鼠径ヘルニア(脱腸)の手術はどう選ぶ?「鼠径部切開法」のメリット・デメリット【医師解説】

鼠径ヘルニア(脱腸)は、根治治療のためには手術が一般的で、手術方法には「腹腔鏡手術」と「鼠径部切開法」の二つがあるのだそうです。 そこで神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニックの藤木和也先生に、それぞれの手術のメリット・デメリットについて解説してもらいました。

監修医師:
藤木 和也(神戸日帰り外科そけいヘルニアかずクリニック)
編集部
鼠径部切開法とはどのような方法ですか?
藤木先生
鼠径部切開法は腹腔鏡を使用せずにおこなう鼠径ヘルニアの手術で、局所麻酔でおこなうことが可能です。一般的には、鼠径部の皮膚のしわに沿って約5cmの切開を加え、ヘルニアの原因となる筋肉の隙間(ヘルニア門)を修復します。修復方法には、網目状の人工シート(メッシュ)を使用する「メッシュ法」と、自身の組織を縫合して補強する「組織縫合法」の二種類があります。
編集部
鼠径部切開法のメリット・デメリットは何ですか?
藤木先生
局所麻酔で手術が可能なため、全身麻酔が難しい患者さんにも適応できます。また、手術時間が比較的短く、出血リスクが高い方でも対応しやすいとされています。一方で、切開部が大きくなるため、術後の痛みが強く出ることがあったり、痛みを感じやすい神経が手術部位に存在するため、まれに術後に神経痛が発生したりするリスクが腹腔鏡よりも高いと言われています。
編集部
手術方法の選択はどのようにおこなわれますか?
藤木先生
患者さんの全身状態や過去の手術歴、ヘルニアの状態などを総合的に評価し、ご自身の希望やニーズも聞きながら、最適な手術方法を選択します。専門医と十分に相談し、納得のいく治療法を選ぶことが重要です。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。
藤木先生
鼠径ヘルニアの手術方法は大きく分けて「腹腔鏡手術」と「鼠径部切開法」の2種類がありますが、すべての病院で両方の術式に対応しているわけではありません。決まった術式のみという医療機関もありますので、例えば「傷は小さくて少ない方がよい」といった希望のある方は、当院のように単孔式の腹腔鏡手術をしている医療機関に相談するなど、希望する術式をおこなっているのか病院に確認することが大切です。また、どちらがよいのかわからない人は、どちらの術式にも対応している医療機関に相談してみましょう。いずれの場合も、医師の説明をよく聞き、ご自身が納得した上で治療を選択することをお勧めします。
※この記事はメディカルドックにて<鼠径ヘルニア(脱腸)の治し方を医師が解説 「腹腔鏡手術」「鼠径部切開法」の違いとは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。


