「老人性色素斑」ができる原因・症状はご存知ですか？【医師監修】

老人性色素斑はシミの一種です。シミは、肌表面に色素が沈着したものを表します。老人性色素斑以外には、日光性角化症・脂漏性角化症・薬物性角化症などもシミの一種です。
その中でも老人性色素斑は、色は褐色や黒色のものが多く、シミのサイズは1cm程度の色素斑であることが多いのが特徴です。20～60歳代と幅広い年代で現れる色素斑ですが、年齢を重ねることで認める頻度が増えます。特に60歳以降で目立つことが多いです。色素斑ができる場所としては、紫外線を浴びる機会の多い顔・腕・手の甲が挙げられます。

この病気の主な症状は、肌の表面に現れる褐色や黒色の斑点です。シミのサイズは1cm程度であり、盛り上がりなどは見られず、他の皮膚との境目がはっきり確認できる点が特徴です。色素斑ができる部位としては、紫外線にあたる機会の多い顔・腕・手・背中などが挙げられますが、身体のどこでも現れる可能性があります。
しかし、この病気は一般的には良性です。健康被害を起こすような病気ではないため放置する方も多いですが、見た目が気になる理由で治療を行う方も少なくありません。

老人性色素斑の原因は、主に紫外線によるメラニンの過剰生成です。通常、紫外線を浴びると角化細胞がメラニン細胞に対してメラニンを作るように指令を出します。そして、メラニン細胞で作られたメラニンが角化細胞へ運ばれ、角化細胞の上に帽子のような形で集められて角化細胞が紫外線によって傷つくのを防ぎます。
しかし、長年日焼けを繰り返したり大量の日焼けをしたりすると、紫外線の量も増えるため次第に角化細胞が傷つき遺伝子変化を起こすのです。遺伝子が変化した角化細胞は正常な機能をせず、紫外線にあたっていない状態でもメラニンを作るように指令を出し続けます。すると、メラニン細胞では過剰にメラニンを作り角化細胞へと運ばれ続けてしまい、角化細胞のメラニンも大量となってしまいます。これが、老人性色素斑のができるメカニズムです。

この病気と似た別の病気には様々なものがありますが、中でも特に似ているものとして次の病気が挙げられます。

• 脂漏性角化症
• 雀卵斑
• 肝斑

似た病気の1つが脂漏性角化症です。紫外線によって引き起こされる肌の老化や脂質の異常が原因で引き起こされます。色は茶色く、周りの皮膚よりも盛り上がったような見た目をしているイボである点が特徴です。性差はなく、中年以降であれば誰でも発症の可能性があります。特に60歳以降となるとほとんどの方が発症するような一般的な病気です。できやすい場所としては、額・こめかみ・フェイスライン・胸元が挙げられます。
この病気は、老人性色素斑の放置によって引き起こされることもある点も特徴です。似た病気には雀卵斑と呼ばれるものも挙げられます。いわゆるそばかすのことであり、鼻の周囲に現れる点が特徴です。シミの色は明るい褐色であり、サイズは1～5mm程度であることが多いです。男性よりも女性に発症するケースが多く、原因は遺伝子の影響だといわれています。しかし、日焼けや妊娠によっても症状悪化が見られるケースが多いです。肝斑も似ている病気に挙げられます。
この病気は、頬・目の下・額などにできる薄茶色のシミで、左右対称となるように発症する点が特徴です。発症は特に30～60代の女性に多く、男性ではほとんど発症しません。原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの影響と過度な摩擦などが起こることで発症すると考えられています。