不妊治療はいつから始めればいい? 費用の負担はどのくらい?【埼玉県さいたま市 かしわざき産婦人科】


医療法人かしわ会 かしわざき産婦人科 副院長
京都府立医科大学医学部卒業。2000年5月まで日本大学板橋病院において主に不妊治療に従事。その間、米国エール大学医学部産婦人科に留学。
医学博士。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本受精着床学会評議員、母体保護法指定医、日本卵子学会代議員等。
不妊の原因は女性だけに限らない。男性と女性で約半々
しかし、婦人科の既往歴などから女性が妊娠しにくい状態であると考えられる場合は、この定義を満たさなくても不妊の可能性を考慮して早めに検査を受け、必要に応じて治療を行ったほうがいい場合もあります。

わかりやすい言い方で大まかにお伝えすると、不妊は、「排卵しない」「卵管が詰まっている」「精子がない」の3つが主な原因となっており、これらの原因が不妊全体の4分の3を占めています。また、原因不明なケースが11%と、意外に多いことも不妊の特徴です。
卵子をつくる卵巣の機能が衰えると、卵子の数が減少するだけではなく、質も低下し、妊娠しにくくなります。
卵管は、卵子を取り込んで精子と受精する場所であり、受精卵を子宮に運ぶという重要な働きをしますが、この卵管が何らかの原因により狭くなったり詰まってしまったりすると、受精することができません。
子宮については、子宮筋腫や子宮の奇形発育不全、子宮内膜症などの疾患が不妊と関連があることがわかっています。
内分泌ホルモン分泌の異常は、排卵障害につながります。

無精子症は、精巣(睾丸)で精子をつくる能力が低下してしまっていて精子がない状態と、精子はつくられているのに、通り道が塞がっているために射精しても精子が放出されない状態と2通りがあり、後者を「精路閉鎖」といいます。
また、勃起障害や膣内射精障害など、セックスで射精できない「性交障害」も男性側の不妊の原因となります。
ほか、近年のカップルに多い「セックスレス」も不妊の大きな原因の一つとなっています。
不妊治療を開始する目安とは? どんな検査をする?
近年、「妊活」という言葉が一般的になってきていることもあり、結婚後1カ月で受診される方も少なくありません。不妊治療は早くスタートすることで結果が出やすいものです。
子どもを望んでいて少しでも気になることがある方は、パートナーとともに受診し、まず検査を受けてみてください。

超音波検査では、子宮や卵巣に異常がないかどうか、また、卵子が成熟する袋である卵胞の状態を観察します。
血液検査では、排卵の有無や卵の育ち具合、卵巣年齢を調べます。血液検査でわかる抗ミューラー管ホルモン測定(AMH)では、実年齢とは異なる卵巣年齢が診断できます。卵巣に残された卵子の数や質を推定でき、今後の妊娠・出産のチャンスの可能性を予測する助けとなるとても有益な検査なので、当院で不妊治療を受けられる場合には、原則としてすべての方にこの検査を受けていただいています。
子宮卵管造影検査は、膣から造影材を入れて行う、子宮の形や卵管の通り具合を調べる検査です。
女性の頚管粘液と男性の精子の相性を調べる検査がヒューナーテストで、「性交後試験」とも呼ばれています。排卵日付近に性交を行い、12時間以内に来院して子宮頚部の精子の数と運動性を観察します。
まず、最も妊娠しやすい時期に性交を持つようにする「タイミング法」、内服薬や注射で排卵を促す「排卵誘発法」を行い、それでも妊娠しない場合に、「人工授精」「体外受精」を試みます。
人工授精は、排卵のタイミングに合わせて元気な精子を女性の子宮の奥に注入する方法です。
体外受精は、体内から取り出した卵子と精子をシャーレで受精させ、受精卵が順調に成長したのを確認した後に子宮内に戻す方法です。
体外受精で精子と卵子が自然に受精しない場合や、精子の数が極端に少ない場合は、細い針で精子を卵子の中に注入する「顕微授精」を行うことがあります。

不妊治療の費用の一部は助成を受けられることも!
参考までに、当院の費用目安は1回につき人工授精が2万円、体外受精が40万円です。
不妊治療にはいくつか選択肢があるため、まずは経済的、身体的負担が少ない選択肢から始めてみることをおすすめします。
当院では、ご来院された方に、どのような選択肢があるのか、検査や治療の内容、もちろん費用の目安についても詳しくご説明させていただいています。費用面も含め、不妊に悩んでクリニックに来られる方は不安でいっぱいだと思いますので、特に初診では十分なコミュニケーションをとるように心がけています。


治療にかかった費用の一部を国や自治体が助成するこの制度の対象者は、「特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦」「治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦」という条件があります。
助成を受けるには所得制限や回数制限があるほか、自治体によって内容も異なるため、詳しくは自治体に直接問い合わせるかホームページ等でご確認ください。
また、費用だけでなく、人工授精は行うが体外受精や顕微授精は対応していないなど、不妊治療は医療機関によって診療内容が異なりますので、詳細を確認してから受診するクリニックを決めるようにしましょう。
不妊治療は悩み始めたら夫婦揃って受診しよう
編集部まとめ
不妊治療は気軽にクリニックの門を叩けないイメージがありますが、先延ばしにすると、加齢によってますます妊娠が難しくなる可能性があります。
「少しでも心配なことがあれば、早めにパートナーと一緒に産婦人科を受診してほしい」と柏崎先生がおっしゃっていた言葉が印象に残りました。費用についても、保険外治療では医療機関によって設定が異なり、また、治療費の助成制度の規定も自治体によって異なることから、事前にしっかりと調べて不妊治療に臨むことが大切です。
医院情報

| 所在地 | 〒330-0855 埼玉県さいたま市大宮区上小町604-4 |
| アクセス | JR大宮駅西口バスターミナルから西武バス乗車 約5分、「上小町」バス停下車 徒歩1分 JR大宮駅西口から徒歩の場合、約15分 |
| 診療内容 | 不妊治療 産科 婦人科 |



