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歯周病治療の基本は?自宅でのケアも重要って本当?【南区吉野町 医療法人社団広美会すやま歯科クリニック】

 更新日:2023/03/27
医療法人社団広美会すやま歯科クリニック
医療法人社団広美会すやま歯科クリニック

歯周組織に炎症が起こり、赤みや腫れ、出血などが起こる歯周病。歯科医院では、歯周病をどのように治療するのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は、歯周病治療に詳しい歯科医師【医療法人社団広美会すやま歯科クリニック 陶山 富広先生】に、次のようなテーマでお話を伺いました。
 
・歯周病治療の流れ
・歯周病治療の方法
・治療後のメンテナンス

Doctor’s Profile陶山 富広
医療法人社団広美会 理事長

北海道医療大学歯学部卒業後、横浜市内の歯科医院に勤務。その後、みなと歯科への勤務を経て、2002年にすやま歯科クリニックを開院。治療の際には、患者の気持ちに寄り添い、不安を取り除くことを心がけている。途中で治療やメンテナンスを離脱しても責めることなく、良い結果となるようサポートしている。

【歯周病治療の流れ】1回の治療時間は30分~45分程度

はじめて歯周病治療を受けるときには、不安を感じるものですよね。不安を抑えるためにも、まずは治療の流れを把握しておくことをおすすめします。
どのような治療を行うのか、あらかじめ把握しておけば、心の準備ができることでしょう。

【歯周病治療の流れ】1回の治療時間は30分~45分程度

【歯周病治療の流れ 1】 カウンセリングを受ける

歯の歯茎が腫れている、ブラッシング時に出血するといった悩みを医師に伝え、カウンセリングを受けます。基本的には、その後の検査で医師が判断するそうです。そのため、自覚症状をうまく伝えられなかったからといって、歯周病の治療を受けられないことはないので、安心してカウンセリングに臨みましょう。

【歯周病治療の流れ 2】 検査を受ける

口の中を見せて、歯周病であるかどうか、その他に何らかの病気や異常がないかを医師に確認してもらいます。その際、歯周病が判明したら、口の中の写真やレントゲン、歯茎の検査、歯周ポケットの深さを調べる検査などを行います。
ただし歯周ポケットの深さを測るときには、歯肉を覆う歯石を除去する必要があるため、そのときに歯周病で敏感になっている歯肉を刺激してしまうことも考えられるでしょう。この際、チクチクとした軽い痛みがあると予想されますが、あまりにも痛みが強い場合は医師に伝えましょう。

【歯周病治療の流れ 3】 治療の説明を受ける

各種検査で歯周病の詳しい状態がわかれば、必要な治療を医師から伝えられます。このとき、十分な説明を受けて、疑問や不安を解消したうえで治療に同意することが大切です。
 
またこのように十分な説明を行い、双方の同意をもって治療を開始することを「インフォームドコンセント」といいます。インフォームドコンセントができていないと、治療中に不安を感じたり、治療を受けたことを後悔したりする恐れがあるため、納得のいくまで説明を受けるよう心がけてはいかがでしょうか。

【歯周病治療の流れ 4】 治療開始

歯周病治療を受けることに同意すれば、いよいよ治療が始まります。まずは歯の表面についた歯垢や歯石をスケーラーと呼ばれる器具で除去するスケーリングや、歯周ポケット内部にある歯石や歯の根の汚染を除去するルートプレーニングから。
 
この際、歯周ポケットの奥深くにある歯石の除去には痛みを伴うため、麻酔注射が必要です。麻酔をしても完全に痛みがなくなるわけではなく、痛み方には個人差があるとされています。
 
治療時間の目安:1回30~45分程度
治療回数:4~6回程度

【歯周病治療の流れ 5】 治療後のメンテナンス

歯肉の状態が改善して、歯周ポケットが十分に浅くなれば、いったん治療は終了します。
ただし、歯周病は何度でも再発する可能性があるため、メンテナンスで状態を維持しなければなりません。
また定期的に歯科医院で歯垢や歯石を取り除き、歯周病になっていないかチェックを受ける必要もあります。さらに、自宅で丁寧なブラッシングや歯間ブラシでのケアなどを続け、歯周病の原因となる歯垢や歯石を作らないことも大切だといえるでしょう。
 
このような歯周病治療後の注意点として、陶山先生も以下のようにおっしゃっています。

【歯周病治療の流れ】1回の治療時間は30分~45分程度
日々のセルフケアを徹底しなければ、再び歯周病になる可能性があります。また、良くない生活習慣は口腔環境に悪影響を及ぼすため、医師に生活のアドバイスを受けましょう。

このように歯周病の予防は、常に意識することが大切です。歯周病を再発させないために、最後まで治療に通い、セルフケアとメンテナンスを徹底しましょう。

【痛みは△】専用器具を使った歯周病治療とは

ここまで歯周病治療では、器具を使って歯垢や歯石を取り除く処置を行う、とお伝えしました。では具体的に、どのように行うのか、どの程度の痛みがあるのか、詳しくみていきましょう。

【痛みは△】専用器具を使った歯周病治療とは

専用器具を使った歯周病治療の目的

専用器具を用いて、歯の表面や歯周ポケット、歯の根についた歯垢や歯石などを取り除く処置は、歯周病の治療に欠かせないといいます。とくに歯周病は、細菌によって歯肉などに炎症が起こる病気です。歯垢や歯石は、いわば細菌の塊のため、放置すると歯周病が起きてしまうことも考えられるでしょう。そのため、専用器具で歯垢や歯石をしっかり取り除く必要性があるとされているのです。

治療中に痛みを感じる場合がある

痛みの有無には個人差があり、治療を行う歯科医師の技量も関係するとされています。また、深い歯周ポケットに入り込んだ歯石を除去する際には、痛みを感じる場合が多いようです。このような治療中の痛みについて、陶山先生は以下のようにおっしゃっています。

個人差はありますが、歯茎の上についている歯石を取る場合、ほとんど痛みはありません。歯茎の中の歯石を取る場合は、多少痛みを伴うことがあります。ただしそのような場合には、麻酔を使用しますのでご安心ください。

このように、治療中は常に痛みを感じるわけではないようです。とはいえ痛みに対して不安がある方は、その旨を事前に医師へ相談してみてはいかがでしょうか。

手術が必要になる場合がある

専用器具を使用した歯周病治療を行っても改善が見られない場合は、手術を提案されることもあるといいます。手術によって歯を支えている骨の段差を調整し、歯周ポケットを浅くできる可能性がありますが、必ず手術を行わなければいけないわけではありません。
 
歯肉にメスを入れることに抵抗を感じるのであれば、現在の状況を維持するためのメンテナンスに移行する選択肢もあります。このように、専用器具を使った歯周病治療や手術などを行い、歯周病の改善を目指すとされています。
 
ここで気になるのは、歯周病が大きく進行すると治療では改善ができず、抜歯が必要になるのではないかという点です。この点について、陶山先生に詳しくお話しを伺いました。

【痛みは△】専用器具を使った歯周病治療とは
歯周病治療では、抜歯が必要な場合があります。例えば、重度の歯周病を放置すれば、歯を支える顎の骨も失われるため、歯がぐらついてきます。このような状態では、問題のある歯だけでなく、その周囲の歯を支える骨にまで影響を与えてしまう可能性があるため、抜歯が必要になるのです。
 
また骨が失われれば、そのままではインプラント義歯という処置も難しくなります。特に、保険適用の範囲内で治療を行おうとするならば、抜歯を選択することが多くなるでしょう。しかし、歯周組織再生療法を用いれば、失われた歯周組織を回復させることもできます。

このように、重度の歯周病では抜歯が必要になる可能性があるため、自分の大切な歯を失う前に、歯周病治療を受けることが大切です。

【再発予防】歯周病治療後のメンテナンスの重要性

歯周病治療において、重要なのは治療後のメンテナンスです。歯周病は、歯と歯肉の間や歯についた食べかすが歯垢や歯石になることで発症するため、何度でも再発する可能性があります。そして、歯周病を引き起こす細菌は誰もが感染しているのです。次のようなポイントを押さえて、歯周病の再発を防ぎましょう。

【再発予防】歯周病治療後のメンテナンスの重要性

定期的にメンテナンスを受ける

歯周病予防には、歯科医院で定期的に歯垢や歯石を除去する処置を受けたり、歯周ポケットが深くなっていないかチェックしてもらったりすることが大切です。メンテナンスの頻度は、歯周病のリスクや口の中の状態で変わってきます。

軽度:約3ヶ月に1回程度
重度:月1回程度

具体的なメンテナンスの頻度については、かかりつけの医師に確認してください。

自宅でのセルフケアに力を入れる

歯科医院でのメンテナンスだけではなく、自宅でのセルフケアにも力を入れましょう。日々のセルフケアで大切なことについて、陶山先生は以下のようにおっしゃっています。

 

歯周病予防に重要な歯垢(プラーク)の除去を「プラークコントロール(※)」といい、そのほとんどは自宅でおこなうセルフチェック、すなわち歯磨きとなります。毎回のブラッシングを丁寧に行い、磨き残さないことが大切です。また、糖分が多い食べ物を控えたり、タバコを控えたりするなど、生活習慣から変えていきましょう。

【再発予防】歯周病治療後のメンテナンスの重要性

※プラークコントロールとは:虫歯や歯周病の原因となる歯垢を取り除いたり、歯垢が溜まりにくい生活習慣に整えたりすることです。

歯周病を予防するためには、歯科医院でのメンテナンスと自宅でのブラッシング、生活習慣の見直しが必要だとされています。日々、丁寧なブラッシングを続けることで歯周病のリスクは下がることでしょう。だからこそ歯科医院でブラッシング指導を受けてセルフケアの質を高めながら、専門的なメンテナンスで予防に努めてはいかがでしょうか。

歯周病治療はお早めに!治療後のメンテナンスも必須

歯周病治療は、できるだけ早く受けることが大切です。軽度の段階で治療を始めることで、通院回数も抑えられるでしょう。
また、専用器具を使った歯周病治療では、痛みを感じることがありますが、医師に伝えれば麻酔を使用してもらえます。治療後は、定期的にメンテナンスに通い、セルフケアも徹底して歯周病の再発を防ぎましょう。

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医療法人社団広美会すやま歯科クリニック

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診療内容 歯科一般 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科

この記事の監修歯科医師