住まいの「ヒートショック対策ガイド」高齢者の入浴事故を低減する環境整備とは?【医師解説】

住まいの環境を整えることは、ヒートショック予防の基盤となる重要な取り組みです。断熱性能の向上や適切な暖房設備の導入、安全設備の設置など、住環境面での具体的な対策について知ることで、日常的なリスクを大きく軽減できます。

監修医師:
滝村 英幸(医師)
2006年4月 聖マリアンナ医科大学病院 初期臨床研修医
2008年4月 済生会横浜市東部病院 循環器内科
2016年12月 総合東京病院(東京都中野区) 循環器内科
2017年 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター
2022年4月 総合東京病院(東京都中野区) 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長
【専門・資格・所属】
内科・循環器内科一般
冠動脈カテーテルインターベンション治療
末梢血管カテーテル治療
フットケア
心血管超音波検査
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定心血管カテーテル治療専門医
日本心エコー図学会SHD心エコー図認定医
住環境におけるヒートショック対策
住環境を整えることは、ヒートショック予防の基盤となります。適切な設備の導入や住宅改修によって、日常的なリスクを大きく軽減できます。住環境面でできる具体的な対策を知っておくことが重要です。
断熱改修の効果
適切な暖房設備の導入だけでなく、住宅の断熱性能を高めることも、長期的に見ると大きな効果があります。窓からの熱の出入りは大きいため、二重サッシや断熱性の高い窓ガラスへの交換を検討する価値があります。比較的簡易な方法としては、厚手のカーテンや断熱シートを窓に貼ることでも、ある程度の効果が期待できます。
壁や天井、床の断熱改修も効果的ですが、大規模な工事になるため、リフォームの機会などに合わせて検討するとよいでしょう。特に古い住宅では断熱性能が低いことが多く、改修によって室温の安定性が大きく向上します。
これらの設備投資や改修には費用がかかりますが、高齢者の健康と安全を守るための重要な投資と考えることができます。自治体によっては、高齢者向けの住宅改修に対する補助金制度がある場合もあるため、確認してみるとよいでしょう。
手すりや滑り止めなどの安全設備
ヒートショックによる失神や立ちくらみは、転倒や溺水などの二次被害につながるため、住環境の安全設備を整えることが重要です。
浴室には、浴槽の出入りや洗い場での立ち座りの動線に合わせて手すりを設置し、ふらついたときにすぐ身体を支えられるようにします。あわせて、濡れて滑りやすい床では転倒リスクが高まるため、浴室の床や浴槽内に滑り止めマットを敷くことが推奨されます。
脱衣所やトイレにも手すりを設置して、立ち座り時の負担を減らし、排便後のふらつきによる転倒を防ぎましょう。特にトイレでは、排便時のいきみによる血圧変動のあと、立ち上がる際にふらつくことがあるため、手すりがあると安心です。異変を感じたときにすぐ助けを呼べるよう、浴室内の防水ブザーや緊急通報装置の設置、必要に応じて一人暮らし向けの緊急通報サービスの利用も検討すると安心です。
まとめ
ヒートショックは、正しい知識と日常的な対策によって予防できる健康リスクです。めまいや立ちくらみ、動悸などの初期症状を見逃さず、急激な温度変化による血圧変動の仕組みを理解することが重要となります。特に高齢者や基礎疾患のある方はリスクが高いため、室温管理や入浴方法の工夫、トイレや廊下、早朝・夜間など注意が必要な場面を把握しておくことが欠かせません。あわせて、家族による見守りや緊急時の対応を共有しておくことで、万が一の事態にも備えやすくなります。
住環境の改善や生活習慣の見直しを含め、できる対策から無理なく実践していきましょう。少しでも不安や症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが、冬を安全に過ごすための大切な一歩となります。
参考文献




