生活習慣病の治療の根幹、生活習慣改善を一歩ずつサポート【大阪府高槻市 村上医院】

「糖尿病」「高血圧症」「脂質異常症」「高尿酸血症」などの生活習慣病は、私たちの身近な病気としてよく知られているあまり自覚症状のない病気。その主な原因は生活習慣の乱れだが、わかっているのに「食べ過ぎてしまった」「飲み過ぎてしまった」「1日ゴロゴロしてしまった」などという状況は多くの人の身に覚えがあることだろう。予防・治療において“生活習慣の改善が大切”であることを理解していても、それを実践・継続するのはなかなか難しい。 では、私たちは生活習慣病をどう捉え、治療とどのように向き合っていくべきなのだろうか。高槻市の村上医院は長く生活習慣病と向き合い、経験を積み重ねている。同院副院長の村上晴郎先生に詳しい話を伺った。
目次 -INDEX-
- 動脈硬化を進行させ、健康・QOLを脅かす合併症のリスクを高める
- 楽観しすぎず、悲観しすぎず、落ち着いて正しく生活習慣病と付き合う
- 症状に気づいていたけれど、あるいは健康診断で異常を指摘されたけど、受診を先延ばしにしてしまうという患者さんもいますか?
- そういったとき、先生はちょっときつく言ったりするのでしょうか?
- そんな先生であれば、患者さんも安心して相談できそうです
- 生活習慣に気をつけていた人ほど、生活習慣病と診断されたときにはショックを受けてしまうかもしれませんね
- 治療開始後も、定期的な通院が必要かと思いますが、頻度はどれくらいになるのでしょうか? また受診時には、どのようなことを行いますか?
- 「今月は食べ過ぎた・飲み過ぎた」といったときには、やはり検査結果は悪くなりますか?
- それは具体的に、どういうことでしょうか?
- とても興味深い考え方です。よいときも悪いときも、定期的・継続的に検査を受け、治療に活かすことが大切なんですね
- 生活習慣の改善で重要なのは、今より一歩進んで習慣化することの繰り返し
- 生活習慣病の治療は、大きく「薬物療法」と「生活習慣の改善」に分けられると伺っています。薬物療法では、どんなお薬を使いますか?
- 糖尿病や高血圧のお薬を飲み始めたら、生涯やめられないのでしょうか?
- 生活習慣病と診断されたら、すぐに薬物療法が始まるのでしょうか?
- 生活習慣の改善としては、どのような指導が行われますか?
- 少しずつ改善していく方法として、具体例などはありますか?
- 「新しい習慣を身につける」ことを繰り返すのが大切なんですね。運動についてはいかがですか?
- お話を伺っていると、薬物療法にせよ生活習慣の改善にせよ、患者さんとのコミュニケーションを大切にされているように感じます
- 最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします
動脈硬化を進行させ、健康・QOLを脅かす合併症のリスクを高める
生活習慣病について、患者さんからの相談のきっかけにはどのようなことがありますか?
健康診断で「再検査」「要精密検査」「要治療」などの結果をもらったことがきっかけとなるケースが多いですね。あとは、何らかの体調不良があって受診し、生活習慣病が見つかるということもあります。

一般に生活習慣病は自覚症状が少ないといいますが、どのような症状が受診のきっかけとなるのでしょうか?
頭痛、倦怠感、のどの渇き、頻尿などがよく見られます。ただ、おっしゃるとおり、糖尿病・高血圧症・脂質異常症・高尿酸血症といった生活習慣病は、初期にはほとんど自覚症状がありません。言い換えると、症状を自覚したときにはある程度進行している可能性が高くなります。
生活習慣病が進行するとどうなるのでしょうか?
全身の血管が脆く硬くなる動脈硬化を加速させ、心筋梗塞や脳卒中といった合併症のリスクが高まります。また糖尿病の合併症としては、視力が低下し最悪の場合には失明に至る網膜症、人工透析が必要になることもある腎不全、手足のしびれから始まり重症化すると足壊疽を起こす神経障害などが挙げられます。
QOL(生活の質)を低下させるだけでなく、合併症のリスクを高める恐れがあるんですね
生活習慣病においては、症状のないうちから治療を開始し、症状を出さないことが大切になります。そのため、健康診断で異常を指摘された場合、必ずその指示に従い内科などを受診してください。
リスクの高い病気なのに、症状がほとんどないというのは不思議に思います
症状の表れ方が非常に緩やかなんです。そのため“慣れ”の要素も大きいのではないかと思います。実際、治療を開始してから身体が楽になって、「前まで症状が出ていたんだ」とお気づきになるケースが少なくありません。

症状に慣れてしまうこともあるんですね。生活習慣病がどういった病気かということを、患者さんにまず知ってもらうことが大切になりそうですね
はい。ただ、必要以上に怖がる必要はありません。適切な治療を行うことで生活習慣病の進行を防いだり、合併症を予防したりといったことが可能です。
楽観しすぎず、悲観しすぎず、落ち着いて正しく生活習慣病と付き合う

症状に気づいていたけれど、あるいは健康診断で異常を指摘されたけど、受診を先延ばしにしてしまうという患者さんもいますか?
はい、いらっしゃいます。受診すべきなのにできていないことを後ろめたく感じてしまい、それでまた受診が遅れるという方もいらっしゃいますね。最終的には、ご家族に受診するよう言われたとか、いよいよまずいとご自身で感じたことで受診されます。
そういったとき、先生はちょっときつく言ったりするのでしょうか?
いいえ、私は言いません。早く来てほしいというのが本音ですが、患者さんにもそれぞれ事情があり、考え方があります。今日受診できたことが何よりと考えて、そこから精一杯、サポートします。また、そういった患者さんにこそ、「あそこなら」と気軽に相談できる場所・医師であろうと努めています。
そんな先生であれば、患者さんも安心して相談できそうです
生活習慣病の発症や進行には、食事・運動・睡眠といった生活習慣だけでなく、体質の遺伝も少なからず影響しています。健康診断の数値が悪くなり、生活習慣病と診断されたからといって、「自分の生活はだらしないんだ」と悪く思い込み過ぎないでください。
生活習慣に気をつけていた人ほど、生活習慣病と診断されたときにはショックを受けてしまうかもしれませんね
生活習慣病は、「気をつけていてもなってしまうことがある病気」です。生活習慣病にならないことがまずは大切ですが、次に大切なのが、なってしまったときにきちんと治療に取り組むことです。適切な治療により合併症を予防し、健康とQOLの維持・改善を目指しましょう。
治療開始後も、定期的な通院が必要かと思いますが、頻度はどれくらいになるのでしょうか? また受診時には、どのようなことを行いますか?
当院では原則、1カ月に1回の受診をお願いしています。どうしても仕事が忙しいとか、経過が良好であるといった場合には、通院の間隔を延ばすということもあります。 もちろんその場合、受診間隔があくことによる注意点もお伝えします。受診時には、診察と必要に応じた検査、お薬の処方・生活習慣の指導を行います。
「今月は食べ過ぎた・飲み過ぎた」といったときには、やはり検査結果は悪くなりますか?
悪くなる可能性が高くなります。ただ、あるひと月の生活習慣が乱れたからといって、基本的に急激に進行する病気ではありません。また、よい結果が期待できる場合だけでなく、悪い結果が予想される場合にも、検査には重要な意味があります。
それは具体的に、どういうことでしょうか?
「これくらい食べ過ぎた・飲み過ぎたら、これくらい数値が悪くなる」ということを体感できます。数値がよいに越したことはありませんが、これから改善していく過程で、生活習慣の乱れと数値の因果関係を身をもって感じることは、マイナスばかりではないと私は思います。
とても興味深い考え方です。よいときも悪いときも、定期的・継続的に検査を受け、治療に活かすことが大切なんですね
はい。当院では、検査の数値や症状だけでなく、患者さんのお身体の状態やライフスタイルを考慮した、お一人おひとりに合った生活習慣病の治療を提供しています。

生活習慣の改善で重要なのは、今より一歩進んで習慣化することの繰り返し

生活習慣病の治療は、大きく「薬物療法」と「生活習慣の改善」に分けられると伺っています。薬物療法では、どんなお薬を使いますか?
糖尿病であれば血糖値を下げる薬、高血圧症であれば血圧を下げる薬、脂質異常症であればコレステロール・中性脂肪の値を下げる薬、高尿酸血症であれば尿酸の産生を抑える・排出を促す薬を主に使用します。それぞれにさまざまな種類があり、患者さんによって「合う」「合わない」もあるので、適切に使い分けます。
糖尿病や高血圧のお薬を飲み始めたら、生涯やめられないのでしょうか?
生活習慣の改善にしっかりと取り組むという前提にはなりますが、減量できる・やめられるケースもあります。ただ、割合としてはやめられないケースが多いのが実情です。特に遺伝的要因が大きい場合には、生活習慣を改善しても、薬なしでは血糖値や血圧、コレステロールなどをコントロールすることが難しくなります。
生活習慣病と診断されたら、すぐに薬物療法が始まるのでしょうか?
すぐに薬物療法が必要なケースもありますが、多くの場合、生活習慣の改善から始めます。むしろ生活習慣の改善こそが生活習慣病の治療の根幹であり、進行の程度にかかわらず必須となります。
生活習慣の改善としては、どのような指導が行われますか?
バランスのよい食事と適度な運動、十分な睡眠、ストレスの解消、禁酒・節酒、禁煙など、生活全般についての指導を行います。ただ、いきなりすべてを完璧にできるわけがありませんから、少しずつ、できることから始めていただきます。
少しずつ改善していく方法として、具体例などはありますか?
たとえば、ほとんどの食事を外食で済ませているような人であれば、健康志向の料理を出すお店を選んでもらったり、品数の多いヘルシーなお弁当を買ってもらったりといったことが考えられます。もちろんそこがゴールではありませんが、今いる地点より一歩進み、それを新しい習慣として身につけることが大切です。
「新しい習慣を身につける」ことを繰り返すのが大切なんですね。運動についてはいかがですか?
車通勤の方であれば、週に3日は電車通勤をする、掃除や洗濯の回数を増やす、身体を動かす趣味を探してみるといったことが考えられます。食事や運動の好き嫌い、ライフスタイルは人によって千差万別ですから、目の前の患者さんと一緒に、どのように生活習慣を改善していくかを話し合い、実践していきます。

お話を伺っていると、薬物療法にせよ生活習慣の改善にせよ、患者さんとのコミュニケーションを大切にされているように感じます
お薬を飲む・食事を用意し食べる・運動をするのは患者さんご自身です。その患者さんが前向きに治療に取り組める環境をつくるのも、私たち医師の大切な務めだと思っています。ご不安も希望も共有しながら、生活習慣病の改善を目指します。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします
生活習慣病は、早期発見・早期治療ができれば、過度に恐れる病気ではありません。一方で、自覚症状がほとんどないまま進行するという怖さも確かにあります。ご自身の現在地を正確に知ることが治療・予防の第一歩となりますので、まずはお気軽にご相談ください。
編集部まとめ
生活習慣病の怖さが改めてわかった一方で、早期に適切な治療を行うことで、健康やQOLの維持も可能であることも教えていただきました。日々の生活習慣が治療の効果に直結する病気であるからこそ、より柔軟に対応してくれる医院・医師へと相談することが大切になりそうです。何らかの症状がある方はもちろん、健康診断で引っかかったという方は、早めに受診をしてみましょう。

医院名
村上医院
診療内容
生活習慣病 一般内科 健康診断 など
所在地
大阪府高槻市野見町2-56
アクセス
阪急京都線「高槻市」駅より徒歩7分 JR東海道・山陽本線「高槻」駅より徒歩9分




