子どもがほしいから。不妊治療とプレコンセプションケア 【秋田県秋田市 あきたレディースクリニック安田】


晩婚化やライフスタイルの変化により、不妊に悩む人は年々増えている。一方で、不妊治療は「最後の手段」という印象が強く、受診のタイミングが遅れるケースも多い。秋田市内で開院している「あきたレディースクリニック安田」では、妊娠前の健康管理であるプレコンセプションケアから、不妊治療、妊娠、出産までを一貫して支える体制を整えている。不妊は特別なものではなく、早期の相談によって選択肢を広げることができるという。原因や治療、そして妊娠を望む人が知っておきたいポイントについて、理事長の安田師仁先生に話を伺った。
安田 師仁(やすだ かずひと)
あきたレディースクリニック安田 理事長
秋田大学医学部卒業後、同大学産科婦人科学講座に入局。秋田大学医学部附属病院、秋田社会保険病院、中通総合病院、市立秋田総合病院などで産婦人科診療に従事。2006年より秋田赤十字病院産婦人科(産科)副部長を務める。2007年には京野アートクリニックにて高度生殖医療に携わり、2009年NTT東日本東北病院産婦人科主任医長を経て、2010年「あきたレディースクリニック安田」を開院。2015年に医療法人ALCYを設立し理事長に就任妊娠前のケアから不妊治療、妊娠・出産、産後までを一貫して支える医療体制の構築に取り組んでいる。
不妊は特別ではない。まずは「知る」ことから
不妊とは、具体的にどのような状態のことをいうのでしょうか?
一般的には、健康な男女が妊娠を希望して性交渉を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない状態を不妊症と考えます。ただ、この「1年」という目安にとらわれる必要はなく、年齢や月経の状態などによっては、もっと早い段階で相談することで選択肢が広がることもあります。

不妊は女性の問題と思われがちです。実際にはどんな原因がありますか?
原因はさまざまですが、男性側が約半分、女性側が約半分といわれています。以前は女性の問題と考えられることが多かったのですが、実際には男性の精子の数や運動率の低下、EDなどが関係するケースも多いですね。
女性では子宮内膜症、卵管閉塞、排卵障害などが挙げられます。また、男女双方の要因が重なることも少なくありません。そのため、カップルで検査を受けることが大切です。
年齢が高くなると「妊娠は難しい」などとよく聞きますが、男女それぞれにどのような変化があるのですか?
年齢は非常に大きな要因です。女性は20代に比べて30代になると妊娠率が徐々に低下し、35歳頃から低下が目立ち、38歳以降ではさらに顕著になります。多くの方が「生理があれば妊娠できる」と考えがちですが、卵子の質や数は年齢とともに変化します。時間は取り戻せないため、早めに現状を知ることが重要です。
また、男性も年齢の影響を受けます。加齢に伴い精子の数や運動率が低下することがあり、受精率や流産率にも関係するといわれています。男女ともに年齢を重ねることで妊娠の難易度は上がるため、「女性だけの問題ではない」という理解が大切です。

受診のタイミングはどのように考えればよいでしょうか?
何カ月という目安よりも、「妊娠を希望した時点」で一度相談していただくことをおすすめします。とくに35歳以降の方は早めに受診した方がよいでしょう。若い方でも男性側に原因があることも多いため、早期に検査を行うことで選択肢を広げることができます。
妊娠前から始まる医療。プレコンセプションケアの重要性

貴クリニックで行っているプレコンセプションケアとはどのようなものですか?
妊娠を望む前から、将来の妊娠や出産に向けて健康状態を整えていく考え方です。「体重管理」「適度な運動」「栄養バランスのとれた食事」「葉酸などのサプリメント摂取」などが基本となります。
最近はこうした意識が広がっており、若い世代でも関心を持つ人が増えています。出産を考え始める前の段階から体の状態を整えておくことで、妊娠率の向上や合併症の予防にもつながる可能性があります。
プレコンセプションケアは女性のためのものという印象がありますが、男性も関係するのでしょうか?
妊娠は女性だけの問題ではありません。男性側の要因が関わるケースも多く、精子の数や運動率は生活習慣や年齢の影響を受けることがわかっています。
喫煙や飲酒、肥満、ストレス、睡眠不足などが精子の質に影響することもあり、男性も妊娠に向けて体調を整えていくことが大切です。そのため、プレコンセプションケアは女性だけでなく、カップルで取り組むことが望ましいと考えています。
このような生活習慣の見直しは、どの程度妊娠に影響するとお考えですか?
妊娠・出産において、生活習慣は想像以上に大きな影響を与えます。痩せすぎも肥満もリスクとなります。極端に痩せている場合は排卵障害や骨密度低下の原因となることがありますし、肥満は高血圧や糖代謝異常を引き起こし、妊娠合併症につながります。
そのため、BMIを適正範囲に保つことは非常に重要です。こうした生活習慣の見直しが、将来の妊娠の土台になります。
ブライダルチェックも、こうしたプレコンセプションケアの一環ですか?
ブライダルチェックは、将来の妊娠に備える第一歩として重要だと考えています。生活習慣を整えることに加え、感染症の有無や子宮・卵巣の状態を早い段階で確認することで、必要に応じて治療や生活改善につなげることができます。
また、自分の体の状態を知ることで、妊娠や出産について主体的に考えるきっかけにもなります。実際に「もっと早く知っていれば選択肢が広がった」と感じる方も少なくありません。
生活習慣の改善だけで妊娠につながることもありますか?
はい。排卵障害やホルモンバランスの乱れは生活習慣の影響を受けることもあり、体重管理や栄養バランスの改善、ストレスケアによって排卵が整い、自然妊娠につながるケースもあります。
こうした変化はすぐに結果として出てくるとは限りませんが、将来の妊娠の可能性を高める重要な取り組みといえます。

不妊治療の選択肢と、早期相談の価値

人工授精と体外受精の違いについて教えてください
体外受精はどのような場合に検討されるのでしょうか?
自然妊娠や人工授精が難しい場合、卵管閉塞などで卵子と精子が出会えない場合などに行います。受精卵の成長過程を観察し、よりよい状態のものを移植できるため、妊娠の可能性を高めることができます。
不妊の原因は男女双方にあるといわれますが、まず女性側の治療にはどのような方法がありますか?
排卵障害に対しては内服薬や注射による排卵誘発を行います。卵管が詰まっている場合はFTカテーテルによる治療、子宮筋腫や内膜症がある場合は手術を行うこともあります。治療のタイミングは患者さんの希望や生活状況に合わせて調整できます。
男性側の治療についても教えてください
精子の状態は生活習慣や栄養の影響を受けることがあります。亜鉛不足などを改善することで精子の状態が向上する場合もあります。
また、EDには治療薬があります。男性は心理的な抵抗やプライドから相談をためらうケースもありますが、最近はご自身から受診される男性も少しずつ増えてきています。
患者さんの声として印象に残ることはありますか?
「もっと早く相談すればよかった」という声は多いですね。また、1人目で不妊治療を経験した方は2人目の相談が早い傾向があります。
一方で自然妊娠の経験がある方ほど、相談が遅れることがあります。年齢とともに状況は変わるため、現状を知ることが大切です。

不妊治療において、先生が大切にしていることを教えてください
不妊は周囲に相談しづらい問題です。そのため、まず安心して相談できる環境を整えることを大切にしています。治療に入らなくてもできることはあります。自分の体の状態を知り、選択肢を広げることが重要です。
ありがとうございました。最後に、Medical DOCのサイトを訪れる読者の方にメッセージをお願いします
妊娠や出産はゴールではなく、その先の人生につながる大切な出来事です。不安があれば早めに相談してください。妊娠前から出産まで、一貫してサポートすることができます。一人で抱え込まず、周囲や医療を頼ってほしいと思います。
編集部まとめ
不妊は特別なことではなく、多くの方が経験する可能性のある問題です。年齢や生活習慣が大きく関係するため、妊娠を望んだ時点で現状を知ることが重要です。「あきたレディースクリニック安田」では、プレコンセプションケアやブライダルチェックを通じて妊娠前から体の状態を整えることで、将来の選択肢を広げることができます。近年は不妊治療の技術も進み、相談しやすい環境も整ってきています。悩みを抱え込まず、早い段階から医療機関に相談することが、安心につながる第一歩といえるでしょう。

医院名
あきたレディースクリニック安田
診療内容
産科・婦人科・産婦人科(生殖医療・不妊治療)
所在地
秋田県秋田市土崎港中央1-17-11
アクセス
JR奥羽本線「土崎」駅より徒歩10分
バス「港入口」停留所より徒歩0分


