『肺がん』診断後の検査ガイド。転移や呼吸機能評価で決まる治療【医師解説】

肺がんと診断された後は、病気の広がりや進行度を正確に評価することが、適切な治療計画を立てるうえで不可欠です。進行度の評価には複数の検査が用いられます。転移の有無を調べる検査や、呼吸機能と全身状態の評価を通じて、患者さん一人ひとりに合った治療方針が決定されます。病期の決定は治療選択に直結するため、慎重な評価が求められます。

監修医師:
松本 学(きだ呼吸器・リハビリクリニック)
肺がんの検査方法と進行度の評価
肺がんと診断された後は、病気の広がりや進行度を正確に評価することが、適切な治療計画を立てるうえで不可欠です。進行度の評価には複数の検査が用いられます。
転移の有無を調べる検査
肺がんは、リンパ節や他の臓器に転移しやすい性質を持っています。転移の有無を調べるために、全身の画像検査が実施されます。脳転移の有無を確認するためには、頭部MRI検査(磁気共鳴画像検査)またはCT検査が行われます。肺がんは脳に転移しやすいため、症状がなくても検査が推奨されることがあります。全身の転移を評価するにはPET-CTも有用な検査となります。
骨転移の評価には、骨シンチグラフィーという検査が用いられます。放射性医薬品を注射し、数時間後に全身の骨を撮影することで、転移の有無を確認します。腹部や骨盤のCT検査では、肝臓、副腎、腹部リンパ節への転移を調べます。
これらの検査結果を総合して、肺がんの進行度を示す病期(ステージ)が決定されます。病期は、腫瘍の大きさ(T因子)、リンパ節転移の程度(N因子)、遠隔転移の有無(M因子)の3つの要素に基づいて分類され、I期からIV期まで段階的に評価されます。病期の決定は治療方針の選択に直結するため、慎重な評価が求められます。
呼吸機能と全身状態の評価
肺がんの治療、特に手術を検討する際には、患者さんの呼吸機能や全身状態を評価することが重要です。呼吸機能検査(スパイロメトリー)では、肺活量や1秒量を測定し、肺がどれだけの働きをしているかを数値化します。肺の一部を切除する手術を行う場合、術後に十分な呼吸機能が保たれるかを事前に予測するために必要な検査です。
心電図や心臓超音波検査により、心機能を評価することも行われます。手術や抗がん剤治療は身体に負担をかけるため、心臓に問題がないか確認することが治療の実施につながります。
血液検査では、肝機能や腎機能、貧血の有無などを調べます。腫瘍マーカーと呼ばれる血液中の特定の物質を測定することもあり、CEAやCYFRA、ProGRPといったマーカーが肺がんで上昇することが知られています。ただし、腫瘍マーカーは早期診断には不向きであり、治療効果の判定や再発の監視に用いられることが一般的です。全身状態の評価は、患者さんにとって適切で負担の少ない治療を選択するための重要な情報となります。
まとめ
肺がんは、早期発見と適切な治療により、予後が改善する可能性のある疾患です。症状や前兆を見逃さず、気になる変化があれば速やかに医療機関を受診することが重要です。また、喫煙をはじめとするリスク因子を避け、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の機会を増やすことができます。治療法は日々進歩しており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別化医療が実現しつつあります。専門の医療機関と連携しながら適切な治療を選択し、生活の質を保ちながら病気と向き合うことが大切です。




