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眼瞼下垂はセルフチェックできる?眼瞼下垂の症状やなりやすい人の特徴について解説します

 更新日:2023/09/27

眼瞼下垂はセルフチェックできる?眼瞼下垂の症状やなりやすい人の特徴について解説します
眼瞼下垂はセルフチェックできる?眼瞼下垂の症状やなりやすい人の特徴について解説します

上瞼が開けにくくなり瞳孔が隠れてしまう疾患が眼瞼下垂です。

眼瞼下垂にはものが見え難くなるだけでなくさまざまな症状があるため、気になっている人も多いのではないでしょうか。

こちらでは眼瞼下垂の症状やセルフチェックの方法などを解説しています。

また眼瞼下垂になりやすい人についても解説しているので、瞼のことで不安に思っている人はぜひ参考にしてください。

中林 洋平

監修医師
中林 洋平(ひふみるクリニック)

プロフィールをもっと見る
日本専門医機構認定形成外科専門医。2008年、山形大学医学部卒業後、山形大学医学部附属病院や大阪警察病院、大阪厚生年金病院(現・JCHO大阪病院)などで経験を積み、2014年4月、JCHO大阪病院形成外科 医長となる。2021年6月には、生まれ故郷の堺市で、「皮膚疾患に悩む方の力になりたい」「皮膚科・形成外科の両面から地域医療に貢献していきたい」と考え、「ひふみるクリニック」を開院し、院長となる。2022年の実績は、眼瞼下垂症手術で約1100件、眼瞼内反症(逆さまつげ)手術で約300件。

眼瞼下垂はセルフチェックできる?

医療の疑問

眼瞼下垂かどうかは、セルフチェックが可能です。まずセルフチェックを行ってから眼瞼下垂が疑われる場合は受診してください。眼瞼下垂はものが見え難いだけでなく、健康トラブルのもとにもなってしまう疾患です。セルフチェックで少しでも可能性があるなら、早めに医師の診断を受け適切な治療をうけてください。

眼瞼下垂のセルフチェック方法

セルフチェック

眼瞼下垂のセルフチェックには次のような方法があります。

  • 瞼が黒目を隠していないか確認する
  • 瞼の開き具合を確認する
  • 以前と比べて瞼の状態に違和感がある

まず、普通に目を開けて鏡を見た時に、黒目がすべて見えるかどうかをチェックしてください。黒目の一部が上瞼によって隠れている場合には眼瞼下垂が疑われます。また普通に目を開けて左右に目の開きに差がある場合も要注意です。眉を引き上げるようにしていないか、力が入っていないかもセルフチェック方法になります。瞼の開き具合を確認するためには眉毛の真ん中を指で押さえたまま目を開けるという方法があります。目を閉じて眉を指で押さえ、そのまま目を開けられるかどうかのチェックです。この時目が開けられない・力が入ってしまうなどがあれば眼瞼下垂の可能性があります。また以前に比べると瞼が重く感じる・上瞼がくぼんだ・目が小さくなったなど、セルフチェックで少しでも違和感があったら受診するようにしましょう。また、日頃から次のような項目でチェックを行い眼瞼下垂を防ぐことも可能です。

  • 額に皺がふえた
  • ドライアイ
  • 慢性的な肩こり・腰痛がある
  • コンタクトレンズを長年利用している
  • アイメイクが濃い

上記のようなチェック項目に当てはまる場合にも眼瞼下垂が疑われることがあります。セルフチェックしてみて気になる場合は受診してください。

眼瞼下垂の主な症状

説明する医師

眼瞼下垂は上瞼が下ってきて目が開けにくくなる疾患ですが、さまざまな症状が現れる疾患でもあります。そしてその症状は軽症・中等症・重症に分けられます。どのような症状があるのか挙げてみましょう。

  • 軽症:瞼は垂れているが意識したら瞳孔は隠れない
  • 中等症:意識して開けても瞳孔の上の端が隠れる
  • 重症:意識して目を開けても瞳孔が隠れてしまう

上記のように症状別に状態は違いますが眼瞼下垂に関してはそれにともなう身体的な症状が現れます。もちろん視野が狭くなってしまうこともその症状の1つですが、その他身体にさまざまな影響を与える可能性もあるのです。それぞれの症状について詳しく解説していきましょう。

視界が悪くなる

症状の内、多いのが視界が悪くなるというものです。上瞼が垂れさがり瞳孔をふさぐ場合もあるために、特に上部への視野が狭くなる症状があります。また視界が悪くなることで神経を使うため、疲れやすいという症状も出るでしょう。その他に目が乾燥しやすい・視力の低下がある・目に痛みを感じるなどの症状が出る場合もあります。

見た目の問題

特に片目だけ瞼が開ききらず垂れさがってしまう目に見える疾患のため、気持ちの上でも憂鬱になることが多いでしょう。見た目の問題が負担となり、ストレスなど精神的なトラブルとなってしまう可能性もあります。眼瞼下垂によって人と会いたくない・やる気が出ない・うつ状態になるなど精神的な悩みから引きこもりとなってしまう人もいるのです。眼瞼下垂で現れやすい外見上の変化について解説しましょう。変化は次のようなものになります。

  • 眉が上がった感じになる
  • 額の皺が多くなる
  • 黒目が上に上がり下の白目が見える
  • 二重が広くなり三重四重に見える
  • 目の大きさが左右で違う

外見が変ってしまうことで、なおさら気持ちが落ち込む場合も多いのです。

肩こり・頭痛などの健康トラブル

また精神的な問題だけでなく、常に視野を広げようと神経を使うことで力が入り、肩こりの原因となったり頭痛を引き起こしたりすることもあります。慢性眼精疲労や不眠症など、目の疾患だけでなく全身的な健康のトラブルのもとになる可能性もあるのです。また、先に解説したように精神的な悩みが続くことでストレスからうつ状態に陥る人も多いのが眼瞼下垂の特徴でもあります。目が開けにくい・視力が低下してきた・瞼が重く感じるなどの症状が気になったら、放置せず受診しましょう。

眼瞼下垂になりやすい人の特徴

指示する白衣の男性

眼瞼下垂は加齢によって発症することも多いのですが、若い人でももちろん発症します。年齢に関係なくなりやすい人の特徴があるので、その特徴について解説しましょう。眼瞼下垂になりやすい人には次のような特徴があります。

  • すぐに目をさわってしまう癖がある人
  • コンタクトレンズを長年利用している人
  • アイメイクなどを強くこすって落とす人

目に刺激を与えやすい人は眼瞼下垂を発症しやすいのです。花粉症などで短期的に目をこすってしまうのではなく、毎日の癖で目に刺激を与えやすい人は注意が必要なのです。それぞれについて少し詳しく解説しましょう。

目をこする癖がある人

常に目を気にして目に手をやる人は眼瞼下垂になりやすいです。目を触る癖・目をこする癖など常に目を触ってしまうことで、瞼に刺激を与え眼瞼下垂を発症する可能性が高くなります。パソコン作業など目を使う仕事が多い人もなりやすい人といえるでしょう。無意識に目をこすってしまう癖のある人は眼鏡をかけることで目をこするという動作をいくらか軽減できる場合もあります。工夫することでむやみに目をこすったり刺激をあたえたりすることは防げるのです。

ハードコンタクトレンズを装着している人

コンタクトレンズ

コンタクトの使用が眼瞼下垂に関係する場合もあります。これは瞼を刺激することが多いのが原因ですが、特にハードコンタクトレンズを装着している人がなりやすいです。長時間の装着は目にも瞼にも負担をかける原因となります。充分に使用方法を確認して無理なく使用するように気を付けてください。

アイメイクを落とす際にこすってしまう習慣がある人

濃いアイメイクを行っている人も瞼に負担をかけ続けるため、眼瞼下垂を発症しやすい人といえます。アイメイク中も瞼への負担はありますが、特に落とす時に強くこすってしまうことが瞼へ大きな負担となり眼瞼下垂になりやすいのです。落とす時には刺激の少ない目専用のメイク落としを使用し、こすらず優しく落とすことが大切です。もちろん日頃からマスカラやアイライナーの落としにくいものを使うのでなく比較的肌にも柔らかなものを利用することでも瞼への負担を減らすことはできます。できるだけ瞼や目に負担の少ないメイクをするように心掛けてください。

眼瞼下垂には種類がある

問診票

眼瞼下垂になりやすい人の特徴をお伝えしましたが、眼瞼下垂という疾患には次のような種類があります。

  • 後天性腱膜性眼瞼下垂
  • 先天性眼瞼下垂

眼瞼下垂は主な種類として上記2つに分類されます。瞼に刺激を与えることが原因の眼瞼下垂は後天性眼瞼下垂の1つですが、通常眼瞼下垂と呼ばれているものは後天性腱膜性眼瞼下垂が多いです。その他考えられる眼瞼下垂の種類について解説します。

先天性

先天性眼瞼下垂は遺伝などが原因で起こる眼瞼下垂症です。生まれつき瞼を開閉するための筋力や神経に異常があり瞼が垂れ下ってしまうのが先天性の眼瞼下垂です。片方の瞼だけの場合と両瞼の場合があり、両目の場合には分かり難いこともあります。ただその場合視力の発達に影響を与えることも多くなるため、注意することが大切です。先天性眼瞼下垂の場合は手術によって瞼を上げる方法がとられます。手術はものを見ることが可能であれば様子を見ながら、手術に耐えられる年齢になって行うことが多いです。

加齢による発生

鏡を見る中年の女性

加齢による眼瞼下垂は後天性腱膜性眼瞼下垂の1つです。加齢による眼瞼下垂は原因によって次の種類が考えられます。

  • 腱膜性眼瞼下垂
  • 上眼瞼皮膚弛緩

腱膜性眼瞼下垂は、瞼を引き上げる上眼瞼挙筋が収縮しても引き上げることのできない状態で起こります。上眼瞼挙筋は途中から腱膜となり、瞼の先端の瞼板に付着しています。通常上眼瞼挙筋が収縮すると瞼板が持ち上がり瞼が上がるのです。瞼の構造は複雑で腱膜の裏側にはミュラー筋があり、このミュラー筋は上眼瞼挙筋と瞼板を繋ぎ瞼の開き具合などを調節する役割を果たしています。加齢などにより腱膜が剥がれたり伸びたりしてしまうと、腱膜の代わりにこのミュラー筋が収縮して瞼を引き上げるのです。ただミュラー筋は交感神経によって収縮するため、交感神経の緊張が弱まると瞼は下がってしまいます。この状況が続き症状が進むと、瞼は下った状態のままになってしまうのです。このように上眼瞼挙筋の収縮が瞼板に伝わらず瞼が下る症状を腱膜性眼瞼下垂といいます。腱膜性眼瞼下垂は加齢のみでなく、目を強くこする・コンタクトレンズの長期使用・白内障手術などによっても起こる可能性があるのです。その他加齢による眼瞼下垂で考えられるものに上眼瞼皮膚弛緩があります。これは上眼瞼挙筋に関係するものではなく加齢のために上瞼の皮膚がたるむことで目が皮膚によって被さったような状態になる疾患です。

眼瞼下垂に似た偽眼瞼下垂

偽眼瞼下垂と眼瞼下垂と症状は似ているけれど、瞼を上げるための上眼瞼挙筋などに異常がないにも関わらず、眼瞼下垂と似た症状のある疾患をいいます。動眼神経・瞼板挙筋などにも異常がなく、ただ上瞼が垂れ下る症状の偽眼瞼下垂には次のようなものがあります。

  • 上眼瞼皮膚弛緩
  • 眉毛下垂
  • 眼瞼痙攣

上眼瞼皮膚弛緩は先に解説した通り、加齢によって上瞼の皮膚がたるんで目が閉じてしまったように見える症状です。眉毛下垂もやはり加齢などで眉毛が下った状態となり、瞼が被さったような状態に見えます。瞼を閉じる筋肉が過剰に反応してしまい瞼が痙攣をおこし開きにくくなる状態を眼瞼痙攣といい、この症状も加齢により起こりやすいのが特徴です。

眼瞼下垂の病院でのチェック・検査

診察する医師

眼瞼下垂の可能性がある場合受診して検査を受けますが、どのような検査があるのかを解説していきましょう。主な検査は次のようなものになります。

  • CT・MRI検査
  • 血液検査
  • MRD検査
  • 瞼裂高
  • 挙筋機能検査

まず瞼が下がってしまう病気の内、脳神経などの疾患を疑いCT・MRIによる検査を行うことが多いです。そして他の疾患がないか血液検査が行われます。眼瞼下垂と診断された場合にはその状況を確認するために、MRD検・瞼裂高・挙筋機能検査の検査が行われます。それぞれ詳しく確認していきましょう。

MRD

MRDはリラックスした状態で目を開け、瞳孔の中心からまつ毛の生え際までの距離を計って眼瞼下垂の程度を確認する検査です。この検査によって眼瞼下垂かどうかまたその程度が数値で表されるので、診断のためには重要な検査になります。通常その距離が3.5mmに満たない場合眼瞼下垂と診断されます。

瞼裂高

瞼裂高は瞼を開閉する時の瞼の開閉の感覚を計り検査することです。眼瞼下垂の場合には瞼裂高は狭くなります。瞼裂高は眼瞼下垂の程度を知るためには必要な検査です。
MRD・瞼裂高は眼瞼下垂のセルフチェックにも応用できるので自分で行うのもよいでしょう。

挙筋機能検査

挙筋機能検査は下から見上げた場合に上瞼の下の縁まで移動する距離を計り検査を行うものです。通常挙動機能が10mmあれば正常とされています。加齢性の眼瞼下垂などでは特にこの挙筋機能検査を重視することが多いです。

眼瞼下垂で悩んだら専門医に相談をしましょう

専門医の椅子

眼瞼下垂は加齢のみでなく年齢を問わず起こる可能性がある疾患です。特に目に見える疾患なので、悩む人も多いでしょう。眼瞼下垂は原因をはっきりとさせて治療を行うことで症状が軽減することや手術によって回復することも多いのです。一人で悩まずに専門医に相談してください。良い方法で解決に向う可能性が充分あるので悲観的にならないでください。またセルフチェックで本当に眼瞼下垂なのかどうかも確認することが可能です。不安に思った時はチェックしてみて、その上で専門医に相談しましょう。

編集部まとめ

笑顔の看護師
眼瞼下垂は瞼が垂れ下がってきて瞳孔をふさいでしまうこともある疾患で、視野が狭くなる・瞼が開けられないという症状があります。

また神経を使うため、肩こりや頭痛など健康のトラブルの原因にもなってしまうため多くの人が悩む疾患でもあります。

眼瞼下垂は自分自身でチェックして眼瞼下垂であるかどうかを確認することが可能なので、違和感を覚えたなら、ぜひチェックしてみてください。

その上で気になることがあれば、まず専門医に受診しましょう。治療方法によって充分に回復できる場合が多いので、悲観的にならずに相談して適切な治療を受けるようにしてください。

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【所属・資格など】
・日本形成外科学会
・日本創傷外科学会
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