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乳腺外科と形成外科、2つの専門性を生かして提供する高度な医療【大阪市中央区 ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪】

 公開日:2024/06/24

乳腺外科と形成外科、2つの専門性を生かして提供する高度な医療
乳腺外科と形成外科、2つの専門性を生かして提供する高度な医療

陥没乳頭とは、乳頭(乳首)が乳輪から出ずにへこんでいる状態をいう。陥凹の程度は、ときどき出ているという状態の人から乳頭が全く出たことのない人など様々だ。少なく見積もって、成人女性の10人に1人は陥没乳頭に該当するといわれており、陥没乳頭の女性はさまざまな理由で治療を希望されている。このような患者さんが望むそれぞれのゴールへ向けて適切な治療を提供し続けるソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪の田中義人院長に陥没乳頭についてお話をうかがった。

Doctor’s Profile
田中 義人(たなか よしひと)
ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪 院長

母方の祖父の願いを継いで医師を志す。2002年、関西医科大学を卒業し、同大学形成外科へ入局。その後、彦根市立病院、岡山大学病院を経て関西医科大学形成外科で助教の任に就く。長年乳房再建手術などを担当するが、「もっと患者さんに寄り添いたい」との思いから乳腺外科へ。関西医科大学総合医療センター・ブレストセンター副センター長、ベルランド総合病院乳腺外科医長、関西医科大学香里病院乳腺外科・形成外科診療講師などを歴任したのち、2022年に乳腺外科と形成外科の2つの診療科を専門とするソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪を開業した。
日本乳癌学会 乳腺専門医、日本形成外科学会 形成外科専門医。

まずは基本的な事柄として、「陥没乳頭」の症状について教えていただけますか?

陥没乳頭とは、乳頭が乳輪から突出せずへこんでしまっている状態をいい、酒井成見医師が提唱するグレードを基準に、3つに分類されています。
グレード1:陥没乳頭を徒手的に整復できるが、いずれまたもとに戻る
グレード2:何とかピンセットなどで引き上げると整復できるが、離すと陥没する
グレード3:手術に頼らなければ乳頭は出てこない

陥没乳頭はなぜ起こる?その症状と原因

陥没乳頭の原因についても教えてください

一般的な陥没乳頭は、母乳をつくる乳腺組織や母乳が通る乳管の発達のバランスが悪いために起こるといわれています。これは生まれつき(先天性)の要因ですが、乳輪の下に膿がたまる乳輪下膿瘍、乳がんといった病気によって乳管の周辺にひきつれが生じ、乳頭が乳輪の内側に引き込まれる後天性の要因も存在します。

陥没乳頭はなぜ起こる?その症状と原因

陥没乳頭の患者さんは、どのようなお悩みで受診されるのでしょうか?

当院の患者さんの多くが、これから授乳を行うにあたって「今の状態で授乳がうまくできるか」との不安で受診されます。実際にお子さんへの授乳で苦労なさった方で、次の授乳の機会を見据えて受診される患者さんも多数受診されます。もちろん見た目のコンプレックス改善のために受診なさる方もいらっしゃいます。

知っておきたい、治療の選択肢と手術費用

知っておきたい、治療の選択肢と手術費用

陥没乳頭の治療の選択肢には、どのような方法があるのでしょうか?

乳頭に圧をかけたり吸引をかけたりできる乳頭補正器を使う方法と、手術とがあります。
生まれたときには乳頭が陥没しているけれど、成長するにつれてしっかり乳頭が出てくる方も一定数いらっしゃいます。成長期に乳頭補正器を使えば、手術なしでしっかり乳頭を出せる方が増えるのではないかと思っています。
成長による改善を期待できるのは、18歳くらいまでですね。18歳を超えても乳頭が陥没した状態であれば、乳頭補正器による治療効果を期待しづらいため、手術をご提案することがほとんどです。ただし、陥没乳頭だから必ず手術が必要、というわけではありません。「授乳の不安を取り除きたい」「見た目をもっときれいにしたい」など、患者さんのお悩みに応じて医師は適切な提案を行います。
手術はあくまでも選択肢の一つ。治療をしなくても問題なく授乳できると知り、経過観察を希望される方もいらっしゃいます。まずは、患者さんのご希望をお話しいただけると嬉しく思います。

患者さんには、手術を受ける場合の注意点などはありますか?

陥没乳頭治療の主目的によって、手術にかかる費用が異なる点は知っておいていただければと思います。医師が「授乳困難」だと診断した場合は、保険診療で陥没乳頭の手術を受けていただけます。
一方、乳頭の見た目を美しく整えたいとのご要望は保険外診療となり、保険診療の手術と比べて高額になります。また、保険外診療の施術は各医療施設によって施術費用は大きく異なります(もちろん高ければ良い施術が受けられるというわけではありません)。

陥没乳頭を治療しなかった場合、何らかリスクなどはあるのでしょうか?

陥没乳頭の患者さんは思うように母乳を出せないことがあり、母乳の流れが滞った乳腺や乳管が炎症を起こし、乳輪下膿瘍や乳腺炎といった病気を発症しやすくなります。1人目のお子さんの授乳時に乳腺炎を発症した経験から、2人目のお子さんへの授乳を前に手術を希望される方は、かなりいらっしゃいますね。
陥没乳頭による授乳困難は、母子ともにストレスになります。お母さんは授乳のたびに乳頭補正器などで乳頭を引っ張りあげなければならず、お子さんは母乳を吸い上げづらい。こうした授乳困難が、陥没乳頭がもたらす一番の不利益かもしれません。

知っておきたい、治療の選択肢と手術費用

ストレスのない授乳と、将来の健康をともに考える

ストレスのない授乳と、将来の健康をともに考える

それでは、貴院の陥没乳頭治療の流れを教えてください

問診で治療の目的などをうかがい、乳頭の状態も拝見したうえで治療方法をご提案します。
手術は日帰りで、片方の陥没乳頭手術にかかる時間は30分程度です。
手術日から10日後を目安に抜糸を行い、その後は1カ月後、2カ月後、3カ月後と1カ月単位でお越しいただき、乳頭の状態をチェックします。何ごともなければ3カ月目で経過観察を終了します。

手術内容は、どのようなものですか?

当院では軽症から重症の方にまで適応でき、体への負荷も少ない独自の手術方法を用いています。傷が非常に少なく、手術後は傷痕もほぼわからなくなります。

貴院では独自の手術方法に加え、乳腺外科と形成外科の2つを専門になさっている点も、珍しいと聞きました

陥没乳頭の手術は、形成外科または美容外科で行われることが多いのですが、乳頭や乳腺組織に関する知識が乏しい医師が手術をすると、乳管を損傷する可能性もないわけではありません。母乳を出す機能を守りつつ陥没乳頭を治療するには、乳腺外科と形成外科、両方の知識と技術が必要だと考えています。

陥没乳頭の治療に際して、患者さんに気をつけていただきたいことはありますか?

当院オリジナルの手術後の乳頭を維持するには、患者さんの努力が不可欠です。一定数起こる乳頭の再陥没は、固定している糸が切れたり、止めている組織がちぎれたりすることで発生します。アンダーウェアでバストを寄せた際に組織がちぎれたり、お子さんやパートナーが乳頭をさわった刺激で糸が切れたりする可能性もあるので、気をつけていただければと思います。大胸筋を動かす筋トレも、控えていただくようお伝えしています。

手術して完治するまでにはどのくらいの期間を必要としますか?

手術後、組織が落ち着く期間を創傷治癒期間といい、およそ3カ月から半年かかります。術後しばらく無事に過ごすと、つい「もう大丈夫」と思われがちですが、油断は禁物です。経過観察自体は3カ月で終了していますが、患者さんにはその後も1日2時間程度、手術後6カ月間は乳頭補正器を使って乳頭をしっかり出す時間をつくっていただいています。

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陥没乳頭の手術にかかる費用を教えてください

両方の乳頭を保険診療で手術した場合は44,100円(税込)。保険外診療での手術は、片方の乳頭手術一式にかかる費用が70,000円(税込)。両方では140,000円(税込)です。

最後に陥没乳頭の治療を検討している方、Medical DOCのサイトを訪問している読者の方にメッセージをお願いいたします。

一般的に40歳以下で今後出産・授乳の可能性があり、医師に授乳困難と診断された陥没乳頭の方は保険診療で手術を受けられます。整容目的のみの施術では授乳機能を損なう可能性があるため、授乳困難を解消するために陥没乳頭を治療したい方は慎重にクリニックを選ぶことをおすすめします
ご相談が増えているのが、乳輪下膿瘍の治療です。乳輪下膿瘍は、授乳に関係なく陥没乳頭が原因で垢や分泌物が堆積した部位に細菌感染が生じ、乳輪の下に膿がたまる事をいいます。抗生物質では改善することが少なく、多くは皮膚の一部を切開してたまった膿を出す処置が必要となります。一度発症すると、複数回生じることが多く、多い方であれば1カ月に一度再発するなど、完治が難しい病気です。このような状態になった場合、完治を目指すのであれば、感染が疑われる乳腺組織をすべて切除するほかないのですが、切除する範囲が不明瞭のため、手術を行っても再発したり、広範囲の切除によって乳房が変形したりするケースもあります。
陥没乳頭の方は乳輪下膿瘍になりやすいため、陥没乳頭の治療をすれば、乳輪下膿瘍のリスクを減らせるともいえます。今後授乳の可能性がある方は乳輪下膿瘍に対する予防的観点からも手術を検討されるべきです。お気軽にご相談いただけたらと思います。

編集部まとめ

形成外科と乳腺外科、2つの専門医の資格をお持ちの田中院長。インタビューへの回答に登場する豊富な事例は、多くの患者さんを救ってこられたからこそ語れるものだと実感しました。もう一つ印象的だったのが、「陥没乳頭の治療は、医師の手術と、患者さんの取り組みがあってはじめて完結する」との言葉。つい医師に頼ってしまいがちですが、今回のインタビューで、自分の体を治すためには自分自身の努力も重要だと改めて考える機会になりました。

ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪

医院名

ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪

診療内容

陥没乳頭 乳腺外科 形成外科 乳がん検診 など

所在地

大阪府大阪市中央区農人橋1丁目1-22
大江ビル1F

アクセス

大阪メトロ谷町線・大阪メトロ中央線「谷町四丁目」駅8番出口より徒歩すぐ
京阪本線・京阪中之島線「天満橋」駅より徒歩14分

この記事の監修医師