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内視鏡検査を受けるベストタイミングを逃さない!医院選びで迷わないために知っておくべきこと【大阪府大東市 井上内科医院】

 公開日:2025/03/31

内視鏡検査を受けるベストタイミングを逃さない!医院選びで迷わないために知っておくべきこと
内視鏡検査を受けるベストタイミングを逃さない!医院選びで迷わないために知っておくべきこと

胃カメラ検査や大腸カメラ検査といった「内視鏡検査」は、外来で受けられる検査としては一般的にはハードルが高いように思われている。検査前には食事制限があり、内視鏡を口・鼻や肛門から入れることに抵抗を覚える人もいるからだ。ただ、内視鏡検査は胃がんや大腸がんといった病気の早期発見に大変有効であり、近年は特にその重要性が盛んに訴えられている。内視鏡検査はどのようなときに必要なのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、井上内科医院の井上智尋院長に詳しく伺った。

Doctor’s Profile
井上 智尋(いのうえ・ともひろ)
井上内科医院 院長

2016年、兵庫医科大学医学部卒業。兵庫医科大学病院で初期研修を受け、同病院の消化器内科で勤務。協立病院(現川西市立総合医療センター)の内科・消化器内科、住友病院の消化器内科を経て、2023年に井上内科医院の院長就任。日本消化器内視鏡学会 上部消化管内視鏡スクリーニング認定医、大腸内視鏡スクリーニング認定医。気持ちに寄り添った診療に力を入れ、地域の人々の健康維持を担っている。

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鎮静剤や医師の取り組みで苦痛や不安は最小限に

現在、内視鏡検査を受ける患者さんの年齢層に傾向はありますか?

やはり40~50代の方が多いですね。胃がんや大腸がんのリスクが高くなり始める年齢でもあるので、気にされているのだと思います。もちろん、症状によっては20~30代の方、80代の方でも内視鏡検査を実施します。

鎮静剤や医師の取り組みで苦痛や不安は最小限に

やはり、がんを心配して受診されるケースが多いのですね

胃がんや大腸がん、食道がんの早期発見こそが、内視鏡検査の最大の役割だと思います。早期がんであれば、治癒したり低侵襲の治療が選択できたりと、健康と命、そしてQOLを維持できる可能性が高くなります。

がんを疑い、内視鏡検査を受けるべき症状というものはありますか?

特に、胃痛が続いたり、血便をはじめとする便通異常が続いたりするような場合には、がんの可能性も考え、内視鏡検査をおすすめします。あとはバリウム検査(胃がん検診)や便潜血検査(大腸がん検診)で引っかかったという場合も、内視鏡検査は必須と考えます。

バリウム検査や便潜血検査で引っかかりながら、すぐに内視鏡検査を受けない方がいらっしゃるのでしょうか?

いらっしゃいます。ほとんどが「多分がんじゃない」と自己診断をしてしまっているようです。そう考えたくなる気持ちはわかるのですが、健康・命・QOLを守るため、必ず精密検査として胃カメラ検査・大腸カメラ検査を受けてほしいですね。

先ほど、便通異常のお話が出ました。具体的にはどのような異常に注意が必要ですか?

「便秘や下痢が続く」「便秘と下痢が交互にくる」「便が細くなった」「便がコロコロしている」といったケースです。がんだけでなく、ほかの病気を早期発見するためにも、日ごろから便の状態をよく観察しておくことが大切です。

未だ内視鏡検査自体に対するハードルは高いようです。患者さんはどのような点に不安を感じているように見えますか?

「苦しいんじゃないか」「痛いんじゃないか」という不安が多いようです。ただ、昔と比べると内視鏡はとても細くなっていますし、鎮静剤も使用できますので、ほとんどの方が「思ったよりずっと楽だった」「これなら毎年受けられる」とおっしゃってくださいます。

不安を解消するため、検査前にお話しされることはありますか?

検査の内容はもちろんですが、楽に検査を受けるコツもお伝えします。呼吸法や、唾が溜まったときの対処法などです。また、検査中は「〇〇を通ります」といった声かけもしています。こちらが黙っていると患者さんは不安になりますから。どちらも鎮静剤を使用しない場合のことですが。

鎮静剤や医師の取り組みで苦痛や不安は最小限に

鎮静剤を使った場合の注意点などはありますか?

検査後、当日中は車・バイク・自転車の運転ができないという点です。また検査後、意識がはっきりするまで30分~1時間ほど院内でお休みいただきますので、滞在時間もその分、長くなります。
当院では、一人用のソファを置いた専用のリカバリー室を用意しています。また、鎮静剤を使用した場合は、酸素モニターを使用してバイタルチェックを行います。

早期の発見・治療だけでなく、予防にもつながる内視鏡検査

早期の発見・治療だけでなく、予防にもつながる内視鏡検査

胃カメラ検査で見つけることのできる病気について、教えていただけますか?

胃カメラ検査では、「逆流性食道炎」「食道がん」「バレット食道」「急性・慢性胃炎」「胃がん」「胃ポリープ」「胃・十二指腸潰瘍」などの発見と診断ができます。また、組織を採取しピロリ菌検査を行うことも可能です。
ピロリ菌感染は、「慢性胃炎」「胃がん」「胃・十二指腸潰瘍」の原因・リスク因子になることがわかっています。陽性の場合は、除菌治療を行います。

胃カメラ検査で使用する内視鏡には、口から通す経口内視鏡と、鼻から通す経鼻内視鏡があります。経鼻内視鏡は細い分、画質が低いといったことはありませんか?

近年の画像処理技術の進歩はすばらしく、病変を発見できる精度という点では、ほぼ差がありません。ただ、病院などで内視鏡的治療を行う場合には、経口内視鏡のほうがよいですね。太くたわみにくい分、操作性にも優れ、正確な処置ができます。

次に、大腸カメラ検査で見つかる病気には、どのようなものがありますか?

「大腸がん」「大腸ポリープ」「潰瘍性大腸炎・クローン病」「大腸憩室炎」「虚血性腸炎」「過敏性腸症候群」などの発見と診断ができます。また、当院では大腸カメラ検査の際、大腸ポリープをその場で切除することも可能です。

大腸ポリープは、なぜ切除が必要なのでしょうか?

大腸がんのほとんどは、大腸ポリープががん化して発生するためです。ポリープの段階で切除しておくことで、大腸がんのリスクを下げることができます。大腸がんの予防法として、とても有効です。

早期発見・早期治療だけでなく、ピロリ菌の除菌治療で「胃がん」を、大腸ポリープ切除で「大腸がん」を予防するという意味でも、内視鏡検査は大切なんですね

そうですね。ただ、ピロリ菌に感染しただけ、大腸ポリープがあるだけでは、ほとんどは無症状です。
また、「胃がん」や「食道がん」「大腸がん」についても、初期にはあまり症状がありません。たとえ無症状であっても、40歳になったとき、50歳になったときなど、特に中高年の方はその節目でぜひ内視鏡検査を検討していただきたいですね。

大腸カメラ検査の前には、多量の下剤を飲むと聞いています。どれくらいの量を飲まなくてはいけないのでしょうか?

下剤の種類によって量が異なります。一般的によく使用される「モビプレップ」という薬であれば、水で薄めて約2ℓを飲みます。当院で使用している「サルプレップ」は480mℓで、あわせて水やお茶を飲む必要はありますが、比較的楽に飲んでいただけるのではないかと思います。

検査前の食事制限についてはいかがでしょうか?

胃カメラ検査の場合、原則として前日の食事制限はありませんが、夕食は21時頃までに済ませていただきます。
大腸カメラ検査の場合は、2日前から繊維質の多い食品を避け、前日はより消化のよいものを食べ、夕食は20時頃までに済ませていただきます。
検査当日は、胃カメラ検査・大腸カメラ検査のどちらの場合も朝から絶食です。水、お茶は適量飲んでいただいて構いません。

大腸カメラ検査は、胃カメラ検査と比べると食事制限が少し厳しくなるんですね

内容物が残っていると、内視鏡の視野が狭まりますので、ご協力いただくようお願いしています。メニューを考えるのが大変という場合には検査食もありますので、ご利用ください。最近の検査食は、患者さんが驚かれるくらい、おいしくなっています。

早期の発見・治療だけでなく、予防にもつながる内視鏡検査

内視鏡検査の必要性を判断してもらうことが第一歩

内視鏡検査の必要性を判断してもらうことが第一歩

井上内科医院では、新しい内視鏡システムを導入していると伺っています。どのような特長がありますか?

粘膜表層の毛細血管、そのパターンを強調する「NBI」、病変と正常粘膜の識別をしやすい画像を映し出す「LCI」といった技術が備わっています。どちらも、病気の早期発見・早期治療につながる技術です。

勤務医時代と比べると、患者さん一人ひとりにかけられる時間は長くなったと思います。そういった面でメリットは感じられますか?

疑問点や不安を直接伺える、またその説明が十分にできることで、患者さんはより安心してくださっているように感じます。また、かかりつけ医が内視鏡検査をしてくれるということも、病院で内視鏡検査を受ける場合とは違う点かなと思います。

確かにこれまで診てもらっていた先生なら、内視鏡検査も安心しておまかせできそうです。そもそもの話ですが、胃腸の症状、便の異常があった場合には、必ず胃カメラ検査や大腸カメラ検査を行うものなのでしょうか?

症状によってはおすすめすることがありますが、必ずではありません。胃腸や便の調子は、食生活、身体や心の状態によって変化しやすいため、まずは内服薬を使って様子を見たり、食生活の指導を行うこともあります。その上で、必要・ご希望があれば内視鏡検査を実施します。

「内視鏡検査が必要であるかどうか」を、まずは判断してもらうことが大切になりそうですね

現在はネットを通じてさまざまな情報が手に入る時代です。その情報によって内視鏡の必要性に気づいてくださる方もいますが、一方で「内視鏡検査は必要ない」と自己診断をしてしまう方もいます。問診・診察というステップを踏んで、必要な場合に内視鏡検査を行うことが、正しい医療のあり方であり、かつ患者さんにも余計なご負担を与えない方法なのかと思います。

内視鏡検査の必要性を判断してもらうことが第一歩

では、胃カメラ検査・大腸カメラ検査の費用を教えてください

胃カメラ検査・大腸カメラ検査はどちらも保険が適用されます。3割負担の場合、胃カメラ検査は3,420~3,780円、大腸カメラ検査は4,650円となります。これに別途、診察料・薬剤料などがかかります。
また、病理検査や大腸ポリープ切除が必要になった場合は、その費用が加算されます。

最後に、読者の方にメッセージをお願いします

「内視鏡検査を受けようかな?」「受けた方がいいのかな?」という方は、症状・食生活・年齢など、どこかに不安や心配ごとがあるのではないかと思います。まずは丁寧に問診・診察を行い、必要・ご希望に応じて胃カメラ検査・大腸カメラ検査を行いますので、“気になることを話してみる”という軽いお気持ちで、一度ご相談ください。

編集部まとめ

内視鏡検査における患者さんの負担を軽減するため、検査の精度を向上させるため、先生や医療メーカーがさまざまな努力や工夫をされていることがわかりました。また、事前の丁寧な説明、検査中の声かけといった、外からは見えづらい取り組みについても知ることもできました。内視鏡検査に高いハードルを感じる人こそ、「内視鏡検査を専門的に行っている医院」よりも、「内視鏡検査が必要かどうかを丁寧に判断・説明してくれる医院」に相談することが大切になりそうです。

井上内科医院

医院名

井上内科医院

診療内容

内視鏡検査 消化器内科 内科 など

所在地

大阪府大東市氷野1丁目11-23

アクセス

JR東西線・学研都市線「住道」駅より徒歩9分

この記事の監修医師