子どもの正常な発達のために、マイナス1歳から小児歯科を専門とする医師の診療を【新潟県上越市 かんど歯科・小児歯科クリニック】

子どもの口の中は乳歯から永久歯に生え替わる過程で大きく変化し、トラブルも起きやすくなる。そのため、子どもの歯の健康は親にかかっているともいわれるが、どんなケアをしたらいいのか悩んでいる親御さんも多いことだろう。そこで頼りになるのが、子どものお口の健康に関する専門知識と治療技術を持ち、むし歯の治療と予防だけでなく、口腔内の発達支援や悪習癖の改善指導まで幅広く対応している小児歯科専門医の存在。全国に10万人以上いる歯科医師の中で、資格所有者は1,200人ほどといわれる。「かんど歯科・小児歯科クリニック」の神戸正人院長は、その数少ない小児歯科専門医の一人。子どもの歯の発育とどのように向き合えばいいのか、神戸院長に話を伺った。
食事指導からむし歯治療まで、きめ細やかにサポート
小児歯科の特徴や、一般歯科との違いは何でしょうか?
赤ちゃんの頃から成長を見守り、正常な発達を支援していくことが小児歯科の役割です。対象となるのは、永久歯が生えそろう10代前半頃までの子どもです。一般歯科では、主に大人を対象とし、完成した永久歯列や成人特有の口腔疾患の治療を中心に行います。一方、小児歯科では乳歯や生え替わり期の永久歯のむし歯治療・予防をはじめ、歯並びや噛み合わせ、顎の成長発育の管理、口腔習癖(指しゃぶり・舌の癖など)の改善指導、歯磨きや食生活のアドバイスなど、子どものお口の健康を総合的にサポートします。また、全身疾患のある子どもや、発達障害など特別な支援を必要とする方(子ども・大人問わず)、歯科治療に強い不安を感じる方にも、小児歯科での専門的な診療を受けることをおすすめします。

子どもは何歳くらいから歯医者さんに診てもらうべきでしょうか?
小児歯科学会の中には、「マイナス1歳から」という考え方もあります。妊娠中はホルモンバランスの変化などによって口腔環境が乱れやすく、トラブルが起こりやすくなります。妊産婦さんのお口をケアすることは、本人の健康を守るだけでなく、これから生まれてくるお子さんやご家族全体の健康にもつながります。小さな頃から歯医者に慣れ、家族でお口の健康づくりに取り組むことで、大人になっても自分の歯を大切にする習慣が身につくといいですね。
小児歯科で早くから診てもらうことで、どんなメリットがありますか?
日常生活に密着したアドバイスが受けられることですね。むし歯や歯肉炎の治療だけでなく、発達段階に応じた習慣づくりのサポートが受けられます。たとえば、赤ちゃんの授乳の仕方。乳首のくわえ方が正しくないと、のちの嚥下(飲み込み)機能の発達や顎の成長に影響を及ぼすことがあります。また、舌や頬など口まわりの筋肉は、呼吸や発音にも深く関わっています。小児歯科では、今の状態を診るだけでなく、将来起こりうる問題を予測しながら、正常な発達を支援できることも大きなメリットです。
小児歯科には、どのくらいの頻度で通院するのがよいでしょうか?
子どもの成長はとても早く、わずか数カ月でお口の状態も大きく変化します。そのため、毎月の受診がおすすめです。3カ月あくだけでも、歯や噛み合わせ、習慣の変化が見られることがあります。習い事に通うような感覚で、日常生活の中に歯科受診を取り入れてもらえると理想的です。当クリニックでは、お子さんのお口の状態や成長に合わせて適切な通院間隔をご提案し、無理のないペースで続けられるよう一緒に相談しながら進めています。
親御さんが子どもを歯医者さんに連れて来ない理由としては、どんなことが考えられますか?
考えられる理由としては、「乳歯はいずれ抜けるから大丈夫」と思われたり、子どもが痛がらないために受診の必要性を感じなかったりすることが挙げられるでしょうか。また、子どもが怖がる様子にためらってしまう場合や、費用面への不安、日々の忙しさから受診が後回しになることもあるでしょう。このように、誤解や不安、生活上の事情が重なって受診が遅れるケースは少なくありません。小児歯科専門医として、子どものお口の健康と成長・発達を支える歯科医療の大切さを広く伝え、安心して通える小児歯科づくりに努めていきたいと考えています。
家庭では、子どもの歯のケアをどのようにすればいいでしょうか?
まずは、歯を磨く習慣をつけましょう。食べたら磨くことを心掛けてください。できれば歯ブラシだけでなく、補助的にデンタルフロスを使うのもおすすめです。歯磨きにはさまざまな方法がありますが、細かいやり方にこだわるよりも、歯磨きの習慣をつけることが大切です。外出先などで歯磨きができないときは、お口をゆすぐだけでも十分ですよ。

お子さんの歯を守るために、親御さんに伝えたいことがあれば教えてください
長年、小児歯科に携わってきて感じるのは、お子さんのお口の健康は、保護者や養育者の意識によって大きく左右されるということです。定期的に歯医者さんへ通っているお子さんは、むし歯が少なく、歯並びも概ね良好な場合が多く見られます。そうしたお子さんたちも、最初からすすんで受診できていたわけではありません。通ううちに少しずつ慣れ、自分から診療イスに座れるようになったり、検診や治療を落ち着いて受けられるようになったりします。定期的なチェックを重ねることで、お子さん自身がお口の健康を守れるようになります。ぜひ、小児歯科を上手に活用して、健やかな成長をサポートしていきましょう。
噛み合わせを正しい方向に導く小児矯正(咬合誘導)

乳歯にはどのような役割があるのでしょうか?
食べ物をしっかり噛んで栄養を吸収しやすくするだけでなく、顎の発育を助け、発音の形成にも関わります。さらに、永久歯が正しい位置に生えてくるよう導くことで、次の歯への“バトン”の役割も果たしています。
永久歯に生え替わる前に、乳歯がむし歯になるとどんな影響がありますか?
乳歯がむし歯になると、十分に食べ物を噛めなくなり、顎の発育に影響が出ます。その結果、食生活が偏りやすくなり、悪い口腔習癖が身につくことで、発音や呼吸の仕方にも支障が生じます。さらに、永久歯の歯並びが乱れたり、いびつな形で生えてきたりすることがあり、口腔機能の発達や顎の成長に大きな影響を与えます。また、口呼吸や舌の癖、片側だけで噛む癖などが習慣化すると、姿勢や全身の筋肉の発達にも関係し、身体全体の健康に影響を及ぼす場合もあります。
小児歯科で行う矯正は、一般的な歯列矯正とどんな違いがありますか?
小児歯科では、矯正というより咬合誘導が中心です。「咬合誘導」という言葉は耳慣れないかもしれませんが、一般的には「小児矯正」という表現で説明されることが多くあります。 咬合誘導とは、悪いものを正すのではなく、歯や顎を正しい位置へ導くことを意味します。具体的には、本来の正しい成長のレールから外れてしまった顎や歯列を、再び正常な成長のレールに戻すことを目的とします。最も重視しているのは、子どもの顎の発達を手助けすること。舌や口腔周囲筋、癖、姿勢など、顎の成長に影響する要素に対して改善を行い、生活習慣のアドバイスや口腔トレーニング、補助器具を用いた治療を行います。「矯正」というと、歯に金属の装置をつけて歯並びを整えることを想像される方も多いですが、子どもの矯正・咬合誘導は、歯が並ぶ基盤となる顎の発育を促すことが治療の基本です。
小児矯正のデメリットがあれば教えてください
咬合誘導は、早い段階で必要性に気づくことができれば、治療もスムーズに進み、比較的短期間で改善が期待できます。しかし、発見が遅れるほど治療にかかる時間や手間は増え、子どもへの心理的・生活的な負担も大きくなります。さらに、治療の効果は、治療を受ける子ども本人だけでなく、保護者や養育者の協力度にも左右されます。そのため、子どもの口腔内の発達支援には、豊富な知識と経験を持つ歯科医師、特に小児歯科専門医による的確な判断が不可欠です。
貴クリニックで行っている矯正治療について教えてください
先にお伝えした通り、小児歯科では咬合誘導を主体とした治療を行います。顎の発達を促す補助器具として、マウスピースを使用することもあります。対象年齢はおおむね9歳まです。10歳を超えて第二次性徴が始まると、姿勢を正したり顎の発育をサポートしたりするだけでは改善が難しくなるため、その場合は当クリニックに在籍する小児矯正専門の歯科医師へ治療を引き継ぎます。

保護者と二人三脚で、子どもの健康を守り続ける

貴クリニックでの診察の流れについて教えてください
初診では、まずお子さんの性格や不安な点を丁寧にお聞きします。続いて、生活習慣や過去の治療歴についてカウンセリングを行い、お口の検査で現状を把握します。その上で、精密な診断に基づき適切な治療方針をご提案します。メンテナンスで十分な場合もあれば、早急な処置が必要な場合もあり、状況や緊急性に応じて柔軟に対応します。また、歯科治療に不安のあるお子さんには、段階的なトレーニングを取り入れていますので、安心して受診いただけます。
院内にはどんな設備がありますか?
クリニックでの小児歯科治療の費用について教えてください
上越市では、医療費助成制度により「子ども医療費受給資格証」を提示することで、保険診療の窓口負担が無料または530円となります。対象となるのは、むし歯治療、クリーニング、フッ化物塗布だけでなく、咬合誘導を主体とした子どもの歯並び治療です。なお、マウスピースなどの補助器具にかかる費用は、別途実費となります。
小児歯科の診療を行う上で、先生が重要と思われることを教えてください。診察ではどんなことを大切にしていますか?
お子さんや保護者・養育者の気持ちに寄り添い、安心して通院いただける環境づくりです。第一に、コミュニケーションを重視しています。「子どもにとって安心できる環境」「保護者にとって納得できる説明」を心がけています。第二に、痛みを最小限に抑え、極力歯を削らない工夫を行っています。特に治療に恐怖心がある場合は、静脈内鎮静法を用いた治療をご提案しています。

子どもが歯医者さんに進んで通う習慣をつけるためには、どのような働きかけが大切だと思われますか?
子どもは少しでも嫌だと感じたり、警戒心を持ったりすると、通院や受診の習慣が身につきにくくなります。だからこそ、当クリニックでは「歯医者さん=怖いところ」ではなく、「楽しい・安心できるところ」と感じてもらえるよう、スタッフ全員が笑顔で優しく接することを心がけています。実際に、積極的に通ってくれるようになったお子さんや、母子分離(親から少し離れて)して一人で治療台に座れるようになったお子さんも多くいらっしゃいます。
最後にMedical DOCのサイトを訪れた読者の方にメッセージをお願いします
「Smile For Everyone」「かんど歯科」のコンセプトは、受診される方やそのご家族はもちろん、地域の皆さんやクリニックのスタッフまで、関わるすべての人を笑顔にすることです。歯科を通してお子さんの成長をサポートするとともに、大人になってからも一生涯ご自身の歯と健康を守り、笑顔あふれる人生を送れるようお手伝いします。院長をはじめスタッフ一同が力を合わせ、できる限りのサポートをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
編集部まとめ
お口の状況が大きく変化する幼少期には、将来の健康のためにも正常な顎の発育を促していくことが大切です。小児歯科専門医のいる小児歯科では、むし歯予防や治療だけでなく、赤ちゃんのうちから成長を支えるさまざまなアドバイスをしてくれます。今回話を伺った「かんど歯科・小児歯科クリニック」も、その頼りになる歯科クリニックのひとつ。心配事があれば何でも相談でき、子育ての心強いサポーターのような存在です。お子さんのいるご家庭はできるだけ早いうちから信頼できる小児歯科に通い、健やかに成長できる環境を整えていきましょう。




