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噛み合わせの狂いが体の不調を招く? マウスピース型矯正でQOL向上を【宇治市伊勢田町 矢野歯科医院】

 公開日:2023/10/20

噛み合わせの狂いが体の不調を招く? マウスピース型矯正でQOL向上を
噛み合わせの狂いが体の不調を招く? マウスピース型矯正でQOL向上を

矯正の目的は、単に見た目をよくするばかりではない。歯の位置を正し、噛み合わせを整えて、しっかり噛めるようにすること。それによるQOLの向上が本来の矯正の目的といえる。京都府宇治市の住宅街に立地する矢野歯科医院は1979年開院。以来、長きにわたって地域住民の歯の健康を支えるとともに、現在は矯正治療にも力を入れている。同院の矢野隆嗣院長に、矯正治療の意義や、近年注目されているマウスピース型矯正のメリットなどについて話を伺った。

Doctor’s Profile
矢野 隆嗣(やの たかつぐ)
矢野歯科医院 院長

2011年に愛知学院大学歯学部を卒業。勤務医を経て、2015年に父親が開業した矢野歯科医院を継承。近隣住民に愛されてきた地域密着型のスタイルもそのまま引き継いでいる。
2018年に医院を増築。個室タイプの診察室を採用し、診察台を増やしてスタッフも増員。吹き抜けの待合室も大きな特徴。休日も新しい知識や技術の習得に努め、患者さんに信頼される歯科医院の名に恥じない努力を重ね続けている。

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マウスピース型矯正で成果を得るには、患者さん自身に強い意志が求められる

歯並びや噛み合わせが悪いと、体にはどのような問題が起こりますか?

姿勢が悪くなりやすかったり、肩こりが起きたりするようなことはよくいわれますね。また、顎が痛くなることもあります。顎の痛みについては、じわじわそれが増してくるというよりは、突然痛み始めます。たとえば、口を大きく開けたときに顎の関節が痛い。顎の位置がズレてしまう方も多くいらっしゃいます。

マウスピース型矯正で成果を得るには、患者さん自身に強い意志が求められる

通常の歯科治療と比べれば、矯正治療はかなり高額です。その費用に見合う矯正のメリットは何でしょうか?

一言でいえば、QOLの向上です。たとえば、顎を動かすと関節にカクカクした感覚があって、食事のたびに痛いとか、しんどいという思いを抱え続けているよりは、毎食快適に楽しく食べられるほうがいいですよね。
もちろん、外見的に歯並びがよくなることで、口元のコンプレックスが解消されるといったこともありますが、やはり矯正で歯並びや噛み合わせのバランスがよくなり、生活のクオリティが全般的に向上するのが一番のメリットだと思います。

ワイヤー矯正とマウスピース型矯正それぞれのメリットやデメリットについて教えてください

ワイヤー矯正のメリットは、装着した後は患者さんが何もしなくていいことです。24時間着けっぱなしなので、初めは口の中に違和感を覚えますが、じきに慣れてしまいます。治療期間は人にもよりますが、2~3年かかります。ただ、着けっぱなしなので歯磨きしにくいのが難点です。むし歯にならないよう、しっかりお口のケアをすることが大切です。
一方、マウスピース型矯正のメリットは、自分で着け外しができること。マウスピースは、1日20時間は着けていないと治療効果を発揮しないのですが、逆にいえば4時間は外せるわけです。歯磨きや食事のときは外せますから、ワイヤー矯正と比べればむし歯になりにくいといえます。治療期間は、こちらも人によりますが、最短で6カ月、長ければワイヤー矯正と同様に2~3年かかります。
ただし、自分で外せることがデメリットにもなります。装着していないと歯が動かないので、矯正を成功させるには患者さんご本人の強い意志が求められます。煩わしいと思って外している時間が長くなると治療効果が出てこないし、矯正期間も長くなってしまいます。

マウスピース型矯正が登場してから20年以上経つと思います。システムの進歩という点ではどうでしょうか?

今はマウスピースでも歯を確実に動かせるようになってきました。以前は「動くのかな?」という水準だったのですが、「ちょっと動くね。こういう歯の動きならマウスピースでいけるかな?」というのがわかってきて、次第にどんな動きでもだいたい可能になってきたという感じですね。各先生方がいろいろ研究されていて、学会での発表なども盛んです。

マウスピースではどのように歯を動かすのですか? その仕組みを教えてください

歯に力を加え続けたら、生体反応として1カ月に最大1mmほど動きます。マウスピースを1週間に1度交換する場合、0.25mm先へ動いた位置に、微妙に形を変えたマウスピースを装着して、歯を押したり引っ張ったりする力を加えるわけです。
そうして、また次のステップで0.25mm先の位置を設定したマウスピースを装着して、少しずつ動かしていきます。

マウスピースは治療が終わるまでに何枚交換することになりますか?

100枚変える方もいらっしゃるし、20枚で済む方もいらっしゃいますから、個人差があります。治療費は、マウスピースの使用量に関わらず同じです。
最近はマウスピース型矯正を希望する方が増えてきました。マウスピースは装着していても目立ちにくいので、そうした見た目や、むし歯になりにくいといったところで選んでいただけたらいいかなと思います。

子どもでもマウスピース型矯正は可能でしょうか?

ある程度親御さんのいうことを聞いてくれて、自分の言葉で意思を伝えることのできる12~13歳くらいからとさせていただいています。この年齢になると、意外としっかり装着し続けてくれますよ。
もしも嫌気がさしてきたら、「治療にもっと時間がかかるようになってしまうから、それはイヤでしょ?」と説明してあげると、本人も理解してまた頑張ろうと思ってくれますね。

マウスピース型矯正で成果を得るには、患者さん自身に強い意志が求められる

大人の矯正と小児矯正では、治療方法に違いはありますか?

大人の矯正治療は、ピタっときれいに歯を並べることを目指していきます。
子どもの場合、生えたての歯は根っこがまだ完成していないので、歯にかけられる力は大きくありません。また、歯をきれいに並べても、成長して顎のサイズが広がったら隙間ができてしまいます。子どもは成長の途上にあるので、隙間をつくって歯並びがガタガタにならないような配慮が必要です。

歯に関する知識は患者さん側もしっかり身に付けて

歯に関する知識は患者さん側もしっかり身に付けて

貴院での矯正治療の流れを教えてください

初診でお見えになったら、まず患者さんが一番気になっていることや、どうしたいのかご希望を伺います。
次にお口の中を拝見し、「きっとこうなるだろう」という予想を立てて、その上で治療を希望される場合は診断をします。
そして診断結果を聞いていただいて、たとえば「大人の歯を1本抜かないといけないですよ」といったような話をしたとしも、それで患者さんが納得されれば治療にと進みます。
矯正期間の長さに気後れする患者さんもいらっしゃいますが、短縮はできないので「どうされますか?」とお尋ねします。「長くかかりすぎて無理」とおっしゃる方には無理強いすることはありません。逆に、期間が長くかかっても治療したい方にはお力になります。
また、治療が終わった後は、ワイヤーやマウスピースから解放された歯が元に戻ろうとしますから、保定装置を装着する必要があります。これは一応、矯正にかかった同じ期間だけ使っていただくことになります。せっかくきれいに整えた歯を崩したくないのであれば、「頑張りましょう」というお話もさせていただいています。

マウスピース型矯正を行う上で、患者さん自身が気を付けることはありますか?

しっかり装着し続けてくださいということが第一。それと引っ越しですね。引っ越されて通院の回数が減ると、治療がなかなか進まなかったり、修正がうまく加えられなかったりすることがありますから。最低でも2~3カ月に1度、せめて半年に1度は来院していただくことを意識してください。1カ月に2度来ていただけると、医師としては安心です。

貴院で治療が完了した患者さんからはどのような感想をいただいていますか?

外科的矯正治療で顎を切るしかない」と言われて、当院に来られた患者さんがおられました。1本だけ歯を抜いて治療をした結果、今は普通に噛める状態になっています。このときはすごく喜んでいただきました。

矯正を希望する患者さんの立場として、どんな歯科医院を選んだらよいでしょうか? 歯科医院選びのポイントなどはありますか?

当然ですけれど、しっかり診断をしてくれることと、どれだけ資料を取ってくれるかですね。特にお口の写真ですが、当院では毎回のように撮影します。それは、こうなっていくだろうと自分で予測してプランニングしたものが、患者さんのお口の中で実際に再現されているか否かを検証する必要があるからです。もしも違っていたら、前に撮った写真をさかのぼっていけば、道がどこでズレていったのかがわかります。それを知った上で、「次はこうしよう」というアプローチができることは大事です。
それと、医師がどれだけ勉強しているかということ。私は勉強にかける費用だけで、年間の支出は結構な額になっています。先進的な医療を勉強して、先進的な治療の考え方を理解し、それを身に付けて実践することが最も必要だと考えています。

貴院では患者さんにも「歯に関する知識(デンタルIQ)」を身に付けてもらうようにしているそうですが?

病気に関する知識は患者さんに常々お伝えしていますし、冊子でお渡しするものもあります。患者さんが本当に望むものを選んでいただくことが大事なので、普通の保険診療とは違う治療などについてもお伝えしています。

歯に関する知識は患者さん側もしっかり身に付けて

光学スキャナーとCTを連動してシミュレーションが可能

光学スキャナーとCTを連動してシミュレーションが可能

貴院の設備やシステムについて教えてください

矯正治療では、光学スキャナーを使っています。お口の中を撮影し、それをデータとして使います。CTと連動して分析をし、歯の動きをシミュレーションするソフトも導入しています。また、3Dプリンターで歯の模型をつくることもできます。

ところで、貴院は待合室に大きな吹き抜けがあって、ずいぶん開放的な雰囲気ですね

少しでも解放感を味わっていただき、のんびりお待ちいただけるといいなと思って、このような待合室をつくりました。

光学スキャナーとCTを連動してシミュレーションが可能

貴院での矯正に関する治療費を教えてください

子どもの矯正が385,000円、マウスピース型矯正が935,000円です。金額はいずれも税込みです。

最後にこれから矯正治療を受けようと考えている方、またMedical DOCのサイトを訪問している読者にメッセージをお願いします

歯並びにしろ、顎の痛みにしろ、悩みを抱えたままずっと過ごすのは辛いと思います。一定期間の治療を頑張っていただいた先には、自分が望むもの、たとえば人前で歯を見せて笑えるといった満足に加え、日々快適に過ごせる状態が得られるように努力しております。気になることがありましたら、お気軽に当院にご相談ください。

編集部まとめ

専門知識のない患者さんの立場に立ってわかりやすく話すことに努める姿勢が、インタビューでの受け答えにもよく表れている印象でした。それは、矢野院長自身がよく勉強し、理解したことを実践することから得た自信の裏付けがあってのことではないでしょうか。外科的矯正治療をするしかないと言われた患者さんでも、矢野歯科医院では通常の矯正治療で済んだエピソードが、そのことをよく表していると感じました。

矢野歯科医院

医院名

矢野歯科医院

診療内容

矯正治療 歯科一般 インプラント 審美治療 など

所在地

京都府宇治市伊勢田町名木3丁目1-4

アクセス

近鉄奈良線「伊勢田」駅より徒歩15分

この記事の監修歯科医師