適応障害の症状は?症状やうつ病との違いから対処法・治療法について解説します!
適応障害に悩まれている方は、年々増加傾向にあります。しかし、心の病気は目に見えないため、深く知らない方もいるでしょう。
適応障害は誰でもかかる可能性があります。ご自身やご家族、または身近な方の変化に気付いたときに対処できるよう、意識を向けておくことは大切です。
この記事では、適応障害の症状や対処法を中心に解説します。うつ病との違いもまとめているので、理解を深める参考にしてください。
監修医師:
安藤 智道(秋葉原メンタルクリニック)
平成10年 東京慈恵会医科大学附属病院初期研修修了
平成11年 復光会総武病院勤務
平成17年 東京慈恵会医科大学附属病院勤務
平成20年 5月 秋葉原メンタルクリニック開設
目次 -INDEX-
適応障害とは?
適応障害とは、生活上に発生したストレスにうまく適応できずに生じた病的な心理状態のことです。
人は生活環境・生活リズム・人間関係の変化によって日々起きる新しい状況に合わせるため、生活習慣や心理状態を柔軟に変化させていきます。これを適応と呼びます。適応は本人の意思による変化のため、本人が変化させる意欲がなければ行えません。しかし、状況によっては周囲からの要請と、個人の心の要求が相反する場合があります。このようなときには誰しも、少なからず葛藤を覚えます。多くの場合は考え方を変えて周囲からの要請に自分を合わせるか、環境に働きかけて要請を変更させるかによってバランスを保ち、この葛藤を解決するでしょう。
しかし、適応障害の方は葛藤が引き起こす感情の変動が激しく、大きな心理的負担を感じてどちらの対処をすることも困難になります。そして、感情が激しく動いたときや問題となる行動が出現したときに、日常生活に支障をきたします。
適応障害の診断基準
適応障害かどうかを見定める診断基準の項目は5つです。
まず、はっきりと確認できるストレス因子に反応して3ヵ月以内に症状が出現していることが挙げられます。
次に、文化的要因を考慮に入れてもストレス因子に不釣り合いな著しい苦痛、もしくは社会的・職業的機能の著しい障害があるかを確認します。
また、そのストレス関連障害がほかの精神疾患の基準を満たしていないことも重要です。
さらに、その症状は正常な死別反応を示すものであってはなりません。
最後に、ストレス因子がひとたび終結すると、症状がその後さらに6ヵ月以上持続しないことも特徴です。
これらの5つの項目すべてに当てはまっている場合に、適応障害と診断されます。
適応障害の症状
心の状態は感情や言動に反映され、日常生活にも影響を及ぼす場合があります。身体的な疾患ではないからといって、適応障害を軽視してはいけません。
適応障害を十分に理解するために、代表的な7つの症状を解説します。ご自身や身近な方に変化を感じるときに該当する症状がないか、確認してみてください。
憂鬱な気分
適応障害の症状は、主に感情の変化です。なかでも憂鬱な気分は顕著な症状で、気分が落ち込みます。自分の身に起きていることや境遇に失望したり悔んだりして、気持ちが塞ぐようにもなるでしょう。また、どうしようもないと無力感に襲われ行動する気力が減退していきます。
適応障害の方はストレスを受ける状況を意識的に回避する行動を取るケースも多く、引きこもってしまう方もいるため見過ごせない症状です。
怒り
強いストレスを繰り返し感じると交感神経が優位な状態が続き、心身が興奮状態になります。これにより感情や衝動に対する抑制力が低下し、イライラして怒りっぽくなります。
本来なら一般的にみられる反応ですが、適応障害の患者さんには気分のむらがあるのが特徴です。
突然大きな声を出したり怒り出したりした後に、いきなり泣き出すこともしばしばあります。さらに、怒りの気持ちから逃れようと暴食や過剰な飲酒に走る方もいます。
不安感・焦り・緊張
不安感・焦り・緊張は、さまざまな場面で日常的に生まれる感情です。しかし、適応障害の場合、必要以上に不安を感じ神経質になる傾向にあります。気持ちが落ち着かずおろおろし、さらに適応が妨げられます。
また、早く適応しなければならないと焦ると気持ちだけが先走ってすべきことが行えず、焦りがさらに募って悪循環を引き起こすでしょう。不安や焦りの気持ちが大きくなると緊張も強まり、発汗や手の震えなどの症状となって出現する場合もあります。
頭痛
悩みや心配があるときに「頭痛の種がある」と表現されるように、ストレスと頭痛には大きな関係があり、適応障害の症状でも多くみられます。
基礎疾患のない慢性頭痛では、緊張性頭痛と片頭痛が一般的です。緊張性頭痛は、ストレスで頭部の筋肉が過度に緊張するために起こります。また片頭痛は、神経伝達物質のセロトニンが分泌異常を起こし、脳血管の収縮と拡張を繰り返すことで生じていると考えられています。精神的に不安な状態になると人は痛みに敏感になるため、より頭痛を強く感じてしまう方もいるでしょう。
さらに、めまいや吐き気を伴う方もいます。頭痛に悩む気持ちが抑うつ状態につながることもあり、症状がさらに深刻化する恐れもあります。
不眠
交感神経の過緊張による影響を受けやすいのが睡眠です。そのため、適応障害になると疲れているのに眠れない、眠り始めても何度も中途覚醒してしまうなどの不眠症状がみられます。
また十分な睡眠がとれないことにより、寝起きに身体の怠さを感じたり日中に強い眠気を感じたりします。
反対に過眠になるケースもあります。
攻撃的な行動
適応障害でみられる怒りの感情は、攻撃的な行動でも現れるでしょう。自分をコントロールできずに行動が自分本位になり、他者に暴言を吐いて暴力を振るってしまいます。無謀な運転や喧嘩、または破壊行動に出ることもあります。
また、周囲に迷惑や負担を強いる行為をしながら、罪悪感を持たない傾向にあるのも特徴的です。さらに攻撃する対象が自分自身になる場合もあり、自傷行為を行ってしまう方もいます。
社会生活への支障
適応障害の心身の症状が重症化してくると、社会生活にもさまざまな支障が生じます。
例えば、集中力が低下して仕事のミスが増えることがあるでしょう。また気分の落ち込みがひどく会社に行けず、遅刻や欠勤が増える場合もあります。
対人トラブルが増えたり不安感が強くなったりして、家から出ることに恐怖を覚える方もいます。
適応障害とうつ病の違い
適応障害と同様に心の病気と呼ばれ、広く知られているのが「うつ病」です。どちらも似た疾患のイメージですが、実は明確な違いがあります。
原因・症状の持続時間・治療の3つの分野から違いを解説します。
原因の違い
適応障害は特定のストレスが原因です。特に日本では職場の業務や対人関係でつまずいたことをきっかけに発症する方が少なくありません。
一方、うつ病は明確な発症の原因がないのが特徴です。ストレスに起因する場合もあるものの、脳の不調・遺伝・身体疾患によって生じるケースもみられます。
症状の持続期間の違い
適応障害の診断基準では、原因のストレスがなくなると症状が6ヵ月以上持続しない点も重視されています。つまり、適応障害はストレスに対する一過性の反応であり、ストレス要因を特定して取り除けば改善が見込めます。
しかし、うつ病は心身の不調が2週間ほぼ毎日、また1日中存在します。数ヵ月~数年、苦しい症状に対処し続けなければならない方もいます。
適応障害よりもうつ病の方が重度で、適応障害に対処しないままでいるために症状がさらに深刻化してうつ病と診断されることもあるため、注意が必要です。
治療の違い
うつ病の治療には、抗うつ薬による薬物療法が効果的です。そして環境調整や精神療法を組み合わせ、統合的に治療を進めます。
適応障害も治療の内容は近いものの、精神療法と生活療法を中心に行うのが一般的です。ストレス要因を取り除くことが重要になるため、薬物療法は対症療法として取り入れている病院が多い傾向にあります。
適応障害の対処法・治療法
適応障害の対処で大切なのは、原因の特定です。状況の分析を行い、どのような環境に適応できずストレスを感じたのかを明確にします。原因を特定した後、そのストレスから離れられるように環境を調整します。例えば仕事や職場が原因なら、休職や退職によって頼りにできる身近な人に助けを求められるように状況を変化させるなどです。
ストレスの感じ方は、人によって異なります。そのため、精神科医や心理療法士とのカウンセリングによって自分の考え方や行動を変化させ、ストレス耐性の向上を図る場合もあります。これを認知行動療法といい、環境を変えられない状況でも心の負担を軽減し、ストレスに適切に対処する効果が期待できる治療法です。
抑うつ状態や不眠で日常生活に支障をきたしているなら、抗うつ薬や睡眠導入剤が処方されるケースもあります。
適応障害のことなら秋葉原メンタルクリニックにご相談を
適応障害にお悩みの方は、千代田区神田平河町にある秋葉原メンタルクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。
精神科と心療内科の診療を請け負い、患者さんの早期の社会復帰と予防に尽力されているクリニックです。
以下に、秋葉原メンタルクリニックの3つの特徴を取り上げます。
患者さんが安心して診察を受けられるようプライバシーに配慮
心の悩みやストレスを相談するのは勇気がいることです。そのため、プライバシーに配慮されたクリニックなら不安を和らげて話しやすくなるでしょう。
秋葉原メンタルクリニックは、受付から会計までの間に患者さん同士が顔を合わせる機会を少なくするために、クリニック全体の構造を工夫されています。
診察前の待合室と会計前の待合室も分けられています。また通院時には番号札を渡し、名前の情報がほかの患者さんに漏れないようにしています。
さらに、診察室の壁は防音に配慮したものになっており、周囲への音漏れを心配する必要もありません。
社会機能回復と再発防止を目指した専門的治療
適応障害を患って社会から離れている時間が長くなるほど、思考力・判断力・記憶力などの社会適応能力が低下して社会復帰に時間がかかる傾向にあります。
この社会適応能力を落とさず回復を目指すためには、なるべく治療の早期から患者さん自身が考え判断し行動するのが大切です。
また、従来では対症療法とされている薬物療法は、時間とコストを削減できる治療法でもあります。
早期の社会復帰を目指すなら、これらの点を踏まえたうえでより効率よく根本的な治療を行えるような治療方針の決定が不可欠です。
そのため、秋葉原メンタルクリニックでは主治医と患者さんが治療のメリット・デメリットを一緒に考えて決定する点を重視しているそうです。
この方針をシェアードデシジョンメイキング(治療方針の共有化)と呼びます。
そして、治療の早い段階からリハビリテーションと予防にも注力し、再発防止にも努めているとのことです。
気軽に相談できる「こころのかかりつけ医」
秋葉原メンタルクリニックの安藤智道院長は、日本精神神経学会 精神科専門医の資格をお持ちです。
これまで培ってきた豊富な経験と知識に基づき、複数の治療法を組み合わせながら患者さんが適切な治療を見つけられるようサポートされています。
そして、メンタルヘルスに関する相談が気軽にできるこころのかかりつけ医であることを使命と考え、患者さん一人ひとりの心と向き合われています。
適応障害が疑われる症状がある方やストレスにお悩みの方は、秋葉原メンタルクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
秋葉原メンタルクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR秋葉原駅 昭和通り口より徒歩1分
東京メトロ日比谷線 秋葉原駅1番出口より徒歩1分
つくばエキスプレス 秋葉原駅A2出口より徒歩1分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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10:00~13:30 | ● | ● | - | - | ● | ● | - | - |
15:30~19:00 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - | - |
※初診も予約制
※当日でも空きがあれば受診可能
参考文献