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不整脈治療のフロー|不整脈の種類・受診するべき症状も解説

 更新日:2024/04/04
不整脈治療のフロー 不整脈の種類・受診するべき症状も解説

不整脈は誰にでも起こりうる疾患です。自覚症状を伴う場合もあれば、自覚症状がない場合もあり、自己判断が難しい不整脈もあります。

気付かずに放置していると、重篤な状態になってしまう可能性もあるため注意が必要です。この記事では、不整脈の種類・症状・治療法・不整脈治療などを解説します。

正しい知識を持つことで、自分の異変に気付き早期発見・早期治療につなげられるでしょう。不整脈の気になる症状がある場合は参考にしてみてください。

岸田 悠吾

監修医師
岸田 悠吾(東京Dタワーホスピタル)

プロフィールをもっと見る
2002年 愛知医科大学卒業
日本赤十字社 愛知医療センター名古屋第二病院
2008年 愛知県がんセンター 分子腫瘍学部
2010年 名古屋大学 Global Center of Excellence(COE) research assistant
2012年 名古屋大学大学院 脳神経外科 博士課程卒業
2012年 福島県立医科大学 脳神経外科 助教
2013年 福島県立医科大学 脳神経外科 講師
2016年 日本赤十字社 愛知医療センター名古屋第二病院 脳神経外科・脳腫瘍外科 副部長
2023年 東京Dタワーホスピタル 脳神経外科

不整脈の種類

不整脈の種類
不整脈とは、脈拍が不規則な状態・ゆっくり打つ状態・早く打つ状態のことです。
心臓が収縮と拡張を繰り返す拍動を脈拍といいます。人間の心臓は左側にある左心房・左心室、右側にある右心房・右心室の4つの部屋に分かれています。心臓がポンプの役割を果たし、拡張と収縮を繰り返すことで肺や全身に血液を送っているのです。心室と心房の収縮・拡張は、右心房の先にある洞結節から発生するわずかな電気刺激によってコントロールされています。この電気刺激が心臓の心室や心房までうまく伝わらないと、不整脈を引き起こすのです。
ここでは、不整脈の種類を詳しく解説します。

期外収縮

期外収縮とは、心臓の中にある洞結節から発生する電気刺激が、正常な場所以外から出ることで生じます。
脈拍が飛んだり乱れたりする不整脈です。患者さんの数も多く、健康な方でもアルコールの多飲・喫煙・過労などによって引き起こされることがあります。また、30歳を超えるとほとんどの方が期外収縮になることがわかっており、年齢とともに増加するため注意が必要です。
期外収縮は、心房から出る心房期外収縮と、心房の下にある心室から出てくる心室期外収縮の2つがあります。これらが生じると、脈が1拍分触れない現象が起きます。「心臓が止まった?」と感じるかもしれませんが、それは心臓が止まったわけではありません。早いタイミングで心臓が収縮したことで1拍の脈圧が弱くなり、脈として触れなかったことが原因です。
病気との関係が少ない期外収縮ですが、心室期外収縮のなかには心筋梗塞や心筋症が原因で起きている場合があります。その場合、心室が痙攣を起こす心室細動に移行し、危険な不整脈になり突然死する可能性もある怖い不整脈でもあります。

脈が遅くなる不整脈

脈が遅くなる不整脈を徐脈性不整脈といいます。
正常な心拍数は1分間に60~100回程度ですが、徐脈性不整脈は1分間の心拍数が60回以下の状態です。正常に電気刺激が出なかったり、電気がうまく伝達できなくなったりすると起こる不整脈です。
徐脈性不整脈は、洞不全症候群・房室ブロックなどでみられます。徐脈性不整脈と並行して、めまい・目の前が急に暗くなる・血の気が引く感じがした・失神・息切れ・疲労感などの症状がみられた場合は治療の対象になる場合があります。
徐脈性不整脈がみられた場合は、精密検査で原因を特定し、不整脈の種類や症状の程度に合わせた治療法を検討していきます。

脈が速くなる不整脈

脈が速くなる不整脈を頻脈性不整脈といいます。心拍数が1分間に150回以上になる不整脈です。
電気刺激が速く発生してしまったり、電気が違う方向に通ってしまうことで起きます。脈が速くなる頻脈性不整脈にはいくつか種類があります。

  • 心房頻拍
  • 心房細動(粗動)
  • 発生性上室(心房)性頻拍
  • 心室頻拍
  • 心室細動
  • WPW症候群

これらのうち致死性不整脈といわれているのが、心室頻拍と心室細動です。
心室頻拍は心室期外収縮が3つ以上連続して起こる場合をいいます。心臓に病気がある場合や連発する回数が多い場合は命に関わるため注意が必要です。脈拍が速いと動悸がし、また血圧が下がるとふらつきやめまいを起こすこともあるでしょう。場合によっては極端に血圧が下がり、ショック状態になることもあります。
心室細動は、心室が痙攣すると起こる不整脈です。心室が1分間に300回以上細かく震えている状態で、心房細動が起こると数秒で意識消失してしまいます。全身に血液を送り出す左心室が小刻みに動いた状態のため、全身に血液が送り出せなくなり、意識消失や痙攣を起こすのです。この場合は、早急に救命に必要な措置を行わなければいけません。

不整脈へのアプローチ法

不整脈へのアプローチ法
不整脈になった場合、その不整脈の状態や症状に対して適切な処置を行う必要があります。
ここでは、4つのアプローチ法を解説します。

ペースメーカー

ペースメーカーは、徐脈性不整脈に対して行われるアプローチ法です。
心臓に電気信号を送り出す洞結節に異常があり、洞結節からの興奮が起こらなかったり、起こりにくい状況の場合が適応となります。また、電気刺激の通り道の刺激伝達系が途切れてしまい心室にうまく興奮が伝わらず、脈が遅くなる場合も適応です。
ペースメーカーは重さは20g程度で、本体とリード(導線)で構成されており本体には電池と電気回線が内蔵されています。リードの先端部分にある電極を心臓の筋肉に装着し、適切な電気刺激を伝え徐脈性不整脈の異常にアプローチする治療です。

カテーテル

カテーテルは、血管内にカテーテルという細い管を挿入し、心臓の機能や構造を確認できる検査方法です。
心臓の心室や心房の圧を測定したり、造影剤を使用して心臓の構造や血管の狭窄・閉塞を観察できます。また、心電図で不整脈の原因が特定できない場合に電気生理学的検査を行うことがあります。
これは、電極のついたカテーテルを血管内に挿入し心臓まで到達させ、心臓に直接電気刺激を与えることで不整脈を誘発させる検査です。心電図検査を同時に行い、どのような不整脈が出ているかを確認します。カテーテルを入れる際には局所麻酔を使用し行われるため、患者さんの身体への負担は大きくなるでしょう。

アブレーション

アブレーションは、メスを使用せずに行う心臓手術法の1つで、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)ともいいます。
薬の治療で改善しない不整脈や予防できない不整脈に対して行われる治療法です。
足の付け根(鼠経部)から、電極のついたカテーテルを挿入します。それを心臓まで進めていき電気刺激の異常を発生させている場所を特定します。発生源が特定できたら、カテーテルの先端を患部に密着させ、その部分の組織を焼灼する方法です。
発作性の心房細動の90%程度が、肺静脈の異常な電気刺激が原因で引き起こされることがわかっています。
そのため、肺静脈の出口を囲うようにして焼灼すると、心房細動の抑制ができるのです。開心術と比較すると患者さんの体への負担も少なく行え、治療により自覚症状が改善されるためQOL(生活の質)向上にもつながります。
また、脳梗塞や心不全の予防にもつながります。

アップルウォッチ外来

アップルウォッチなどのスマートウォッチは、さまざまな機能を持つ腕時計です。
家庭用心電計プログラムや家庭用心拍数モニタプログラムが搭載されており、心電図を記録できます。
アップルウォッチ外来とは、アップルウォッチで記録した患者さんの心電図データをもとに不整脈の評価・精密検査が必要かどうか・治療が必要かどうかの判断をするための外来です。
不整脈の種類にはいろいろあり、常に出現しているとは限りません。そのため、医療機関で心電図検査を行うタイミングで不整脈の診断ができない場合があります。
そのような場合に活用できるのが、アップルウォッチで記録されたデータです。不整脈のデータをとらえられれば、不整脈の診断や治療法の選択ができるようになります。
医療機関で何度も検査を行う必要もなく、効率的に診察が行えるのが特徴です。

不整脈治療のフロー

不整脈治療のフロー
不整脈の治療は、不整脈の種類に合わせて選択されます。不整脈の発生を抑え、患者さんの不快感や不安を和らげる目的で行われます。不整脈の種類ごとの治療方法は下記の通りです。

  • 期外収縮(上室性期外収縮・心室性期外収縮):薬物療法
  • 頻脈(上室性頻拍・心房粗動・心房細動):薬物療法・カテーテルアブレーション
  • 頻脈(心室頻拍・心室粗動・心室細動):重症度により早急な治療が必要(薬物療法・カテーテルアブレーション・植込み型除細動器)
  • 徐脈(同定し・同房ブロック・房室ブロック):ペースメーカー植込み術

不整脈には期外収縮・徐脈・頻脈があります。適切な治療を行うためには、どの不整脈なのかを判断しなくてはいけません。

医療機関を受診するべき不整脈の症状

医療機関を受診するべき不整脈の症状
不整脈を放置しておくと、命に関わる場合もあります。
そのため、不整脈の症状を理解し、自覚症状があれば早めの受診が大切です。ここでは、医療機関を受診すべき不整脈の症状を解説します。

動悸

動悸とは、心臓の鼓動や拍動が乱れることで生じる早さや強さを、不快に感じる症状です。
自覚症状には個人差があります。脈が飛んだ・脈が乱れている・心拍数が増加している・心臓の拍動がドクンドクンと強く打つなどの症状が、動悸の自覚症状です。
頻脈性不整脈が出現している場合、自覚することがあります。

息切れ

息切れは、徐脈性不整脈が出ている場合、体を動かしている時に現れることがあります。
脈が遅くなると、体を動かすのがつらく感じ、激しい息切れを起こすでしょう。就寝時や安静にしている時などは、症状が出にくい特徴があります。

意識が飛ぶ

意識が一瞬遠くなることがある場合、不整脈を起こしている可能性があります。
心臓の収縮がうまくいっておらず、脳に血液が十分に送り込まれていないことが原因で起こります。頻回に意識が飛ぶ場合は、不整脈が原因かもしれません。

失神する

失神とは、一過性に意識消失が起こることです。
自然と意識が回復するため、裏に隠れている病気になかなか気付けない場合があります。失神はさまざまな要因で起こりますが、心原性失神は命に関わるため注意が必要です。
意識が飛ぶ症状が悪化した状態です。頻回に失神する場合は、早めに医療機関を受診し医師に相談しましょう。

不整脈の治療なら東京Dタワーホスピタルにご相談を

東京Dタワーホスピタル
東京Dタワーホスピタルは、高性能医療機器を導入し、保険診療を主軸とした先進医療を提供している医療機関です。循環器内科では、冠動脈疾患・不整脈・弁膜症・心筋症・心不全・高血圧など幅広い循環器疾患の診断・治療に対応しています。

不整脈に対しては、低侵襲治療のカテーテルを用いたアブレーションを行っています。

不整脈の外来診療・検査・カテーテル治療・外科的治療までトータルで行ってもらえる医療機関です。

先進的な医療機器を用いて迅速・的確に診断

東京Dタワーホスピタル 手術室
東京Dタワーホスピタルは、先進的な医療設備と高性能医療機器を取り揃えた医療施設です。

先進機能を備えたCT装置やMRI装置はもちろん、ハイブリッド手術室やICUを完備しており、充実した環境で治療を受けられます。

そのような先進的な医療のなかで、今注目されているアップルウォッチの健康管理機能を活用した、アップルウォッチ外来を開設しているのも特徴です。

日常生活で取りためた健康状態のデータを受診時に持参すると、そのデータをもとに効率よく診察ができ、適切な治療を提案できます。

循環器内科と心臓血管外科で緊密な連携による治療

東京Dタワーホスピタルでは循環器内科のほかに、心臓血管外科診療にあたっています。

ほかの医療機関で治療が難しいと診断された場合には、循環器内科と心臓血管外科が緊密に連携し、患者さんにとって適切な治療方法を提案しています。

気になる症状がある場合、気軽に相談してみましょう。

集中治療室と個室病室でコンシェルジュによるきめ細かいサポート

東京Dタワーホスピタルには手術や治療後に集中治療が受けられる集中治療室が設置されています。

新しい生体情報モニタリング機器や人工呼吸器を装備しており、充実した設備での医療管理が可能です。

また、病室は完全個室を採用しており、プライバシーを守りながら心地よい入院生活を過ごせるよう、落ち着いた環境を提供しています。

さらにコンシェルジュによるきめ細かいサポートを受けられることで、快適な入院生活を送れるでしょう。

東京Dタワーホスピタルの基本情報

アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・治療期間

ゆりかもめ「市場前駅」より徒歩2分、「新豊洲駅」より徒歩5分
東京メトロ「豊洲駅」7番出口より徒歩15分

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診療時間
9:00~12:00
14:00~17:00

※予約最終受付は下記の通りです
【月~金】
午前(初診:診療終了時間の1時間前まで、再診:診療終了時間の30分前まで)
午後(初診:診療終了時間の1時間前まで、再診:診療終了時間の30分前まで)
【土曜日】
初診・再診:診療終了時間の1時間前まで

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