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【頭痛専門医に聞く】頭痛は軽視せずに早めに一度受診したほうがいい理由【阪南市 まつかわ脳神経外科クリニック】

 更新日:2023/03/27
まつかわ脳神経外科クリニック
まつかわ脳神経外科クリニック

「今日はちょっと頭が痛いな」など、日常的な症状として多くの人が体験している頭痛。実は命に関わる大きな病気が潜んでいるかもしれないことをご存じだろうか。市販の頭痛薬などの対処で大丈夫なのか、病院を受診したほうがいいのか、自分で判断するのは難しいもの。そこで今回は、日本脳神経外科学会専門医、日本頭痛学会 頭痛専門医でもある「まつかわ脳神経外科クリニック」の松川雅則先生に、頭痛の種類や治療法、予防法などについて伺った。整体や接骨院で施術を受けてもなかなか頭痛が改善せずに不安だという方も、ぜひ参考にしていただきたい。

Doctor’s Profile松川 雅則
まつかわ脳神経外科クリニック 院長

大阪医科大学医学部卒業。同大学附属病院での脳神経外科助手を経て、複数の脳神経外科・脳脊髄外科にてセンター副部長や部長などを歴任。2018年7月、非常勤として携わっていた中筋医院を継承、同年11月に「まつかわ脳神経外科クリニック」の院長に就任。
【資格】
・日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
・日本脳卒中学会専門医
・日本頭痛学会 頭痛専門医

頭痛の診断は脳神経外科で行うのが重要!その理由は?

頭痛はよくある症状のため、症状が出たときに市販薬などを飲んでやり過ごしている人が多いようです。専門医を受診したほうがいい理由を教えてください。

命に関わる危険な頭痛があるためです。頭痛は大きく分けて、一次性頭痛二次性頭痛の2種類があり、一次性頭痛はよく知られている「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」などがあります。
要注意なのは、脳卒中、髄膜炎、脳腫瘍などに伴う二次性頭痛です。薬物乱用による頭痛も二次性頭痛ですね。専門医を受診し、適切な治療をしないと命に関わります。
頭痛の診断は脳神経外科で行うのが重要!その理由は?

二次性頭痛を自分で見分ける方法はありますか? 特徴的な症状を教えてください。

まず、突然の激しい頭痛、痛みが増していく頭痛は注意が必要です。また、しびれや発熱、吐き気など、頭痛のほかに体の異常を伴う頭痛も危険です。とにかく「これまでに経験したことのない頭痛」であれば、すぐに脳神経外科を受診すべきです。
どのような頭痛であっても、一度は脳神経外科で診察を受けるべきでしょうか?

頭痛の診断で最も重要なのは、二次性頭痛の中でも致命的な頭痛を除外する「頭痛の除外診断」です。
脳神経外科の受診には、「頭痛が危険なものかどうかを診断できること」と、「ご自身の頭痛に合った治療を提案できること」というメリットがあります。また、病名と治療法が判明することにより、患者さんの不安を解消することができるのも大きいですね。
頭痛の診断について少し詳しくお伺いしたいのですが、貴院の診断の流れを教えてください。

「問診」「検査」「結果説明」「治療の提案」となります。通常、頭痛の診断はこれらのフローで行われますが、当院ではこれらをすべて受診当日中に行うのが特徴です。
検査機器で精密な検査を行う前に、問診を丁寧に行います。しっかりとした事前問診で頭痛の原因に目星をつけてから検査を行います。
検査は、短時間で精細な画像を得られる高性能な1.5テスラのMRIで行います。非常に精密に病変部を描き出すため、疾患の原因を究明することが可能です。
また、大きな病院では難しいことですが、患者さんが不安なまま数日を過ごすことがないように、当院では検査当日に結果説明を行っています。
これらの3つのステップを踏まえ、最後に、患者さんに最も適した治療の提案を行います。お薬の処方や生活習慣改善のアドバイスのほか、必要に応じて、手術などによる治療をご提案します。手術となった場合は、最適な医療機関をご紹介いたします。
MRIによる検査は、患者さんからの希望や、問診や診察で危険性が高いと判断した場合にのみ行うのでしょうか?

当院へお越しいただく患者さんには、丁寧な問診と精密な検査により正確な診断を行い、適切な治療・アドバイスを提供したいと考えています。わずかな病変でも見逃さないために、基本的には、問診の後にMRIでしっかりと検査を行っています。

頭痛の診断は脳神経外科で行うのが重要!その理由は?
危険な頭痛もあるため、頭痛は早期診断が重要になるかと思います。松川先生のように「脳神経外科専門医」を取得している医師のほうが、そうでない医師よりも診断までのスピードは早いのでしょうか?

診断までのスピードが特に早いわけではありません。しかし、脳神経外科専門医は総合的かつ専門的知識と診療技術を持ち、必要に応じてほかの専門医への転送判断も的確に行える能力を備えた医師であるとお考えいただければよいかと思います。

一次性頭痛・二次性頭痛それぞれの治療法と注意点

一次性頭痛と診断が付いてクリニックから処方される薬と、市販の頭痛薬では、どのような違いがあるのでしょうか?

クリニックで処方する薬は、医療用医薬品です。病気に有効、つまりよく効くように、使われる有効成分の種類も多く、効き目を強くしてあります。そのため作用や使用方法などの点で医師や薬剤師などの専門家による管理が必要であり、診察した時点で患者さんの病状に合わせて種類や使用する量が決められています。
一方市販薬は一般用医薬品であり、安全性を第一に考えられています。薬局やドラッグストアなどで誰もが気軽に購入でき、どんな人が使用するかわからないため、誰にでも使いやすいように工夫された薬といえます。
一次性頭痛・二次性頭痛それぞれの治療法と注意点

一次性頭痛それぞれの治療法について教えていただけますか。

片頭痛の場合は、頭痛が起きたときに服用する急性期治療薬が中心となります。吐き気がある場合には制吐剤を併用します。
緊張型頭痛は、ときどき起こるのであれば、特に治療を必要としません。頭痛が起こったときは、適度に体を動かして筋肉をほぐしたり、マッサージや入浴などで血行を促したりすることをおすすめしています。また、頭や首を支えている筋肉をストレッチする頭痛体操も効果的です。
緊張型頭痛が頻繁に起こり、日常生活に支障を及ぼす場合は、鎮痛薬などで治療したほうがよい場合もあります。また慢性緊張型頭痛の場合は、不安を取り除き、心を落ち着かせる効果のある薬を用います。首や肩の筋肉が著しくこっている場合は、筋弛緩薬なども用いることがあります。
群発頭痛の治療方法は、薬物療法と酸素吸入法になります。群発頭痛については、注射キットを携帯し、発作時に自己注射することも健康保険で認められています。
クリニックで処方される頭痛薬にはどのような副作用があるのでしょうか。松川先生が頭痛薬を処方する際に注意している点と併せて教えていただけますか。

医療用の頭痛薬の副作用としては、呼吸困難・浮腫・嘔吐・腹痛・便秘・湿疹・めまいなどがありますが、症状やその程度は個人差が大きいです。
頭痛薬を服用することに抵抗がある方もいらっしゃるので、薬を処方する際には、薬の作用や、服用のタイミングと注意点、また副作用についても丁寧に説明しています。薬だけでなく、頭痛を予防するには日常生活の過ごし方も大切なので、患者さんのライフスタイルを伺った上で、気をつけて欲しい事柄をお伝えしています。

一次性頭痛・二次性頭痛それぞれの治療法と注意点
続いて、二次性頭痛に関する質問です。万が一、精密検査で脳卒中が疑われた場合は、患者さんはその後、どのような検査・治療を受けることになるのでしょうか。

一般的には、脳卒中イコール手術というイメージがあるかもしれませんが、手術をせずに済む場合も多くあります。
脳卒中を引き起こす動脈硬化の原因となるのは、高血圧や糖尿病、脂質異常症です。これらを薬物治療や生活指導でコントロールしたり、血液の中で血栓ができにくくして脳梗塞を予防するための抗血小板薬を内服したりすることで、ある程度、進行や発生を予防することは可能です。
内科的治療だけではコントロールが難しい場合や、くも膜下出血や脳梗塞になってしまっているときには、手術が必要になる場合もあります。手術後はリハビリが必要になるケースもあります。

頭痛は予防できる?医師おすすめの「頭痛ダイアリー」

まつかわ脳神経外科クリニック様では、頭痛予防のために「頭痛ダイアリー」をおすすめしているとのことですが、それはどんなものですか?

「頭痛ダイアリー」は、頭痛が起きた日時や痛みの種類・程度・期間などを記録できるダイアリーです。頭痛時に吐き気があったか、光や音、匂いなどが気になったか、睡眠の状態や天気、服用した薬の名称や効き目などを患者さんご自身に記録していただくことで、どんなときにどのような頭痛に悩まされるかが徐々にわかってきます。頭痛になりやすい環境・要因がわかれば、ご自分で予防することが可能になります。
また、「頭痛ダイアリー」を通じて、治療を行う医師に患者さんの頭痛や生活習慣の情報がきちんと伝わるため、的確な治療や予防のアドバイスにつながります。
頭痛は予防できる?医師おすすめの「頭痛ダイアリー」

片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛など慢性的な一次性頭痛には、予防薬があると聞いています。貴院でも頭痛の予防薬を処方することはありますか?

はい。片頭痛の場合は、片頭痛発作が月に2回以上ある方については予防療法(内服薬)を検討します。また、頭痛が起きたときの急性期治療だけでは日常生活に支障が残る場合や、急性期治療薬が使用できない方の場合も予防療法(内服薬)を行います。
緊張型頭痛については、月に10日以上ある反復性緊張型頭痛や、慢性緊張型頭痛では抗うつ薬を主体とした予防薬を使用することがあります。
群発頭痛を予防する薬剤としては、神経細胞膜の安定化作用がある薬や、大脳皮質の過敏性を抑える効果のある薬などを患者さんの症状に合わせて適宜処方します。
2021年4月から新たに片頭痛に対して注射の予防薬(ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤)が加わりました。
片頭痛を引き起こす原因物質の一つカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の働きを抑える「CGRP阻害薬」で、これまでにエムガルティⓇ、アジョビⓇ、アイモビーグⓇの3種類が発売されています。どの注射薬も「片頭痛日数が減ったり、急性期治療薬を使う日数が減ったり」、非常に効果があります。どの注射薬を使うかは、患者さんのライフスタイルや症状に合わせてご提案させていただきます。

頭痛は予防できる?医師おすすめの「頭痛ダイアリー」
日常生活でできる一次性頭痛の予防法があれば教えてください。

片頭痛は、食べ物のほか、睡眠過多や睡眠不足、空腹、光や音の強い刺激などさまざまなものが誘引となります。女性の場合は、女性ホルモンも影響します。過労やストレスが溜まった時、ストレスから解放された時にも起こりやすくなるため、適度な休息をとり、日頃からストレスをため込まないことが大切です。
緊張型頭痛は、その原因が精神的または身体的ストレスであることが多いため、ウォーキングやストレッチといった軽い運動を習慣化する、1日の終わりには入浴やマッサージを行うなど、ゆったりのんびりした時間を持つことが何よりの予防法で、治療法でもあります。
群発頭痛は、禁酒が第一の予防法です。群発期間が終われば飲酒しても頭痛が起こることはありません。お酒は、群発期間を避けて楽しむようにしましょう。

編集部まとめ

頭痛は専門医を受診して命を守ろう
松川先生にお話を伺い、命に関わる危険な頭痛があることと、よくある頭痛でも頭痛の種類によって対処法が異なることを知りました。頭痛に悩んでいる方は多いかと思いますが、重大な病気が潜んでいる可能性があるため、市販薬やマッサージなどで自己解決しようとせず、早めに一度、脳神経外科を受診することをおすすめします。

医院情報

まつかわ脳神経外科クリニック

まつかわ脳神経外科クリニック
所在地 〒599-0201
大阪府阪南市尾崎町2丁目5-24
アクセス 南海本線 尾崎駅 徒歩3分
診療内容 脳神経外科 内科 リハビリテーション科

この記事の監修医師