｢男性不妊症｣の治療(不妊治療)の流れを医師が解説 病院は何科? 検査や治療･手術は何をする?

永尾先生

例えば、「妊活しているのになかなか妊娠しない」「パートナーが不妊治療をしているのに結果が出ない」といった場合、男性不妊症の可能性が考えられます。まずは、インターネットなどで公開されているセルフチェックを利用してみて、男性不妊症の可能性が高いと感じられたのであれば、早めの受診をお勧めします。

永尾先生

最初はどこに行ったら良いのか迷う人もいると思いますが、きちんと調べてもらうのであれば、生殖医療を専門としている泌尿器科を受診するのがお勧めです。

永尾先生

不妊症の診断に必要な検査は3つあります。まずは、男性不妊の診断に最も重要な「精液検査」で、精子の状態を調べます。そのほかには、「エコー検査」で生殖器の状態を調べたり、「血液検査」で血中の男性ホルモンの値を調べたりします。

永尾先生

医師の診察で、外陰部の状態や精巣サイズの確認させていただいたり、場合によっては尿検査なども行ったりします。

永尾先生

男性不妊症か否かだけでなく、例えば精子そのものに原因があるのか、精巣の欠陥なのか、ホルモンの問題なのかなど、どこに病気や問題があって妊娠しにくいのかを知ることができます。そこから、その後の治療方針を立てていくのです。

永尾先生

男性不妊症の原因として医学的根拠の高い病気は、「精索静脈瘤」「精路閉塞」「下垂体ホルモン低下」の3つです。そのほかには、「性機能障害」なども男性不妊症の原因として多くみられますね。

永尾先生

「精索静脈瘤」と「精路閉塞」は、手術治療の適応となります。「下垂体ホルモン低下」にはホルモン注射、「性機能障害」には内服薬で治療を行っていきます。

永尾先生

そうですね。特に「精索静脈瘤」は、治療できる男性不妊症の原因として最も割合が多いのですが、有効な薬物治療がなく、手術が選択されます。「手術」といっても、痛みはほとんどなく、日帰りの手術を選択することも可能です。例えば当院での「顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術・ナガオメソッド」という手術は1時間ほどの手術でありながら、精液所見の改善率も87％と、高い効果が期待できます。

永尾先生

先ほどの「精液検査」にて、例えば精液中に精子が居るかどうか、精子の運動率や正常形態率などが分かります。これらを「精液所見」と言います。精液検査は、採取場所・禁欲期間・採取からの時間、更に体調によって変化するので、検査の際には、医師の説明・指示を十分に聞いた上で行ってください。

永尾先生

精子がオタマジャクシのように動いていることはご存知かと思いますが、すべての精子のうち、何％の精子が元気に動いているかが「運動率」です。2021年のWHOによる基準値では、42％以上が正常な運動率とされています。

永尾先生

当院の場合は、診察・エコーで1万1000円です。仮に「精索静脈瘤」と診断されたとして、先ほどの「顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術・ナガオメソッド」で手術を行った場合、手術費用は46万2000円となります。それぞれの医療機関で値段は異なると思いますので、ホームページなどで確認してから受診されると良いでしょう。

永尾先生