健康・運動機能・美容面であきらめていた不調も「本質的なかみ合わせ治療」による改善が可能【大阪府高槻市 きたむら歯科医院】
かみ合わせが口腔だけでなく、全身の健康とも関係していることが少しずつ認知されるようになってきた。しかし未だ、「歯並びの悪さや入れ歯等の不具合のためにかみ合わせ治療を受ける」ということはあっても、「全身の不調を改善するためにかみ合わせ治療を受ける」というレベルには浸透していない。きたむら歯科医院の北村幹夫院長によると、口腔内のトラブルや全身の不調は、少なからずかみ合わせに起因するという。同院長に詳しい話を伺った。
北村 幹夫
きたむら歯科医院 院長
九州歯科大学卒業後、1978年きたむら歯科医院開業。2005年より歯科補綴、審美的歯科治療の世界的権威である大阪大学名誉教授・丸山剛郎氏に師事し、師が提唱する「丸山咬合医療」を基盤とした歯科診療を行い現在に至る。かみ合わせと口腔の健康、かみ合わせと全身の健康の密接な関係に着目し、口腔内のトラブルや全身の不定愁訴を改善する治療を提供している。日本咬合学会 指導医・専門医。
目次 -INDEX-
- 歯科における本質的な「かみ合わせ」とは
- 「かみ合わせ」という言葉をよく耳にしますが、何となくイメージが漠然としています
- ではその、かみ合わせを専門とされる先生がお考えになるより適切な意味でのかみ合わせについて教えていただけますか?
- 下顎の位置が歪み正しいかみ合わせができないと、どのような影響があるのでしょうか?
- 一見、歯科やかみ合わせと関連なさそうな症状も含まれていますね。それらはどうして起こるのでしょうか?
- 下顎のズレが血流の悪化や神経の圧迫を引き起こすというのは意外でした
- ところで、そもそもなぜ、下顎がずれてしまうのでしょうか?
- それ以外に、あまり知られていない原因もあるのでしょうか?
- 地球の自転も影響しているとは驚きです。となると、ほとんどの人は下顎がズレているということになるのでしょうか?
- 正しい下顎の位置を脳に覚えさせて「再発しにくいかみ合わせ治療」を実現する
- かみ合わせ治療というと、矯正治療であったり、歯を削って形を整えたりといった治療を思い浮かべます。先生も、そういった治療に対応されているのでしょうか?
- MFA治療とは、どのようなものなのでしょうか?
- とてもシンプルな治療ですね。どのようなメカニズムで、かみ合わせが改善されるのでしょうか?
- 矯正治療で使用されるマウスピースとはまったく異なるものなのですね。治療期間は、どれくらいになるのでしょうか?
- どのような効果が期待できますか?
- 口腔、身体の健康を守ってくれる治療なのですね。MFA治療は、どの歯科医院でも受けられるものなのでしょうか?
- 治療期間が短い一方で、治療開始までにかなりの手間がかけられているのですね。事前に行う検査などはありますか?
- 一人でも多くの人に、「正しいかみ合わせの可能性」を知ってほしい
- かみ合わせ治療によって顔や身体のバランスがよくなるということは、運動機能面、美容面での効果も期待できるのでしょうか?
- 特にスポーツ選手や女性にとってうれしい効果ですね。ご高齢の方でも治療を受けられますか?
- 一方で、下顎のズレやかみ合わせの乱れを自覚している人は、全体から見るとまだまだ多くないように思えます。セルフチェックする方法はありますか?
- これなら自宅でもできそうです。ただ、セルフチェックだけでかみ合わせがよい・悪いと判断するのは難しそうです
- ホームページを拝見すると、貴院にはかみ合わせ関連の資格を持ったスタッフさんが在籍されていますね。皆さんが情熱を持って患者さんの治療に向き合っていることがうかがえます
- 最後に、読者の方へのメッセージをお願いします
歯科における本質的な「かみ合わせ」とは
「かみ合わせ」という言葉をよく耳にしますが、何となくイメージが漠然としています
かみ合わせというと、多くの人は噛んだときに、上下の歯がどのように接触しているのかということを考えると思います。赤い紙をカチカチギリギリと噛んでバランスが均等であればかみ合わせがよい、バランスに偏りがあればかみ合わせが悪い、つまり上下の歯の当たり方こそが「かみ合わせ」であるというイメージです。
しかしこれは、かみ合わせの本質を捉えてはいません。何故なら、実際の食事でカチカチギリギリと口を動かして食べるヒトは誰もいないのです。人間本来の噛みかたを精密に再現するのが本当の「かみ合わせ」なのです。
ではその、かみ合わせを専門とされる先生がお考えになるより適切な意味でのかみ合わせについて教えていただけますか?
確かに上下の歯を噛んだときの力のかかり具合も下顎の安定のためには大切ですが、食べるときの下顎の運動「咀嚼運動」が正しく行われることの方がより大切なのです。上下の歯が噛んでいる状態というのは、咀嚼運動における最終地点に過ぎません。その瞬間だけを切り取るのではなく、顎を動かす一連の運動こそが「かみ合わせ」です。この時、実際に動くのは下顎です。下顎の骨は、あたかもブランコのように頭蓋骨にぶらさがっています。ご存知のように、ぶらんこが正しく動くには、真っ直ぐ真ん中にぶら下がってなければなりません。歪めて動かした時のあのとんでもない動きを想像すれば、容易にお分りいただけると思います。
つまり、かみ合わせの基本は『下顎の正しい位置』なのです。ですので最初から歯を削ったり、歯並びを治すのは本末転倒で、本来のかみ合わせ治療は、まず下顎の歪み(ズレ)から治療を始めるのが鉄則となります。
下顎の位置が歪み正しいかみ合わせができないと、どのような影響があるのでしょうか?
むし歯や歯周病、顎関節症といったお口まわりのトラブル、顔の歪み、姿勢の悪さ、肩・首のこり、腰痛、めまいといった筋肉の異常緊張・左右バランスの悪さによるトラブル、不眠、精神の不安定(うつ症状等)、免疫力の低下といった脳への血流不足によるトラブル、抜け毛、顔のくすみ、顔色の悪さといった顔面への血流不足によるトラブルなど、実にさまざまな問題の原因になります。
一見、歯科やかみ合わせと関連なさそうな症状も含まれていますね。それらはどうして起こるのでしょうか?
下顎の骨は頭蓋骨にぶらさがっているので、下顎の位置がズレることで、頭を支える首の筋肉が緊張し、さらにその状態が続くと硬直します(こり)。すると首を通る血管が圧迫され、頭頚部・脳への血流が悪くなり、首のこりはもとより、脳の機能低下により不眠、うつ症状など脳関連の様々な症状を引き起こします。
また、頚椎・胸椎・腰椎の配列にも変化が起こり、姿勢が悪くなったり、肩こりや腰痛・膝の痛みなどに繋がってきます。頭痛は、首の筋肉が緊張から起こるだけではなく、三叉神経(口や顎に分布する)の異常からでも起こります。
下顎のズレが血流の悪化や神経の圧迫を引き起こすというのは意外でした
もちろん、すべての症状が下顎のズレのみを原因として起こるわけではありません。しかし、これらの症状をかみ合わせと結び付けられず、内科や整形外科にいくら通っても治らない(不定愁訴)という方が多くいらっしゃいます。
ところで、そもそもなぜ、下顎がずれてしまうのでしょうか?
人間が直立二足歩行になり、身体のバランサーとして下顎を利用する必要が生じたために(昔のビルの免震構造では屋上に錘をぶら下げていた)、日常生活では固定せず(食事以外では上の歯と噛み締めていない)ブラブラさせて生活しているからです。そこに頬杖などの日々の悪い生活習慣、寝るときの偏った姿勢、歯並びの乱れ、歯科治療による入れ歯や被せ物など顎を歪める外的要因が加わるからです。これらは特に、顎の成長する成長期において、大きな悪影響を及ぼすことがわかっています(3歳までのお子様にはほとんど下顎のズレはみられないという調査報告もあります。)
それ以外に、あまり知られていない原因もあるのでしょうか?
実は、地球の自転も関係しています。自転に伴う慣性の力によって、北半球であれば下顎が自分から見て右にズレることが多くなります。私が行なった南半球のオーストラリアでの調査では(メルボルンでの調査)、70~80%の人の顎が左にズレており、これは日本と真逆の結果でした。
地球の自転も影響しているとは驚きです。となると、ほとんどの人は下顎がズレているということになるのでしょうか?
はい。程度の差こそあれ、人間ではほとんどの方は下顎がズレ、かみ合わせが乱れています。他の動物ではこのような傾向は全く見られません。直立二足歩行になった人間の宿命なのです。
だからといって、全ての人に症状として現れるわけではありませんが、口の中はもとより全身に現れる様々な問題が、かみ合わせから生じているかもしれないと考えて下さる患者さんが少ないのも事実で、なかなか受診に至りません。私は、自分の歯科医師人生をかけて、一人でも多くの不定愁訴で悩んでおられる方に“真のかみ合わせ治療”を提供し、健康と長寿をお届けしたいと思っています。
正しい下顎の位置を脳に覚えさせて「再発しにくいかみ合わせ治療」を実現する
かみ合わせ治療というと、矯正治療であったり、歯を削って形を整えたりといった治療を思い浮かべます。先生も、そういった治療に対応されているのでしょうか?
MFA治療とは、どのようなものなのでしょうか?
丸山剛郎先生(大阪大学名誉教授・丸山咬合医療クリニック所長)が独自に開発したマウスピース型の装置「MFA装置」を用いた治療です。装置はかみ合わせ治療専用に、患者さん一人ひとりに合わせて作製します。ライフスタイルを伺った上で、1日のうちできるだけ長い時間、装着してもらいます。
とてもシンプルな治療ですね。どのようなメカニズムで、かみ合わせが改善されるのでしょうか?
装置の装着によって、下顎が正しい位置へと移動します。ただ最初のうちは、装置を外せば元の状態に戻ります。これを日々繰り返すと、脳が正しい下顎の位置を覚えてくれるので、装置を外しても正しいかみ合わせが維持されるようになります。
矯正治療で使用されるマウスピースとはまったく異なるものなのですね。治療期間は、どれくらいになるのでしょうか?
装着時間、下顎のズレの程度にもよりますが、平均で3カ月程度です。長くかかる方では、6カ月くらいかかった方がおられますが、こんなに長くかかる方はごくまれです。逆に早ければ、1カ月ほどで正しい位置を覚えてしまいます。
ただ、治療を終えてからも、顎をぶら下げて日々生活する人間の宿命として顎の位置が再びズレないよう、1日5分ほどはこの装置をリテーナー(止めておく装置)として使って頂くとより安心です。
どのような効果が期待できますか?
先ほど申し上げた、肩・首のこり、腰痛などの姿勢・筋肉に関連する不定愁訴や冷え、頭痛、不眠、めまい、うつ症状等の脳や全身の血流不足により生じる症状など、下顎のズレを原因としている症状の改善が期待できます。また、顔や身体の左右差の改善しますので美容効果も期待できます。もちろん、むし歯や歯周病、顎関節症の予防にも有効です。
口腔、身体の健康を守ってくれる治療なのですね。MFA治療は、どの歯科医院でも受けられるものなのでしょうか?
いいえ、日本咬合学会の定める基準をクリアした歯科医師のみが実践できる治療です。また、20ミクロンの誤差も許されないという極めて高い精密性が求められるため、装置を作製できる技工士も限られています。
当院では、提携する技工士から受け取った装置を、私、そして丸山先生が最終チェックした上で、治療に使用します。
治療期間が短い一方で、治療開始までにかなりの手間がかけられているのですね。事前に行う検査などはありますか?
レントゲン検査、CT検査、模型を作製した上での咬合検査を行います。また、直立したときの口腔・全身のバランスのチェックも重要視しています。数値などのデータでは表せないものですが、丸山咬合医療の実践においては欠かせません。かみ合わせと身体のバランスがいかに密接な関係にあるか、患者さんにわかりやすく体験してもらえる検査でもあります。
一人でも多くの人に、「正しいかみ合わせの可能性」を知ってほしい
かみ合わせ治療によって顔や身体のバランスがよくなるということは、運動機能面、美容面での効果も期待できるのでしょうか?
運動機能面では、力が入りやすくなる・体幹バランスを保ちやすくなることでパフォーマンスの向上が期待できます。美容面では、下顎の位置の改善による小顔効果や左右差の解消、血流の改善によるくすみ・むくみの軽減、顔色がよくなるといった効果が期待できます。
特にスポーツ選手や女性にとってうれしい効果ですね。ご高齢の方でも治療を受けられますか?
はい、負担の少ない治療ですので、お子さんから高齢者まで(当院の最高齢は90歳です)、幅広い年代の方にお越しいただいています。まだまだ十分でないとはいえ、少しずつかみ合わせの重要性についての認知が広まっているのはうれしいことです。
一方で、下顎のズレやかみ合わせの乱れを自覚している人は、全体から見るとまだまだ多くないように思えます。セルフチェックする方法はありますか?
①まず、鏡の前で、両足のかかとをつけ、つま先を軽く開いて立ちます。
②次に、上下の歯を自然に噛み、目を閉じます。
③頭を動かさないようにそっと目を開き、鏡の中の胸のあたりを見ます。
④目線を首までゆっくり上げたときのラインの延長線上から下顎の中心が外れている場合は、下顎の位置及びかみ合わせがズレている可能性が高いといえます。
これなら自宅でもできそうです。ただ、セルフチェックだけでかみ合わせがよい・悪いと判断するのは難しそうです
あくまで簡易的なセルフチェックなので、最終的にはかみ合わせ治療専門の歯科医院での診断が必要です。特に、少しでもかみ合わせに不安がある方、肩こりや腰痛などの不定愁訴がある方には、お早目の受診をおすすめします。
繰り返しとなりますが、ほとんどの方は下顎のズレがあり、しかし受診、症状の改善には至っていないという実態があります。
ホームページを拝見すると、貴院にはかみ合わせ関連の資格を持ったスタッフさんが在籍されていますね。皆さんが情熱を持って患者さんの治療に向き合っていることがうかがえます
当院のスタッフは本当に勉強熱心で、全員が丸山咬合医療のことをしっかり理解しています。何でもお気軽にお尋ねいただければと思います。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします
「かみ合わせ治療」はまだまだ認知度が低く、むし歯や歯周病の治療、矯正治療ほど重要視されていません。しかし、本当の意味でのかみ合わせ(顎から考えるかみ合わせ)を正しく理解し、治療を行う歯科医院に相談すれば、驚きと感動がもたらされる可能性を秘めたものであることがわかります。かみ合わせ、そして口腔・全身の健康を見直したいという方は、どうぞお気軽にご相談ください。
編集部まとめ
やや漠然としたイメージであった「かみ合わせ」が、丸山咬合医療ではより本質的に定義されており、口腔や全身の健康、また運動機能面や美容面と密接な関係にあることがわかりました。かみ合わせ治療には、私たちがあきらめてしまっている不調、当たり前になって忘れてしまっている不調を、軽減・解消する可能性が秘められているようです。
丸山咬合医療に基づいた治療を受けられる歯科医院は限られています。気になる方は、インターネットで検索するなどして、対応している歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。
医院名
きたむら歯科医院
診療内容
かみ合わせ治療 小児矯正治療 歯科一般 予防治療 審美治療 など
所在地
大阪府高槻市弥生が丘町27-23
アクセス
市バス「日吉台中央公園」バス停留所より下車すぐ
JR東海道・山陽本線「高槻」駅より車で12分