜が透析膜の役割を果たし、浄化します。老廃物を含んだ透析液は体外のバックに排出されます。
スケジュールは装置によって異なり、CAPDではバック交換は6~8時間ごと、1日4回程度行います。バック交換の所要時間は30分程度です。APDでは1日1回、夜寝ている間に機械(自動腹膜透析装置)を使って自動的に腹膜透析を行います。いずれの装置を用いる場合でも月に1〜2回病院での受診が必要です。
医療機関での拘束時間が短く、活動しながら透析を行えるメリットがあります。デメリットは日頃の透析は患者さん本人や家族などが行うことや、長期継続ができず5〜7年で別の治療法に移行する必要があることです。

人工透析の費用

人工透析の費用
ここまで、人工透析の種類やメリット・デメリットを解説しました。以下では、血液透析か腹膜透析のいずれを選ぶかの判断にも重要な、治療費用を解説します。

高額な医療費がかかる

ここでは透析治療1ヵ月分の医療費を紹介します。
外来血液透析では約400,000円(税込)、腹膜透析(CAPD)では約300,000~500,000円(税込)となります。治療は、発症してから生涯に渡って継続が必要です。

公的な助成制度を利用しての治療ができる

透析治療にかかる費用は複数の公的助成制度で抑えられる仕組みがあるため、適切に活用しましょう。
加入している保険者・後期高齢者広域連合の窓口で申し込みすると、高額療養費の特例として保険給付され、自己負担額は1ヵ月10,000円が上限となります。
身体障害者手帳の交付を受けている、18歳未満(20歳まで延長可能)であれば、国制度で1割負担まで治療費を抑えられます。また、各自治体で独自の助成を設けているケースもあるため確認しましょう。

人工透析を受けたときの寿命

人工透析を受けたときの寿命
次に、人工透析を受けた患者さんの平均寿命を紹介します。
平均寿命とは、ある年を基準として死亡状況が今後変化しないと仮定したとき、各年齢の患者さんが平均的に見て、今後何年生きられるか期待値を表した数字です。平均余命とも呼びます。
2020年を基準とした慢性透析患者さんの平均寿命は、男性の場合40歳で24.0年、50歳で17.4年、60歳で12.3年です。女性の場合は40歳で26.0年、50歳で19.8年、60歳で14.3年となっています。

透析医療の進歩によって生存率が高くなっている

透析治療を受けている患者さんの生存率は年々増加傾向にあります。その背景には、透析技術・機器の進歩があります。ちなみに、日本の透析治療が始まったのは1956年です。
透析治療はかつては患者さんの命をつなぎ止めるに留まる医療でしたが、歳月のなかで進歩を重ね今では患者さんの健康寿命・QOLまでも配慮できる医療に発展しています。

早期の治療開始で負担軽減と寿命が延びる可能性

腎不全は、早期発見・早期治療でがとても重要です。定期的に健診を受けることで、腎機能が低下していても早く治療を始められるでしょう。腎不全は症状の進行が早い場合もあるため、健診は毎年受けることがおすすめです。
治療は、原因疾患と腎臓の状態をみながら行われます。生活習慣の改善や食事療法、薬物療法、運動療法など、患者さんに合わせた治療を総合的に行うことが大切です。腎機能は、ある程度まで低下してしまうと回復することが難しいため、早い段階で適切な治療を受けましょう。
万が一症状が進行して人工透析が必要となっても、必ずしも透析を嫌がる必要はありません。透析治療は、患者さんの人生を支えてくれるパートナーです。担当医師とよく相談しながら、適切なタイミングで透析治療を開始しましょう。

人工透析のことならひらくクリニックにご相談を

ひらくクリニック 外観
透析治療は長く人生をともにする治療であるため、知識や経験が豊富で患者さんに親身に向き合ってくれる医師・医療機関にお願いしたいものです。

東京都世田谷区にあるひらくクリニックは、透析に強く、患者さん想いの医師が院長を勤めているクリニックです。

日本透析医学会 透析専門医・指導医である院長による治療

ひらくクリニック 院長
ひらくクリニック院長の吉田啓先生は、東京慈恵会医科大学附属病院腎臓・高血圧内科にて、17年間経験を積まれました。高度な透析の知識・経験を持っている、日本透析医学会 透析専門医・指導医です。専門的なアプローチで、患者さんに「いま、何が必要なのか」わかるように適切な回答と治療を提供されています。

吉田先生は、「透析を一生続けないといけないのは受け入れがたいこと」だとお考えで、スタッフ皆さんが患者さんの心労に寄り添ったケアを心がけているといいます。また、院内は血液透析中も快適に過ごせるように、空調システムやインターネット環境などにも配慮されているそうです。

質と量の双方に対応した血液透析システム

人工透析には血液透析と腹膜透析がありますが、ひらくクリニックでは患者さんのライフスタイルとご希望を考慮して行われます。

週3回・1回あたり4時間の通院治療で行われる血液透析では、良質な透析液を大量に精製するシステムを採用されているそうです。きれいな透析液を大量に使用する質と量の両方にこだわった治療で、効率よく血液を浄化できるといいます。

また腹膜透析は、日帰り(※)でカテーテル挿入術を行うことができ、外来で自宅での治療方法の指導を行ってもらえるため、入院せずに始められるそうです。

(※)術前の検査、術後の経過観察が必要です。

コミュニケーションを重視した治療

ひらくクリニックは患者さん中心主義を掲げています。

腎不全の治療は、透析治療だけでなく生活改善や食事制限など、患者さん自身の取り組みが必要不可欠です。

ひらくクリニックでは、患者さんの自主的な取り組みを、無理のない目標設定・丁寧な説明でサポートしてくれます。できるところから一歩一歩治療を進め、穏やかに病気と付き合っていける生活を目指されています。

本記事では人工透析の原因や治療法などを紹介しました。
これから人工透析を受ける方やご家族に人工透析を受けている方など、安心感や納得感のある治療を希望するならば、ひらくクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

ひらくクリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

京王電鉄京王線 仙川駅より徒歩約12分

東京都世田谷区上祖師谷5丁目18-9

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診療時間
9:00~12:30

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