脂肪肝とNASHはどう見分ける?診断に必要な血液・画像検査と肝生検【医師解説】

脂肪肝やNASHを早期に発見し、適切に対処するためには、定期的な検査が欠かせません。血液検査や画像検査など、複数の検査方法を組み合わせることで、肝臓の状態を正確に評価できます。検査結果を理解することで、自分の肝臓の健康状態を把握し、必要な治療や生活習慣の改善に取り組む動機づけにもなります。ここでは、脂肪肝の診断に用いられる各種検査方法について、その意義や特徴を詳しくご説明します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
脂肪肝の診断と検査方法
脂肪肝やNASHの診断には、複数の検査方法が用いられます。早期発見と適切な診断が、進行を防ぐために重要です。
血液検査と画像検査
脂肪肝の診断において、まず血液検査が行われます。肝酵素(ALT、AST、γ-GTP)の上昇は、肝細胞のダメージを示唆しますが、正常値でも脂肪肝やNASH(MASH)が存在することもあるため、注意が必要です。血小板数の低下やAST/ALT比の上昇は、線維化進行の指標隣、近年のガイドラインではFIB-4 indexなどの簡便なスコアを用いた評価が推奨されています。
脂質代謝や糖代謝に関する検査項目も重要です。中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、血糖値、HbA1cなどを測定することで、メタボリックシンドロームの有無や程度を評価します。これらの値の異常は、脂肪肝やNASH(MASH)のリスク因子となります。
画像検査では、腹部超音波検査(エコー検査)が最も一般的に用いられます。肝臓の輝度(明るさ)の増加や、肝腎コントラストの増強などが脂肪肝の特徴的な所見です。超音波検査は非侵襲的で簡便に行えるため、健康診断や人間ドックでのスクリーニングに適しています。
CT検査やMRI検査も、脂肪肝の診断に有用です。特にMRI検査の一種であるMRI-PDFF(陽子密度脂肪分画)は、肝臓の脂肪含有率を定量的に評価でき、治療効果の判定にも用いられます。また、MRエラストグラフィは、肝臓の硬さを測定することで、線維化の程度を非侵襲的に評価できる新しい検査方法として注目されています。
肝生検の意義と限界
NASHと単純性脂肪肝を確実に区別するためには、肝生検が必要です。肝生検では、針を用いて肝臓の組織を採取し、顕微鏡で観察します。これにより、脂肪蓄積の程度、炎症の有無、線維化の進行度などを詳細に評価できます。NASHの診断基準であるNASアクティビティスコア(NAS)や線維化ステージの判定も、肝生検に基づいて行われます。
肝生検は診断精度が高い一方で、侵襲的な検査であるため、すべての患者さんに実施されるわけではありません。出血や感染などの合併症のリスクがあり、また検査後は安静が必要となります。そのため、血液検査や画像検査でNASHが強く疑われる場合や、線維化の進行が懸念される場合、あるいは治療方針の決定に必要な場合など、限られた状況で実施されます。
また、肝生検には採取される組織が肝臓全体のごく一部であるため、サンプリングエラーの可能性があります。肝臓内で不均一に病変が分布している場合、採取部位によって評価が異なることがあります。このような限界を踏まえつつ、肝生検は現時点でNASHの確定診断における信頼性の高い方法とされています。
まとめ
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は、生活習慣と密接に関連した疾患であり、食事や運動などの日常的な取り組みが改善の鍵となります。食べ物の選び方では、糖質や飽和脂肪酸を控え、食物繊維や良質な脂質、抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取することが重要です。コーヒーの適度な摂取は肝保護効果が期待できますが、砂糖の添加は避けましょう。脂肪肝とNASHの違いを理解し、早期発見と適切な対応を心がけることで、重篤な肝疾患への進行を防ぐことができます。気になる症状や検査結果がある場合は、消化器内科や肝臓内科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。




