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命のリスク!心房細動を放置すると「寝たきり」に直結する“心原性脳梗塞”の恐怖

 公開日:2025/11/17
心房細動を放置するリスク

現在、「心房細動」の患者数が増えています。心房細動を放置するとどうなるのか、「おくやまクリニック」の奥山先生に解説していただきました。

奥山 裕司

監修医師
奥山 裕司(おくやまクリニック)

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大阪大学医学部卒業。その後、大阪警察病院(現・大阪けいさつ病院)、大阪府立急性期・総合医療センター(現・大阪急性期・総合医療センター)、大阪大学医学部附属病院循環器内科准教授などを経て、2018年、大阪府和泉市に「おくやまクリニック」を開院。日本内科学会専門医、日本循環器学会専門医、日本不整脈心電学会専門医。

編集部編集部

心房細動を放置するとどうなるのですか?

奥山 裕司先生奥山先生

心房細動そのものが突然死のリスクになることはほとんどありません。しかし、放置すると脳梗塞や心不全などが発生し、日常生活の質を大きく低下させたり、死亡に至ったりすることもあるので注意が必要です。

編集部編集部

なぜ、脳梗塞が起きるのですか?

奥山 裕司先生奥山先生

心房細動が起きると、心房が細かく痙攣したように震えた状態になります。すると心房の中で血液が澱んで、血栓が作られやすくなります。この血栓が血液の流れに乗って脳などへ達し、血管を詰まらせることがあるのです。心臓から出ていく血液の2割程度は脳に行く上、心臓→大動脈→脳は比較的まっすぐな経路であるため、特に脳血管を詰めることが多いと考えられています。

編集部編集部

心臓で作られた血栓が脳へ届くことはあるのでしょうか?

奥山 裕司先生奥山先生

心臓内に血栓ができて、それが流れていって起こる脳梗塞を「心原性脳梗塞」と言い、脳梗塞の中でも非常に重症度が高いものとして知られています。というのも、心臓で作られる血栓は比較的大きいため、太くて重要な血管を詰まらせてしまうからです。心原性脳梗塞は元・巨人軍監督の長嶋茂雄さんが倒れたことでも知られている疾患です。幸い一命を取り留めたとしても、寝たきりや要介護になるリスクも高いとされています。こうした重大な疾患を招かないためにも、心房細動が疑われる場合には早めの対処が必要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

奥山 裕司先生奥山先生

近年、心房細動の治療として「カテーテルアブレーション」が注目を集めています。しかし、カテーテルアブレーションで心房細動は根治することはできません。なぜなら、心房細動は加齢とともに進行する疾患であり、カテーテルアブレーションで心房の一部を治療しても、残りの心房から心房細動が発生する可能性は残ります。また、カテーテルアブレーション後、「人生において心房細動の再発がなかった」という患者さんは相当数いると考えていますが、それが前もって、つまりカテーテルアブレーション後しばらく経った段階で、「あなたはこの後の人生で心房細動は出ません」ということは言えません。未来は予測できないからです。「カテーテルアブレーションをしたから心房細動はもう治った」と勘違いして、服薬をやめてしまう患者さんも多いのですが、服薬をやめるべきではありません。カテーテルアブレーションには様々なメリットがあるのは事実のようですが、基本的に「症状を楽にする治療」と考え、基本的な治療(血栓対策、心不全対策、高血圧を含む動脈硬化対策)を怠りなく続けることが最も大事です。

※この記事はメディカルドックにて<「心房細動」の初期症状はご存じですか? 受診の目安・放置リスクも医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師