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立体的に歯を動かすことで実現した、できるだけ抜かない矯正【クローバー歯科クリニック】

 更新日:2023/03/27
クローバー歯科クリニック
クローバー歯科クリニック

矯正は見た目だけでなく、かみ合わせを整えることで歯や歯肉、顎、顎関節、そして全身の健康にもよい影響を与える。とはいえ、健康寿命と歯の数に深いかかわりがあると思うと、矯正の際の抜歯はできるだけ避けたいのも事実。そんなジレンマを感じてしまう小児矯正や成人矯正に関して、「クローバー歯科クリニック」の鈴木聡院長にお話を伺った。


Doctor’s Profile
鈴木 聡
医療法人社団緑幸会 理事長
クローバー歯科クリニック 院長

広島大学歯学部卒業後、有馬歯科勤務を経て1994年にグリーン歯科クリニックを開院し、院長として診療をスタート。2013年には医療法人社団緑幸会を開設し、理事長就任。予約が取れない状況が続いたため2015年隣地にクローバー歯科クリニック開設。
所属学会は、日本歯科審美学会。

小児も成人も、8~9割は抜かない矯正が可能

矯正治療の目的は見た目を整えるだけではないのですか?

見た目も大切ですが、矯正治療「正しいかみ合わせ」にすることが一番重要な目的です。かみ合わせに異常があるかどうかを調べて、それを治すひとつの手段として矯正治療があります。
小児も成人も、8~9割は抜かない矯正が可能

かみ合わせが正しくないとどんなデメリットがありますか?

うまく噛めないことが最も大きなデメリットです。「そんなこと?」と思われてしまうのですが、うまく噛めないと特定の歯に大きな負担がかかり続けて、虫歯や歯周病のリスクが上がります。また、顎関節や周辺の筋肉にも負担がかかるため、顎関節症慢性的な頭痛、肩こり、手足のしびれといった症状につながることもあります。
噛むことは脳への血流を促進するので、うまく噛めないのはそうした意味でも問題があります。また、アンバランスに噛んでいると顔が歪んできて、歳を重ねるとその歪みが大きくなっていったり、身体全体の歪みにつながって不調を起こすこともありますし、顔の印象や姿勢、プロポーションにも影響してきます。
かみ合わせの確認はどのように行うのですか?

当院ではキャディアックスという顎関節診断装置を使って顎運動をコンピューター上で詳しく調べ、かみ合わせを正常に導くための診断につなげるなど、専門の器具や器械を使ってかみ合わせの状態を専門医が診断しています。
かみ合わせを正常に導くために矯正治療があるのですね。

抜歯して矯正すると隙間ができる、かみ合わせが乱れるなど問題が起こりやすい傾向があります。成人矯正ではほかに、「顎に痛みが出る」「ほうれい線が目立つようになった」などのトラブルもあります。もちろん問題ないケースもあるけれど、こうしたトラブルにつながるケースは少なくありません。歯科医師として「健康な歯を抜くのはもったいない」という思いがあり、できるだけ抜かない矯正治療を行っています。

小児も成人も、8~9割は抜かない矯正が可能
確かに抜歯はできるだけしたくありません。

一般的な矯正治療では第一小臼歯(前から4番目の歯)を抜きます。親知らずを抜くことも多いので、その場合は合計8本も抜くことになります。永久歯は親知らずを含めると32本ですから、8本抜くのは1/4の歯を失うということです。なぜ抜くのかというと、一般的な矯正治療では歯を奥や上下に動かすことが難しいからです。
当院では、歯を3Dで立体的に動かすことで、斜めに倒れている歯でもまっすぐにすることができるため、抜歯で無理にスペースをつくらなくてもきれいに歯を並べられます。実際に当院では、小児矯正も成人矯正も、8~9割の方が抜歯をせずに矯正できています。

費用にも子どもの心身にも負担が少ない小児の床矯正

小児矯正は何歳くらいで行うのがいいのかお教えください。

小学校に入学したあたりで一度、ご相談に来ていただくのが理想ですね。乳歯の歯並びの異常は自然に治ることもよくありますし、放置していても心配のないケースもあります。まずは歪みの有無やかみ合わせに異常がないかをしっかり確かめてもらってください。
小学生は成長期ですから、床矯正で顎の成長をコントロールすることができるため、最小の負担で矯正することができます。永久歯が生え揃った中学生くらいに始める場合は、内容的には成人矯正と同じ治療になります。床矯正は成人矯正に比べて格段に費用が抑えられますし、装置を常時つける必要がないため、心身への負担も少なくなっています。
費用にも子どもの心身にも負担が少ない小児の床矯正

実際の小児矯正はどういった流れで行われますか?

当院では、まず適切に成長するようコントロールする床矯正を行っていますが、この床矯正だけで8~9割が終了です。床矯正後にワイヤーによる矯正を行う場合でも、ほとんどは半年程度で整います。
実際に小児矯正を受けるのには、どんなケースがありますか?

現在は顎が狭い子どもが多い傾向があり、デコボコになる叢生、反対咬合、上の歯が出ているなど歯がきれいに並びきれないケースがよくあります。当院の床矯正は単純に顎を大きくするのではなく、斜めに生えている歯があれば、それをまっすぐに起こしてきれいに並ぶようにしています。これにより顎が広がり過ぎることもありません。
矯正中は手入れがしにくく、虫歯になりやすいと耳にします。

床矯正ご自分で取り外しできるため、普段と同じホームケアが可能です。また、矯正治療中は定期的に通院していただくため、虫歯になるケースはむしろ減る印象があります。
矯正治療中に部活などへの制限はありますか?

床矯正は特に制限はありません。小児矯正後にワイヤーを使った成人矯正が必要になる場合は、格闘技や激しい接触があるスポーツの際にマウスガードなどが必要になります。楽器演奏に関しては、フルートは問題ありませんが、クラリネットやトランペットは多少影響が出てくると思います。

費用にも子どもの心身にも負担が少ない小児の床矯正
小児矯正と抜歯について、お考えをお聞かせください。

平均寿命が80歳を超えているわけですから、10歳代で抜歯してしまうとその後の70年以上、歯が少ない状態で過ごすことになります。歯が少なければ安定性はそれだけ悪くなります。どうしても抜歯が必要なケースはありますが、当院では小児矯正でもほとんどのケースで歯を抜かずに行っています。

メリットが多い、抜かない矯正

矯正治療で歯を動かすというのはどういうことですか?

骨は歯に比べるとやわらかい組織で、吸収や新生を繰り返しています。そのため、歯にわずかな力をかけ続けるとその方向に少しだけ歯が動き、それに合わせて骨が吸収・新生されるため、歯をしっかり支える形を保ちながら動かすことができます。ただし、短期間に大きく動かしてしまうと歯根の炎症や吸収が起きてしまいますから、月に一度のペースでワイヤーを調整することで、無理なく歯を動かすことができます。
メリットが多い、抜かない矯正

どうして8~9割の方が抜歯せずに矯正できるのですか?

一般的な矯正治療では、歯を前後にしか動かせませんが、当院で採用しているゴムメタルワイヤー(GUMMETAL)は、垂直方向や奥への動きも可能です。歯を3Dで思うように動かせるため、最小限の力と治療期間で歯の位置や角度を治すことができます。
このゴムメタルワイヤーは、形状記憶の性質を持っていて、しかも曲げることができるため、こうした治療が可能になるんです。効果的に使うためには、まず多くのテクニックを習得する必要がありますが、斜めに生えている歯を垂直に戻すなどができるため、抜歯しないで矯正できるケースが大幅に増えるというわけですね。
期間が短くて済むのはありがたいですね。

当院での矯正期間は、ほとんどが一般的な矯正治療の半分程度です。当院では通常の成人矯正が半年程度で終わるケースもよくありますし、長くても1年半~2年で治療が完了します。無理に大きく動かしているわけではないため、歯根吸収を起こしたケースはありません。
抜歯しないメリットはほかにもありますか?

健康な自然の歯を残すことは、口腔内だけでなく全身の健康、そして将来の健康寿命にもよい影響を及ぼします。また、噛む力の安定性をそのまま保てますから、整ったかみ合わせが壊れにくくなります。虫歯・歯周病・顎関節症のリスクが下がり、かみ合わせが原因の慢性的な肩こりや頭痛の解消につながります。
見た目の変化も気になります。

矯正治療の抜歯では多くが第一小臼歯を抜きますが、この歯を抜くと口元がしぼみ、ほうれい線が目立ちやすくなったり、口元が老けて見えるようになったりしやすいんです。
歯を抜かないと「口元がもっさりするのでは」と不安に思うかもしれませんが、外に大きく広げることはないので顔貌への悪影響もありません。むしろ、無駄に力を入れなくても快適に噛めるため、過度にエラの筋肉が発達することがなくすっきり見えるようになったと感じる方もいます。
矯正治療はいくつまで受けられますか?

小児矯正は成長期の小学生時代に受けることが重要ですし、若いうちは歯を動かしやすいので早めに受けることをおすすめしますが、成人矯正は「矯正したい」と感じたときがベストタイミングです。
当院では、つい最近も70歳代の方の矯正治療を行いました。矯正治療でかみ合わせを整えることで、その後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)も向上していきます。事情ですぐには無理という場合は、1年後、数年後の治療も行っています。

メリットが多い、抜かない矯正
最後にMedical DOCの読者にメッセージをお願いします。

矯正治療では、かみ合わせの乱れを修正することが最も重要です。そのためには、専用の器機を使って精密に顎やかみ合わせの状態を調べる必要があります。かみ合わせがよくないと、それがさまざまなトラブルのもとになりますので、歯並びの見た目に問題がない場合も、気になるようでしたら検査を受けるようおすすめします。
当院では、できるだけ抜かない矯正治療だけでなく、かみ合わせ、歯ぎしり、虫歯や歯周病、顎関節症など、口内の状態をトータルに診療しています。健康で快適な口内を末永く守る治療を心がけていますので、何でもお気軽にご相談ください。

編集部まとめ

矯正治療はかみ合わせを整えるために不可欠なものであり、そしてかみ合わせは口内だけでなく、全身の健康や見た目にも影響するものだということが理解できました。また、歯を立体的に動かすことで、短期間に、しかもできるだけ抜歯をせずに矯正できるということも改めて知ることができました。鈴木先生のお話をうかがって、これまで抱いていた矯正治療に対するハードルがずいぶん低くなったような気がします。

医院情報

クローバー歯科クリニック

クローバー歯科クリニック
所在地 〒214-0013
神奈川県川崎市多摩区登戸新町408-1
レオドール登戸2F
アクセス JR南武線 登戸駅 多摩川口 徒歩2分
小田急小田原線 登戸駅 徒歩2分
診療内容 歯科一般 矯正歯科 審美治療 インプラント 入れ歯

この記事の監修歯科医師