ずっと健康なお口で過ごすためのセラミック素材【横浜市中区 あらかわ歯科医院】
更新日:2023/05/18
昔の治療で未だ銀歯を入れている人は多い。しかし、銀歯には菌の付着によるむし歯の再発、溶け出した金属イオンによる全身への影響など、さまざまな問題が潜んでいる。そこで改めて検討したいのがセラミック素材だ。銀に代わるセラミック素材にはどのようなメリットがあるのだろうか。セラミック治療と同時に噛み合わせも重要という「あらかわ歯科医院」の荒川院長に伺った。
Doctor’s Profile
荒川 太郎
あらかわ歯科医院 院長
荒川 太郎
あらかわ歯科医院 院長
昭和大学歯学部卒業。神奈川歯科大学にて1年間、研修を積む。その後、神奈川県内の歯科医院2箇所での勤務を経て、2016年、横浜市中区に「あらかわ歯科医院」を開業。
歯科の保険治療で使われる「銀」にはいくつかの問題点が…
むし歯治療で詰め物やかぶせ物をする場合、保険治療だと「銀」になりますが、これには問題もあると聞きますが。
過去の補綴(ほてつ)治療(むし歯などに詰め物・かぶせ物をする治療)で「詰めた銀が取れた」と言って来院される方は少なくありません。ただ、それが取れたからといって、詰めた銀そのもの由来の問題があるわけではなく、歯に再び何かトラブルが起きたので取れてしまったと考えるのが妥当です。たとえば、詰め物と歯の間に隙間ができて、再び細菌類に冒されてむし歯になってしまったとか、接着剤に問題があって取れてしまったケースなどが考えられます。
それは経年変化のようなものですか?
もちろん、年月を経ることで、取れてしまうリスクは否定できません。ただ、治療後、意外と早く取れてしまう場合もあって、時間だけが理由ではないようです。やはり治療後のケアや唾液の状態など、人によってさまざまですね。
歯の詰め物による金属アレルギーが知られるようになってきましたが、どんな疾患でしょうか?
金属は水分のあるところで金属イオンになって溶け出し、それが体内に蓄積されていってアレルギー症状が出てきます。花粉症のようにある日突然、発症することもあります。治療後、年数が経つほど、発症する可能性も高くなるため、今では歯科治療由来の金属アレルギーの患者さんが増加しているといわれています。
銀などの詰め物による金属アレルギー症状としては、お口の中はもちろん、手や足、背中などに湿疹が出るほか、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の原因だという報告もあります。
銀などの詰め物による金属アレルギー症状としては、お口の中はもちろん、手や足、背中などに湿疹が出るほか、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の原因だという報告もあります。
どんな対策を施したらいいのでしょうか?
治療した歯にアレルギー症状の原因となる金属がある場合には、もちろんそれを取り除くことが最善策です。特に以前よく使われていた金属化合物のアマルガムのほか、金銀パラジウムといった金属はアレルギー源になる危険性が高いので、発症していなくても、金属の詰め物やかぶせ物がある方は、一度チェックした方がいいかもしれません。
金属アレルギーが気になる方は、今後は治療でお口の中に金属を入れないことを目指し、そのためにもできるだけお口の清潔を保つようなケアに励むことが大事です。それでも補綴治療をするとしたら、金属を使わない選択肢があります。
金属アレルギーが気になる方は、今後は治療でお口の中に金属を入れないことを目指し、そのためにもできるだけお口の清潔を保つようなケアに励むことが大事です。それでも補綴治療をするとしたら、金属を使わない選択肢があります。
メリットの多い素材・セラミックなどを使えば、さらに審美効果も
金属を使わない選択肢には何がありますか?
まず、主に保険診療となるレジンがあります。これは、比較的小さなむし歯を削った部分などに歯科用プラスチックを詰める方法で、奥歯に詰めた金属の代わりに使用する場合もあります。金属ではないのでアレルギーや歯茎の変色の心配はなく、しかも歯を削る部分が少なくて、色も自然の歯に近い白色です。治療も1~2回で済むことから、患者さんにとってはメリットの大きい治療といえるでしょう。
ただし、この素材の扱いには、噛み合わせの問題など歯科医に技術力が要求されます。その点、私はレジンの削りなどが得意分野なので、安心しておまかせいただけます。
ただし、この素材の扱いには、噛み合わせの問題など歯科医に技術力が要求されます。その点、私はレジンの削りなどが得意分野なので、安心しておまかせいただけます。
保険適用というのはうれしいですね。では、そのレジンにデメリットはありますか?
残念ながらあるんです。素材本来の性質から、これも経年変化で見た目の色が悪くなります。その変色に加え、早ければ2~3年ですり減りや欠けることが起きる可能性も否定できません。そこで、数年後にはまたやり直すことも視野に入れた治療となってしまいます。
では、レジン以外の素材についてはどうでしょう?
セラミック以外にも何か種類はありますか?
素材の選択や治療のポイントは何でしょうか?
患者さんの治療箇所の状態と、治療を受ける患者さんが何を希望しているかによると思います。たとえば、「費用は高くてもいいから長持ちするものがいい」とか、「できるだけ自然な白さの歯にしてほしい」とか。そういった希望を引き出すために、治療が始まる前に、私はすべての選択肢や治療法、料金などを説明します。そして、患者さんとやりとりしていくうちに、希望に沿ったもので、なおかつお口の状況に適した素材や治療法を絞り込み提案します。そのとき、どんな治療や素材を選ぶとしても、ポイントとして共通しているのは噛み合わせです。
長期的な視野に立つと、セラミック治療でも結局噛み合わせが重要
噛み合わせが共通ポイントとは、どういうことでしょうか。
その噛み合わせの調整はどのように行っていますか。
それでは改めて、セラミックの歯を入れる治療の流れを教えてください。
先生が治療で心がけていることやポリシーとしていることなどをお聞かせください。
保険治療でも自費治療でも、治療したら終わりではなくて、そこがスタートだと考えています。ひとつの治療が終わっても、そもそも治療するような事態に至った理由を振り返って、そこからのメンテナンス、すなわち日々のケアに励むことが大事だと患者さんにご理解いただくようにしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
治療の点では、短期的には銀歯でもセラミックでも大差はありませんが、長期的には不具合の発生や噛み合わせの安定などの点で必ず差が出てきます。ですから、セラミックの料金が高いのは、将来への投資だと考えてみてはいかがでしょう。自分の歯を失うことなく、治療していてもその歯をどれだけ長持ちさせたいかという点からも、素材の選択は重要です。
一般的に、一度治療したらもうトラブルは起きないと思っている方が多いようで、私もそうあってほしいと願います。でも、実際はそうではなく、治療したからこそ、その歯にはそれ以降も注意すべき弱点があると認識してほしいのです。そもそも、歯を治療したということは、ケアが行き届かなかった証なのですから。
一般的に、一度治療したらもうトラブルは起きないと思っている方が多いようで、私もそうあってほしいと願います。でも、実際はそうではなく、治療したからこそ、その歯にはそれ以降も注意すべき弱点があると認識してほしいのです。そもそも、歯を治療したということは、ケアが行き届かなかった証なのですから。
編集部まとめ
補綴や審美治療で、費用はかかるけれども、「長持ちして見た目も美しいならセラミックを」という選択肢がベターであることがわかりました。実際、そういう決断を下す患者さんが増えていると聞くと、歯への興味を持つこと、自分で大切にしていくことの重要さが一般的にも浸透しつつあることを実感します。メンテナンス以外の治療で、今後、何度も歯科医院に通うことのないようにするためにも、素材選びや噛み合わせの問題など、自分の口の中の問題を歯科医師まかせにせず、しっかり相談することが肝心だと理解しました。
医院情報
あらかわ歯科医院
所在地 | 〒231-0868 神奈川県横浜市中区石川町1-14 嘉山ビル2F |
アクセス | JR根岸線 石川町駅 徒歩2分 |
診療内容 | 歯科一般 矯正歯科 審美治療 インプラント 予防 他 |