肥満でも種類で危険度が変わる! 「糖尿病」を防ぐ簡単チェック法と予防策

「糖尿病」という病気は誰にでも起こり得るものですが、実は発症しやすい特徴を持った人たちがいることをご存じですか? 「自分は大丈夫」と思っていても、もしかすると当てはまる項目があるかもしれません。今回は、肥満でも種類で危険度が変わる「糖尿病」を防ぐ簡単チェック法と予防策について、糖尿病を楽しく知るメディア「あおいろサークル」代表の中尾先生にお話を伺いました。

監修医師:
中尾 裕(医師)
編集部
遺伝的な要素以外に、生活面で気をつけるべきことはあるでしょうか?
中尾先生
やはり肥満・食習慣・運動不足などは、糖尿病を発症するリスク因子になります。現在の日本の基準では、BMI(Body mass index)が25以上の場合に肥満と判定しています。体重(kg)を身長(m)で2回割り算すればBMIが計算できるため、自分が肥満に該当していないか計算してみてください。たとえば身長170cm、体重65kgなら65÷1.7÷1.7≒22.5、という感じです。肥満がある場合、減量に取り組むことは糖尿病を予防する上で非常に有効です。
編集部
同じ肥満でも、特に注意した方が良い人の特徴などはあるのでしょうか?
中尾先生
肥満には大きく分けて皮下脂肪が多いタイプと、内臓脂肪が多いタイプがあります。お腹がぽっこり出ているのが内臓脂肪型肥満のイメージです。過去の研究でも、腹囲・ウエスト/ヒップ比が高いと、糖尿病のリスクが高いことが分かっています。皮下脂肪型でも内臓脂肪型でも、肥満自体が糖尿病の発症リスクになりますが、特にお腹がぽっこり出ているような内臓脂肪型肥満の方は、より注意が必要です。
編集部
肥満のある方が体重を落とすと、糖尿病の発症予防にどのくらい効果があるのでしょうか?
中尾先生
※Knowler WC, et al. N Engl J Med. 2002 Feb 7;346(6):393-403.
編集部
食生活におけるリスクなどもあるのでしょうか?
中尾先生
食事内容と糖尿病の発症リスクの関係については、ある程度分かっていることと、分かっていないことがあります。肥満がある方においては、食事の総エネルギー(カロリー)を適正化することで体重を落とすのが最も重要なのは間違いなさそうです。各栄養素の最適なバランスについては、意外と結論が出ていないところもあります。
編集部
炭水化物制限なども効果は期待できないのでしょうか?
中尾先生
食事から取るカロリーの中で、炭水化物の割合が多すぎても少なすぎても糖尿病になりやすいことが分かっています。日本人の場合は、総カロリーのうち炭水化物をだいたい45〜65%程度摂取していると糖尿病の発症リスクが最も低いと言われています。
編集部
食事について、ほかに気をつけるべきことはありますか?
中尾先生
※1.Fujii H, et al. J Clin Med. 2021 May 1;10(9):1949.
※2.Muraki I, et al. BMJ. 2013 Aug 28;347:f5001.
編集部
運動についてはいかがでしょうか?
中尾先生
※1.Honda T, et al. J Diabetes Investig. 2019 May;10(3):809-816.
※2.Jeon CY, et al. Diabetes Care. 2007 Mar;30(3):744-52.
※この記事はメディカルドックにて<「糖尿病の発症リスクを高める要因」をご存知ですか? 当てはまる人は何に注意したらいい?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




