慢性的な痛みになる前に。違和感があったらまず受診【広島市中区 新本クリニック】



リモートワークによる在宅勤務の普及が進んでいる。「肩の痛み」や「腰痛」を訴える人が増えているのは、そんな勤務環境の変化による運動不足が影響しているかもしれない。また、PC作業による「ひじの痛み」に悩む人も多いようだ。ただ、そのような痛みを放置したままだと、やがて慢性的な痛みに変わる危険性があるという。「肩」「腰」「ひじ」の痛みにはどう対処したらよいのだろうか。整形外科で様々な症例を診てきた新本クリニックの新本誠一郎院長に話を伺った。
新本誠一郎(院長)
新本クリニック
2004年に金沢医科大学を卒業。広島大学病院、松山赤十字病院、広島市民病院、県立安芸津病院、中国電力中電病院での勤務を経て、2020年に新本クリニックに入職。父と共にクリニックを運営する。2022年1月に院長に就任。整形外科を専門に、内科、外科も担当する。「患者さんファースト」を掲げ、患者さんの希望に寄り添った治療を常に心がけている。
何より「聴取」を大切に、時間をかけて原因を突き止める
貴院ではどのような痛みを訴えて来院される方が多いですか?
整形外科が対応するのは、まず「頸椎から下」が基本となります。腰痛を訴える方が一番多いですね。ほかに肩、膝と続きます。首の痛みを肩の痛みだと思われている方も多いです。腰ですと「腰が痛い」「重たい」「動きにくい」など。肩だと「肩が動かしづらい」「腕が上がらない」などです。
また、肩関節のトラブル、いわゆる「四十肩」や「五十肩」ですね。膝だと「膝の痛み」「歩きにくい」「デスクから立ち上がるのが難しい」といったトラブルを訴える方が多いです。膝には立ち上がるときに一番負荷がかかりますからね。
どんな年齢層、どんな職種の方が多いですか?
当院はオフィス街にありますので、20~50代の就業されている年代の方が多く来院されます。デスクワークのほか、販売員や美容師など、立ち仕事の方が多いです。スポーツによるトラブルをお持ちの方も多くいらっしゃいます。
痛みの原因はどのように突き止めていくのでしょうか?
とにかく「聴取」が一番大事です。「どのような仕事をしているのか?」「重いものは持つのか?」「普段どれくらいの時間座っているのか?」「車の運転は長時間するのか?」など、患者さんがどんな生活を送っているのかを聴取し、推理しながら原因を探っていきます。初診ではだいたい5分くらいはじっくりお話を聞くようにしています。
外傷は原因がはっきりしていますが、「いつのまにか痛くなった」という痛みは、意外に本人が原因を自覚されていないことが多いんです。PC作業からトラブルが起きている方も多いですが、その際にはデスクトップなのかノートパソコンなのかも必ず尋ねます。ノートパソコンですと覗き込む体勢になるので、首や肩に負担がかかるんです。
そうして聴取した情報で、筋肉からくる痛みか、神経からくる痛みか、内科の治療が必要な痛みなのか、ある程度のアタリをつけたあと、身体診察や検査で痛みの原因を絞り込んで、治療方針を決定していきます。
聴取の際に心がけていることはありますか?
緊張している方も多いので、その場合は心をほぐすこと、目を見てしっかりお話しすることを心がけています。
また、オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンをバランスよく使い分けて、答えやすい質問をするようにしています。
PC作業によるトラブルにはどのようなものがありますか?
「首の痛み」「肩こり」、座る時間が長いことによる「腰痛」や「ひじの痛み」などがあります。ノートパソコンを使用している方は、前述したように、覗き込む姿勢が首や肩に負担をかけるので、モニターを導入されることをオススメしています。
また、ひじを伸ばした状態でキーボードを叩くことによる「ひじのトラブル」も意外に多いんです。いわゆる「テニス肘」と呼ばれるものと同じですね。書類を手前に、キーボードを奥に置いて作業をすると、ひじが伸びきった状態になってしまいます。ですから書類を奥に、キーボードを手前に置いて、ひじを軽く曲げた状態で作業をするようにアドバイスしています。
「体を動かさない」「外出しない」ということが腰痛や肩こりの一要因ともいわれています。リモートワークの普及が運動不足を助長しているといった意見もあり、先生はどのようにお考えでしょうか?
大いに関係があると思います。体を動かさないことが体によくないことは、もう間違いありません。通勤で歩くのは、気分転換になることもあります。といっても、当院は場所柄、会社に出勤している方の来院がほとんどですけれどね。
よく、「どんな運動をしたらいいですか」と聞かれますが、私は「仕事中は1時間に1回、せめて2時間に1回はトイレに行ってください」とアドバイスしています。トイレに行くことで、まず立ち上がりますね。またトイレまで歩くので、それだけでも気分転換になるんです。1時間に1回ストレッチをするのはハードルが高いですが、トイレに行くだけならできそうな気がするでしょう?
様子を見るのは10日まで! 些細な違和感でも気軽に相談
腰痛や肩こりでは、病院に行かずに放っておかれるケースが多いようです。痛みを放置しているとどうなりますか?
痛みが慢性化します。放っておく期間が長ければ長いほど治るのに時間がかかります。1週間放置したなら3週間、1カ月放置したなら3カ月、放置した期間の3倍かかると思ってください。放置すれば、炎症がリセットされないまま蓄積してしまうからです。
早く治したければ、とにかく早く病院に行くことです。放っておいてもよい痛みなのかどうかを判断するのが医者の仕事ですので、病院に来て「大したことなかったね」ってなれば、それでもう安心できますよね。
大したことないかどうかを判断するのも医者なので、「些細な違和感だから」とためらわずに、我慢せず軽い気持ちで相談してください。医者を水先案内人として使って欲しいです。
これはお願いですが、自分で様子を見るのは1週間から10日まで!
痛みがあるのに「1カ月様子を見ていた」というのはなしですよ!
改めて、貴院での治療の流れを教えてください
まずは聴取ですね。最初に問診票を書いていただきますが、原因が「特になし」とされている方は特にじっくり話をお聞きします。「生活習慣」「仕事の背景」などお聞きして、その痛みが筋肉性のものか、神経性のものか、内科の問題があるのかを判断します。
内科の問題があったものでいえば、足が痛いと来院されて検査した結果、痛風であることがわかり、内科の治療に切り替えた例があります。以前、すべての科の症状に対応する必要のある病院に勤めていたこともありますので、その辺が私の強みだと考えています。
聴取の後、診察をして、必要な検査を絞り込んでいきます。その後、検査で原因を突き止めて治療に入ります。
先生は整形外科以外にも明るいのですね!
そうなんですよ(笑)。
全科当直をしていましたので、専門外の知識もしっかり身につけました。ですので、整形外科以外もウエルカムです。
「何だか体調が悪いな」「でも、どの科に行けばいいかわからないな」というときにまず来てほしいですね。患者さんが病院選びで迷わないように、「まず、あそこの病院に行こう」と思えるクリニックでありたいです。
もちろん、自分の専門の範疇を超えることはしませんので、専門的な治療が必要な場合は、しかるべき専門機関を紹介することもしています。近くの開業医、広島大学病院、県立広島病院、広島市民病院など、近隣の大きい病院とはほぼ医療連携をしておりますので安心してください。
また、当院ではリハビリは行っておりませんので、リハビリが必要な方には他院へのご紹介をしています。
主人公は患者さん。患者さんの希望を叶えることが第一
治療方針で大事にされていることはありますか?
整形外科についていうと、いきなり注射はしません。体に傷をつけないよう、まずは体を痛めない方法を選ぶのが私の方針です。飲み薬、貼り薬で対応し、2週間ほど続けてもらい、その後症状が治まらないようであれば注射も視野に入れていきます。
その間、先ほど申し上げた「1時間に1回トイレに行くようにする」といった、生活環境を整えることも並行してお願いしています。
ほかに治療に関して先生が気をつけている点があれば、それはどのようなことでしょうか?
たとえば、注射が必要と思われるような症状でも、選択肢を提示するようにしています。痛いけれど早く治る治療か、時間をかけてゆっくり治す治療かを選んでいただくといったようなことですね。
「注射はイヤだ!」という患者さんには貼り薬で対応してみます。
「よくならないのでほかにないですか?」と言われたら、飲み薬を提案する。
主人公は患者さんです。患者さんの希望を叶えることを第一に考えています。
貴院の治療費用はどれくらいになりますか?
症状にもよるので、一概にどれくらいとはちょっと言いづらいですね。
ただ、例を挙げるならば、膝の痛みで来院されて、初診でレントゲン検査と貼り薬を処方した場合は、大体2,000円台です。
2回目以降は1,000円くらいがおおよその目安と考えてください。
貴院の設備についても教えてください
レントゲン装置、骨密度測定器、超音波診断装置、心電計を備えています。
最後に、治療を受けて回復された方に向けて、再発させないためのアドバイスなどをお願いします
急に「1万歩歩こう!」など頑張りすぎないことです。怪我してしまうと元も子もありませんから。整形外科的には、「目指せ!6,000歩」くらいのところでしょうかね。
でも、スーパーに行くのに歩くだけでも十分です。あとは姿勢を正して、背筋を伸ばして、体に負荷をかけないことです。私的には、プールでの水中歩行が一番オススメです!
あとはやっぱり、何かあったら早めの受診です。外傷はもちろんすぐに来ていただきたいですし、自分で様子を見るのは長くても10日まで。
当院は「困ったら行こう」と思えるクリニックであることを心がけていますので、どうぞお気軽にいらして、何でも相談してください。
編集部まとめ
新本先生は気さくで朗らかで、どんなことも気軽に相談できる雰囲気でした。「患者さんファースト」の言葉どおり、患者さんを思う心を強く感じられました。
「大した痛みじゃないから」と、つい放って置くことは誰でもあるのではないかと思いますが、早く治したければ早く治療を始めることが大事なんだと実感しました。また、新本先生の「大したことないかどうかを判断するのが医者」という言葉も、心にとても残っています。
医院名
新本クリニック
診療内容
整形外科 外科 内科 など
所在地
広島県広島市中区胡町6-26
八丁堀福屋11階
アクセス
広島電鉄各線「八丁堀」駅より徒歩2分
バス「八丁堀」バス停留所より徒歩2分