痛くない、苦しくない内視鏡検査で下げることのできる私たちのがんリスク【医療法人河島医院】

医療法人河島医院
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高齢化が進む日本の社会では、病院で発見される胃がんの数は増加の一途といわれる。がんばかりでなく、年齢とともに潰瘍やポリープなど成人の消化器にはさまざまな病変が現われてくる可能性が高まっていくが、それを早期に発見するには、やはり内視鏡などを使って定期的に検査を行うのが一番。とはいえ、内視鏡を体の中に入れるのは「何となく怖い」という人も多くいる。そこで実際の検査はどのように行われるのか、苦痛などはあるのかどうか、内視鏡検査のエキスパートである「医療法人河島医院」の河島先生に話を伺った。

Doctor’s Profile
河島 祥彦
医療法人河島医院 理事長

関西医科大学医学部医学科卒。関西医科大学附属病院、済生会兵庫県病院での勤務を経て、1994年医療法人河島医院の副院長となり、2005年に院長、2006年に理事長に就任。
日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本超音波学会、日本胃癌学会に所属し、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医の資格を持つ。30年以上にわたるキャリアで、5万件以上の内視鏡検査を行ってきたエキスパートである。

ピロリ菌の除菌で変わった日本の胃がん事情

ピロリ菌の除菌で変わった日本の胃がん事情

胃がんというと、かつては「死の病気」というイメージがありましたが、近年はどうでしょうか。

国立がん研究センターの統計によると、確かにわが国では年間13万人以上の方が胃がんを発症し、5万人の方が亡くなられています。これは大腸がん、肺がんに次ぐ3番目の死亡患者数ということです。
胃がんは、喫煙、塩分の摂り過ぎなどの食習慣が原因といわれますが、最も危険なのはピロリ菌の存在です。

ピロリ菌とはどういったものでしょうか。

飲食を通じて感染するのですが、わが国では約3,000万人が感染しているといわれ、まだ衛生状態のよくなった時代に幼少期をすごした50代以上の方に多く見られます。急性胃炎や胃十二指腸潰瘍を引き起こすだけでなく、胃がん患者のほぼ全員が、ピロリ菌に感染した胃から発症したという報告もあります。

ということは、ピロリ菌の除菌が胃がんになるかどうかの鍵を握っているんですね。

胃がんは、内視鏡検査による早期発見で死亡率が下がってきている印象はありますが、何よりピロリ菌が広く除菌されるようになり、ガンと診断されるケースそのものが少なくなってきました。それくらいピロリ菌の除菌は画期的だったんですね。

昔と今で、患者の胃に対する印象にも変化はありますか

一昔前は、内視鏡検査をすれば、半分以上の方に潰瘍などの所見があったものです。しかし最近は、いわゆる「慢性胃炎」と呼ばれる状態の人が減ってきました。ピロリ菌を除菌した人の胃は粘膜がきれいです。
ただし、除菌したら必ず「胃がんについては安心」というわけではありませんので、定期的な検査は継続されたほうがいいと思います。

ピロリ菌の除菌で変わった日本の胃がん事情

バリウム検査と内視鏡検査の違い

バリウム検査と内視鏡検査の違い

胃の検診というとバリウム検査が一般的です。内視鏡検査と比べてどのような点が異なるでしょうか。

バリウム検査は、胃の粘膜に造影剤をはりつけて影を撮影するわけですから、粘膜の色調の変化はまったくわかりません。また、微細な凹凸を観察する上でも内視鏡のほうが圧倒的にわかりやすい。ただ、どこに病変があるのか、写真ですぐにわかるのはバリウム検査ですね。

逆に内視鏡検査が苦手な点はありますか。

内視鏡は、「病変が存在している」ことを見つけるのは得意なんですが、「病変の詳細な位置を特定する」のは苦手なところがあります。ですから内視鏡検査をして胃がんを見つけたら、いわば精密検査としてバリウム検査をするというように、両者のよいところを補い合うとよいと思います。

胃の内視鏡検査はスコープを口から入れるため、多くの人はためらってしまうと思います。嘔吐反射などはどのように対処するのでしょうか。

近年は内視鏡カメラの機能が向上して、口からではなく、鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡で十分というところまできました。経鼻内視鏡だと咽頭部にほぼ触れませんから、嘔吐反射は起きにくいですよ。医師の技量によりますが、病変の有無の確認だけなら5分程度で終わります。

それでは、経口内視鏡でないといけないのはどのようなときでしょうか。

どうしても鼻から入らないときですね。また、より精度の高い所見を取りたいとき、あるいは大きめの組織検査がしたいときは、太い経口内視鏡を使います。
当院の経鼻内視鏡の直径が2.2mmで経口が2.8mm。たった0.6mmですが、かなり印象が違います。またポリープを取るなどの処置となると、経鼻内視鏡ではできません。

バリウム検査と内視鏡検査の違い

定期的に検診を受けておく重要性

最近は検査時に鎮静剤を使って眠らせる方法をよく聞きます。

当院は、患者さんの常用薬との競合など問題が多いため、鎮静法を使いません。大腸内視鏡でも3割程度。挿入時の痛みを消すゼリー状の麻酔薬は使いますが、検査時の意識はそのままです。これは経験の差ですが、手早く上手に挿入しますので、患者さんが苦しまれるようなことはほとんどないですね。

定期的に検診を受けておく重要性

経験の差がモノをいう職人的な世界でもあるんですね。

たとえばケーブルが胃の中で巻いてしまって、今カメラがどこへ向いているのかわからなくなる、ということも案外あるんです。ケーブルが通りにくいときは胃にガスを入れて膨らませるのですが、やりすぎて出口で詰まって通らないということも起こり得ます。経験が浅いと、そういう事態もままあるでしょうね。

改めて、先生のところでの検査の流れを教えてください。

検査前日は午後9時までに夕食を済ませてもらって、あとは翌日の検査まで何も食べないようにしていただきます。水やお茶は飲んでいただいて構いません。
当日は胃の中の気泡を取る薬を飲んでもらい、その後麻酔薬を入れて、また胃の動きを抑える注射をしてから検査をします。

検査時に特に留意されているようなことはありますか。

声がけをして緊張をほぐし、リラックスしていただくことですね。当院では私だけでなく、内視鏡検査技師の資格を持つ看護士が常に状態を把握しながらサポートしますので、より安心かなと思います。

内視鏡検査を実施したほうがいいと思われる自覚症状にはどんなものがありますか。

人それぞれですけれど、「痛み」「もたれ」「食欲不振」といった不調時は大抵の方は胃薬を飲んで様子を見ると思いますが、内視鏡検査を検討してみてください。40代、50代を過ぎてくると、がんのリスクも上がってきます。

定期的に検診を受けておく重要性

自覚症状がない人は、どのくらいの頻度で検査をするのが理想的でしょうか。

ピロリ菌の除菌で胃の環境は劇的によくなりましたが、その代わり、近年はストレス性の症状、いわゆる神経性胃炎が増えている印象があります。胃がきれいになりすぎて胃酸の分泌が落ちず、逆流性食道炎になるケースもあります。
症状のない病変も多々ありますし、2~3年に1回くらい定期的に検査をされるとよいと思います。バリウム検査は被爆の問題がありますが、内視鏡検査にはそういう懸念もありません。

先生のところでは大腸内視鏡検査も行っていらっしゃいますが、こちらはいかがでしょうか。

「50歳になったら検査を受けましょう」というのが学会の見解ですね。内視鏡検査までいかなくとも、便潜血検査なら簡単でおおざっぱではありますが、病変を見つけるには有効です。定期的に受けていただけるとよいと思います。

胃にしろ大腸にしろ、ポリープなどが見つかった場合どうするのでしょうか。その場で切除するのですか。

経鼻内視鏡だと胃でポリープを見つけても、「はい切除」とはいきません。また、胃と大腸では粘膜での血流量がまったく違い、出血リスクは胃の方がはるかに高いんです。ですから、大腸ならその場で切除することもありますが、胃だと「日を改めて」という話になりますね。

先生は日本消化器内視鏡学会で、専門医より上位にある指導医資格をお持ちです。このことは患者さんにとってどういう意味を持つでしょうか。

資格は知識、技術、経験によって認められるものですが、患者さんにとって大きいのは検査のスピードでしょうね。胃の形は千差万別ですし、挿入技術も試されます。また経験が浅いうちは、ひとつ病変を見つけたらそこにばかり注目してしまうといったこともあります。しかし、病変はひとつとは限りません。

定期的に検診を受けておく重要性

最後に、読者の方に対してメッセージをお願いします。

人から「内視鏡検査はしんどいよ」と聞くかもしれませんし、鎮静剤などの使用が怖いという方もおられると思います。しかし、鎮静剤を使わなくても痛くもないし、苦しくもない検査は可能です。安心してご相談をいただければと思います。

編集部まとめ

私たちを含め、一般の方はどうしても最新鋭の機器や技術といった点に目が行きがちです。しかし、人によって経緯や状況がまったく異なる医療の世界では、医師の経験もまた、非常に大きな意味を持っていると感じることの多いお話でした。胃や食道、大腸などの消化器疾患は、誰にでもいつ起きるかわからないからこそ、定期的な検査を受けやすい医院を見つけたいものですね。

医院情報

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