歯を失ったときに対処法として考えられるのは、「ブリッジ」「
入れ歯」、そして「
インプラント」だろう。治療期間や費用を考えると、なかなか「
インプラント」という選択肢は出て来ないかもしれない。それでもなぜ「
インプラント」がいいのか、そして
「インプラント」のメリットを最大限に発揮させるためには何が必要なのか。「和田デンタルクリニック亀戸」の和田院長と今先生にお話をうかがった。
Doctor’s Profile
和田 慎一郎
和田デンタルクリニック亀戸 院長
東京医科歯科大学卒業。医療法人の歯科医院に勤務の後、都内の自費専門・会員制歯科医
院にて院長を務める。2016年、和田デンタルクリニック亀戸を開院。会員制治療も行い、
より専門的なレベルの高い治療を提供している。日本臨床歯科医学会、審美歯科学会、日
本口腔インプラント学会、MID-Gなど、参加学会多数。
東京医科歯科大学歯学部歯学科卒業。卒業後、東京医科歯科大学大学院に勤務。大学病院に勤務しつつ、週に一度、和田デンタルクリニック亀戸にてインプラント治療を担当している。日本口腔インプラント学会専門医。
何となく選択しているブリッジや入れ歯に潜むデメリットとは?
歯を失ったときは、選択肢としてブリッジや入れ歯、インプラントがあると思いますが、デメリットはどんなことが挙げられますか。
《今先生》ブリッジのときは、前後の歯を削って真ん中に新しい歯を作るんですね。ですから、すでに前後の歯が削られていればメリットは大きいとは言えるんですが、前後の歯が健康であれば、それをわざわざ削ることになってしまいます。
削ってしまった歯は虫歯になりやすかったり、神経に近いところまで削るため知覚過敏の症状が出たりもします。なるべく健康な歯は削らないほうがいいので、そういう場合、ブリッジはなるべく避けたいところですね。
では、入れ歯に関してはどうでしょうか?
《今先生》
入れ歯は、歯がない部分の前後の歯に針金をかけないといけないんです。すると、
針金をかけた部分に虫歯ができることもありますし、毎日出し入れすることで歯が痛むこともあるので、それは
入れ歯の大きなデメリットですね。総
入れ歯だと、下顎の
入れ歯は構造的に噛むと動いたりもしますし、硬いものが楽しめなかったりもします。
となると、やはりインプラントはとても優れた選択肢だと思いますが、実際にはなかなかハードルが高いようにも感じます。
《今先生》確かに、ハードルは高いかもしれないですね。外科的な手術も必要ですし、治療の期間も長くなります。治療の費用に関しても、1本40万円ぐらいなので、
入れ歯やブリッジと比較すれば高額と思われるかもしれませんね。
《和田院長》ただ、考えてみていただきたいのは、自分の天然の歯の価値なんですね。天然の歯は1本50万円ぐらいの価値があると考えられると思います。すると口の中には、生まれながらにしても1,400万円ぐらい価値のあるものがあるということなんです。
自然の歯というのはすごい価値があるんですね。
《和田院長》そう考えただけでも、
インプラントは決して高いとは言えなくなりませんか。さらに、
インプラントをするとメンテナンスが重要になってくるので、同時に天然の歯も一緒にメンテナンスできるということにもつなかってくるんです。
《今先生》つまり、インプラントのメリットは、インプラント以外の歯以外にも及ぶということですね。さらにインプラントをすると、歯周病でぐらついている歯があっても、噛み合わせの力を負担してあげられるので、多少問題のある歯も積極的に保存していくことができるんです。
その上、インプラントにした歯はしっかり噛めるんですよね。
《今先生》そうです。
インプラントにした歯は、チタン製のネジが顎にくっついている状態なので、
天然の歯と同じぐらい強く噛んでも問題はありません。
インプラントの治療は、具体的にどういった流れで行われるんですか。
《今先生》前提として、
歯周病の管理や虫歯の治療がきちんとできていることが必要です。その後、歯を抜いて
インプラントを入れる場合は、抜歯してから、歯茎や顎の骨が治るまで3、4ヶ月待たないといけません。それから、CT写真を撮ったり、顎の骨の治癒状況を確認したりといった術前の検査をして、手術に入ります。手術後は、月に1回ぐらい治癒の状態を確認して経過観察を経てから、歯を作っていく段取りになるので、だいたい8ヶ月ぐらいで歯が入ってきますね。
手術となると、やはり安全性は気になるところです。
《今先生》安全に手術するために、
術前の検査が非常に大事になってくるんです。たとえば下の顎の場合、神経が走ってる管に触れないような長さで、なおかつ十分な長さのある
インプラントを入れていくので、検査をして管の位置を把握しておくことが非常に大事になってきます。
上顎の奥には上顎洞という鼻の空洞がある関係で、
インプラントを入れるための顎の高さが足りないこともありますし、そういうときは骨を移植するといった対応が必要です。
きちんと検査を行い、適正に対処すれば、治療そのものは非常に安全に進めていけるものです。
安全に手術するために、術前の検査が大切であると。
《今先生》もちろんです。さらに、歯磨きの習慣も大切ですし、虫歯をちゃんと治すとか歯周病の管理をきちんとするとか、そういうところも必要になってくるんですね。ですから、患者さんと二人三脚で治療を続けていきます。
インプラントにするには、日常の歯磨きが非常に大切だと聞いたことがあります。
《今先生》
インプラントは虫歯にはならないんですけど、いわゆる歯周病と同じような病態の
インプラント周囲炎という病気になったりすることがあります。汚れがずっとついていたりすると、
インプラントの周りの骨が溶けてきて、最終的には
インプラントを抜かなければならないようなことが起きてきくるので、
自分で歯の手入れや管理がちゃんとできるかどうかが大切になってくるんです。
せっかくインプラントにしたのだから、長く使いたいですよね。
《和田院長》このクリニックには、保険外の歯周病治療をメインにしたクリニックに長く勤めていた歯科衛生士がいるので、どういう状態になれば歯科医のチェックが必要なのかといった見極めを的確にできます。
インプラントを打つのも難しいんですが、メンテナンスをしっかりして、噛める状態で残していくのも同じくらい難しいんですよ。
もともと自分の歯がダメになったということは、
インプラントにしても同様で、ダメになってしまう可能性はありますよね。ですから、
クリニック側から積極的にアプローチして、アフターケアの重要性をしっかり伝えていきたいです。
インプラントをした後も、歯科医院には定期的に通う必要があるんですか。
《今先生》その通りです。
定期管理をしていく必要があります。実は糖尿病や喫煙は、
インプラント周囲炎になりやすいという報告もあるので、そういうフォローアップも大切にしています。歯だけを見るのではなく、なるべく健康に長生きしていただきたいと思って治療にあたっています。
治療先を探すときは、インプラント以外の治療のレベルもチェックしたい
インプラントをするとき、たくさんあるクリニックからどんな風に選ぶのがいいんでしょう?
《和田院長》
インプラントをするハードルを下げることはいくらでもできるんです。歯を抜いてしまえばいいんだから。歯医者さんが「抜かなきゃダメです」って言ったら、患者さんは信じるしかないところがどうしてもありますよね。だから、その
ハードルをどこま
で高められるかが、インプラントをするうえでは重要です。
私のクリニックでは、究極的なところまで天然の歯を残せるようにした上で、それでも支障がある場合に
インプラントという選択肢を考えます。
インプラントについては、専門医である今先生にお願いしていますが、それ以外の症状についても専門の歯科医や歯科衛生士が担当するので、そういったなかで
インプラントにすることに意味があると思います。
《今先生》一般的な治療が高度なレベルでまとまっているクリニックだからこそ、インプラント治療でさらによりよくしていくことができると思います。
今先生が、インプラントの施術で注意されているのはどういったことですか。
《今先生》皆さん、手術をするとなるとすごく緊張されて、肩に力が入ったりされているので、なるべく静かに手術をしたり、患者さんにはソフトに声をかけたり、大きな音を出さないようにしたり、そういったことは心がけています。そうすると、手術中に寝てしまわれる方もいらっしゃいますね。
インプラント治療を受けた患者さんからはどんな反応がありますか。
《今先生》
しっかり噛んでご飯が食べられてすごくうれしいとか、前歯の場合は
きれいな歯が入ってよく笑えるとか、そういった感想はよく耳にしますね。まったく歯がない人が
インプラントで歯を作ると、天然の歯がしっかり残っていたときのような食事をまた楽しめるようになるので、若返ったような気持ちになるのかなと思います。
虫歯のように痛みを治療でなくすだけでなく、元気に健やかな生活を送れるようにするのが、
インプラント治療の大きなポイントかと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
《今先生》
インプラントがこれだけ広まっているというのは、やはりそれだけのメリットがあるということだと思うんです。
ほかの歯を削らなくていいとか、しっかり噛めるとか、総入れ歯の状態でもご自分の歯みたいなものを作れますし、メリットは大きいですよね。歯科医としておすすめできる治療法です。これからも、歯がないところだけ見るのではなく、前後の歯はもちろん、患者さんご自身の状態をしっかり見て、歯ではなく患者さんを見て治療にあたっていきたいと思っています。
インプラントは、ブリッジや入れ歯と比較すると、しっかり噛めたり、ほかの残りの歯を守れたり、大きなメリットがあることがわかりました。同時に、それでも生まれ持った天然の歯には劣るわけで、安直にインプラントをすすめてくるのではなく、それ以外の治療のレベルの高い歯科医院を探したいものです。その上でインプラントという選択をすれば、より納得のいく治療が受けられるのではないでしょうか。
医院情報
和田デンタルクリニック亀戸
所在地 |
〒136-0071
東京都江東区亀戸1丁目31−7
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アクセス |
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診療内容 |
歯科一般 小児歯科 矯正歯科 口腔外科 インプラント他 |