鼠径ヘルニアは日帰り手術できるの？ 費用や治療の流れが知りたい！

柳先生

鼠径ヘルニアは、日帰り手術が可能ですので重篤化する前に治してしまいましょう。たとえ今は痛みなどを感じなくても、いずれヘルニアの中で腸が閉塞（へいそく）し、食事すらできなくなってしまうかもしれません。

柳先生

あえて入院手術を選んでいる先生もいらっしゃいます。むしろ日帰り手術の方が限られますので、事前に確認してから受診してください。また、腸の閉塞を起こしているケースは、日帰り対応できません。入院可能な医療機関をご紹介いたします。

柳先生

そうなります。事前にご連絡をいただいて、診察・検査や手術の予定を立てます。それぞれ準備が必要ですから、必ずご予約ください。とくに昨今、新型コロナウイルスの感染症対策も必要ですので、事前予約にご協力をお願いしています。

柳先生

専門的な麻酔が必要になるので、高度な肥満の場合は入院加療をおすすめしています。BMIの値が35を超えるようになると、麻酔も手術も高度なレベルを要しますので入院するのが安全です。他方、常用薬などによる禁忌は、ほとんどありません。

柳先生

保険の適用が可能で、当院の場合、3割負担を前提として4万5000円ほどかかります。これは、メスによる小切開手術の費用です。腹腔鏡（ふくくうきょう）手術は精密な器械を使用するために3割負担で約10万円になります。腹腔鏡に適したヘルニアとそうでないヘルニアがありますので、担当の医師に良くお話を聞いてください。

柳先生

初診時は、問診、触診、超音波検査などの結果から、現状と今後の治療計画を説明させていただきます。CTで画像診断する進め方もありますが、結果が出るまで数日かかり、二度手間になりかねないので私は使っていません。当院は、検査日と日帰り手術日の2ステップでおこなっています。

柳先生

主に、筋膜に空いた穴の大きさと、ヘルニア部の中身ですね。加えて、脂肪の厚さのような体格も関係してきます。いずれも、超音波検査によって、その場で確認できます。

柳先生

直前の食事だけ抜いていただきます。例えば、昼に手術を予約していたら「朝ご飯は抜き」です。朝の手術だったら「朝ご飯は抜き」で、前日の夜ご飯を抜いていただく必要はありません。また、手術に麻酔を使いますので、公共の交通手段でご来院ください。手術翌日からの運転は可能です。

柳先生

当院の場合、30分前後ですね。その間、麻酔により意識はないので怖くありません。また、麻酔の深さはある程度調節が可能です。「怖いので、ぐっすり眠り込んでいたい」、「少し浅くしてほしい」といった、ご希望があればお申し付けください。高齢者など、他院で「全身麻酔ができない」と説明された人でも、局所麻酔による対応が可能です。

柳先生

手術当日は、シャワーも入浴も控えてください。シャワーなら翌日からで、湯船に入れるのは1週間後からになります。なお、当院の手術は抜糸が不要ですので、抜糸のために来院する手間がかかりません。また、術後の再診は3回ほどで通院も完了します。

柳先生

直接的な原因は、筋膜の一部に穴が空いたり薄くなったりしたことです。そこから、腸がはみ出てしまったと考えられます。問題は「どうしてそうなったのか」で、先天的な要因や妊娠・肥満によるおなかの膨らみなどが関係してきます。また、仕事や便秘などで腹圧がかかることも要因になります。

柳先生

医師により意見の分かれるところですが、私としては、「日帰り手術が確立されているので、起きてからでも十分に対処できる」と考えています。普通に生活していただいて結構だと思います。ただし、肥満と力みの伴う便秘については、見直してみてください。

柳先生

一度、鼠径ヘルニアを起こした人は、別の箇所での発症が懸念されます。この場合、それぞれ別扱いなので「再発」とは言いません。また、妊婦さんには手術加療を避けますので、妊娠する前に治しておきましょう。

柳先生

「恥ずかしい病気」ということもあり、なかなか受診していただけていないのが鼠径ヘルニアの現状です。しかし、放置した結果、腸が閉塞してしまった人をたくさん見ています。太ももや下腹部に膨らみを感じたら、専門医院に限らず最寄りのクリニックでも構いませんので、速やかに受診してください。鼠径ヘルニアと診断が付けば、専門医院を紹介してくれるでしょう。