首から上の不調を総合的にとらえ、治療と症状を改善【大阪府箕面市 こばし口腔外科・歯科総合クリニック箕面】

「親知らずがたまに腫れるだけだから」「口が開きにくいがそのうち治るだろう」などと自己判断で放置していると、炎症や顎関節症が進行し、治療が難しくなってしまうかもしれない。そうした口内のトラブルに歯科医院で対応するのが「口腔外科」だ。大阪府箕面市の「こばし口腔外科・歯科総合クリニック箕面」では、頭部全体を確認できる歯科用CTを備え、首から上の不調を総合的に評価したうえで、一人ひとりに合った治療方針を提案している。今回は同院の小橋寛薫院長に、口腔外科で扱う病気や診断・治療の考え方、親知らず・顎関節症との向き合い方、静脈内鎮静法を用いた「怖くない抜歯」などについて話を伺った。
「親知らず」から「受診先に迷う症状」まで、幅広く対応
口腔外科は一般にあまり馴染みがないように思います。どんな疾患を診て、どのような対応をするのでしょうか?
口腔外科は一般歯科と異なり、「歯だけ」でなく、首から上のトラブル全般を診察します。対象としては、親知らずの抜歯、顎関節症、口腔がん、嚢胞、顔面の外傷や骨折、原因不明の痛みや違和感、味覚障害など多岐にわたります。まず問診と診察、レントゲン・CTなどで全体像を評価し、「どこまで当院で対応するか」「どこから大きな病院や耳鼻科などに紹介するか」を見極めます。

普通の歯科で治療が難しい口腔内のトラブルにはどんなことがありますか?
神経や上顎洞に近い親知らずの抜歯、顎の骨折や顔面の外傷、嚢胞や腫瘍、口腔がんの疑いがある病変などは、一般歯科では対応が難しい領域です。また、レントゲンだけでは診断がつきにくい痛みやしびれ、味覚障害なども、全身疾患や他科との関わりを含めて判断する必要があります。こうしたケースをまとめて診断・治療できるのが、口腔外科の役割です。
貴クリニックにはどんな悩みで来られる方が多いですか?
やはりむし歯や歯周病など、一般的な歯科診療で受診される方が多いですが、一方で「痛みや違和感があるが、どこに行っても原因がわからない」という方も少なくありません。 たとえば、脳神経外科でMRIまで撮って「異常なし」と言われた頭痛が、実は顎関節や噛み合わせの問題が原因だったケースもあります。よくある歯や歯ぐきのトラブルでは説明しきれない、口の中やそのまわりの違和感や気持ち悪さ、新型コロナ感染後の味覚障害など、原因不明の不調を抱えた方が多く受診されるのも、口腔外科の特徴です。
親知らずについて教えてください。やはり抜歯したほうがよいのでしょうか?
親知らずは、一度でも炎症を起こしたことがあれば、早めに抜歯を検討したほうがよい歯です。腫れを繰り返すうちに歯と骨が癒着し、いざ抜くときには非常に難しい手術になってしまうことがあります。軽い腫れで済んでいたものが、ある日どんと大きく腫れて呼吸が苦しくなるほどになることもあるので、「痛みが治まったから放置」はおすすめできません。
親知らずを抜くと、ほかの歯に影響は出てこないものでしょうか?
適切に抜歯を行えば、親知らずを抜いたことでほかの歯並びが悪くなったり、噛み合わせがおかしくなったりすることは、基本的にありません。むしろ、親知らずが原因で手前の歯がむし歯になったり、歯周病が進行したりするリスクのほうが大きいといえます。きれいに生えていない親知らずは、ないほうが望ましいと考えていただいてよいと思います。

顎がカクカク鳴ったり、大きく口を開けることができなかったりするのは、やはり顎関節症の疑いがありますか?
顎関節症の代表的な症状は「音がする」「痛い」「口が開かない」の3つです。音だけで痛みや開きにくさがない段階は経過観察でよい場合もありますが、そのまま放置すると痛みや開口障害につながることが多くみられます。 開かなくなってすぐであれば、ストレッチやマウスピースなどで改善しやすいのですが、半年や1年放置すると元に戻すのが難しくなります。顎周囲の筋肉の緊張から頭痛や肩こりを訴える方もいるため、気になる症状があれば早めの受診が安心です。
大学病院水準の専門治療や手術を、日帰り(※)で

口腔内の外科治療というと、どうしても痛みが伴うイメージがあります。貴クリニックではどのような対策をしていますか?
処置中は局所麻酔をしっかり効かせますので、基本的に治療中の痛みはほとんどありません。CTで神経や血管の位置を把握し、切開や骨削除を最小限にすることで、手術時間と術後の腫れ、痛みをできるだけ抑えています。 どうしても恐怖心が強い方や「吐き気が出そうで治療がつらい」などの嘔吐反射が強い方には、静脈内鎮静を用いて「うとうとしているうちに終わる」形での治療も行っています。
静脈内鎮静法や笑気麻酔について、もう少し詳しく教えてください
静脈内鎮静は点滴で鎮静薬を投与し、ほとんど眠っているような状態で処置を受けていただく方法です。手術中の記憶はあまり残らず、薬を止めて15~20分ほどで自然に目が覚め、その後しばらく休んでからご帰宅いただきます。 なお、鼻から吸うごく軽い鎮静である笑気麻酔については効果が限定的と考えており、当院では基本的に行っていません。
大学病院での豊富な臨床経験を持つ口腔外科専門医が常勤されているそうですね。貴クリニックの体制や特徴を教えてください
私は大学病院や関連病院で約15年、全身麻酔下の大きな手術や他科と連携する症例を多く経験してきました。その経験を生かし、大学病院にも引けを取らない口腔外科治療を、日帰り(※)で受けられる場をめざして開院しました。 常勤の私に加えて、同じ大学出身の口腔外科医や女性の歯科医が加わり、一般歯科から親知らず・顎関節症・インプラント・鎮静・全身麻酔まで一貫して対応できる体制です。完全予約制で待ち時間を減らしつつ、事前説明と術後フォローに十分な時間をとるよう心がけています。
むし歯や歯周病以外の口腔内のトラブルで治療いただいて、むし歯や歯の治療も受けられるのはありがたいですね
当院は「首から上をトータルに診るかかりつけの歯科」として、一般歯科と口腔外科の両方をワンストップで提供するイメージです。 口腔外科で親知らずや顎関節症の治療をしたあと、そのまま同じ場所でむし歯・歯周病の治療やメンテナンスまで受けていただけるのは、患者さんにとって大きなメリットだと思います。外科的な背景やリスクを理解しているので、小さな変化にも気づきやすく、トータルにお口の健康を守ることができます。

初診から手術後フォローまで、安心のサポート体制

改めて、貴クリニックでの治療の流れを教えてください
まず問診で、症状に加えてこれまでの病歴や現在服用している薬、生活習慣などを伺います。より正確な診断のため、初診ときは原則レントゲン撮影を行い、必要に応じてCTや血液検査も実施します。そのうえで通院期間や費用、治療法の選択肢を説明し、方針は患者さんと相談しながら決定します。 親知らずの抜歯などの外科処置は基本的に日帰り(※)で行い、術後は痛みや腫れの様子を確認しながら抜糸や噛み合わせの調整をします。
設備や院内の雰囲気についても教えていただけますか?
当院では、全身麻酔にも対応したオペ室、頭部全体を撮影できる歯科用CTやレントゲン、静脈内鎮静や全身麻酔に対応する点滴設備、院内で実施できる血液検査機器など、安全な治療につながる設備を整えています。 院内はストレッチャーや車いすでもスムーズに移動できるバリアフリー構造とし、外科処置の動線を最優先に設計しました。診療チェアはフルフラットにできるタイプを採用しており、小児から全身管理が必要な方まで、幅広い患者さんに対応できます。
「口腔がん」などが見つかった場合、治療のレベルがかなり高くなってしまうと思います。そのような場合はどのように対応していますか?
治りにくい口内炎や粘膜の白・赤い部分、しこりや出血などから、口腔がんが疑われることがあります。まず当院で視診・触診、CT、血液検査、細胞診・組織検査など、できる限りの評価を行います。そのうえで、入院や全身麻酔下の大きな手術、放射線・化学療法が必要と判断される場合は、大学病院などの口腔外科を紹介します。

先生は数多くの治療実績を持たれていると思います。口腔外科の治療で何を一番大切にしていらっしゃいますか?
口の中だけを見て判断するのではなく、全身の病気や服用中の薬、生活背景まで含めて総合的に評価することを心がけています。そのうえで、CTなどでリスクを把握しながら手術時間や切開範囲をできるだけ抑え、体への負担が少ない安全な方法を選択します。 患者さんご自身にも納得していただいたうえで治療方針を決めていく、それが口腔外科医としての責任だと考えています。
最後に、Medical DOCのサイトを訪れた読者へのメッセージをお願いします
当院では、むし歯・歯周病から親知らず、顎関節症、鎮静を用いた外科処置まで、一人ひとりの症状に合わせた診療を行っています。お口の中だけでなく、頭痛や顔の違和感なども含めて相談できる医院として、近隣の方はもちろん、三重県など遠方から来院される方もいらっしゃいます。そのお気持ちに応えるべく、原因の見極めから治療・その後のケアまで一貫してサポートしております。口内トラブルでお悩みがあれば、些細なことでもお気軽にご相談ください。
編集部まとめ
取材で印象的だったのは、「まず正確な診断を行う」という小橋院長の姿勢です。歯だけでなく全身状態や生活背景もふまえて首から上の不調を見極め、CTなどを活用しつつ、負担の少ない外科処置や静脈内鎮静による「怖くない抜歯」を心がけておられました。大学病院にも引けを取らない設備と一般歯科まで含めた一貫した診療体制は、首から上の“かかりつけ医院”として心強い存在だと感じました。

医院名
こばし口腔外科・歯科総合クリニック箕面
診療内容
口腔外科 歯周病治療 顎関節症治療 など
所在地
大阪府箕面市稲1丁目14-2
アクセス
バス「中小学校前」停留所より徒歩すぐ 阪急箕面線「箕面」駅より車で5分




