子宮頸がんはなぜなるの?99%を占める原因ウイルスと発症の仕組み
公開日:2025/12/05

子宮頸がんは、子宮頸部の表面を覆う上皮細胞から発生するがんで、原因が明確であることが大きな特徴です。約99%はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的な感染によって引き起こされることがわかっています。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行してから不正出血や性交後出血などの症状が現れることが多いため、定期的な検査が極めて重要となります。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
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【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
子宮頸がんの基本的な特徴と発生メカニズム
子宮頸がんについて理解するためには、まず子宮の構造と子宮頸部の役割を知ることが大切です。子宮頸部の構造とがんの発生部位
子宮頸部は腟と子宮体部をつなぐ重要な部位です。この子宮頸部の表面を覆う上皮細胞から、子宮頸がんは発生します。子宮頸部の表面には、扁平上皮細胞と円柱上皮細胞という2種類の細胞があり、これらの細胞の境界部分である扁平円柱上皮境界部に、がんが発生しやすいとされています。この境界部分は、ホルモンの影響により位置が変化するため、特に注意が必要な部位です。 子宮頸がんの特徴として、他の多くのがんとは異なり、原因が明確であることが挙げられます。子宮頸がんの約99%は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的な感染によって引き起こされることがわかっています。HPVは性交渉により感染するウイルスで、性交渉の経験がある女性の多くが一生のうちに一度は感染するとされています。発症年齢の傾向と症状の特徴
子宮頸がんの発症年齢には特徴的な傾向があります。20〜30代にかけて発症率が上昇し始め、40〜50代でピークを迎えることが多いとされています。近年では、性交渉の開始年齢の若年化に伴い、20代や30代の若い世代での発症も増加傾向にあります。 子宮頸がんは、症状が現れにくいがんとして知られています。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行してから不正出血や性交後出血、おりものの異常などの症状が現れることが多いです。そのため、症状がない段階での定期的な検査が極めて重要となります。日本における子宮頸がんの年間新規患者さんは約1万人程度とされており、婦人科がんの中では比較的頻度の高いがんです。しかし、適切な検査により早期発見が可能であり、早期に発見された場合の治癒率は高いことも特徴の一つです。 子宮頸がんの進行速度は比較的ゆっくりとしており、正常な細胞からがん細胞になるまでには数年から十数年の期間を要することが多いです。この期間に子宮頸部異形成という前がん病変の段階を経るため、定期的な検査により早期の段階で発見し、適切な治療を行うことで、がんの発症を予防することが可能です。まとめ
子宮頸がんは、予防と早期発見により克服可能ながんです。HPVワクチンによる一次予防と定期的な検診による二次予防、さらに異形成段階での適切な治療により、多くの場合で子宮頸がんの発症を防ぐことができます。 正しい知識を持ち、適切な予防行動を取ることで、健やかな人生を送ることができるでしょう。定期的な検診受診と、必要に応じた専門の医師への相談をおすすめします。参考文献



