いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)にはどのような治療があるの?重症度別の治療法【医師解説】

いびきは心臓病や脳卒中との関連もあり、「たかがいびき」ではありません。いびきやSAS(睡眠時無呼吸症候群)治療の種類について、皆川クリニックの皆川先生に詳しく解説してもらいました。

監修医師:
皆川 真吾(皆川クリニック)
編集部
SASは聞いたことがあります。
皆川先生
いびきそのものは病気ではないのですが、放置しておくと先述のような病気のリスクが上がります。突然死との関連も示されていますし、日中の居眠りも増えてしまうため、交通事故などを起こすリスクも約6倍です。心臓に負担がかかるため、夜間頻尿などの症状も伴います。「たかがいびき」と考えず、早めに医療機関に相談することをお勧めします。
編集部
SASは医療機関で治療できるのですか?
皆川先生
SASの治療は、症状の程度によって異なります。軽症の場合、マウスピースや寝具の工夫などで気道が狭まるのを防ぐことで、症状の改善が期待できます。中等度から重度の場合は、CPAP療法という治療法が有効です。さらに、肥満はSASを悪化させる要因の一つなので、減量することで症状が軽くなることもあります。
編集部
CPAP療法とはなんですか?
皆川先生
睡眠中に専用の機械を装着して鼻や口に空気を送り込み、気道を常に開いた状態に保つことで、無呼吸を防止する方法です。安全で効果的な方法ですが、あくまでも「CPAPをつけている間は気道が塞がれない」というアプローチのため、CPAPをやめると元に戻ってしまいます。マスクをつけて眠ることに抵抗がある、旅行や出張の際なども機械を持ち歩く必要があるといった理由から、医師からCPAP療法を勧められた人の約3割が、治療をしない、もしくは途中で辞めてしまうというデータもあります。
編集部
CPAPを使わずに症状を軽減するためにはどうしたら良いのでしょうか?
皆川先生
鼻腔を広げる手術や、レーザーを用いて咽頭部の口蓋垂を切除する手術などがあります。これらの外科的治療は根治が期待できる一方で、術後しばらくの間、食事や会話に制限がかかることが多いので注意が必要です。
編集部
手術に抵抗がある人はどうしたら良いですか?
皆川先生
特殊なレーザーを用いた治療法もあります。この治療法は、咽頭部を切開せずに、レーザーの熱で組織を引き締め、気道を広げるというもので、従来の手術に比べて術後の回復が早く、痛みも少ないというメリットがあります。
※この記事はメディカルドックにて<イビキ治療は「どのくらいの期間」で終わる? レーザー治療の回数や効果を医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




